光秀のスマホ

義経のスマホから転送)

光秀のスマホ』(みつひでのスマホ)は、2020年10月12日から28日までNHK総合テレビジョンで放送されたSF時代劇。主演は山田孝之、脚本は竹村武司

本項では続編についても合わせて記述する。

企画・制作

歴史上の人物がスマートフォン(スマホ)を持っているという設定のミニドラマで、第1作である本作の主役・明智光秀をはじめ、大河ドラマと連動する形式で展開されている。

武将がスマートフォンを片手に戦国の世を駆け抜けていくさまを、原則としてスマートフォンの画面遷移だけで描く「スマホ時代劇」作品。画面に映っているのはほとんどスマートフォンの画面であり、主人公など多くの人物は顔も出ず、声と手のみの出演となる[1]。この演出は札幌国際短編映画祭でNHK賞を受賞した、オランダ公共放送制作・マーティン・ウィンクラー監督の短編作品『#tagged』(「#タグ付けされた世界」)を原案としている[2]。また、現代のSNSアプリを同時代風にアレンジした細かい演出が注目を集めた[3]。企画・演出をつとめたNHKのディレクター・田中涼太は「我々演出や出演者だけでなく、(スマホ画面の)設計を担当する美術チームや、どう放送を配置するか、デジタル展開をどうすれば面白くなるかを考える編成チームとともに、みんなでニヤニヤしながら、まさに大人が本気でふざける、遊ぶということをやった作品です」と語っている[4]

2021年には土方歳三を主役とした第2作『土方のスマホ』(ひじかたのスマホ)、2022年には源義経を主役とした第3作『義経のスマホ』(よしつねのスマホ)、2023年には織田信長を主役とした第4作『信長のスマホ』(のぶながのスマホ)[5]豊臣秀吉を主役とした第5作『秀吉のスマホ[6]徳川家康石田三成を主役とした第6作『家康と三成のスマホ』が「天下人のスマホ」シリーズとして制作された。

配信はいずれのシリーズにおいても、NHKプラスNHKオンデマンドとは別に、放送映像を再編集した動画がNHKの公式YouTubeチャンネルに公開されている。

シリーズ一覧

光秀のスマホ(第1作)

光秀のスマホ
ジャンルテレビドラマ
原案マーティン・ウィンクラー
『#tagged』
企画田中涼太
脚本竹村武司
演出田中涼太
出演者山田孝之
和田正人
島﨑信長
話数6
製作
製作日本放送協会
放送
放送チャンネルNHK総合テレビジョン
放送国・地域 日本
放送期間2020年10月12日 - 28日
放送時間月曜 - 水曜 23:40 - 23:45
放送分5分
光秀のスマホ
総集編
光秀のスマホ 歳末の陣
出演者田中みな実
小島みなみ
放送期間2020年12月25日
放送時間金曜 22:00 - 22:48
放送分48分
番組年表
関連番組麒麟がくる
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2020年10月12日から28日まで放送された。また、12月25日には総集編に18分の新録映像を追加した「歳末の陣」が放送された[7]

第58回ギャラクシー賞では「奇抜な着想をもとに本能寺の変に至るプロセスを描いた、今までにないエンターテインメント」であり、「私たちと変わらぬ『人間・明智光秀』が浮かび上がると同時に、SNSに振り回される現代人への批評性」もあるとされ、斬新な演出が評価されたことで「フロンティア賞」を受賞した[1]。また第47回放送文化基金賞では、「歳末の陣」がテレビエンターテインメント番組の奨励賞を受賞、またスマホ画面の設計を行った松田美喜子が美術賞を受賞した[4]

あらすじ(光秀)

あるツイートをきっかけに織田信長に仕官することとなった明智光秀。同僚の羽柴秀吉とのフォロワー数争いや、信長からの鬼電に苦しみつつも出世する。しかし、秀吉の妻・おねが画策した信長殺害の陰謀にまんまとはまって、本能寺の変にいたる。

配役(光秀)

明智光秀
演 - 山田孝之[3]
羽柴秀吉
演 - 和田正人[3]
織田信長
声 - 島﨑信長[3]
演 - 湯本柚子[8][9]松澤可苑[10]
おね
演 - 田中みな実(歳末の陣のみ)[7]
南殿
演 - 小島みなみ(歳末の陣のみ)[7]

放送日程(光秀)

放送回放送日サブタイトル
第1話2020年
10月12日
#これからは信長の時代でしょ
第2話10月13日#“秀☆吉”って誰だよ
第3話10月14日#織田家はブラックでした
第4話10月24日#信長様にフルボッコされるまで
第5話10月27日#もしかして、時は今だったりする?
第6話10月28日最終話 #敵は本能寺にあり?
総集編12月25日歳末の陣

