ウィキペディアの機能の一つであるカテゴリは、ナビゲーションをしやすくするために複数のページをまとめたり、類似する情報を関連付けたりするのに役立つツールです。しかし、記事中のすべての検証可能な事実(または2つ以上のそのような事実の組み合わせ)が必ずしも、それに対応するカテゴリの作成を必要としているわけではありません。記事の主題によっては、潜在的に何百ものカテゴリが付与される可能性があるものの、そのほとんどは特に主題と関連のある内容とはいえず、実際にはあまり有用でないものも少なからず存在します。それはまた、ある記事に対して付与された数多くのカテゴリの中から目的のカテゴリを見つけることを難しくするかもしれないことを示唆しています。このような過剰なカテゴライズ (overcategorization) は、「カテゴリの乱用」や「過剰な細分化・階層化」としても知られ、しばしば問題視されています。
これらの問題に対処するため、この文書では一般的に避けるべきとされるカテゴリの類型を列挙します。そのようなカテゴリは、仮に作成されたとしても、既存の方針・ガイドラインおよびカテゴリの議論における前例に基づき、削除されやすい傾向にあります。
主題を定義付ける特徴でない
カテゴリ体系化の中心となる目標の一つは、主題を定義付ける特徴によって記事を分類することです。
記事にカテゴリを付与することは、記事の主題を
定義付ける特徴を示すことを中心とします。主題を定義付ける特徴とは、人物に対する国籍であったり、場所に対する地理的位置といった、記事の主題について記述する際に
信頼できる情報源が一般的かつ一貫して言及している特徴を指します。
主題を定義付ける特徴(定義的特徴)でない特徴によって記事をカテゴライズすることは避けるべきです。ある個別の特徴が、どのような主題にとっても「定義的」な特徴であるかどうかを知るのは時に難しく、すべての状況に当てはまる定義は一つとして存在しません。ただし、次に掲げる提案や経験則が役に立つかもしれません。
- 主題を定義付ける特徴とは、信頼できる二次情報源が、一般的かつ一貫して、その主題が何であると散文で定義しているものです。たとえば、「主題は[修飾語+名詞]である」という文で定義される主題を仮定するとき、このような例が一般的であれば、「修飾語」と「名詞」のそれぞれが「主題」を「定義付け」ているとみなすことができるでしょう。
- 記事の導入部で言及することが適切でない特徴(実際に導入部で言及されているか否かに関係なく判断されます)は、おそらく定義的特徴とはいえないでしょう。
- この文書で列挙している過剰なカテゴライズの類型のいずれかに該当する特性は、おそらく定義的特徴とはいえないでしょう。
過剰なカテゴライズに関する議論をする際、「特筆性」、「検証可能性」、「定義性」の基準は、しばしば混同されがちです。「特筆性」とは、ある対象が独立記事として作成するに値する主題かどうかを判断するための評価基準です。この評価基準は、検証可能性の評価基準と組み合わせて、個別の情報が、ある主題に関する記事に含まれるべきかどうかを判断するために用いられます。「定義性」とは、個々の主題が持つ固有の属性に対応するカテゴリが作成されるべきかどうかを判断するための評価基準です。一般に、ある個別の特徴が特筆に値することを検証可能な形で示すことは、それが主題の定義的特徴であることを証明するよりも、はるかに簡単です。個々の主題についての固有の属性が、検証可能であり、特筆に値するけれども、定義的特徴ではない場合、またはそのような疑義が存在する場合、一覧記事の作成が、より望ましい代替的な選択肢である場合がしばしばあります。
- 例:「トイレのみのサービスエリア・パーキングエリア」「Nature誌に論文が掲載された人物」
カテゴリの命名や改名は、できるだけ曖昧さをなくし、定義から外れた記事を追加されないようにすることが推奨されます。主記事が存在しないサブカテゴリを即席に考案しただけの場合、それは定義的な属性ではないかもしれません。以下はその一例です。
- 「医学知識・技能を持つ人物」よりも「医師」
