カーヴィリ川

カーヴィリ川タミル語: காவிரி ஆறு、Kaveri)は、インド南部を流れる河川ヒンドゥー教において聖なる河のひとつに数えられる大河である。

デカン、南インドの中世都市および河川

名称

カーヴィリ川は、地方によってカーヴェーリ川காவேரி)と表記発音されることがある。ローマ字表記では「Kaveri」の他に、「Cauvery」や「Kavery」などがある。

流路

カーヴィリ川は、源流から南東の方向に流れ、全長は約765kmである。カルナータカ州内の西ガーツ山脈に発し、デカン高原南部を流れてタミル・ナードゥ州を通り、ポーク海峡の北側でベンガル湾に注ぐ。

タラカヴェーリの寺院
二分された流路がそれぞれ連続したシヴァナサムドラ滝英語版を形成している(カルナータカ州)

川の源流は標高1500m程の山地で、カルナータカ州コダグ県英語版タラカヴェーリ英語版付近である。タラカヴェーリは巡礼地となっており、カーヴィリ川の水源とされる位置にあるヒンドゥー教寺院には、毎日数多くの巡礼者が訪れる。この寺院では、川の水が噴水のように湧き出るとされる決まった時刻に行なわれるトゥーラ・サンクラマナという祭礼が行なわれている。また、マイスール近くのクリシュナラージャサーガラ・ダムのすぐ下流側にあるランガナティットゥ鳥類保護区英語版ヌマワニビロードカワウソTor remadevii英語版インドトキコウホシバシペリカンクロトキなどの生息地で、2022年にラムサール条約登録地となった[1]

ティルッチラーッパッリを中心としたタミル・ナードゥ州中部に広がる中下流の平野は、カーヴィリ川の巨大な三角州である。古くから農業の水源となり、農産物の運輸網ともなって、川沿いには数多くの都市を発達させ、チョーラ朝パーンディヤ朝ホイサラ朝など南インドの諸王朝を生み出した大動脈である。

三角州地帯では、コッリダム川英語版をはじめとした無数の分流に分岐し、ベンガル湾に至る。一帯の海岸にはフタバナヒルギ英語版オオバヒルギ雑種またはシマシラキ英語版マングローブ、内陸にはアラビアゴムモドキ英語版が多く生えており、シロハラサギ英語版ヘラシギカラフトアオアシシギ、ホシバシペリカン、クロトキ、ヒドリガモオナガガモアジアヘビウ英語版シマアジカラフトワシアフリカソウゲンワシ英語版、インドトキコウ、ボンネットモンキー英語版ヒメウミガメインドハコスッポンショウナンエビ英語版ウシエビなどの動物が生息している。ピチャヴァラム英語版・マングローブ[2]カライヴェッティ鳥類保護区英語版[3]ヴァドゥヴール鳥類保護区英語版[4]ウダヤマルタンダプラム鳥類保護区英語版[5]カリメール岬野生生物・鳥類保護区英語版[6]はラムサール条約登録地である。

支流

非常に多くの支流を有する。主なものに、以下のような河川がある。

  • シムシャ川英語版
  • ヘーマヴァティ川英語版
  • アルカヴァティ川英語版
  • カピラ川 - カルナータカ州内で合流する。
  • ホンヌホール川英語版
  • ラクシュマナ・ティールタ川英語版
  • カビニ川英語版
  • バヴァーニ川英語版 - タミル・ナードゥ州イーロードゥ県バヴァーニ英語版付近で合流する。
  • ローカパヴァーニ川
  • ノイヤル川英語版 - タミル・ナードゥ州イーロードゥ県とカルール県の県境近くにあるコドゥムディ英語版付近で合流する。
  • アマラーヴァティ川英語版 - タミル・ナードゥ州カルール県のカルール付近で合流する。
    • チンナール川英語版 - カルナータカ州とタミル・ナードゥ州の州境近くにあるオーダッパッティ付近で合流する。
水不足に悩まされる三角州地帯

水源問題

カーヴィリ川は、タミル・ナードゥ州の範囲内である、中下流の平野で営まれる農業の水源である。一方、上流のカルナータカ州内ではダムが建設され、同州の貴重な電力源となっている。

カルナータカ州にダムが建設されて以来、中下流の農業地帯は慢性的な水不足に悩まされ、州政府同士で常に話し合いが持たれ、解決が模索されている。しかし長年にわたり水不足に悩まされているタミル・ナードゥ州側の農民たちは、カルナータカ州に対する態度を次第に硬化させており、両州の仲は甚だ険悪なものとなっている。

脚注

外部リンク