ホリプロタレントスカウトキャラバン

新人発掘を目的とした、ホリプロ主催のオーディション

ホリプロタレントスカウトキャラバンは、日本の業界大手芸能事務所であるホリプロが主催する、新人発掘を目的としたオーディションである。略称「(ホリプロ)TSC」。

ホリプロタレントスカウトキャラバン
会場SUPERNOVA川崎(2023年/第46回)
日本の旗 日本
主催ホリプロ
報酬賞金100万円
初回1976年昭和51年)
最新回2023年令和5年)
最新受賞者塚本恋乃葉

概要

芸能界への有力な登竜門として、また最も歴史と伝統を有することで知られているコンテストである。「スカウトキャラバン」の名のとおり“全国にスターの卵を探しに行く”というコンセプトで1976年にスタートし、1988年までは時代を彩るアイドルを発掘してきたが、1989年からは年齢やテーマを毎年変えて募集するようになった[1]

近年の芸能界そのものの多様化に対応するため、グランプリ受賞者のマネジメントを担当する予定の若手・中堅社員をコンテスト実行委員長に据え、回毎のコンセプトを明確に定め、より幅広い分野からのタレント発掘を目指すものに改善が図られている(#歴史節を参照のこと)。このため、年度によりお笑いタレント発掘が主眼となった年もあった。

選考

選考方法は毎回異なるが、生中継の下で決戦大会が行われることが多い。

  • 初期の数回においては堀威夫が選考に直接関わり、意見が分かれた際の最終的な決定権を持っていた。
  • 基本的に書類選考を経て夏休み期間中に順次各地で地方予選を行い、東京で選抜者による本選(決選大会)を行うが、近年は本選前に事前審査を兼ねた合宿やレッスンを課すケースが多い。
  • 第13回(1988年)、一般公募を中断し、全社員のスカウトのみから選考。
  • 第16回(第1回飛び出せ!日本男児)を除いて基本的に女性対象だが、初期は特に男女の限定はなく、第3回では男性の東寿明(あずま としあき)が審査員特別賞を受賞し、後に歌手デビューを果たしている。また、2017年度には1997年度以来20年ぶりに男女同時募集で開催され[2]、定岡遊歩がグランプリに、井上祐貴が審査員特別賞という男女混合開催で初めて男性が選ばれた[3]

受賞特典

  • グランプリ受賞者には優勝賞金100万円、ホリプロとの専属契約[2]
  • 通常はグランプリ受賞者には優勝賞金が送られるが、その回の後援企業からCM出演など何らかの副賞が付く場合もある。
  • 第1回から4回のグランプリ受賞者(榊原郁恵西村まゆ子能瀬慶子比企理恵)は、事務所の先輩である山口百恵主演の正月映画に助演した[† 1]
  • グランプリ受賞者は事務所の先輩である和田アキ子が司会の『アッコにおまかせ!』(TBS)にてお披露目として出演するのが恒例となっている。

放送 / 配信

公開オーディションとして第1回大会からコンテストの模様をテレビ朝日が放送しており(初期は『水曜スペシャル』で放送[† 2]。後に「サンデープレゼント」枠での放送が中心となる。第15回のみテレビ東京)、同局の系列局ANN、但しクロスネット局福井放送テレビ宮崎を除く)がしばしば地方の予選会場に使われている。ただし、一般公募しなかった回と非公開の回があり、これらについては放送されなかった。第1回からのテレビ番組会場司会は高島忠夫、ナレーションは小川哲哉が担当で起用は7年間続いた。アシスタントも片平なぎさが担当することもあった。番組オープニングに第1回から第4回まで「全国縦断タレントスカウト決勝大会テーマソング」『友達から恋人に』と題したオリジナル楽曲が流れた。第35回(2010年)では本選がニコニコ生放送Ustreamでライブ配信。第44回(2020年)もニコニコ生放送で配信された。

