ライディーン (YMOの曲)

日本のイエロー・マジック・オーケストラの楽曲

ライディーン』(雷電、RYDEEN)は、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の2枚目のシングル曲。1980年6月21日アルファレコードから発売された。

ライディーン
YMOシングル
初出アルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー
B面コズミック・サーフィン
リリース
規格7インチレコード
ジャンルテクノポップ
時間
レーベルアルファレコード
作曲高橋幸宏
プロデュース細野晴臣
チャート最高順位
YMO シングル 年表
テクノポリス
(1979年)
ライディーン
(1980年)
タイトゥン・アップ
(1980年)
ミュージックビデオ
「RYDEEN」(HD Remaster・Short ver.) - YouTube
「Rydeen」(Official Music Video) - YouTube
ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー 収録曲
A面
  1. 「TECHNOPOLIS」
  2. 「ABSOLUTE EGO DANCE」
  3. RYDEEN
  4. 「CASTALIA」
B面
  1. 「BEHIND THE MASK」
  2. 「DAY TRIPPER」
  3. 「INSOMNIA」
  4. 「SOLID STATE SURVIVOR」
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テクノポリス」と並ぶYMOの代表曲として挙げられる[1]

制作

元々のタイトルは江戸後期の伝説的な力士雷電爲右エ門」から『雷電』と表記された。坂本龍一は「『雷電』には東海道五十三次のような浮世絵のイメージがあり、浮世絵が世界に影響を与えたように、自分達の音楽も世界に影響を与えることと重ね合わせた」と発言している。また、映画『スター・ウォーズ』を黒澤明監督が撮ったらどうなるか、が発想の起点だった。その為、途中で戦闘ゲームや時代劇風の馬が走る音が入る。このことは作曲者の高橋幸宏が著作で明かしている[2]。その後、細野晴臣が「アメリカで今『勇者ライディーン』っていうアニメがヒットしているので、『ライディーン』にしちゃおう」という発言で「ライディーン」となった[3]。ただし『勇者ライディーン』の英語表記は『RAIDEEN』であり、綴りは若干異なる。

無機的な表現とするためあえて抑制したつくりだった「テクノポリス」に対して、「ライディーン」は逆に盛り上がるように作られている。また、細野は「遊びながら、当時の自分達では作れるとは思っていなかったサウンドができ、非常に楽しいレコーディングだった」と回想している[3]

イントロコードは、高橋幸宏がすでにキーボードで考えていたもので、続きの部分は坂本が聞き取ったものである。坂本はその光景をはっきりと覚えているが、高橋は覚えていないという[3]

メロディは、バーで高橋が鼻歌で歌っていたところを、坂本がメモに書き起こして作られたとされているが[4]、YMOの初代マネージャーであった日笠雅水は、高橋が家でキーボードで作ってスタジオに持ってきたと明かしている[5][6][注釈 1]。高橋によると、翌日アルファのスタジオのピアノでメロディを弾きながら坂本は「こんな音楽成立しない」という態度を全身から漂わせていたといい、坂本自身も「ドーレーミーで始まる曲などあり得ない」と考えていたとのこと[8]

録音

Aメロの音色は長年、アープ・オデッセイを使用して坂本が手弾きしたと言われていたが、藤井丈司の著書にて松武秀樹との対談においてトラックシートの表記やビブラートが掛かるタイミングと深さが同じことから、moogIIICでディレイ・ビブラートを設定し演奏していたと判明した[9]。イントロの「チッチキ...」にはハイハットの音にフランジャーをかけたものと、ピンクノイズが使われている。

Cメロで聞かれる馬の蹄は細野が得意としていたサウンド・エフェクトで、コルグPS-3100を使用している。

間奏のサウンド・エフェクトで聴かれる「ホワァー」という音は細野によるPS-3100、「ピュンピューン」という音は坂本によるアープ・オデッセイの音が使われている[10]。この部分は、立体音になっている。ドラムの飛び跳ねるようなフィルは、高橋が影響を受けたビートルズリンゴ・スターの叩き方をまねている。

リリース

1980年6月21日アルファレコードより7インチレコードでリリースされた。B面の「コズミック・サーフィン」はアルバム『イエロー・マジック・オーケストラ』収録曲で、ライブ・アルバム『パブリック・プレッシャー』(1980年)からのライブテイクを収録しているが、司会者のMCを丸ごとカットして演奏開始2秒前(演奏は3秒から始まる)の歓声からフェードインで始まっている。

