与那国馬

八重山列島の与那国島で飼育されてきたウマの品種

与那国馬(よなぐにうま)は、八重山列島与那国島沖縄県八重山郡与那国町)で飼育されてきたウマの一品種である。また日本在来馬8馬種のひとつで、1969年3月25日に与那国町の天然記念物に指定されている[1]

与那国馬
与那国馬
分類
ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
:ウマ目(奇蹄目) Perissodactyla
:ウマ科 Equidae
:ウマ属 Equus
:ノウマE. ferus
亜種:ウマ E. caballus
品種:与那国馬

特徴

体高はおよそ110-120cmと小型で、ポニーに分類される。毛色は鹿毛が中心である[2]

歴史

与那国馬の来歴は明らかではないが、日本最西端の離島である与那国島に生息するため、他品種との交配や品種改良が行われることがなく、その系統がよく保たれてきた[3]。また、1939年には、馬匹改良を目的として日本在来馬と洋種馬の交配を推進する種馬統制法が施行されたが、与那国島はその施行区域から除外されたために交雑を免れた[4]

与那国馬は、与那国島で古くから、農耕、農作物や薪の運搬、乗用などに活躍してきた。飼い主は、「ウブガイ」と呼ばれる木製の頭絡(とうらく)を自作してつけたり、馬の耳に「耳印」と呼ばれる切込みを入れて、自分の馬を区別した[4]。また、琉球王国の時代から太平洋戦争中まで、沖縄の伝統の馬乗り競技である琉球競馬に用いられていた。

しかし、農機具や自動車の普及などによりその役割を失い、1975年には59頭にまで減少した。同年に与那国馬保存会が設立され[3]、保存と増殖への取り組みが始められた結果、2018年には約130頭に回復している[5]

現状

東シナ海と与那国馬
東牧場の与那国馬

農耕馬としての需要はないため、主として観光用に利用される[2]。人なつこい性格を活かして動物療法にも利用されている。一方で人や車を恐れないことから道路上に居座って交通を妨げることがあり、住民が利用する与那国生活路線バス与那国駐屯地のトラックが立ち往生する事もある[6]

与那国島内では、北牧場および東牧場等で集団で飼育されている[7]。また、久宇良にはヨナグニウマふれあい広場[8]、祖内には『風馬』与那国馬倶楽部[9](旧与那国馬ゆうゆう広場[10])等がある。

島外では、以下の動物園・牧場等で飼育されており、一部では展示されていたり、乗馬が可能である。

脚注

外部リンク