歴史

1970年代中頃、『スター誕生!』などのオーディション番組では他社との競合により新人を希望通りに獲得できない事が多く、また「当時はそれほど高くなかったホリプロダクション(当時)の知名度と芸能事務所の社会的評価を向上させたかった」という堀威夫(ホリプロ創業者、現・ファウンダー最高顧問)の思いから、自ら全国を回ってスカウトするかたちを立案企画し、スタートした。

第1回グランプリの榊原郁恵が活躍したことにより、ホリプロのスカウト活動の中心的イベントとなった。また、芸能事務所が新人発掘をテレビ番組に頼らず自社でオーディションを開催する形式が定着化するきっかけとなった。一方『スター誕生!』の応募者が徐々に減少していき、番組が終了するひとつの要因ともなった。

アイドルブームが去り当コンテスト自体にもマンネリ感が出た時期に「そろそろ止めたらどうか?」という声がホリプロ社内で上がり堀威夫に提言したところ「本当に原石は掘り尽くしたのか?止めるのは簡単だが我々は今後どこに鉱脈を求めるのか?」と問われて再検討し、継続が決まったという経緯がある。[要出典]

2005年度以降

  • 2005年度には、パルコ各店において、ホリプロ スカウト隊やパルコ内のテナントスタッフからスカウトされて「スカウトパスポート」を受け取った者は1次審査が免除となる制度が実施された[4]
  • 2008年度は「女優、ビューティー、ワイルド、元気」をコンセプトに、初めてアクションもできる本格派女優の発掘を目的に行われ、ファイナリスト8名には殺陣などの演技審査も行われた[5]
  • 2009年度はあえてノーテーマで“おしゃれで、かわいく、感じのいい子”の発掘を目的に実施。書類審査を行わず、ファイナリスト11名が最終審査に臨んだ[6]

2010年度以降

  • 2010年度は「スターオーディション2010」と銘打ち、史上初の女性実行委員長のもと実施、『PARCO』『資生堂 マジョリカマジョルカ』などの協賛を得て、女性に支持されるモデルや女優の発掘を目的に実施、10名がファイナルに進出した[7]
  • 2011年度は「第36回ホリプロタレントスカウトキャラバン 次世代声優アーティストオーディション」と銘打ち、ホリプロ初の声優アーティストの募集を行っている。
  • 2012年度は「37th ホリプロタレントスカウトキャラバン2012 〜夢をつかめ! あなたもディズニープリンセス〜」と銘打って、「スーパーアイドルを探せ!」をコンセプトにディズニーとのタイアップで展開、決勝には予選大会を勝ち抜いた10人のファイナリストが登場し、歌唱審査と演技審査が行われた[8]。コンセプトはディズニープリンセスのような女性の発掘[8]。この模様は地区予選後の合宿から決勝大会までを追ったドキュメンタリー形式にまとめ、2012年9月30日に『Dlife』で放送された[9][10]
  • 2013年度は「モデルをめざせ!」をコンセプトに、自分自身を表現できるセンスを持ち被写体としての魅力を伝えることができる皆に愛される将来性豊かなモデルを発掘するために女性向けファッション雑誌ノンノ』『セブンティーン』と初のコラボを行い、14歳から20歳の女性を対象に行われ、12人がファイナリストとなってウォーキング審査などが行われた[11]
  • 2014年度は「Singer☆Actress Audition〜美唱女〜」と題して16歳から25歳までの“歌える女優”を募集、予選を通過したファイナリスト8人には演技審査、課題曲「Little Sunshine」と自由曲の歌唱審査が課された[12]

