イグナイター (競走馬)

日本の競走馬

イグナイター(欧字名:Igniter2018年4月13日 - )は、日本競走馬[1]。主な勝ち鞍は2023年JBCスプリントさきたま杯2022年黒船賞かきつばた記念

イグナイター
2023年JBCスプリント。笹川翼騎手と
欧字表記Igniter[1]
品種サラブレッド[1]
性別[1]
毛色鹿毛[1]
生誕2018年4月13日(6歳)[1]
エスポワールシチー[1]
ビアンコ[1]
母の父ウォーニング[1]
生国日本の旗 日本北海道日高町[1]
生産者春木ファーム[1]
馬主野田善己[1]
調教師牧田和弥栗東
→福永敏(大井小林
→新子雅司(園田[1]
調教助手文原学(調教師補佐)
厩務員武田裕次
競走成績
タイトルNAR年度代表馬(2022年・2023年)
NAR4歳以上最優秀牡馬(2022年・2023年)
NAR最優秀短距離馬(2022年・2023年)
兵庫県競馬年度代表馬(2022年・2023年)
兵庫県競馬最優秀4歳以上短距離馬(2022年・2023年)
生涯成績26戦12勝[1]
中央:3戦1勝
地方:22戦11勝
海外:1戦0勝
獲得賞金2億9952万4100円
日本:2億9104万円[1]
(中央)700万円
(地方)2億8404万円
UAE:6万米ドル[2]
(2024年3月30日現在)
勝ち鞍
JpnIJBCスプリント2023年
JpnIIさきたま杯2023年
JpnIII黒船賞2022年
JpnIIIかきつばた記念2022年
重賞楠賞2021年
重賞黒潮スプリンターズC2022年・2023年
重賞園田チャレンジカップ2023年
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馬名の意味は「点火薬」。育成牧場時にスイッチが入ると制御が利かなくなる面を見せていたことから名付けられた。

経歴

1歳時の北海道サマーセールに上場され、「まるで恋に落ちたかのような気持ちだった」「未完成な部分が大きいからこそ、爆発力を秘めている気がする」と本馬に惚れ込んだ野田に650万円(税抜)で落札される[3][4]

2歳(2020年)

栗東牧田和弥厩舎に入厩。11月7日、東京ダート1600m新馬戦で武藤雅を鞍上にデビューし、好位から楽に抜け出し2着ジンジャーブラッドに7馬身差をつけての新馬勝ちを収める。武藤は「まだ少し緩い感じはありましたが、ゲートを上手く出て、二の脚もついてセンスの良い競馬をしてくれました」とレースぶりを称えた[5][6]

3歳(2021年)

デビュー2戦目の1勝クラス戦で1番人気に支持されながら出遅れた上道中で折り合いを欠き9頭立て7着に敗れると、その後は中央に見切りをつけ地方競馬のレースを戦うことになる。ステラモナークやビーザベストなど野田の所有馬を多く管理する兵庫・新子雅司調教師の下兵庫ダービーを目標レースとする予定であったが(地方での)収得賞金の関係からこれを一旦断念、南関クラシック戦線に矛先を向け大井小林分場)・福永敏厩舎に転厩する[7]。移籍初戦の京浜盃(SII)では先行集団が総崩れとなる中、矢野貴之が3番手から早目先頭に立つ積極策を取り見せ場を作ったが、ゴール前でチサットに差され2着[8]。続く羽田盃(SI)ではチサット、アランバローズに次いで3番人気に推されるも直線で一杯になり8着に終わった。この敗戦で東京ダービー(SI)の除外が濃厚となり、新馬戦以来となる武藤とのコンビでユニコーンステークス(GIII)へ向かう[9]も、スタートでヨレた1番人気馬ラペルーズ[10]の煽りを受け先行できず12着大敗。大井に戻ってのB2戦でも単勝1.5倍の1番人気に推されながら逃げ馬に4馬身離された2着に敗れると、このレースを最後に新子厩舎に転厩。南関東では中距離戦を主に使われたが、気性面で悪さを見せ勝ち星をあげられなかった。

