太平洋石炭販売輸送臨港線

釧路臨港鉄道から転送)

臨港線(りんこうせん)は、太平洋石炭販売輸送(現:新太平洋商事)が運営していた北海道釧路市春採駅と同市知人駅を結ぶ貨物専業鉄道路線である。

臨港線
臨港線(2001年10月1日)
臨港線(2001年10月1日)
基本情報
日本の旗 日本
所在地北海道釧路市
起点春採駅
終点知人駅
駅数2駅
開業1925年大正14年)2月11日
廃止2019年令和元年)6月30日
所有者太平洋石炭販売輸送
運営者太平洋石炭販売輸送
路線諸元
路線距離4.0 km (廃止時)
軌間1,067 mm (狭軌
線路数単線
電化方式非電化
最大勾配12.5
最高速度40 km/h[1]
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1925年2月に釧路臨港鉄道により知人駅 - 春採駅間で開業した路線で、一時は循環線にする構想もあったが、結局、循環線にされることはなく、1979年に太平洋石炭販売輸送が引き継いだ。農産物や生活物資を運んだ時代もあり[2]1963年までは旅客営業も行っていた。本項目では東釧路駅から南西へ伸びていた城山線にも触れる。

2019年2月7日、採炭量が減少して[3]石炭輸送が不要になったことを受け、荷主の釧路コールマインが太平洋石炭販売輸送に対し、次年度の契約をしない方針を伝えた[4]。同年2月9日、太平洋石炭販売輸送の親会社太平洋興発は、当路線を3月末をもって運休とし[4]、その後に廃止することを決定した、と明らかにし[5]、6月末で廃止された[6]

路線データ

1986年11月1日以降

運行形態

停車場・施設・接続路線
JR北釧網本線
東釧路駅 0.00.0 東釧路駅
JR北:根室本線
天寧駅臨港線
材木町駅
? 緑ヶ岡駅
JR北:根室本線2.5 永住町駅[8]
城山線3.3 春採駅
城山駅 2.24.5 観月園駅
入舟町駅 (II)[8] 9.1沼尻川橋梁 長8.9m
入舟町駅 (I) 8.55.4 沼尻駅
臨港駅 8.36.5 米町駅
真砂町駅 8.07.3 知人駅[7]

石炭車の両端にディーゼル機関車を連結し、選炭場がある春採駅と釧路港の貯炭場がある知人駅の間で石炭をシャトル輸送していた[3]。また、荷役(ホッパの開閉)は、機関車からの遠隔制御で行われ、そのため、貨車には電気連結器と回路の引き通しが設けられていた。

太平洋炭礦時代は、平日9-16時の間に12時前後の昼食休憩を挟んで頻繁に往復していたが、釧路コールマインになって以降は出炭がなければ運行しなくなり、以前のように頻繁な運行は見られなくなっていた。

