大澤昇平

日本の工学者、実業家

大澤 昇平(おおさわ しょうへい、1987年昭和62年〉[1]12月26日 - )は、日本工学者実業家。元東京大学特任准教授。未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ[3]。株式会社Daisy代表取締役CEO[5]。専門分野は、人工知能深層学習強化学習分散データベースブロックチェーン

大澤 昇平
おおさわ しょうへい
人物情報
生誕1987年[1][2]
福島県[2]
出身校東京大学大学院工学系研究科
学問
博士課程指導教員松尾豊
指導教員北川博之
学位博士(工学)
称号経済産業省認定 未踏スーパークリエータ[3]
影響を受けた人物筧捷彦[4]
学会人工知能学会
公式サイト
Shohei Ohsawa's Homepage
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略歴

福島県いわき市出身[1]。2008年福島工業高等専門学校卒業[6]、2010年3月筑波大学第三学群情報学類卒業[7]2012年3月筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻修士課程修了[7]2015年3月東京大学大学院工学系研究科博士課程修了[8][9]博士(工学)

IBMを経て、2017年8月に東京大学大学院工学系研究科特任助教着任[9]、着任と同時に株式会社Daisyを設立、2018年3月代表取締役最高経営責任者就任[5]

2019年4月に東京大学大学院・情報学環「情報経済AIソリューション寄付講座」特任准教授着任[10]

2020年1月に、ツイッターでの発言が大学の名誉等を傷つけるものとされ、東京大学を懲戒解雇された[11][12]。その後、自身が2018年に創業した株式会社Daisyの常任代表取締役へ就任[13]。2023年5月1日株式会社Daisy代表取締役CEOを退任[14]

研究

業績

2007年よりウェブ上で動作する自律分散データベースの研究を開始する。検索エンジン「netPlant」[15]経産省未踏ソフトウェア創造事業に採択され、スーパークリエーターの認定を受ける[4]。その後、分散データベースに関して容量効率のよいスキーマを提案したRDF Packages[16] は、国際学会iiWAS'10でBest Paper Award[17] を受賞した。2015年には博士号を取得した[18]

博士号取得後は、IBM Researchで勤務しブロックチェーンであるHyperledger Fabricの研究開発に携わっている。当時IBM Researchは東京証券取引所と同時期に実証実験を行っており[19][20][21]、大澤もこのプロジェクトに参加していたことを著書内で明かしている[22]。また、大澤は同時期にIBMより社長賞を授与されている[23]。東京大学特任助教に着任後は情報統合を行うブロックチェーンアプリケーションとして「Daisy Platform」を構想、株式会社Daisyを設立した[5]

Daisy社は、Daisyプラットフォームを2019年初頭にリリースすると発表したものの[24]、リリースされていない。ブロックチェーンに関してはWBSに取材を受けた[25]。また、東京大学情報学環にマネックスグループ株式会社、株式会社オークファン、株式会社大広より寄付を受け設置された「情報経済AIソリューション寄付講座」[26] の担当教員として、研究を継続していた。

論文

これまでに、ジャーナル論文7本、国際会議(本会議)5本、国際特許6本の業績がある[27]

  • Peer Prediction (2018) - 情報伝搬の議論にマルチタスクピア予測モデルを導入することで、オラクル問題を部分的に解決している[28]。iiWAS'18 Best Paper Award受賞 (第二著者)。
  • Gated PMF (2016) - 確率的行列分解(en)に注視機構に基づくゲートを導入した技術[29]。情報推薦のソフトウェアなどに応用されている。IJCAI'16採録。
  • Like Prediction (2015) - FacebookDBpediaを結合する技術[30]。オントロジーマッチング問題を扱うために機械学習を利用。
  • RDF Packages (2010) - 分散データベースにおける演繹的閉包のサイズを10分の1以下にするスキーマ[31]。iiWAS'10 Best Paper Award受賞[17]

社会実装

社会実装に関して以下の受賞がある。

  • swimmie (2007) - ブラウザインストール型のソーシャルブックマーク[32][33][34]。未踏同PJ内で開発され、データベースは単語間の意味構造を取得するためnetPlantに活用された。(「マスタースレーブ戦略」[35]
  • netPlant (2007) - ニューラルネットワーク型検索エンジン[15][36]。このとき既に単語間の意味構造をWord Embeddingの技術で可視化するWord2Vecの先駆け的な技術を独自に開発している[37]。未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエーター受賞[4]