兵庫移籍後、南関東でのレースぶりを踏まえ短距離戦が主戦場となる。厩舎所属の笹田知宏の騎乗でB1戦を2戦続けて大差勝ちし、地方全国交流の秋の鞍に遠征するが、名古屋三冠を懸けて出走した地元馬トミケンシャイリの逃げ脚に屈し2馬身差の2着に敗戦[11][12]。地元に戻っての楠賞では田中学との新コンビで出走し、スタートで脚を滑らせたトミケンシャイリやジョーロノを尻目に楽にハナを奪うと、2番手につけていた岩手二冠馬リュウノシンゲンを最後は4馬身引き離し5度目の挑戦で重賞初制覇、本競走がサラ系地方全国交流となって以来初の地元馬による楠賞優勝を果たした[13]。年末にはダートグレード競走兵庫ゴールドトロフィー(JpnIII)に「今までで一番いい状態」(新子師)で出走し[14]、ゴール直前まで古馬重賞勝ち馬のテイエムサウスダンラプタスを相手に逃げ粘り3着に健闘した[15]

4歳(2022年)

黒船賞(JpnIII)を春の目標に同競走トライアル黒潮スプリンターズカップから始動。重賞連勝中のダノングッドや古豪ノボバカラを斥けての単勝1.4倍の1番人気に応え、2着のエトワール賞馬イダペガサスに7馬身差をつける大楽勝で重賞2勝目を挙げた[16]

前哨戦圧勝を受けて3番人気に推された3月16日の黒船賞(JpnIII)は、3番手を追走から4角先頭に立つと後続を振り切り2着ヘリオスに1馬身差をつけ完勝。ダートグレード競走初制覇を果たした[17][18]

続いて、5月3日に行われたかきつばた記念(JpnIII)に出走。2番人気で迎えたレースでは最内枠から好位外目に出てレースを進め、直線に入って抜け出し2着の1番人気ヘリオスに1馬身差をつけ優勝。黒船賞に続くダートグレード競走連勝を飾った。地方所属馬による同レース勝利は、17年のトウケイタイガー以来5年ぶりであった[19]

かきつばた記念後は5か月の休養を挟んで、初のJpnI挑戦となる10月10日の盛岡マイルチャンピオンシップ南部杯に出走。ユニコーンS以来久々のマイル挑戦ながら5番人気に支持されると、レースでも最後の直線内ラチ沿いから鋭く伸びて、優勝したカフェファラオから0.2秒差の4着と地方勢最先着を果たす。続く11月3日のJBCスプリントでも地方勢最上位の5着と健闘した後、およそ1年ぶりとなる地元園田の兵庫ゴールドトロフィーに出走。兵庫勢初の同レース制覇を期待されてシャマルに次ぐオッズ3.2倍の2番人気に支持されるが、いったんは先頭に立つものの最後の直線で失速し、優勝したラプタスから0.8秒遅れの5着に敗れた。

2022年のNARグランプリではダートグレード競走2勝とMCS南部杯・JBCスプリントでの好走が評価され、年度代表馬および4歳以上最優秀牡馬に満場一致で選定、さらに最優秀短距離馬にも選定された[20]。兵庫所属馬の年度代表馬の受賞は1996年のケイエスヨシゼン以来26年ぶり2頭目でサラブレッドとしては初の受賞、4歳以上最優秀牡馬と最優秀短距離馬は兵庫所属馬初の受賞である。また兵庫県競馬組合の年度代表馬及び最優秀4歳以上短距離馬にも選定される[21]

5歳 (2023年)

