ATPツアー・マスターズ1000

ATPツアー・マスターズ1000英語: ATP Tour Masters 1000)は、男子プロテニス協会 (以下ATP) が運営するテニス競技大会の規格名称であり、グランドスラムATPファイナルズに次ぐ規格に分類される大規模大会群である。カテゴリの色は金。

男子プロテニス

概要

ATPツアー・マスターズ1000はATPが1990年に男子プロツアーから引き継いで開始されたのが源流で、当初はATPチャンピオンシリーズ、96年より9大会開催されたことからスーパー9と呼ばれ、2000年よりテニス・マスターズ・シリーズ、2004年よりATPマスターズ・シリーズと改称。2009年よりATPワールドツアーの改編に伴って、名称と指定開催地に変更が施され、現在のATPツアー・マスターズ1000となった。

なお、現在も年9大会が開催されており、各大会の優勝者にはATPランキングのポイントが一律1000点与えられる。

ATPランキングの上位選手に出場資格義務があり、不当な理由で欠場した場合は翌年に参戦できないことがある。ただし、2009年よりATPが選手の負担を考慮して、例外的にモンテカルロ・マスターズについては出場義務を課さないことが決定した。また、ある規定の条件の実績を残した選手には出場義務が軽減される。

2022年6月、ATPはツアーを再編する計画を発表し、2023年からATPツアー・マスターズ1000のマドリードローマ上海を、2025年からカナダシンシナティを8日間(56ドロー)から12日間(96ドロー)の開催に変更するとした[1]

出場義務免除の条件

  • 通算600試合出場。
  • 年間12大会以上出場した年から12年プレー。
  • 満31歳に達すること。

上記の条件を1つ満たすごとに、1大会の出場義務が免除される。また、3つの条件すべてを満たした選手については、全大会の出場義務が免除される。

ATPランキングポイント

大会(ドロー)優勝準優勝ベスト4ベスト8ベスト16ベスト32ベスト64ベスト128予選通過予選2予選1
シングルス(96)1000600360180904525101680
シングルス(56/48)4510N/A2516
ダブルス(32/24)0N/AN/AN/AN/AN/A

記録

大会一覧

大会名開催地会場開始年サーフェス開催月ドロー賞金公式サイト
BNPパリバ・オープン
BNP Paribas Open
アメリカ合衆国インディアンウェルズインディアンウェルズ・テニス・ガーデン英語版1974ハード3月上旬96$8,761,725[1] 
マイアミ・オープン
Miami Open presented by Itaú
アメリカ合衆国マイアミガーデンズハードロック・スタジアム1985ハード3月下旬96$8,761,725[2]
モンテカルロ・マスターズ
Rolex Monte-Carlo Masters
フランスロクブリュヌ=カップ=マルタンモンテカルロ・カントリー・クラブ英語版1897クレー4月中旬56€5,572,875[3]
ムチュア・マドリード・オープン
Mutua Madrid Open
スペインマドリードラ・カハ・マヒカ2002クレー
[† 1]
5月上旬
[† 2]
96[† 3] [† 4]€6,901,635[4]
BNLイタリア国際
Internazionali BNL d'Italia
イタリアローマフォロ・イタリコ1930クレー5月中旬
[† 5]
96[† 3] [† 4]€5,572,875[5]
ナショナル・バンク・オープン
National Bank Open presented by Rogers
カナダトロントソビーズ・スタジアム英語版1881ハード8月上旬56[† 6] [† 4]$6,104,210[6]
モントリオールスタッドIGA英語版
シンシナティ・オープン
Cincinnati Open
アメリカ合衆国メイソン英語版[† 7]リンドナー・ファミリー・テニス・センター英語版[† 7]1899ハード8月中旬56[† 6] [† 4]$6,458,545[7]
上海マスターズ
Rolex Shanghai Masters
中国上海市上海旗忠森林体育城テニスセンター2009ハード10月中旬頃96[† 3] [† 4]$7,875,885[8]
パリ・マスターズ
Rolex Paris Masters
フランスパリ12区ベルシー・アレナ1986ハード (室内)
[† 8]
11月上旬頃56[† 9]€5,572,875[9]
以前開催されていた大会
大会名開催地会場開始年サーフェス開催月ドロー賞金備考公式サイト
ハンブルク・マスターズ[† 10]
Masters Series Hamburg
ドイツハンブルクアム・ローテンバウム英語版1892クレー5月中旬64€2,270,0002009年からATP 500に降格[10] 
インディアンウェルズ
マイアミ
モンテカルロ
マドリード
ローマ
モントリオール
トロント
シンシナティ
上海
パリ
ATPツアー・マスターズ1000 (地球)