2015年度以降

  • 2015年度は「#(ハッシュタグ)Kawaii」と題して「『かわいい』を発信できる女の子」をテーマに、決勝大会には10人が出場し、漫才やコントなどの特技による自己PRをしたほか、ウォーキングやダンスの審査などが行われた[13]
  • 2016年度は原点回帰を狙い、「PURE GIRL 2016」と題して10代でブレイクする「王道」で「主演級」の女優の発掘を目指して10歳から16歳までの女性を募集[14]。開催史上初となる小学生グランプリが誕生した[15]
  • 2017年度は、「気になるあの子」と題し、1997年度以来20年ぶりに男女同時募集で開催され[2]、定岡遊歩が男女混合開催では男性初のグランプリに選ばれた[3]
  • 2018年度は、「好きになってもいいですか?」をテーマに、応募からデビューまで完全非公開で行われた[16]。応募資格は、芸能プロダクションに所属していない10 - 20歳の女性。ジャンル・国籍・居住地は不問で、日本語が話せなくても応募可能。決選大会は開催されず、当該タレントの芸能界デビューをもってグランプリの発表となる。2019年11月30日に、受賞者が5人組ガールズユニット「821」として2020年2月にデビューすることが発表された。
  • 2019年度は休催。
  • 2020年度は、「ミュージカル次世代スター」がテーマ。3年ぶりに決選大会が実施されるが、新型コロナウイルスの影響で地方でのオーディションは開催せず、1~3次審査まではWebのみで実施される。応募資格は、芸能プロダクションに所属していない11 - 20歳の男女(国籍不問)。
  • 2021年度は休催。
  • 2022年度は、「ピュアガール ピュアボーイ」がテーマ。テーマの通り男性も対象。応募資格は芸能プロダクションに所属していない2003年~2012年生まれで、2018年同様最終審査まで完全非公開となる。
  • 2023年度は、「ナチュラルガール」がテーマ。対象は高校1年生から満24歳までの女性。役者、モデル、グラビア、アイドル、歌手、バラエティー、インフルエンサーなどジャンルを問わず幅広く募集する[17]

開催及び受賞結果

  • 名義は現在のもの(現在ホリプロ所属でない者はこの限りではない)。受賞時の名義とは異なる場合もある。
  • 審査員特別賞は「審特」と表記。
副題1次審査2次審査3次審査(決勝)典拠
応募総数地方予選会場グランプリ特別賞 ほか
11976年1億円スター今夜誕生約18,000通 榊原郁恵審特:荒木由美子[1]
21977年   西村まゆ子審特:あいあい[† 3]高田橋久子[† 4] 
31978年   能瀬慶子審特:東寿明 
41979年 約46,000通 比企理恵なし[1]
51980年   林紀恵なし 
61981年   堀ちえみなし 
71982年 95,312通 大沢逸美審特:渡辺桂子[1]
81983年 105,358通 田中久美なし 
91984年 112,358通 井森美幸審特:鈴木保奈美[1]
101985年 約110,000通 山瀬まみ審特:白石さおり[1]
111986年アクターアクトレス賞73,158通 伊藤美紀アクトレス賞:仁藤優子
ボーカリスト賞:千葉美加
グラビアスター賞:小林明子
[1]
121987年   坂井順子なし 
13[† 5]1988年   山口裕子なし 
141989年   田中陽子井森賞:東恵子 
151990年ホリプロTHE 1990オーディション32,526通 戸田菜穂なし[1]
161991年第1回飛び出せ!日本男児  北地大良審特:工藤兄弟 
171992年(上の娘部門グランプリ)
(下の娘部門グランプリ)
43,645通 菊池あゆみ
馬渕英里何
なし[1]
181993年   木下奈緒子[† 6]ミスフライングレディ賞:楓由香
演技賞:前田つばさ
 