- 「高速飛行するドローン」よりも「クワッドローター」
- 「製品の環境への影響」よりも「環境問題」
論争が生じている場合、ある個別の特徴が定義的であるか否かを決定するために、カテゴリに関する議論の場において提案と議論の手続きが取られることがあります。たとえば、日本語版では、過去の議論に基づき、「人物を主題とする記事を血液型別に分類したカテゴリは作成しない」とする合意が形成されています。
取るに足らない瑣末な特徴
- 例:「左利きの有名人」「未成年で亡くなった人物」「自殺した武士」「転調する曲」「夏休みを期間とした作品」「チンパンジーが脱走した施設」
主題の特筆性に無関係な、あるいは全く枝葉末節的な特徴によって主題をカテゴライズすることは避けてください。
人物伝記事の場合、その人物の経歴や出自、主な業績といった側面によってカテゴライズするのが通例です。対照的に、食べ物の好み、お気に入りの休暇旅行先、タトゥーの数などは、瑣末な特徴とみなされます。このような事柄は、記事に含めるには適切な情報かもしれませんが、カテゴライズするにはまだ不適当かもしれません。一般に、カテゴライズしようとしている事柄が人物伝記事から容易く省略してしまえるような記述であるならば、それはその人物にとって取るに足らない特徴である可能性が高いです。
また、死亡した年齢、死亡した場所、死亡時に未発表または未刊の作品があったかどうかなど、死亡時の詳細な状況に関連する情報によって人物をカテゴライズすることは避けてください。
主観的な包含基準
- 例:「カルト指導者」「凶悪犯罪者」「正統派アイドル」「老舗」「進学校」「高級食材」「ファミリー向けアニメ」
主観的な、漠然とした、本質的に中立的でない包含基準を暗に含意する形容表現は、カテゴリの命名・定義に使用するべきではありません。中立的な視点での分類が難しく、個々の記事の分類に異論の出る余地が大きいものは不適当です。たとえば、主観的な記述(「有名な」「人気の」「顕著な」「偉大な」「重要な」)や、相対的な大きさ(大小・高低)、相対的な距離(遠近・長短)、個人の人柄(「美しい」「醜い」「邪悪な」「優しい」「欲深い」「正直な」「聡明な」「老いた」「若い」)などがこれに含まれます。
恣意的な包含基準
- 例:「インドの大都市(人口100万人以上の都市)」「博多駅周辺(駅から半径約500メートル以内のエリア)」「首都圏の街(1都3県の街に限定)」
いわゆる「凝った定義」のカテゴリが陥りがちなケースです。上記の例の場合、なぜ「100万人」「500メートル」「1都3県」で区切る選択をしたのか、特別な理由が存在しません。同様に、人口が980,000人の地域と1,010,000人の地域との間には、有意な差が認められるとは考えにくいです。この種の情報を提示するには、たとえば「人口100万人以上の都市の一覧」といった一覧記事を作成するか、あるいは既存の記事内に記述するか、または別表の形で示すのが良い方法です。なお、ウィキペディアでは、統計的データを提示する手段の一つとして、並べ替え可能な表が利用可能です。
年代・時代別に区分したクロスカテゴリ
- 例:「1月1日生まれ」「いて座生まれ」「20世紀の蘭学者」「2010年開業の鉄道路線」「1971年ナ・リーグのオールスターゲーム選出選手」「1852年の宗教指導者」
年別の(あるいは、年代別、世紀別、歴史上の時代別といった単位年ごとの)カテゴライズは、一般的には、恣意的なカテゴリの区分の仕方とはみなされません。
ただし、項目数が非常に少ない、個別の「年別」カテゴリから構成されるカテゴリツリーを作成することは避けてください(#NARROWも参照)。そのような場合は、その次に上の階層で区分することを検討してください。たとえば、年別(1年ごと)に区分するのではなく、年代別(10年ごと)に区分します。そして、十分な数の項目が含まれていて細区分を必要とする年代についてのみ、年代別のカテゴリを年別に区分して、規模の大きなカテゴリを分割します。この方法は、月単位から年単位、年単位から十年単位、十年単位から百年単位など、どのような時間尺度にも適用可能です。
