頬杖

頬杖(ほおづえ、つらづえ、頰杖面杖[1])は、ヒトなどにを立ててその手でを支える、あるいはに手を宛てがう仕草のこと[2]。腕がのようになることからこう呼ばれる。

頬杖をつく太宰治

概要

ヒトが考え事をしたり、物思いに耽ったりする際に無意識的に行う動作であり、その人物の退屈眠気疲労不安憂鬱・リラックスなどを表現するポーズとして美術や文学においても多く用いられている。また、写真を撮られる際、被写体が意識的に頬杖をついてポーズを決めることもある。

建築業界ではここから転じて、地震や風圧などで建築物が変形するのを防ぐため、垂直材と水平材の隅を斜めに結ぶ形で取り付ける部材のことを「方杖(ほおづえ、ほうづえ)」と呼ぶ[3][4]

c=方杖

バリエーション

手の平をつける頬杖

手の甲をつける頬杖

影響

前述のとおり頬杖はネガティブな印象を持ち、相手に悪いイメージを持たれることがあるため、対面においては避けるべき仕草とされている[5]

心理的な影響以外にも頬杖が癖になるとに負担が加わることで顔や歯並びの歪み、そこから顎関節症歯周病などを引き起こす原因になるほか、手で顔を触ることでニキビの発生、姿勢が悪くなることで肩こりなど身体への悪影響もある[6]

頬杖が用いられている主な作品

考える人

美術作品

彫像

木造弥勒菩薩半跏像

彫像、絵画

文学作品

伽藍のような書斎にただ一人、片づけた顔を頬杖で支えていると、三重吉が来て、鳥を御飼いなさいと云う。 — 夏目漱石『文鳥[11]
新聞の一枚も残って居らぬ。仕方がないから蒲団に頬杖ついたままぼんやりとして庭をながめて居る。 — 正岡子規『飯待つ間』[12]
楊某と云う支那人が、ある夏の夜、あまり蒸暑いのに眼がさめて、頬杖をつきながら腹んばいになって、
とりとめのない妄想に耽っていると、ふと一匹の虱が寝床の縁を這っているのに気がついた。 — 芥川龍之介『女体』[13]
むつは、何か村中が湧きかえるような事件を起してやりたくて寢ても覺めても色々なことを考えていました。
窓に頬杖をついて山吹のしだれた枝を見ていると、山吹の長い枝がふわふわ風にゆれています。 — 林芙美子『クララ』[14]


脚注