土方のスマホ(第2作)

土方のスマホ
ジャンルテレビドラマ
原案マーティン・ウィンクラー
『#tagged』
企画田中涼太
脚本竹村武司
演出田中涼太
出演者窪田正孝
山田孝之
馬場園梓
荒牧慶彦
佐倉綾音
話数6
製作
製作日本放送協会
放送
放送チャンネルNHK総合テレビジョン
放送国・地域 日本
放送期間2021年9月27日 - 10月13日
放送時間月曜 - 水曜 23:30 - 23:35
放送分5分
土方のスマホ
総集編
土方のスマホ 正月の陣
出演者賀来賢人
大島美幸
放送期間2022年1月2日
放送時間日曜 17:13 - 17:58
放送分45分
番組年表
関連番組青天を衝け
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2021年9月27日から10月13日まで放送され、2022年1月2日には「正月の陣」が放送された。主演は窪田正孝[11]

あらすじ(土方)

「ガチの武士にオレはなる!」そんな夢を抱き上京した土方歳三が、地元のズッ友・近藤勇沖田総司らと結成した浪士グループ新選組。“鬼の副長”兼公式アカウントの“中の人”として、スマホとともに倒幕派のクソリプに立ち向かった「史上最もチャラくて親しみやすい」土方の、壬生浪士時代から箱館戦争までの半生を描く。

配役(土方)

土方歳三
演 - 窪田正孝
近藤勇
演 - 山田孝之[11]
のぶ
演 - 馬場園梓[11]
沖田総司
演 - 荒牧慶彦[11]
君菊
演 - 佐倉綾音[11]
坂本龍馬
演 - 賀来賢人(正月の陣のみ)[12]
乙女
演 - 大島美幸(正月の陣のみ)[12]

放送日程(土方)

放送回放送日サブタイトル
第1話2021年
9月27日
武士だぜ!今日から俺は!!
第2話9月28日君の名は?新選組だ!
第3話9月29日待たせたな!お待たせしすぎたかもしれません!
第4話10月11日粛清、始めました
第5話10月12日変わる変わるよ時代は変わる
第6話10月13日武士として
総集編2022年
1月2日
正月の陣

義経のスマホ(第3作)

牛若丸のキッズケータイ→義経のスマホ
ジャンルテレビドラマ
原案マーティン・ウィンクラー
『#tagged』
企画田中涼太
脚本竹村武司
演出田中涼太
出演者川栄李奈
塚本高史
小澤征悦
ガリベンズ矢野
松村邦洋
関智一
ねお
小林優仁
山田孝之
話数8
製作
製作日本放送協会
放送
放送チャンネルNHK総合テレビジョン
放送国・地域 日本
放送期間2022年5月24日 - 6月3日
放送時間火曜 - 金曜 0:25 - 0:30
放送分5分
義経のスマホ
総集編
義経のスマホ 夏草の陣
出演者瀧本美織
放送期間2022年8月24日
放送時間水曜 23:55 - 翌 0:55
放送分60分
番組年表
関連番組鎌倉殿の13人

特記事項:
夏草の陣:当初は23:45 - 0:45に放送予定だったが[13]、大雨に伴う『NHKニュース』放送に伴い、10分繰り下げ。
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2022年5月24日(23日深夜)より6月3日(2日深夜)まで放送され、同年8月24日には「夏草の陣」が放送された。主演は川栄李奈[14]

シリーズでは初めて主人公の幼少期から物語が始まる。そのため、第1話ではスマートフォンではなく子供用携帯電話の画面が大写しとなっており、タイトルも「牛若丸のキッズケータイ」となっていた[15]

あらすじ(義経)

史上もっとも陰キャでスマホ中毒の源義経が、頼朝挙兵のネットニュース、後白河法皇の動画配信、平氏とのクソリプ合戦、御家人たちの未読無視に振り回されながらも、平安時代を駆け抜ける[14][16]

配役(義経)

源義経
演 - 川栄李奈
源頼朝
演 - 塚本高史[17]
武蔵坊弁慶
演 - 小澤征悦[18]
大江広元
演 - ガリベンズ矢野[17]
後白河法皇
演 - 松村邦洋[17]
梶原景時
演 - 関智一[17]
静御前
演 - ねお[13]
牛若丸
演 - 小林優仁[16]
西行
演 - 山田孝之[16]
北条政子
演 - 瀧本美織(夏草の陣のみ)[13]

放送日程(義経)