同様に、2つ以上の「年別」カテゴリに重複して含まれる項目の数が多い場合(たとえば、複数年にわたってオールスターゲームに出場するスポーツ選手は珍しくないですし、宗教指導者は通常、毎年のように交代することはありません)、一般的には、その主題の(年別でない)親カテゴリに統合した後、各々の主題に見合った下位カテゴリに再区分するのがよいでしょう。
さらに、人物伝記事は、その時代に活動したことが、その人物を定義付ける特徴である場合にのみ、時代別にカテゴライズされます。
例:
人物を生年と没年でカテゴライズすることは構いませんが、誕生日や命日ではカテゴライズしないでください(日本語版における過去の議論はこちら)。
なお、年代・時代別にカテゴライズする場合は、カテゴリページの一番上に項目の包含基準(追加・除外の基準)を明記してください。たとえば、Category:19世紀の政治家の場合、包含基準が「このカテゴリは19世紀に活躍した政治家を対象としています」と「このカテゴリは19世紀に生まれた政治家を対象としています」とでは、名称は同じでも全く別のカテゴリとなってしまいます。
地域・場所別に区分したクロスカテゴリ
- 例:「北海道出身の学者」「各都道府県出身の野球選手」「各国のローマ教皇」「各国の生物相」「神戸市の警察署」
政体の地理的境界によるカテゴライズは、カテゴリの主題をその特徴に直接関係している地域区分に分割する方法となり得ます。また、場所によるカテゴライズは、大きなカテゴリを下位カテゴリに分割する方法として用いられることがあります。たとえば、Category:日本の各都道府県出身の人物やCategory:日本の各都市出身の人物はその一例です。
しかし、その場所が主題の他の特徴と関係していない限り、場所による下位区分(サブカテゴリへの分割・再区分)は避けてください。たとえば、野球選手のキャリアは、かつてどこに居住していたかという特徴によって定義付けられるわけではありません(どこのチームでプレーしていたかという特徴を除いては)。
一度もその場所に居住したことがない人物を、居住地によってカテゴライズすべきではありません。両親や親戚の居住地は、決して本人自身の定義的な特徴ではないですし、さほど特筆すべき事柄でもありません。
また、人物の出生地は、地域研究の観点からは重要であると思われるかもしれませんが、個人の観点からは当人を定義付けることはほとんどありません。死没地も通常、カテゴライズの対象外です。特定の場所や出来事に関連する人物を一覧にまとめる場合は、カテゴリよりも一覧記事にすることを検討してください。埋葬地を明らかにすることが(当人または埋葬地の観点から)主題と深く関係する場合には、あまり著名でない墓地や、特筆される被葬者がわずかしかいない場所に埋葬された人物は、埋葬地に関する記事内の一覧表に記録されるべきです。ただし、その埋葬地がそれ自体で特筆すべき場所であり、他に特筆すべき人物が多すぎて(一覧)記事内で列挙しきれない場合は、そのような被葬者を埋葬地でカテゴライズしても構いません。
範囲の狭いクロスカテゴリ
- 例:「1945年に自殺した人物」「江戸川乱歩原作の登場人物」「コンピュータゲームを原作とするテレビドラマ」「大学別の研究所」
2つ(またはそれ以上)の主題ないし特徴が交わるカテゴリ(クロスカテゴリ)、いわゆる「凝った定義」のカテゴリは、該当する項目がほとんどない、非常に範囲の狭いカテゴリになる可能性があります。このようなカテゴリは、親カテゴリの両方がサブカテゴリへの分割対象となるのに十分な規模を有しており、かつ関連するカテゴリについて同様のクロスカテゴリの設置が見込まれる場合に限り、作成されるべきです。このような範囲の狭いカテゴリの作成・付与に対する一般的な対処法は、カテゴリの中身をその親カテゴリに選択的に吸収統合することです。
- たとえば、ある記事がカテゴリAとカテゴリBに含まれているからといって、必ずしもその記事のために「カテゴリA&B」を作成することが求められるわけではありません。