取材・対談

  • AI同士対戦 東大が競技会 仮想通貨向け人材育成、日本経済新聞(紙面朝刊[38])、2019
  • 「上から『AIやれ』と言われてやる企業は絶対に失敗する」スペシャリスト3人が語る、日本企業の勝算[23]、Ledge.ai、2019

講演会

  • 人工知能の未来-ディープラーニングの先にあるもの[39]、津山商工会議所、2018

情報経済AIソリューション寄付講座

情報経済AIソリューション寄付講座』は、東京大学情報学環マネックスグループ株式会社、株式会社オークファン、株式会社大広より1.4億円の寄付を受け、2019年4月1日から2020年3月31日まで存在していた寄付講座である[26]。PR Timesによると、情報学環の田中秀幸教授、大澤昇平特任准教授の二人体制で運用されていた[40]。また、日本経済新聞の取材によると、ブロックチェーンによる人材育成を目的としたAIの協議会なども開いていた[38]

発言

2019年11月20日の自身のツイッターで、「弊社Daisyでは中国人は採用しません」「そもそも中国人って時点で面接に呼びません。書類で落とします」と投稿。その後も「資本主義の文脈において、パフォーマンスの低い労働者は差別されてしかるべきです」などと書き込んだ[41][42][43][44][45]。炎上した一連のSNS上での発言に対して11月24日、大澤の所属する東京大学大学院情報学環は「特定個人及び特定の国やその国の人々に関する不適切な書き込み」であると指摘し、同大学院がHP上で謝罪声明を出した[46][47]

2020年1月15日、ツイッターへの投稿を理由として東京大学を懲戒解雇された[12][48]。具体的な解雇理由は、前述の投稿のほか、「中国独裁共産党東洋文化研究所などに入り込み、東大を支配しています」「東大は左翼の肩を持つつもりです。共産主義の反日大学にすべきでない」[12] などの投稿によって、情報学環アジア情報社会コースが「反日勢力に支配されているかのような印象を与え、社会的評価を低下させ」た点や[48]、東大の元教員を「根拠なく誹謗・中傷」したこと、情報学環に所属する現教員の「人格権を侵害する投稿」をしたことなどである[48]。本人は処分を不服としている[49]

2020年8月20日、ジャーナリストの伊藤詩織から、大澤が2020年6月にツイッターにて破産事件の官報公告とみられる画像と共に伊藤が偽名を使用しているという虚偽ツイートを行ったとして、110万円の損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こされ[50]2021年7月6日に慰謝料など33万円の支払いと投稿の削除を命じる判決を言い渡された[51][52]。大澤自身は7月4日に、大澤に支払いが命じられる賠償金が55万円を下回れば「勝訴」だと主張しており、判決後も「勝訴」したと主張している[53]。また「勝ったので控訴はしません」とツイート[54]。2021年11月30日に伊藤側代理人の山口元一弁護士より、大澤が判決後も裁判所の求めに応じず損害賠償金を支払っていないことが明かされた[55]

2021年9月17日我那覇真子との対談では「(自分は)ヘイトスピーチを垂れ流しているネトウヨとは全然違う」と述べている。また、ツイッターについて、「ジャック・ドクシー(ジャック・ドーシーの誤り)の独裁国家」としている[56](のち2022年にツイッターイーロン・マスクに買収され、名称も「X」と変わった)。

受賞

  • IBM社長賞[1]、2016年
  • 日本データベース学会、優秀プレゼンテーション賞、2015年3月
  • 専攻長表彰,筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻[57], 2012年3月
  • ソリューション型研究 開発/特別プロジェクト優秀賞,筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻, 2011年3月
  • Best Paper Award[17], 12th International Conference on Information Integration and Web-based Applications & Services (iiWAS2010), November, 2010
  • 情報処理学会 学会推奨卒業論文認定、2010年6月.
  • スーパークリエータ[58]、情報処理推進機構(IPA) 2006年度上期未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース、筧捷彦PM)、2007年5月
  • 独立行政法人国立高等専門学校機構 理事長奨励賞[58]、2007年
  • 文部科学省 文部科学大臣奨励賞[58]、2005年
  • 最優秀賞[58]、全日本Web教材開発コンテストThinkQuest@JAPAN、2005年3月
  • 文部科学省 文部科学大臣奨励賞[58]、2004年

著書

脚注

注釈

出典

外部リンク