法務博士(専門職)

専門職学位
Juris Doctorから転送)

法務博士(専門職)(ほうむはくし せんもんしょく、Juris Doctor degree〈J.D. または JD〉、Doctor of Jurisprudence degree〈D.Jur. または DJur〉)は、専門職大学院が付与する専門職学位の1つであり、法科大学院修了した者に授与される。

日本では原則として、学士学位[注 1]を修得した後に3年または2年の課程を修了することで授与される。

日本の学位

日本の称号・学位の分類
分類区分授与を行う標準的な課程
称号準学士高等専門学校の本科
高度専門士専修学校の専門課程(専門学校)のうち、
4年制の学科
専門士専修学校の専門課程(専門学校)のうち、
2〜3年制の学科
学位(下記以外)博士大学院の博士課程[1]
特定の省庁大学校の課程[2]
修士大学院の修士課程[3]
特定の省庁大学校の課程[4]
学士大学学部[5]
短期大学[6]専攻科[7]
高等専門学校の専攻科[7]
特定の省庁大学校の課程[8]
短期大学士短期大学[6]の本科[9]
専門職学位修士(専門職)[10]
(○○修士(専門職))
大学院の専門職学位課程
専門職大学院
(法科・教職以外)
法務博士(専門職)[10]法科大学院
教職修士(専門職)[10]教職大学院
学士
(専門職)
○○学士(専門職)専門職大学
学士(○○専門職)大学の学部の専門職学科
短期大学士
(専門職)
○○短期大学士(専門職)専門職大学の前期課程
専門職短期大学
短期大学士(○○専門職)短期大学の専門職学科

日本の「法務博士(専門職)」の学位は、法科大学院制度創設に当たり設けられたものである。これは、アメリカ合衆国ロー・スクールで修了者に「ジュリス・ドクター」(Juris Doctor、J.D.)の学位が授与されていることを参考にして名称などが定められた[11]。1991年(平成3年)以降の日本の学位制度においては、学位に付記する専攻分野の名称は各大学などがそれぞれ定めることになっているが[12]、法科大学院の課程を修了した者に対して授与する学位は「法務博士(専門職)」に限られ、それ以外の名称の学位が授与されることはない[13]

「法務博士(専門職)」の学位は専門職学位の1つであり、「博士」の語を含むものの、学位請求論文の審査を経て授与される「博士の学位」とは別個のものである。法務博士(専門職)の学位取得に際しては、修士論文博士論文などの学位請求論文や他の研究業績の提出および審査が不要である。法務博士(専門職)の肩書きを使用する場合は専門職であること、および取得大学名を明記しなければならない(学位規則)。

この学位を授与されると、新司法試験の受験資格が得られる[14]。また、一定の要件を満たした場合は、税理士試験の税法科目が一部免除される[15]。法務博士(専門職)は、法学研究大学院の博士課程後期課程の入学資格を認められるが、博士前期課程をへて修士論文を執筆していないため、入学審査において別途、リサーチペーパーなど何らかの学術的業績を要求されることがある(他の専門職学位と共通する特典については、専門職学位#専門職学位の意義を参照)。学位の位置づけとしては、表示が「博士」となっていても、 「博士の学位」とは異なる法務博士(専門職) とされる[注 2][16][17]

各国の学位

主にコモン・ロー体系の国の英米及びカナダオーストラリアシンガポール香港フィリピン北アイルランドを中心に採用されているが、大陸法系である日本と、韓国などの国でもアメリカにならった大学院レベルの法曹養成課程が導入され、その修了者にはJuris Doctorの学位が授与されている。また、学位の名称は韓国語では「法学専門碩士」、中国語では「法律博士」と訳される。

法務博士学位の比較[18]
法域学術的内容を欠くか?修業年限当該法域の法学士課程と
異なるカリキュラムか?
法曹資格取得のために
追加の教育が必要か?
日本No2–3YesYes
米国Yes3NoNo
オーストラリアNo3NoNo
カナダNo3NoYes
香港No2–3NoYes
シンガポールNo2–3NoYes[19]
フィリピンNo4YesYes
韓国No3Yes[注 3]No

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では、大学(短期大学を除く)を卒業した後にロースクール(標準修業年限: 3年)を修了すると、Juris Doctor(日本語訳: 法務博士)が与えられる。

また、Juris Doctorとは別に、標準就業年限1年間のLL.M.(Master of Laws, 法学修士)がある。ほとんどの学生はJ.D.取得後に就職するが、引き続きLL.M.コースに進学する学生もまれにいる。しかし、多くのLL.M.受講生は、一旦実務を経験した後(または実務のかたわら夜学など)で高度に専門的な法学教育を受けるため、ロースクールに戻る。特に、税法・国際法・金融法などの分野にこの傾向が顕著である。それ以外には、外国で法学の学位を取得した学生が、米国法を学ぶためにLL.M.を受講するケースが多い。日本の法学部の卒業生である法律家官僚をはじめとして、非英米法系の法学教育を受けた者はアメリカのほとんどの州で司法試験の受験資格がないが、アメリカのロースクールで一定の単位を取得することにより受験資格を得ることができる場合がある。例えば、ニューヨーク州では、非英米法系の法学教育を3年以上受けて当該国の法曹になりうる資格を取得した者は、アメリカ法曹協会が公認したロースクールで20単位以上取得すれば司法試験の受験資格が得られるが、この要件は通常LL.M.課程修了により満たすことができる。

オーストラリア

オーストラリアでは、JDを取得するには、3年間のフルタイム教育(またはそれと同等)を受けている必要がある。JDは豪州資格フレームワーク (AQF) において、レベル9:Master's degree (extended) に分類される。

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク

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