卑日

卑日(ひにち)とは、日本経済新聞社編集委員の鈴置高史による造語。

『日経ビジネスオンライン』誌の国際コラム「早読み 深読み 朝鮮半島」の連載で命名し、繰り返し使用しているもので、彼は近年の韓国を分析してかの国の「反日」が実は「卑日」と呼ぶべきものに変容していると主張した[1]。それによると、「反日」は日本に対する嫉妬や見下げられることへの反発が原動力で、モノなりカネなり謝罪なり、日本から何かを「得る」のが目的であった。しかし「卑日」の目的は何かを得るのではなく、日本を「貶める」「卑しめる」ことにあるとする。世界を舞台に日本を貶めて快哉を叫ぶ韓国の国民的運動[2]とし、蔑日侮日とは意味が近いがそういった感情に至る理由が異なるとしている。

背景には経済成長の結果として韓国内に日本を超えたというムードがあるが、2010年代の韓国での景気後退やセウォル号沈没MERSコロナウイルスの流行、あるいは文化全般において、日本を超えたという実態が伴わないため、そのジレンマを解消するために日本を積極的に誹謗してその評価を押し下げることによって実感を得ようとするものであるとしている。

彼は韓国の主な「卑日」として、

などを挙げている[3]

ニューズウィーク日本語版では、韓国社会に蔓延している優位な立場の人が相手を見下す「甲乙」と呼ばれる上下関係の考え方を日韓関係に適用したものが「卑日」であり、日本が屈する姿に溜飲を下げて韓国人としての優越感を感じたい「甲乙」の感覚が根底にあると示唆している[4]

岡本隆司京都府立大学文学部准教授は、朝鮮王朝時代の対外関係は、中国に従う「事大」と、それ以外の国(礼・文化を知らない「夷(野蛮人)」)との「交隣」があり、日本は朝鮮の下に格付けされている。軍事経済的に日本に劣らなくなり、中国の後ろ盾を得て、日本に対しては何を言ってもいい、してもいい、とまた考え始めた、ということだと、卑日について解説している[5]。この説明を受けて、鈴置は卑日は「離米従中」の一部として「従中卑日」という自説を「日本に対する華夷意識の復活」としての卑日に改めた[6]

脚注・出典

関連項目