前年同様に黒潮スプリンターズカップから始動。2着のアメージングランに1.8秒差をつけて危なげなく連覇を達成するが、連覇をかけて臨んだ黒船賞ではシャマルとヘリオスの先着を許して3着。次走のかしわ記念では鞍上が田中から笹川翼に交代し、以降は地元兵庫のレースでは従来通り田中が、関東以北への遠征では笹川が鞍上となる。そのかしわ記念ではメイショウハリオの7着とユニコーンS以来の掲示板外に沈むが、引き続き笹川の鞍上で臨んださきたま杯では先行するスマイルウィをクビ差差し切って勝利、兵庫所属馬初のJpnⅡ制覇でダートグレード競走3勝目を挙げる。3か月の休養後、秋は地元兵庫の園田チャレンジカップから始動。2戦ぶりの田中の鞍上で終始先頭を引っ張って2着のアポロティアモ(高知)を寄せ付けずに勝利すると、再び笹川に乗り替わって臨んだ10月9日のマイルチャンピオンシップ南部杯では1着のレモンポップには2秒もの差を付けられたものの終始2番手をキープしてそのまま2着に入線。そして11月3日に大井で行われたJBCスプリントでは逃げるラプタスを最後の直線で捉えると、リメイクリュウノユキナの追撃をかわして1着でゴール。GI/JpnI競走初勝利およびダートグレード競走4勝目を飾った。兵庫所属馬のGI/JpnI競走勝利は史上初で、地方馬のJBCスプリント制覇は2020年のサブノジュニア以来3年ぶり4頭目。また父のエスポワールシチーも2013年のJBCスプリントを制しており、親子での制覇となった。さらに騎手の笹川と調教師の新子にとってもGI/JpnI競走初勝利となった。7戦中4勝全てが重賞で兵庫県競馬組合の年度代表馬と最優秀4歳以上短距離馬に2年連続で選出される[22]。2024年1月16日に発表された「NARグランプリ2023」の表彰においても2年連続で年度代表馬に選定された[23]。同時に4歳以上最優秀牡馬および最優秀短距離馬の2部門でも2年連続の選定[23]

6歳(2024年)

6歳初戦はサウジアラビア遠征なども視野に入れていたが、1月25日にオーナーである野田のX投稿でフェブラリーステークスに参戦することを表明した。前回までコンビを組んでいた笹川翼はJRAの規定で騎乗できないため、鞍上は兵庫県尼崎市出身の西村淳也となった。3歳1月以来のJRAでの出走かつJRAのGI競走は初挑戦となる[24][25]

競走成績

以下の内容は、JBISサーチ[26]、netkeiba.com[27]およびエミレーツ競馬協会[28]の情報に基づく。

競走日競馬場競走名距離(馬場)

オッズ

(人気)

着順タイム

(上がり3F)

着差騎手斤量

[kg]

1着馬(2着馬)馬体重

[kg]

