ゆうだち (護衛艦・2代)

海上自衛隊の護衛艦、むらさめ型護衛艦3番艦

ゆうだちローマ字JS Yudachi, DD-103)は、海上自衛隊護衛艦むらさめ型護衛艦の3番艦。艦名は「夕立」に由来し、この名を受け継ぐ日本の艦艇としては、旧海軍神風型駆逐艦 (初代)夕立」、白露型駆逐艦夕立」、むらさめ型護衛艦 (初代)ゆうだち」に続き4代目に当たる。

ゆうだち
舞鶴湾航行中の「ゆうだち」
舞鶴湾航行中の「ゆうだち」
基本情報
建造所住友重機械追浜造船所浦賀工場
運用者 海上自衛隊
艦種汎用護衛艦(DD)
級名むらさめ型護衛艦
母港大湊
所属第3護衛隊群第7護衛隊
艦歴
発注1994年
起工1996年3月18日
進水1997年8月19日
就役1999年3月4日
要目
基準排水量4,550トン
満載排水量6,100トン
全長151m
最大幅17.4m
深さ10.9m
吃水5.2m
機関COGAG方式
主機IHILM2500ガスタービン × 2基
川崎スペイSM1C × 2基
出力60,000PS
推進器スクリュープロペラ × 2軸
最大速力30ノット
乗員165名
兵装62口径76mm単装速射砲 × 1門
Mk.15 Mod12 高性能20mm機関砲(CIWS) × 2基
90式艦対艦誘導弾 (SSM-1B)/ ハープーン4連装発射筒 × 2基
Mk.41 Mod6 VLS (VLA SUM) × 16セル
Mk.48 Mod4 VLS (ESSM 短SAM) × 16セル
HOS-302 3連装短魚雷発射管 × 2基
搭載機SH-60J/K 哨戒ヘリコプター × 1/2機
C4ISTAROYQ-9 戦術情報処理装置
OYQ-103 対潜情報処理装置
レーダーOPS-24B 対空
OPS-28D 水上
OPS-20 航海用
81式射撃指揮装置2型-31 × 2基
ソナーOQS-5 ソナー
OQR-2C 曳航式
電子戦
対抗手段
NOLQ-3 電波探知妨害装置
Mk.137 デコイ発射機 × 4基
その他SLQ-25 対魚雷デコイ
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本記事は、本艦の艦暦について主に取り扱っているため、性能や装備等の概要についてはむらさめ型護衛艦を参照されたい。

艦歴

「ゆうだち」は、中期防衛力整備計画に基づく平成6年度計画4,400トン型護衛艦2232号艦として、住友重機械追浜造船所浦賀工場で1996年3月18日に起工され、1997年8月19日に進水、1999年3月4日に就役し、第2護衛隊群第6護衛隊に編入され佐世保に配備された。

2000年環太平洋合同演習 (RIMPAC) に参加した。

2002年7月24日テロ対策特別措置法に基づき、補給艦とわだ」と共にインド洋に派遣。同年9月まで任務に従事し、11月26日に帰国した。

2004年3月18日、編成替えにより第2護衛隊群第2護衛隊に編入された。

同年9月3日、日露捜索救難訓練(AREX)に参加する。

同年11月10日から12日にかけて護衛艦「くらま」と共に漢級原子力潜水艦領海侵犯事件海上警備行動発令)に対処するため出動。

2005年3月31日、再び同法により護衛艦「しまかぜ」、補給艦「とわだ」と共にインド洋に派遣。同年7月まで任務に従事し、9月8日に帰国した。

2007年9月4日から同月9日にかけて、インド洋・ベンガル湾にてインド主催による多国間演習である「マラバール2007」に護衛艦「おおなみ」とともに参加した[1]。12月21日に佐世保基地に帰投する。

2008年3月26日、護衛隊改編により第3護衛隊群第7護衛隊に編入された。

2008年7月24日新テロ特措法に基づき、補給艦「はまな」と共にインド洋に派遣、同年11月まで任務に従事し、12月21日に帰国した。

2010年12月1日第7次派遣海賊対処行動水上部隊として護衛艦「きりさめ」と共にソマリア沖・アデン湾を目指して佐世保から出航し[2]、任務間は合計32回290隻を護衛して2011年5月9日に帰国した。

2012年6月21日から22日にかけて、護衛艦「くらま」、「きりしま」、アメリカ合衆国海軍空母「ジョージ・ワシントン」ほか数隻、大韓民国海軍の艦艇数隻と共に朝鮮半島南方海域にて日米韓共同訓練を実施した[3]

2013年2月5日の報道で、同年1月30日10時頃、東シナ海中国海軍所属の江衛II型フリゲートが本艦に向け火器管制レーダーを照射したことを防衛省は明らかにし、外務省中国に対し抗議した[4]

