岡崎文夫 (東洋史学者)

江戸時代から続く富山市西本郷の豪農で、代々富山藩の十村役を務めた名家・岡崎家の十六代として生まれる^[1]。1905年、（旧制）富山中学校（現：富山県立富山高等学校）卒業、第四高等学校に進む。1912年に京都帝国大学文科大学史学科卒業。

1919年～21年、中国留学。帰国後、東北帝国大学における東洋史学専攻講座の開設にあたる。1924年に東北帝国大学文学部助教授。1926年より同教授。1949年に退官。

1950年に死去。死後、正四位勲二等瑞宝章が贈られた。

内藤湖南に師事し、隋・唐までを中世とする時代区分説を継承した上で、南北朝から隋唐へは法制が著しく整備されたという点で大きな転換があったとし、また、北朝の国家体系を受け継ぎながら南朝文化を包摂したとする隋唐帝国論を展開した。魏晋南北朝の本格的研究についての先駆者であり、特に『魏晋南北朝通史』は現在に至るまでこれを超える物は登場していない^[2]と言われる名著である。

• 『魏晋南北朝通史』弘文堂書房、1932年
  • 『魏晋南北朝通史：内編』平凡社〈東洋文庫506〉、1989年 ISBN 458280506X
• 『南北朝に於ける社会経済制度』弘文堂、1935年
• 『支那史概説』上、弘文堂〈支那学入門叢書〉、1935年
• 『新制東洋歴史教科書教授資料』三省堂、1935年
• 『江南文化開発史 その地理的基礎研究』（池田静夫との共著）弘文堂、1943年
• 『古代支那史要』弘文堂、1944年
• 『支那の政治と民族の歴史』（佐々木久共著）弘文堂〈教養文庫〉、1947年
• 『司馬遷』弘文堂〈教養文庫〉、1947年
  • 『司馬遷』研文社、2007年 ISBN 9784990168346

• 岡崎文夫著・川合安補訂・秋月觀暎解説『隋唐帝国五代史』平凡社〈東洋文庫587〉、1995年。ISBN 4582805876。 

同書は、岡崎による直接の著書ではなく東北帝国大学での講義ノートを再編出版したもの。

回想

• 『東方学回想 Ⅳ 先学を語る〈3〉』（刀水書房、2000年）、座談会での関係者の回想を収録。