EIF4EBP1
EIF4EBP1(eukaryotic translation initiation factor 4E-binding protein 1)または4E-BP1は、ヒトではEIF4EBP1遺伝子にコードされるタンパク質である[5]。4E-BP1は翻訳開始因子eIF4Eに結合することでキャップ依存的翻訳を阻害する。4E-BP1はリン酸化によってeIF4Eから放出され、その結果キャップ依存的翻訳が継続されてタンパク質合成速度が高まる[6]。
リン酸化
リン酸化された4E-BP1は、上流のシグナル伝達(mTORシグナル)の活性化のマーカーとなると考えられている。4E-BP1には7カ所のリン酸化部位が存在し、中でも重要なのはリン酸化の開始部位であるThr37/Thr46、2番目の部位であるThr70、そして最終部位であるSer65である。しかしながら、Ser65とThr70のリン酸化だけでは4E-BP1による翻訳阻害の遮断には不十分であり、複数のリン酸化イベントが組み合わさることでタンパク質合成速度の上昇が引き起こされていることが示唆されている[7]。
機能
4E-BP1はeIF4Eと直接相互作用する。eIF4Eは、リボソーム40SサブユニットをmRNAの5'末端へリクルートするタンパク質複合体(eIF4F)の限定因子となっている。4E-BP1とeIF4Eの相互作用により、この複合体の組み立てが阻害され、翻訳は抑制される。4E-BP1のリン酸化は紫外線照射やインスリンシグナルなどさまざまなシグナルに応答して生じ、eIF4Eからの解離を引き起こしてキャップ依存的翻訳を活性化する[8]。
相互作用
4E-BP1は次に挙げる因子と相互作用することが示されている。