歴史

春採選炭場(1930年頃、太平洋炭鉱絵はがき)
  • 1923年大正12年)
    • 1月20日:鉄道敷設免許を申請[9]
    • 6月18日:鉄道免許状下付(釧路市大字釧路村地内)[10]
    • 12月12日[11]:太平洋炭礦の石炭輸送部門を受け持つ子会社として釧路臨港鉄道が設立される。
  • 1925年(大正14年)
    • 2月11日:春採駅 - 知人駅間 (4.1 km) 開業(貨物営業)届出[12]。(釧路市地域史研究会『釧路市統合年表:釧路市・阿寒町・音別町合併1周年記念』では2月12日開業[9]
    • 3月16日:別保信号場 - 春採駅間 (3.3 km) 開業(貨物営業)[13][9]
  • 1926年(大正15年)
    • 2月1日:知人駅 - 臨港駅間 (1.1 km) 開業。沼尻駅、米町駅、真砂町駅開業。春採駅 - 臨港駅間で旅客営業を開始[14][9]
    • 6月1日:観月園駅開業[15]
  • 1927年昭和2年)
    • 2月20日:臨港駅 - 入舟町駅間 (0.2 km) 開業。入舟町駅の旅客扱いを開始し、臨港駅を貨物駅とする。
    • 12月15日:鉄道免許状下付(釧路市大字釧路村地内)[16]
  • 1928年(昭和3年)11月11日:別保信号場が東釧路駅に変更。
  • 1929年(昭和3年)12月18日:東釧路駅 - 春採駅間の旅客営業を開始[9]
  • 1937年(昭和12年)1月10日:城山駅 - 東釧路駅間開業[17][9]
  • 1940年(昭和15年)10月24日:終点の入舟町駅移転。路線が0.6 km延伸[18]
  • 1942年(昭和17年)5月27日:真砂町駅廃止。臨港駅の旅客扱い再開。
  • 1953年(昭和28年)4月16日:永住町駅開業。
  • 1956年(昭和31年)11月10日:線路移設により観月園駅移転。実延長122 m短縮。春採駅 - 観月園駅間の営業キロを0.1 km短縮。
  • 1960年(昭和35年)
    • 5月4日:沼尻駅を停留所化。
    • 6月1日:観月園駅 - 沼尻停留所間の営業キロを0.1 km短縮(実延長に変更なし)。
  • 1961年(昭和36年)5月24日:緑ヶ岡駅開業。
  • 1963年(昭和38年)11月1日:全線で旅客営業廃止[9]
  • 1966年(昭和41年)12月1日:臨港駅 - 入舟町駅間廃止(大半の区間は臨港駅の構外側線として存置され、1986年の臨港駅廃止時に撤去)。
  • 1979年(昭和54年)4月30日:釧路臨港鉄道が太平洋石炭販売輸送に吸収合併され[9]、東釧路駅 - 臨港駅間が同社の臨港線、城山駅 - 東釧路駅間が城山線となる。
  • 1985年(昭和60年)6月1日:城山線 城山駅 - 東釧路駅間廃止。
  • 1986年(昭和61年)11月1日:日本国有鉄道から連絡運輸契約を前日限りで解除する通告があったため、東釧路駅 - 春採駅間、知人駅 - 臨港駅間廃止[19]。開業当時の区間のみ残存。
  • 2019年平成31年/令和元年)

廃線後

旧春採駅で留置される機関車と石炭車

2020年5月時点で線路は撤去済みであるが、地元有志が踏切の廃材や写真などの資料、運行母体の新太平洋商事が旧春採駅で保管している車両(機関車4両、貨車28両)を産業遺産として観光などに活用することをめざしていた[2]。しかしその後、一旦は中古の鉄道車両を扱う業者と売却契約が結ばれたものの、COVID-19流行の影響による輸送費の高騰などで契約が解消され、鉄道愛好家団体による保存も維持費の捻出などが困難とされ、2022年10月から解体される事となった[24]

駅一覧

城山駅 - 材木町駅 - 東釧路駅[25] - 緑ヶ岡駅 - 永住町駅[8] - 春採駅 - 観月園駅 - 沼尻駅 - 米町駅 - 知人駅 - 真砂町駅 - 臨港駅 - 入舟町駅[8]

車両

脚注

参考文献

  • 青木栄一 著「昭和52年5月1日現在における補遺」、鉄道ピクトリアル編集部 編『私鉄車両めぐり特輯』 1巻、鉄道図書刊行会、東京、1977年、補遺1頁頁。 
  • 小熊米雄「釧路臨港鉄道」『鉄道ピクトリアル』1960年12月号臨時増刊:私鉄車両めぐり1、1960年、pp. 4, 13-17。 (再録:鉄道ピクトリアル編集部 編『私鉄車両めぐり特輯』 1巻、鉄道図書刊行会、東京、1977年。 
  • 小熊米雄「釧路臨港鉄道(私鉄車両めぐり第1分冊補遺)」『鉄道ピクトリアル』No. 1281962年3月号臨時増刊:私鉄車両めぐり2、1962年、p. 101。 (再録:鉄道ピクトリアル編集部 編『私鉄車両めぐり特輯』 1巻、鉄道図書刊行会、東京、1977年。 
  • 鉄道省『昭和12年10月1日現在鉄道停車場一覧』鉄道省(覆刻:鉄道史資料保存会)、東京(覆刻:大阪)、1937年(1986年覆刻)、p. 254頁。ISBN 4-88540-048-1 
  • 寺田裕一『北海道』ネコパブリッシング〈消えた轍 - ローカル私鉄廃線跡探訪 1〉。ISBN 4-7770-0218-7 

外部リンク

関連項目

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