ディエゴガルシア島
ディエゴガルシア島(ディエゴガルシアとう、英語: Diego Garcia)はインド洋のイギリス領インド洋地域チャゴス諸島にある環礁である。
ディエゴ・ガルシア島[1] | |
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ディエゴガルシア島の地図、 1980年、中央情報局作成 | |
所在地 | イギリス領インド洋地域 |
所在海域 | インド洋[1] |
所属諸島 | チャゴス諸島[1] |
面積 | 36[1] km² |
最高峰 | 25m[1] |
プロジェクト 地形 |
概要
宗主国のイギリス政府によって、島全体がアメリカ合衆国に貸与されており、同国の海軍基地「ディエゴガルシア海軍支援施設」がある。施設は英軍も常設統合作戦基地(Permanent Joint Operating Base:PJOB)「イギリスインド洋地域軍」を設置する形で共同使用している[2]。
インド洋にあるアメリカ軍最大の拠点であり、湾岸戦争やアフガニスタン攻撃、イラク戦争の際に、B-52戦略爆撃機、B-2ステルス爆撃機などがここより出撃した。アメリカの軍事戦略上の要衝である。
歴史
16世紀の初期にポルトガル人によって発見され、「ディエゴ・ガルシア島」と名付けられた。当時は無人であったが、その後18世紀にフランス人が入植して黒人奴隷を導入し、ココヤシ栽培とコプラ生産のプランテーションの経営を始めた。
1814年にイギリスが占領。モーリシャスの一部として統治されていたが、1965年にモーリシャスから分離され、新たに画定されたイギリス領インド洋地域の一部となった。
1966年にイギリスは、アメリカ合衆国による防衛目的での使用を50年間(終了の通知がない場合はさらに20年間)認める協定を結んだ。1968年からは、離島者の帰島を禁じる、制限された食料や医療しか与えない、ペットを殺害する等の方法で同島から島民の追い出しが図られ、1973年頃には、残った者たちが強制的にモーリシャスやセイシェルに向かう船に乗せられ、移住させられた。移住を余儀なくされた島民がイギリス政府を相手に同島への帰還と補償等を求めて訴訟を起こし、係争中である(2004年現在)。
2016年12月30日、アメリカ合衆国による使用協定の期限を迎えたが[3][4]、終了の通知がなかったため、規定に従って2036年まで貸与が延長された。ただし、モーリシャス政府はチャゴス諸島の返還後も改めて島をアメリカに貸与することを公言しているため、2036年以降も住民が帰還できるかは未知数である[5]。
1970年代にアメリカ軍は、ディエゴガルシア島の基地拡張に乗り出し、空港は戦略爆撃機の離着陸を見据えて滑走路を4000m級に拡張したほか、港湾は空母や原子力潜水艦の補給が可能なレベルにまで整備した[6]。
2019年2月25日、国際司法裁判所は、1965年にイギリスがモーリシャスからディエゴガルシア島を含むチャゴス諸島を分離して「イギリス領インド洋地域」に編入した措置について「国際法に照らして違法である」という見解を示し、チャゴス諸島の統治を「可能な限り速やかに終える義務がある」と勧告した。ただし、この勧告に法的拘束力はない[7]。
地理
面積は36km²でチャゴス諸島中最大、チャゴス諸島の南端に位置する環礁である。島の西部に4,000m級の軍用の滑走路が一本ある。環礁のため平坦であり、丘陵・山地はない。
島および周辺の海域にはタイマイ、アオウミガメ、オオグンカンドリ、アカアシカツオドリ、クロアジサシ、インドヒメクロアジサシなどが生息しており、2001年7月に島の一部がラムサール条約登録地となった[9]。
- ディエゴガルシア島の海岸、2004年
- ディエゴガルシア島の沼沢地、2005年
- ディエゴガルシア島のベニノジコ(紅野路子、Foudia madagascariensis)♂、2007年
- ディエゴガルシア島の住民、1971年
気候
ディエゴガルシア島の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 33.9 (93) | 33.9 (93) | 35.0 (95) | 35.0 (95) | 32.9 (91.2) | 35.0 (95) | 32.2 (90) | 32.2 (90) | 32.2 (90) | 32.0 (89.6) | 32.7 (90.9) | 33.3 (91.9) | 35.0 (95) |