2013年6月3日、編成替えにより所属は第3護衛隊群第7護衛隊と変わらないが、定係港が佐世保から大湊に移った。

2016年3月6日、第24次派遣海賊対処行動水上部隊として護衛艦「ゆうぎり」と共にソマリア沖・アデン湾に向けて大湊基地から出航し[5]9月8日に大湊に帰港した[6]。なお、帰国途上の9月1日フィリピン海軍の「Rajah Humabon」(旧護衛艦「はつひ」)と親善訓練を実施した[7]

2021年10月10日、第40次派遣海賊対処行動水上部隊として大湊から出港した[8]。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の状況を踏まえ、乗組員全員に対しPCR検査を実施するとともに、日本近海において14日間にわたり訓練等を行いつつ乗組員の健康観察を実施した上で、ソマリア沖・アデン湾に向け進出する[8]。その進出途上の10月28日南シナ海において、米海軍沿海域戦闘艦ジャクソン」と日米共同訓練を実施した[9]

2022年1月29日、アデン湾においてドイツ海軍フリゲート「バイエルン」と共同訓練を実施し、クロスデッキ、戦術運動、近接運動を訓練した[10]。同年3月1日から4日にかけて、インド東部ヴィシャーカパトナム周辺で実施されるインド海軍主催多国間共同訓練(MILAN2022)に参加する。本訓練に海上自衛隊が参加するのは今回が初めて[11]。3月5日にベンガル湾においてオーストラリア海軍フリゲートアランタ」と日豪共同訓練を、翌6日にはシンガポール海軍フリゲート「テネイシャス」と日シンガポール親善訓練を実施した[12]。同年3月14日から3月16日にかけて南シナ海の海空域において日米豪共同訓練を実施した。米海軍からは駆逐艦「マンセン」及びP-8が、オーストラリア海軍からはフリゲート「アランタ」、オーストラリア空軍からAP-3Cが参加し、各種戦術訓練を実施した[13]。同年4月11日、大湊に帰港した[14][15]

2023年9月21日、相模湾において米海軍巡洋艦「ロバート・スモールズ」と日米共同訓練を実施した。訓練項目は戦術運動、PHOTOEX[16]

同年9月30日から10月7日にかけて、関東南方から東シナ海において「のしろ」とともに日米共同訓練に参加した。米海軍空母「ロナルド・レーガン」、巡洋艦「アンティータム」・「ロバート・スモールズ」、駆逐艦「シャウプ」が参加し、各種戦術訓練(LINKEX等)、PHOTOEXを実施した[17]

同年11月19日から11月21日にかけて、四国南方から東シナ海において米海軍空母「カール・ヴィンソン」、駆逐艦「ホッパー」、「キッド」、「スタレット」及び「ウィリアム・P・ローレンス」と日米共同訓練を実施した[18]

現在、第3護衛隊群第7護衛隊に所属し、定係港は大湊である。

歴代艦長

歴代艦長(特記ない限り2等海佐
氏名在任期間出身校・期前職後職備考
01川井一志1999.3.4 - 2000.8.27防大18期ゆうだち艤装員長かしま艦長1等海佐
02下山公貴2000.8.28 - 2001.12.2防大19期海上自衛隊第1術科学校教官兼研究部員第3海上訓練指導隊船務科長
03溝部 宏2001.12.3 - 2003.3.31防大21期第2海上訓練指導隊船務科長  
04小梅三津男2003.4.1 - 2004.4.4防大24期横須賀海上訓練指導隊 
05青木 均2004.4.5 - 2006.8.6 自衛隊京都地方連絡部募集課長  
06市坪秀明2006.8.7 - 2009.3.15防大26期せとぎり艦長自衛艦隊司令部幕僚 
07林田嘉信2009.3.16 - 2011.8.18防大27期あしがら副長てるづき艤装員長
s08黒木一博2011.8.19 - 2013.8.2防大34期海上自衛隊第1術科学校教官第1術科学校総務課長
09伊保之央2013.8.3 - 2015.4.14防大31期海上自衛隊第1術科学校主任教官護衛艦隊司令部
10馬場智也2015.4.15 - 2017.3.7防大40期くらま砲雷長
11熊井 亮2017.3.8 - 2018.7.31海上幕僚監部防衛部防衛課
12古賀丈憲2018.8.1 - 2019.6.9東京大学掃海隊群司令部幕僚海上自衛隊幹部学校付2019.1.1
1等海佐昇任
13髙城正太2019.6.10 - 2020.7.30海上訓練指導隊群司令部しらせ運用長
14木下正仁2020.7.31 – 2021.6.9第1護衛隊群司令部幕僚海上幕僚監部総務部総務課
15涌嶋英孝2021.6.10 - 2023.8.9呉地方総監部防衛部
16村越優喜2023.8.10 -2024.1.1
1等海佐昇任

ギャラリー

脚注

参考文献

  • 石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』(並木書房、2002年)
  • 世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』(海人社、2004年)
  • 『世界の艦船』第750号(海人社、2011年11月号)

外部リンク