優勝者一覧

インディアン
ウェルズ
マイアミ モンテカルロ マドリード ローマ カナダ シンシナティ 上海 パリ
2009 ナダル マリー ナダル フェデラー ナダル マリー フェデラー ダビデンコ ジョコビッチ
2010 リュビチッチ ロディック ナダル ナダル ナダル マリー フェデラー マリー セーデリング
2011 ジョコビッチ ジョコビッチ ナダル ジョコビッチ ジョコビッチ ジョコビッチ マリー マリー フェデラー
2012 フェデラー ジョコビッチ ナダル フェデラー ナダル ジョコビッチ フェデラー ジョコビッチ フェレール
2013 ナダル マリー ジョコビッチ ナダル ナダル ナダル ナダル ジョコビッチ ジョコビッチ
2014 ジョコビッチ ジョコビッチ ワウリンカ ナダル ジョコビッチ ツォンガ フェデラー フェデラー ジョコビッチ
2015 ジョコビッチ ジョコビッチ ジョコビッチ マリー ジョコビッチ マリー フェデラー ジョコビッチ ジョコビッチ
2016 ジョコビッチ ジョコビッチ ナダル ジョコビッチ マリー ジョコビッチ チリッチ マリー マリー
2017 フェデラー フェデラー ナダル ナダル A.ズベレフ A.ズベレフ ディミトロフ フェデラー ソック
2018 デル・ポトロ イズナー ナダル A.ズベレフ ナダル ナダル ジョコビッチ ジョコビッチ ハチャノフ
2019 ティーム フェデラー フォニーニ ジョコビッチ ナダル ナダル メドベージェフ メドベージェフ ジョコビッチ
2020中止[* 1] ジョコビッチ中止[* 1] ジョコビッチ中止[* 1] メドベージェフ
2021 ノリー フルカチュ チチパス A.ズベレフ ナダル メドベージェフ A.ズベレフ中止 ジョコビッチ
2022 フリッツ アルカラス チチパス アルカラス ジョコビッチ カレーニョ・ブスタ チョリッチ中止 ルーネ
2023 アルカラス メドベージェフ ルブレフ アルカラス メドベージェフ シナー ジョコビッチ フルカチュ ジョコビッチ
2024 アルカラス シナー チチパス
  • BIG4は色づけした。

優勝回数ランキング

1970年 -

選手名回数
1. ノバク・ジョコビッチ40
2. ラファエル・ナダル36
3. ロジャー・フェデラー28
4. イワン・レンドル22
5. ジョン・マッケンロー19
6. ジミー・コナーズ17
アンドレ・アガシ
8. ビョルン・ボルグ15
9. アンディ・マリー14
10. ボリス・ベッカー13
11. ピート・サンプラス11

太字は現役選手

現制度(2009年 - )

選手名回数
1. ノバク・ジョコビッチ36
2. ラファエル・ナダル24
3. ロジャー・フェデラー14
4. アンディ・マリー12
5. ダニール・メドベージェフ6
6. アレクサンダー・ズベレフ5
カルロス・アルカラス
8. ステファノス・チチパス3
9. フベルト・フルカチュ2
ヤニック・シナー
11. ニコライ・ダビデンコ1
イワン・リュビチッチ
アンディ・ロディック
ロビン・セーデリング
ダビド・フェレール
スタン・ワウリンカ
ジョー=ウィルフリード・ツォンガ
マリン・チリッチ
グリゴール・ディミトロフ
ジャック・ソック
フアン・マルティン・デル・ポトロ
ジョン・イスナー
カレン・ハチャノフ
ドミニク・ティーム
ファビオ・フォニーニ
キャメロン・ノリー
テイラー・フリッツ
パブロ・カレーニョ・ブスタ
ボルナ・チョリッチ
ホルガ・ルーネ
アンドレイ・ルブレフ

太字は現役選手

キャリア・ゴールデン・マスターズ

選手生活の間に9大会全てに優勝することをキャリア・ゴールデン・マスターズと呼ぶ。また複数回達成(9大会すべてで複数回優勝)した選手は、名前の右の括弧内に回数を示す。

シングルス

達成者インディアンウェルズマイアミモンテカルロマドリードローマカナダシンシナティ上海パリ
1 ノバク・ジョコビッチ (2)2008年2007年2013年2011年2008年2007年2018年2012年2009年

ダブルス

達成者インディアンウェルズマイアミモンテカルロマドリードローマカナダシンシナティ上海パリ
1 ダニエル・ネスター1997年2002年2009年2002年1997年2000年1996年2011年2009年
2 ブライアン兄弟
ボブ・ブライアン
マイク・ブライアン
2013年2007年2007年2006年2008年2002年2003年2014年2005年

テレビ中継

日本では放映権をWOWOWが獲得している。

2015年から2022年までNHK BS1(一部地上波総合テレビ)でも放送されていた[3]

脚注

関連項目

外部リンク