2020.11.07東京2歳新馬ダ1600m(良)16612004.80(2人)01着R1:38.3(38.9)-1.10武藤雅55(ジンジャーブラッド)508
2021.01.17小倉3歳1勝クラスダ1700m(良)922002.70(1人)07着R1:47.4(39.7)-1.80藤岡佑介56ロードシュトローム512
0000.03.24大井京浜盃SIIダ1700m(稍)1078011.40(4人)02着R1:47.0(38.8)-0.20矢野貴之56チサット511
0000.04.29大井羽田盃SIダ1800m(重)1558004.80(3人)08着R1:53.5(40.0)-2.00矢野貴之56トランセンデンス514
0000.06.20東京ユニコーンSGIIIダ1600m(重)1635094.5(15人)12着R1:36.3(36.6)-1.90武藤雅56スマッシャー520
0000.07.12大井夕凪賞B2ダ1800m(重)1077001.50(1人)02着R1:53.4(38.0)-0.80矢野貴之55パストーソ522
0000.08.11園田SPAT4のお得なポイント賞B1ダ1400m(稍)955001.10(1人)01着R1:29.9(38.0)-2.30笹田知宏55(マイティバローズ)519
0000.09.15園田B1 特別ダ1400m(稍)1077001.10(1人)01着R1:27.4(38.1)-3.50笹田知宏56(バーゲニングパワー)521
0000.10.11名古屋秋の鞍SPIダ1400m(良)1222001.30(1人)02着R1:27.9(38.3)-0.40笹田知宏56トミケンシャイリ511
0000.11.02園田楠賞重賞Iダ1400m(良)933002.90(2人)01着R1:28.2(39.3)-0.70田中学56(リュウノシンゲン)521
0000.12.03園田A2 特別ダ1400m(稍)722001.00(1人)01着R1:29.3(38.1)-2.60田中学56(アスカノハヤテ)526
0000.12.22園田兵庫ゴールドTJpnIIIダ1400m(稍)11811004.70(3人)03着R1:27.4(38.8)-0.40笹田知宏52テイエムサウスダン526
2022.01.30高知黒潮スプリンターズC重賞ダ1300m(重)1268001.40(1人)01着R1:22.6(38.9)-1.40田中学57(イダペガサス)517
0000.03.16高知黒船賞JpnIIIダ1400m(良)1133007.50(3人)01着R1:30.3(39.0)-0.20田中学56(ヘリオス)518
0000.05.03名古屋かきつばた記念JpnIIIダ1500m(稍)1211004.80(2人)01着R1:31.8[注 1](37.7)-0.20田中学56(ヘリオス)518
0000.10.10盛岡MCS南部杯JpnIダ1600m(不)1636011.60(5人)04着R1:34.8(36.8)-0.20田中学57カフェファラオ513
0000.11.03盛岡JBCスプリントJpnIダ1200m(良)1445012.40(6人)05着R1:09.8(34.5)-0.70田中学57ダンシングプリンス509
0000.12.21園田兵庫ゴールドTJpnIIIダ1400m(良)1268003.20(2人)05着R1:28.1(38.9)-0.80田中学57ラプタス532
2023.01.29高知黒潮スプリンターズC重賞ダ1300m(重)1167001.00(1人)01着R1:20.7(36.9)-1.80田中学57(アメージングラン)512
0000.03.14高知黒船賞JpnIIIダ1400m(不)1279003.00(2人)03着R1:29.0(38.7)-0.70田中学57シャマル512
0000.05.04船橋かしわ記念JpnIダ1600m(良)13712019.10(8人)07着R1:40.6(38.7)-1.30笹川翼57メイショウハリオ512
0000.05.31浦和さきたま杯JpnIIダ1400m(重)1033020.00(7人)01着R1:25.3(37.3)-0.10笹川翼56(スマイルウィ)508
0000.09.15園田園田チャレンジC重賞IIダ1400m(良)866001.20(1人)01着R1:28.2(38.5)-0.40田中学56アポロティアモ517
0000.10.09盛岡MCS南部杯JpnIダ1600m(稍)14712021.70(4人)02着R1:35.8(36.6)-2.00笹川翼57レモンポップ506
0000.11.03大井JBCスプリントJpnIダ1200m(良)1558013.40(3人)01着R1:12.0(37.6)-0.30笹川翼57リメイク503
2024.02.18東京フェブラリーSGIダ1600m(良)1611034.10(8人)11着R1:36.7(38.6)-1.00西村淳也58ペプチドナイル512
0000.03.30メイダンドバイGSG1ダ1200m(Fs)[注 2]1416012.50(6人)05着R1:11.76-1.570笹川翼57Tuz計不
  • 競走成績は2024年3月30日現在

血統表

イグナイター血統(血統表の出典)[§ 1]
父系サンデーサイレンス系
[§ 2]

エスポワールシチー
2005 栗毛
父の父
ゴールドアリュール
1999 栗毛
*サンデーサイレンスHalo
Wishing Well
*二キーヤNureyev
Reluctant Guest
父の母
エミネントシチー
1999 鹿毛
*ブライアンズタイムRoberto
Kelley's Day
ヘップバーンシチー*ブレイヴェストローマン
コンパルシチー

ビアンコ
2000 鹿毛
*ウォーニング
Warning
1985 鹿毛
Known FactIn Reality
Tamerett
Slightly DangerousRoberto
Where You Lead
母の母
*プラデシュ
Pradesh
1994 栗毛
*ジェネラスCaerleon
Doff the Derby
BareillyLyphard
Barger
母系(F-No.)プラデシュ(GB)系(FN:4-n)[§ 3]
5代内の近親交配Roberto 4×4, Hail to Reason 5・5×5, Northern Dancer 5×5[§ 4]
出典

脚注

注釈

出典

外部リンク