放送回放送日サブタイトル
第1話2022年
5月24日
スマホに憧れる男
第2話5月25日兄との出会いにドギマギする男
第3話5月26日いきなり総大将になった男
第4話5月27日ようやく居場所を見つけた男
第5話5月31日わかりやすく調子づく男
第6話6月1日肝心なことを見落とす男
第7話6月2日バレちゃった俺
第8話6月3日さよなら、大好きな男
総集編8月24日夏草の陣

信長のスマホ(第4作)

信長のスマホ
ジャンルテレビドラマ
原案マーティン・ウィンクラー
『#tagged』
脚本竹村武司
出演者佐藤信長
山田孝之
和田正人
声の出演島﨑信長
話数8
製作
製作日本放送協会
放送
放送チャンネルNHK総合テレビジョン
放送国・地域 日本
放送期間2023年2月7日 - 17日
放送時間火曜 - 金曜 0:25 - 0:30
(月曜 - 木曜深夜)
放送分5分
回数8
天下人のスマホ
番組年表
関連番組どうする家康
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2023年2月7日(6日深夜)から2月17日(16日深夜)まで放送された[19]。主演となる織田信長役の声は島﨑信長、体は佐藤信長が演じた[20]

第1作『光秀のスマホ』と同じ時間軸で物語が展開される[19]。2月26日(2月25日深夜)にはNHK名古屋放送局限定で、登場人物のセリフを尾張弁に変えた尾張弁バージョンが放送された[21]。第一話は信長の母土田御前の視点から放映され、「信長の母のスマホ」というタイトルとなっている。最終回の最期に表示されるタイトルは「天下人のスマホ」となっている。

あらすじ(信長)

「お前らに本物の炎上見せてやるよ…」。「最強のパワハラ武将」はどうして生まれたのか?織田信長が度重なる炎上と家臣たちへのパワハラを繰り広げながら、戦国の世を生き抜く。

配役(信長)

織田信長
声 - 島﨑信長[19]
演 - 佐藤信長
明智光秀
演 - 山田孝之[19]
羽柴秀吉
演 - 和田正人[19]
斎藤道三
演 - 斎藤司(トレンディエンジェル[20]
猪子兵介
演 - たかし(トレンディエンジェル)[22]
青地与右衛門
演 - 富栄ドラム[23]
ルイス・フロイス
演 - オジエル・ノザキ[22]
柴田勝家
演 - 谷仲恵輔[22]
佐久間信盛
演 - 松本哲也[22]
杉谷善住坊
演 - スギちゃん[22]
松永久秀
演 - DJ松永Creepy Nuts[22]
森蘭丸
演 - 川栄李奈[22]
土田御前
演 - 山口紗弥加[20]

放送日程(信長)

放送回放送日サブタイトル
第1話2023年
2月7日
天下御免の大うつけ、爆誕
第2話2月8日歴史は桶狭間で繰り返す
第3話2月9日武力を持って天下を治めることを誓います
第4話2月10日本物の炎上、見せてやるよ
第5話2月14日敵がいてこそ強くなるのだ
第6話2月15日天下人に、俺はなる!
第7話2月16日マジで天下取る5秒前
第8話2月17日夢幻の如(ごと)くなり

秀吉のスマホ(第5作)

秀吉のスマホ
ジャンルテレビドラマ
原案マーティン・ウィンクラー
『#tagged』
脚本竹村武司
出演者和田正人
話数8
製作
製作日本放送協会
放送
放送チャンネルNHK総合テレビジョン
放送国・地域 日本
放送期間2023年5月29日 - 6月8日
放送時間月曜 - 木曜 23:45 - 23:50
放送分5分
回数8
番組年表
関連番組どうする家康
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2023年5月29日から6月8日まで放送された。Twitter公式アカウントは、「信長のスマホ」の際のアカウントが秀吉のものに変更され、運用されている。

6月18日6月17日深夜)には、全8話が一括して再放送された。NHK名古屋放送局では、「信長のスマホ」と同じく尾張弁バージョンを放送している[24]

あらすじ(秀吉)

信長や光秀の裏で暗躍した「陽キャ武将」・秀吉。SNS戦略とコミュ力で天下を統一したその男のスマホが最後に映すものとは…。

配役(秀吉)

羽柴秀吉
演 - 和田正人[6]
寧々
演 - 大塚寧々[6]
大政所
演 - 濱田マリ[6]
お市
演 - 貴島明日香[6]
黒田官兵衛
声 - 小山力也
加藤清正
声 - 杉田智和
南光坊天海
声 - 山田孝之

放送日程(秀吉)

