D中間子

D中間子(D meson)は、チャームクォークを含む最も軽い粒子である。弱い相互作用を研究するためにしばしば用いられる[1]。ストロングD中間子(Ds)は、1986年以前は、F中間子と呼ばれていた。

概観

D中間子は、1976年にSLAC国立加速器研究所のマーク1加速器を用いて発見された[2]

D中間子は、1つのチャームクォーク(または反チャームクォーク)を含む最も軽い粒子であるため、崩壊の際には、(反)チャームクォークをその他の(反)クォークか別の素粒子に変換する。そのため、粒子内部のチャームは保存されず、弱い相互作用のみが働く。D中間子では、チャームクォークは、Wボソンの交換により優先的にストレンジクォークに変換され、そのためD中間子は、K中間子またはパイ中間子に優先的に崩壊する[1]

2011年11月、欧州原子核研究機構で行われたLHCb実験で、電荷の無いD中間子の崩壊において、標準模型を超える可能性のあるCP対称性の破れを直接観測したと発表された[3]

D中間子の一覧

D mesons
粒子名粒子の記号反粒子の記号クォーク組成[4]静止質量 (MeV/c2)IGJPCSCB'半減期 (s)崩壊

(>5% of decays)

D中間子[5]D+D- 1,869.62 ± 0.201200+101.040 ± 0.007 × 10−12See D+ decay modes
D meson[6]D0D0 1,864.84 ± 0.171200+104.101 ± 0.015 × 10−13See D0 decay modes
Strange D meson[7]D+sD-s 1968.47±0.3300+1+10(5.00±0.07)×10−13See D+s decay modes
D meson[8]D*+(2010)D*-(2010) 2,010.27.62 ± 0.171210+106.9 ± 1.9 × 10−21[a]D0 + π+
D+ + π0
D meson[9]D*0(2010)D*0(2010) 2,006.97 ± 0.191210+10>3.1 × 10−22[a]D0 + π0
D+ + γ

出典

関連項目