ミュージック・ビデオ

本作のミュージック・ビデオはメンバー3人が演奏する姿と、キーボードを弾く手元のみを写すシーン、キーボードにエフェクトを掛けた映像、3人が銃撃戦を行うシーンとで構成されている。ミュージック・ビデオ集『COMPUTER GAME』(1983年)にVHSで初収録され、『YMO Giga Clips』(1998年)にて初DVD化された[11][12][13]

メディアでの使用

カバー

  • 1988年、インディーズユニットであった空手バカボンが「来たるべき世界」というタイトルで事実上のカバー[14]。しかし当時ナゴムレコードから発売された『バカボンの頭脳改革 -残酷お子供地獄-』『空手バカボン ベスト』のクレジットでは作詞・大槻KENZI(大槻ケンヂ)、作曲・空手バカボンというクレジットになっている。2005年に発売された『空手バカボン ナゴムコレクション』には、著作権者からの使用許可が下りなかったため収録されていない[15]
  • 1991年、森丘祥子がアルバム『夢で逢えたら』で歌詞をつけてカバー(作詞は小西康陽)。
  • 1991年、松武秀樹ロジック・システムのアルバム「To・Gen・Kyo」にて中国語歌詞付きでカバー。
  • 1997年、Balanescu Quartetがアルバム『East meets East』でカバー。
  • 2000年、THE HONG KONG KNIFEがシングル『LOVE ME』の4曲目でロックアレンジでカバーしている。
  • 2004年、『TRIBUTE TO YMO』でLOW IQ 01がカバーした。
  • 2004年、清心がアルバム『清心』で「RYDEEN(マンドリン&ヴォーカルバージョン)」として歌詞をつけてカバー。
  • 2005年、aminが「雷電」というタイトルで歌詞をつけてカバーしている。
  • 2007年キリン ラガービールのCMにて、この曲のセルフカバーに当たる「RYDEEN 79/07」が新たに録音された。当初ネット配信のみで、ネット配信時の名義は「YMO」の略称ではなくカタカナ表記の「イエロー・マジック・オーケストラ」だった。2007年8月22日にYellow Magic Orchestra名義でCD化された。カップリングはHASYMO名義の『RESCUE』。
  • 2010年、monobrightがシングル『雨にうたえば(初回版)』でカバーしている。
  • 2010年、yes, mama ok?がアルバム『CEO -10th Anniversary Deluxe Edition-』のDisc 2でドラム叩き語りカバーしている。
  • 2011年、渡辺香津美がアルバム『TRICOROLL』でカバーしている。
  • 2013年、Sensationがアルバム『Sensation II』でカバー。
  • 2014年、E-girlsのアルバム『COLORFUL POP』にリード曲として、同曲をサンプリングし歌詞とボーカルをつけた「RYDEEN 〜Dance All Night〜」が収録。
  • 2015年、フレッシュマン・ウインド・アンサンブル(洗足学園音楽大学の1年生で編成されたバンド)がテレビアニメ響け!ユーフォニアム』の劇中曲としてカバー[注釈 3]。同作のサウンドトラック・アルバムに収録[注釈 4]
  • 2016年、竜馬四重奏がアルバム『Neo Zipang』(7月27日リリース)のDisc2でカバーしている。
  • 2023年、『D4DJ Groovy Mix』収録曲としてカバー[注釈 5]

シングル収録曲

全編曲: イエロー・マジック・オーケストラ。
#タイトル作詞作曲時間
1.ライディーン(RYDEEN) 高橋ユキヒロ
2.コズミック・サーフィン(COSMIC SURFIN') 細野晴臣

リリース履歴

No.日付国名レーベル規格規格品番最高順位備考
11980年6月21日日本アルファレコード7インチALR-70115位
21982年イギリスアルファレコード7インチALFA 2145
31993年7月21日日本アルファレコード7インチALKA-2-『YMO ANALOG SINGLE BOX』収録
41993年9月21日日本アルファレコードCDALDA-92-CUBIC - YMO CD Single BOX』収録
52003年日本アルファレコードCDAR-GO13-タイムスリップグリコ「青春のメロディー」付録
「ライディーン」1曲のみ収録

収録アルバム

  • オムニバスアルバム
    • クライマック80’sYELLOW (2008年)

脚注

注釈

出典

参考書籍

関連項目