放送回放送日サブタイトル
第1話2023年
5月29日
身分の低いワシが信長様亡き後の世界で救世主になる話!
第2話5月30日ターニング合戦といったら賤ヶ岳じゃ!
第3話5月31日「庶民派」で売り出したの、たぶんわしが最初じゃろ?
第4話6月1日家族(とおなご)のためなら、わしは容赦しない!
第5話6月5日全部わかっている!百姓はダマせてもわしはダマせんわ!
第6話6月6日うああああああ!!!
第7話6月7日ちゃ会はまだか。大仏がほしい。
第8話6月8日ありがとう。だいすき。ぎょいす。

家康と三成のスマホ(第6作)

家康と三成のスマホ
ジャンルテレビドラマ
脚本竹村武司
出演者安田顕
柄本時生
大谷亮介
後藤剛範
石上雅流
佐藤峻輔
松井ショウキ
永澤洋
製作
製作日本放送協会
放送
放送チャンネルNHK総合テレビジョン
放送国・地域 日本
放送期間2023年9月5日 - 15日
放送時間火曜 - 金曜 23:45 - 23:50
放送分5分
回数8
番組年表
関連番組どうする家康

特記事項:
第1話 - 第3話は5分繰り下げ(23:50 - 23:55)。
第4話は30分繰り下げ(翌0:15 - 0:20)。
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2023年9月5日から15日まで放送された。徳川家康安田顕石田三成柄本時生が演じた[25]。X公式アカウントは家康の名義に変更されている。

10月10日10月9日深夜)にはNHK名古屋放送局限定で、方言バージョン(家康:三河弁、三成:近江弁)による全8話一括放送をしている[26]

あらすじ(家康と三成)

秀吉没後の覇権をめぐり、一筋縄ではいかない家康と三成がスマホでの頭脳戦と愛憎劇を繰り広げ、関ヶ原の戦いで雌雄を決するまでを描く。最終回となる第8回は家康勝利・三成勝利の2パターンが制作され、視聴者投票によって勝者が決定された[27]

配役(家康と三成)

家康と三成のキャストは第4話にて公表。

徳川家康
演 - 安田顕[28][25]
石田三成
演 - 柄本時生[25]
前田利家
演 - 大谷亮介[25]
福島正則
演 - 後藤剛範[25]
細川忠興
演 - 石上雅流[25]
宇喜多秀家
演 - 佐藤峻輔[25]
浅野長政
演 - 松井ショウキ[25]
塩野清助
演 - 永澤洋[25]
本多正信
声 - 六角精児[25]
大谷吉継
声 - 落合モトキ[25]
加藤清正
声 - 杉田智和[25]
本多忠勝
声 - じゅんいちダビッドソン[25]
南光坊天海
演 - 山田孝之

放送日程(家康と三成)

放送回放送日サブタイトル
第1話2023年
9月5日
めんどくさい人とめんどくさい人
第2話9月6日見栄を切る人と裏切られる人
第3話9月7日動じる人と動じない人
第4話9月9日チャンスの人とピンチの人
第5話9月12日ワクワクする人とイライラする人
第6話9月13日哀願する人と提言する人
第7話9月14日信じてない人と信じられない人
第8話9月15日関ヶ原のふたり
  • 初回 - 第3話は台風関連ニュース放送のため、5分繰り下げられ、23時50分 - 23時55分に放送された[29][30][31]
  • 第4話は台風関連ニュース放送のため、30分繰り下げ翌0時15分 - 0時20分に放送された[32][33][34]

天下人のスマホ(総集編)

2023年12月23日23時20分から、「天下人のスマホ」と題して信長・秀吉・家康と三成の「天下人のスマホシリーズ」三作品の総集編に新規シーンを加えて放送された[35]

徳川秀忠
演 - 小林亮太[35]

語り - 松平定知[35]

スタッフ

光秀のスマホ土方のスマホ義経のスマホ信長のスマホ秀吉のスマホ家康と三成のスマホ
オリジナルフォーマット『#tagged』(マーティン・ウィンクラー)
脚本竹村武司
スマホ文案スエヒロ ジブ
時代考証清水克行山村竜也清水克行
イラストオオシカケンイチ、山田だり
写真提供pixta
国立国会図書館 
スマホ設計松田美喜子
プロデューサー家冨未央小路美智子浅石優子 清水真由美
制作統括水高満 深尾高行
 深尾高行 春日真人
(企画・)演出田中涼太
制作・著作NHK

脚注

出典

関連項目

  • ロッパグラム〜転生したら戦時中の喜劇王だった件〜
  • セイコグラム〜転生したら戦時中の女学生だった件〜
以上の2作は、日本の現代にいる芸能人が第二次世界大戦中の古川ロッパ、田辺聖子に転生して、SNS風の日記調で視聴者に状況を伝えるNHKのドラマ番組。

外部リンク