191994年放課後の決選〜カラオケ・バトルロイヤル27,654通 上原さくらなし[1]
201995年20th THE1995オーディション43,723通 佐藤仁美審特:新山千春[1][18]
211996年PURE GIRLオーディション19,130通 深田恭子審特:酒井彩名
ピュアガール賞:大森玲子野村恵里
[1][19]
221997年   古川小百合なし 
231998年女優誕生38,127通 平山あやなし[1]
241999年   西端さおりなし 
252000年 40,211通 藤本綾審特:岩科麻由子綾瀬はるか[1]
262001年美・笑・女43,325通 浜口順子なし[1]
272002年ピュアガール200232,109通 石原さとみなし[1]
282003年ラブミュージックオーディション34,911通 大竹佑季なし[1][20]
292004年 42,816通 佐藤千亜妃審特:近藤あゆみ東亜優
ベストグラビア賞(ヤングサンデー賞):水崎綾女
[1]
302005年メモリアルオーディション200552,547通 緑友利恵準グランプリ:中別府葵[1][21]
312006年 38,224通 石橋杏奈なし[22]
322007年国民みんなDEスカウトキャラバン!51,923通東名阪札仙広福金沢愛媛足立梨花審特:入来茉里[23][24]
332008年 36,312通沖縄高良光莉審特:桃瀬美咲
ファイナリスト:橋本愛
[25][26]
342009年 33,910通東名阪・札仙広福・横浜熊本・沖縄小島瑠璃子ファイナリスト(横浜地区代表):宮澤智[27][28][29]
352010年スターオーディション201024,212通東名阪・札仙広福・松本大分安田聖愛なし[30][31][32]
362011年次世代声優アーティストオーディション12,745通東名阪・札仙広福・新潟LA・「東北キャラバン[† 7]田所あずさファイナリスト:大橋彩香木戸衣吹齊藤真知子高橋花林[† 8]山崎エリイ[33][34][† 9]
372012年夢をつかめ! あなたもディズニープリンセス29,521通東名阪・札仙福・岡山優希美青審特:唯月ふうか
ファイナリスト:佐野ひなこ
[35][36]
382013年non-no Seventeenモデルをめざせ20,216通東名阪・札仙福佐藤美希 [37][38]
392014年Singer☆Actress Audition〜美唱女〜38,628通東名阪・札仙福・沖縄栞菜智世審特:なし[12][39]
402015年#kawaii39,702通東名阪・札仙広福・沖縄木下彩音ソフトバンク賞:井上咲樂
ファイナリスト:関水渚
[40][41]
412016年PURE GIRL 201624,794通東名阪・札仙広福吉柳咲良[42]審特:三浦理奈[43][15]
422017年気になるあの子36,504通東名阪・札仙広福・金沢・鹿児島遊歩(旧・定岡ゆう歩)審特:井上祐貴[3]
432018年好きになってもいいですか?非公表東名阪・札仙広福・金沢・松山・鹿児島・那覇
Webまたは書類のみで最終審査進出も可能
821[44]
442020年ミュージカル次世代スター19,115人Webエントリーのみ山﨑玲奈17LIVE賞:佐竹桃華[45][46]
452022年ピュアガール ピュアボーイWebエントリーのみ小田愛結準グランプリ:川口真奈
特別賞:リンゼイ尊、加藤レノン
[47]
462023年ナチュラルガール20,824人東名阪・札仙広福・那覇
事前応募は不要で審査会場に直接来場して選考を受ける。同日に1次・2次選考を実施。
塚本恋乃葉準グランプリ:畠中夢叶
審特:松岡香穂
[48][49]

その他のホリプロ主催コンテスト等

同じくホリプロ主催のコンテストに「夏のお嬢さんコンテスト」や「NEW STAR AUDITION」等が存在するが、TSCほどには知られていない。以下は主な受賞者を記す。

夏のお嬢さんコンテスト

ホリプロ NEW STAR AUDITION 〜21世紀のリカちゃんはあなた!!〜

キャンパスター★H50with MEN’S NON-NO

HORIPRO MEN'S STAR AUDITION

この他、子会社のホリプロインターナショナルでは、2022年11月より通年でオーディションを随時実施している。

脚注

注釈

出典

外部リンク