IRT2番街線

IRT2番街線(IRT2ばんがいせん、英語: IRT Second Avenue Line)あるいは2番街高架線(2ばんがいこうかせん、英語: Second Avenue Elevated, Second Avenue El)は、アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタン区にあったインターボロー・ラピッド・トランジット (IRT) の高架鉄道路線である。1940年以降は私営地下鉄3社 (IRT・INDBMT) の市営合併によりニューヨーク市によって運営されていた。57丁目駅以北は1940年6月11日に廃止され、以南は1942年6月13日に廃止された。

IRT2番街線
IRT Second Avenue Elevated
1942年9月の解体中の2番街線。13丁目から1番街を南に向かって撮影。
概要
種別高架鉄道
系統インターボロー・ラピッド・トランジット
起終点125丁目駅
シティ・ホール駅
サウス・フェリー駅
運営
開業1878年
廃止1940年 - 1942年
所有者ニューヨーク市
運営者ニューヨークシティ・トランジット・オーソリティ
路線構造高架
路線諸元
軌間4 ft 8+12 in (1,435 mm)
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歴史

1875年、高速輸送委員会 (Rapid Transit Commission) はギルバート高架鉄道 (Gilbert Elevated Railway) に対し2番街沿ってバッテリー・パークからハーレム川を結ぶ鉄道路線の建設を認可した[1]

その後委員会は6番街線の運営をギルバート高架鉄道が行うことを許可し、その後ギルバート高架鉄道の社名をメトロポリタン高架鉄道 (Metropolitan Elevated Railway) に変更した。

1890年頃路線は電化された[2]。1914年から1916年の間にラッシュ時に急行列車の運行を行うために急行線の建設が行われた[2]。1916年1月17日より急行列車の運行が開始された[3]

2番街線は全線に渡って2番街上を通過しているわけでは無かった。シティ・ホール駅からチャタム・スクエア駅間はIRT3番街線と線路を共用しており、チャタム・スクエア駅では南側はシティ・ホール駅方面とサウス・フェリー駅方面、北側は2番街線方面と3番街線方面に分岐していた。チャタム・スクエア駅からは3番街線と別れディビジョン・ストリートに沿って東へ向かいアレン・ストリートで北へ曲がった。その後ハウストン・ストリートより1番街を更に北へ向かい23丁目との交差点で左へ曲がって2番街を129丁目まで北上した。129丁目駅からはまた3番街線に合流しハーレム川を渡ってブロンクス区へ入っていった[4]

1934年には以下の列車が運行されていた。

  • 2番街線各駅停車:昼と夜は129丁目駅 - サウス・フェリー駅間、夜と日曜は129丁目駅 - シティ・ホール駅間を運行。夜間はサウス・フェリー駅発着とシティ・ホール駅発着の列車を交互に運行。終日運転は行われていなかった。
  • 2番街線急行:平日・土曜朝ラッシュ時にIRT3番街線ブロンクス・パーク駅→シティ・ホール駅間、平日夕ラッシュ時にシティ・ホール駅→3番街線フォーダム・ロード駅・トレモント・アベニュー駅間を運行。また、3番街線よりウェスト・ファームズ・ロード線に乗り入れフリーマン・ストリート駅を発着する列車も運行された。
  • クイーンズ区発着列車:平日・土曜朝ラッシュ時にIRTフラッシング線ウィレッツ・ポイント・ブールバード駅 - サウス・フェリー駅間、平日昼間と夕ラッシュ時にシティ・ホール駅 - ウィレッツ・ポイント・ブールバード駅間、夜間・日曜に57丁目駅 - ウィレッツ・ポイント・ブールバード駅間、平日朝ラッシュ時・昼間・土曜昼間にシティ・ホール駅 - BMTアストリア線アストリア駅間、平日夕ラッシュ時にサウス・フェリー駅 - アストリア駅間、夜間・日曜に57丁目駅 - アストリア駅間を運行。昼間・土曜の列車は急行線を走行し平日ラッシュ時の列車は緩行線を走行した。

1939年9月8日よりBMTアストリア線の列車が平日夕ラッシュ時に2番街線へ乗り入れシティ・ホール駅を発着するようになった。1940年6月12日、2番街線は57丁目駅以北が廃止された[2][5]。夕方・日曜のクイーンズ区発着列車はシティ・ホール駅発着からサウス・フェリー駅発着に変更された。 1941年5月19日、夕方・日曜の列車の運行が廃止され、1942年6月13日をもって全列車の運行が廃止された[2][6]

現在IRT2番街線とほぼ同じ経路を通っているM15系統バスはニューヨーク市内で最も混雑するバス路線の1つである[7]。しかし、バスであることから一度に輸送できる乗客の数が鉄道よりも少ない。

2番街の地下を通過する2番街地下鉄は1919年以来計画され続けている[8][9]。IRT2番街線の廃止は2番街地下鉄の建設を見越してのことであった[10][9]。2017年1月1日に72丁目駅 - 96丁目駅間が開通し[9][11]、現在は96丁目駅 - ハーレム-125丁目駅間が建設中である[12]

駅一覧

駅名線路開業日廃止日乗換
129丁目駅全線1878年12月30日1940年6月11日
IRT3番街線と分岐
125丁目駅全線1940年6月11日
121丁目駅緩行線1940年6月11日
117丁目駅緩行線1940年6月11日
111丁目駅緩行線1940年6月11日
105丁目駅緩行線1940年6月11日
99丁目駅緩行線1940年6月11日
92丁目駅緩行線1940年6月11日
86丁目駅全線1940年6月11日
80丁目駅緩行線1940年6月11日
72丁目駅緩行線1940年6月11日
65丁目駅緩行線1880年3月1日[13]1940年6月11日
クイーンズボロ・プラザ駅へ向かうクイーンズボロ橋支線が分岐
57丁目駅全線1942年6月13日
50丁目駅緩行線1942年6月13日
42丁目駅全線1880年3月1日[13]1942年6月13日
34丁目駅緩行線1942年6月13日34丁目フェリー駅方面
23丁目駅緩行線1880年3月1日[13]1942年6月13日
19丁目駅緩行線1942年6月13日
14丁目駅全線1880年3月1日[13]1942年6月13日
8丁目駅緩行線1880年3月1日[13]1942年6月13日
1丁目駅緩行線1880年3月1日[13]1942年6月13日
リビングトン・ストリート駅緩行線1880年3月1日[13]1942年6月13日
グランド・ストリート駅緩行線1880年3月1日[13]1942年6月13日
キャナル・ストリート駅緩行線1880年3月1日[13]1942年6月13日
チャタム・スクエア駅全線1880年3月1日[13]1955年5月12日3番街線・シティ・ホール支線
IRT3番街線に合流
フランクリン・スクエア駅全線1878年8月26日[14]1950年12月22日
フルトン・ストリート駅全線1878年8月26日[14]1950年12月22日
ハノーバー・スクエア駅全線1878年8月26日[14]1950年12月22日
IRT9番街線と並走
サウス・フェリー駅全線1878年8月26日[14]1950年12月22日

脚注

参考文献

外部リンク