- 同様に、カテゴリA、B、Cに含まれる記事が、仮にカテゴリ「A&B」「B&C」「A&C」に含められる可能性があったとしても、三重のクロスカテゴリ「A&B&C」を作成することは、一般的には避けるべきです。
種々雑多なカテゴリ
- 例:「その他のリキュール」「その他の国の判例」「未分類の言語」
すべての親カテゴリを完全にサブカテゴリに仕分けて空にする必要はありません。したがって、記事を「雑多な」「その他の」「以外の」「残りの」といったカテゴリに含めないでください。そのような記事同士には、ほとんど共通点がないでしょう。どのサブカテゴリにも該当しない記事がある場合、その記事は親カテゴリに残しておいてください。
他のカテゴリと大部分が重複しているカテゴリ
- 例:「老人」と「高齢者」、「鉄道史」と「鉄道の歴史」、「商社」と「卸売業」
他のカテゴリを複製したもの、または含まれている項目の大部分が他のカテゴリと重複しているもの、あるいはカテゴリ名が似通っていて項目の包含基準がほとんど同じものについては、一般的には、いずれか1つのカテゴリに統合した上で、統合先カテゴリの基準を満たさなくなりそうな記事や下位カテゴリはカテゴライズし直すのがよいでしょう。
また、項目の一つ一つがカテゴライズの対象となるかどうかを明確にし、列挙するためには、一覧記事を作成するのが適しているかもしれません。
名前が共通するだけの無関係な項目を集めたカテゴリ
- 例:「学院」「関連団体」「パリ条約」「番組名の最後にナイトがつくラジオ番組」
主題を表す特徴が定義的でなかったり、主題そのものよりむしろ主題の名前を特徴としていたりする場合は、記事やサブカテゴリの主題の名前が共通していることをもってカテゴライズすることは避けてください。
たとえば、偶然にも「ジャクソン」という同じ名前が付いているけれども、お互いに関係性のない人物を寄せ集めたカテゴリは不適切です。ただし、カテゴライズされた項目同士が直接的に関係する主題の場合は、適切なカテゴライズである場合もあります。たとえば、特定のジャクソン家に直接関係する主題の記事を集めた、Category:ジャクソン家のようなカテゴリはその一例です。
名前が共通している記事(同名の記事)をまとめようとしている場合は、曖昧さ回避ページの作成が代替的な解決策となるでしょう。
特定の事物に関連する人物・事物
個人的な主張・嗜好・見解
- 例:「核武装推進論者」「ラジオファン」「親日家」
人物をその個人的な主張によってカテゴライズすることは避けてください。たとえ信頼できる情報源によってそれが裏付けられるとしてもです。これには、ある問題に対する支持者・批判者、(納豆が好きか嫌いかといった)個人的な嗜好、その人物について他の人々が抱いている見解や疑惑(例: 「犯罪の容疑者」)などが含まれます。
ただし、ある見解を抱いていることと実際の行動を伴う活動家であることは区別するよう注意してください。後者については、その人物を定義付ける特徴の一つといえるでしょう(参考:Category:活動家)。
候補やノミネートされた事物
賞の受賞者
- 例:「日本のノーベル賞受賞者」「志賀信夫賞」
賞の受賞者のカテゴリは、その賞を受賞したことが著名な受賞者の大多数にとって定義的な特徴の一つである場合にのみ、作成されるべきです。さらに、賞の受賞者である人物の記事は、その賞を受賞したことがその人物を定義付ける特徴の一つである場合にのみ、賞の受賞者のカテゴリに追加されるべきです。
Wikipedia:一覧記事とWikipedia:カテゴリの方針につき、一覧記事およびカテゴリは、それぞれ異なる作成基準が定められています。そのため、カテゴリが作成されているかどうかにかかわらず、受賞者の一覧記事を作成することができます(一覧記事は特筆性の基準を満たしているものと推定されます)。カテゴリと一覧記事が同じ主題について並存可能な場合、そのような一覧記事はカテゴリの主記事にふさわしく、カテゴリページの先頭で{{Catmain}}を用いて掲示することができます。
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