平均最高気温 °C (°F) | 29.8 (85.6) | 30.3 (86.5) | 30.9 (87.6) | 30.9 (87.6) | 30.2 (86.4) | 29.4 (84.9) | 28.7 (83.7) | 28.7 (83.7) | 29.0 (84.2) | 29.4 (84.9) | 29.8 (85.6) | 30.1 (86.2) | 29.7 (85.5) |
日平均気温 °C (°F) | 27.1 (80.8) | 27.4 (81.3) | 27.6 (81.7) | 27.8 (82) | 27.5 (81.5) | 26.8 (80.2) | 26.3 (79.3) | 26.1 (79) | 26.4 (79.5) | 26.7 (80.1) | 27.0 (80.6) | 27.2 (81) | 27.0 (80.6) |
平均最低気温 °C (°F) | 24.7 (76.5) | 25.0 (77) | 25.4 (77.7) | 25.7 (78.3) | 25.4 (77.7) | 24.7 (76.5) | 24.2 (75.6) | 24.1 (75.4) | 24.2 (75.6) | 24.3 (75.7) | 24.7 (76.5) | 24.8 (76.6) | 24.8 (76.6) |
最低気温記録 °C (°F) | 21.1 (70) | 21.1 (70) | 20.0 (68) | 21.1 (70) | 19.4 (66.9) | 20.6 (69.1) | 20.6 (69.1) | 20.0 (68) | 21.1 (70) | 18.9 (66) | 21.4 (70.5) | 18.3 (64.9) | 18.3 (64.9) |
降水量 mm (inch) | 340 (13.39) | 279 (10.98) | 213 (8.39) | 194 (7.64) | 167 (6.57) | 147 (5.79) | 144 (5.67) | 145 (5.71) | 244 (9.61) | 281 (11.06) | 221 (8.7) | 273 (10.75) | 2,648 (104.25) |
平均降水日数 (≥0.3 mm) | 22 | 19 | 18 | 17 | 15 | 15 | 17 | 16 | 16 | 20 | 19 | 20 | 212 |
% 湿度 | 80 | 79 | 78 | 77 | 79 | 79 | 79 | 79 | 80 | 79 | 79 | 78 | 79 |
出典:Deutscher Wetterdienst[10] |
住民
人口は約5,000人(前述の理由により民間人はいない)。
国際電話
国番号は246であるが、ダイヤルアップによるインターネット接続が広く使われていた時期に、接続先電話番号が意図せずこの地域の電話番号に変更されてしまい、多額の国際電話料金を請求される事例が多発した。アダルトサイト等へアクセスした際に、接続先を変更するコンピュータウイルスがダウンロード・実行されたことが原因である。
電気通信事業者各社は対策として、2002年12月頃から、日本からの国際ダイヤル通話サービスを休止した。KDDIでは、休止した対地宛はオペレータ扱いの通話しかできない状態であったが、この措置が行われていた間は、国際ダイヤル通話の料金を適用していた。この問題の沈静化により、2010年4月20日よりKDDIでは国際ダイヤル通話が再開された[11]。事業者によっては、2018年10月現在も休止している[12]。
脚注
関連項目
外部リンク
- アメリカ海軍ディエゴガルシア基地のサイト
- アイランド・カズンズ・ネットワーク:デイエゴガルシア
- ディエゴ・ガルシアの歴史(英語)
- 北京が欲しがる「真珠の首飾り」と「龍のトンボ」 - 中国による対シーレーン軍事戦略(谷口智彦、JBpress2009年1月8日)
東経72度24分 / 南緯7.300度 東経72.400度