UEFA欧州最優秀選手賞

UEFA欧州最優秀選手賞: UEFA Best Player in Europe Award)は、ヨーロッパクラブチームでプレーする最も優れた選手に与えられる賞である。欧州サッカー連盟(UEFA)とヨーロピアン・スポーツ・メディア(ESM)が共同で主催する。

設立の経緯

2011年7月にUEFA会長のミシェル・プラティニが主導し、かつてのバロンドール(1956-2009)に代わる賞として設立された[1]UEFA年間最優秀選手を前身とする[2]

バロンドールは欧州最優秀選手賞として設立されたものの2007年度より対象が世界に拡大し、2010年度よりFIFA最優秀選手賞に統合されFIFAバロンドール(2010-15)となった。これにより選考方法はバロンドールに由来するジャーナリストによる投票に、FIFA最優秀選手賞に由来する各国代表の主将、監督による投票が加えられるものとなっていた。2010年のバロンドールの受賞者発表後、プラティニはリオネル・メッシの受賞に不満を示し、「FIFAワールドカップが開かれた年に優勝国の選手、監督が評価されない」ことに苦言を呈すとともに、「旧来のバロンドール精神」を受け継いだ新たな賞の設立を表明した[3]。実際、2010年のFIFAバロンドールの投票では記者投票で1位だったヴェスレイ・スナイデルが各国代表選手、監督による投票を加えると上位3人にも残らなくなるなど、その選考方法には疑問がなされていた[4]。なお、FIFAバロンドールは2016年から、従来のバロンドールに戻り、FIFAは独自の個人賞、ザ・ベスト・FIFAフットボールアウォーズを設立した。そのため、バロンドールと合わせて3つの最優秀選手を決める賞が乱立している状態である。

具体的には、かつてのバロンドール同様にヨーロッパのクラブでプレーする全ての選手を対象とし、完全な記者投票による選考とされることとなった[1]

また、2013年より正式に欧州女子年間最優秀選手賞が設立された[5]

選考方法

対象はヨーロッパのクラブでプレーする全選手であり、国籍は問わない[1]。また、判断基準は直前の国内リーグ戦、欧州規模の大会や、代表でのプレーにも及ぶ[1]。投票するのはUEFA加盟各国より選出されたスポーツジャーナリスト53人[1]

まずそれぞれの記者が1位から3位までの選手を選んで投票。1位には5ポイント、2位には3ポイント、3位には1ポイントが与えられ、合計得点の多い上位3名が最終候補となる[1]。最終投票は8月下旬に行われるUEFAチャンピオンズリーグのグループリーグ組み分け抽選の日に電子投票によりその場で行われ、最多得票者が選出される[1]

男子

受賞者

年度順位選手国籍所属クラブポイント
2011
1位リオネル・メッシ アルゼンチン バルセロナ39
2位シャビ・エルナンデス スペイン バルセロナ11
3位クリスティアーノ・ロナウド ポルトガル レアル・マドリード3
2012
1位アンドレス・イニエスタ スペイン バルセロナ19
2位リオネル・メッシ アルゼンチン バルセロナ17
2位クリスティアーノ・ロナウド ポルトガル レアル・マドリード17
2013
1位フランク・リベリー フランス バイエルン・ミュンヘン36
2位リオネル・メッシ アルゼンチン バルセロナ14
3位クリスティアーノ・ロナウド ポルトガル レアル・マドリード3
2014
1位クリスティアーノ・ロナウド ポルトガル レアル・マドリード26
2位マヌエル・ノイアー ドイツ バイエルン・ミュンヘン19
3位アリエン・ロッベン オランダ バイエルン・ミュンヘン9
2015
1位リオネル・メッシ アルゼンチン バルセロナ49
2位ルイス・アルベルト・スアレス ウルグアイ バルセロナ3
3位クリスティアーノ・ロナウド ポルトガル レアル・マドリード2
2016
1位クリスティアーノ・ロナウド ポルトガル レアル・マドリード40
2位アントワーヌ・グリーズマン フランス アトレティコ・マドリード8
3位ギャレス・ベイル ウェールズ レアル・マドリード7
2017
1位クリスティアーノ・ロナウド ポルトガル レアル・マドリード482
2位リオネル・メッシ アルゼンチン バルセロナ141
3位ジャンルイジ・ブッフォン イタリア ユヴェントス109
2018
1位ルカ・モドリッチ クロアチア レアル・マドリード313
2位クリスティアーノ・ロナウド ポルトガル レアル・マドリード223
3位モハメド・サラー  エジプト リヴァプール134
2019
1位フィルジル・ファン・ダイク オランダ リヴァプール305
2位リオネル・メッシ アルゼンチン バルセロナ207
3位クリスティアーノ・ロナウド ポルトガル ユヴェントス74
2020
1位ロベルト・レヴァンドフスキ ポーランド バイエルン・ミュンヘン477
2位ケヴィン・デ・ブライネ ベルギー マンチェスター・シティ90
3位マヌエル・ノイアー ドイツ バイエルン・ミュンヘン66
2021
1位ジョルジーニョ イタリア チェルシー175
2位ケヴィン・デ・ブライネ ベルギー マンチェスター・シティ167
3位エンゴロ・カンテ フランス チェルシー160
2022
1位カリム・ベンゼマ フランス レアル・マドリード523
2位ケヴィン・デ・ブライネ ベルギー マンチェスター・シティ122
3位ティボ・クルトゥワ ベルギー レアル・マドリード118

受賞回数

国籍別

国籍人数回数受賞年度
ポルトガル132014,2016,2017
フランス222013,2022
アルゼンチン122011,2015
スペイン112012
クロアチア112018
オランダ112019
ポーランド112020
イタリア112021

クラブ別

クラブ人数回数受賞年度
レアル・マドリード352014,2016,2017,2018,2022
バルセロナ232011,2012,2015
バイエルン・ミュンヘン222013,2020
リヴァプール112019
チェルシー112021

女子

受賞者

年度順位選手国籍所属クラブポイント
2013
1位ナディネ・アンゲラー ドイツ フランクフルト10
2位レナ・ゲースリンク ドイツ ヴォルフスブルク6
3位ロッタ・シェリン  スウェーデン オリンピック・リヨン2
2014
1位ナディネ・ケスラー ドイツ ヴォルフスブルク9
2位マルティナ・ミュラー ドイツ ヴォルフスブルク3
3位ニッラ・フィッシェル  スウェーデン ヴォルフスブルク0
2015
1位セリア・シャシッチ ドイツ フランクフルト11
2位アマンディーヌ・アンリ フランス オリンピック・リヨン4
3位ジェニファー・マロジャン ドイツ フランクフルト3
2016
1位アーダ・ヘーゲルベルグ  ノルウェー オリンピック・リヨン13
2位アマンディーヌ・アンリ フランス オリンピック・リヨン4
3位ジェニファー・マロジャン ドイツ フランクフルト3
2017
1位リーケ・マルテンス オランダ ローゼンゴード95
2位ペルニレ・ハルダー  デンマーク ヴォルフスブルク81
3位ジェニファー・マロジャン ドイツ オリンピック・リヨン47
2018
1位ペルニレ・ハルダー  デンマーク ヴォルフスブルク106
2位アーダ・ヘーゲルベルグ  ノルウェー オリンピック・リヨン61
3位アマンディーヌ・アンリ フランス オリンピック・リヨン41
2019
1位ルーシー・ブロンズ イングランド オリンピック・リヨン88
2位アーダ・ヘーゲルベルグ  ノルウェー オリンピック・リヨン56
3位アマンディーヌ・アンリ フランス オリンピック・リヨン44
2020
1位ペルニレ・ハルダー  デンマーク ヴォルフスブルク92
2位ワンディ・ルナール フランス オリンピック・リヨン81
3位ルーシー・ブロンズ イングランド オリンピック・リヨン28
2021
1位アレクシア・プテジャス スペイン バルセロナ50
2位ジェニファー・エルモソ スペイン バルセロナ42
3位リーケ・マルテンス オランダ バルセロナ40
2022
1位アレクシア・プテジャス スペイン バルセロナ97
2位ベス・ミード イングランド アーセナル84
3位レナ・オーバードルフ ドイツ ヴォルフスブルク47

受賞回数

国籍別

国籍人数回数受賞年度
ドイツ332013,2014,2015
 デンマーク122018,2020
スペイン122021,2022
 ノルウェー112016
オランダ112017
イングランド112019

クラブ別

クラブ人数回数受賞年度
ヴォルフスブルク232014,2018,2020
フランクフルト222013,2015
オリンピック・リヨン222016,2019
バルセロナ122021,2022
ローゼンゴード112017

脚注

関連項目

外部リンク