仲川元庸

日本の政治家

仲川 元庸(なかがわ もとのぶ、1976年昭和51年〉3月6日[1] - )は、日本政治家奈良県奈良市長(公選第18・19・20・21代)。中核市市長会副会長。

仲川 元庸
なかがわ もとのぶ
春日若宮おん祭お渡り式に束帯姿で公務に臨む仲川
生年月日 (1976-03-06) 1976年3月6日(48歳)
出生地日本の旗 日本 奈良県
出身校立命館大学経済学部
前職帝国石油従業員
NPO法人事務局長
所属政党無所属
称号経済学士
公式サイト仲川げんのホームページ

奈良市旗 公選第18・19・20・21代 奈良県奈良市長
当選回数4回
在任期間2009年7月31日 - 現職
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奈良市長選挙への立候補に際しては仲川 げんの通称名を用いており、奈良市長就任後も通称名を使用する方針を表明している。

来歴

奈良県立北大和高等学校(現:奈良県立奈良北高等学校)、立命館大学経済学部卒業。大学卒業後は帝国石油に入社した。その後、2002年から奈良NPOセンターで行政の目が届かない教育や地域の問題を草の根から改善するため、奈良県内のNPO法人に対する支援活動に従事する。また東大寺アートプロジェクトやLove Letter Project等、アートイベントの企画・運営のほか、体験型観光プログラムや奈良まほろばソムリエ検定の開発等、地域振興策に携わった。

2009年3月10日、奈良市長の藤原昭奈良市議会本会議において、JR奈良駅前のホテル誘致計画の失敗に関する責任を取り、同年7月の奈良市長選挙に再選を目指して出馬しない意向を表明した[2]民主党奈良県連代表の馬淵澄夫衆議院議員から要請を受け、民主党の推薦を得て奈良市長選挙への立候補を表明する。選挙戦では自身の陣営が作成した政策集「奈良マニフェスト」に基づき、3大ゼロ「行政のムダゼロ」「生活の不安ゼロ」「観光の渋滞ゼロ」を掲げ、大型公共事業の見直しや特別職の退職金廃止による財源確保、待機児童解消や病院のたらい回しが起きない地域医療体制の構築による教育、医療、生活分野の安定及び拡充、奈良市政の情報公開による市役所機能の向上等を公約した。当初は衆議院議員を辞職して出馬した元奈良市長の鍵田忠兵衛自由民主党公明党)に比べて知名度が劣っており、また仲川の政治経験の少なさを懸念する意見も存在したが、前月に千葉市熊谷俊人市長)や横須賀市吉田雄人市長)で相次いで30代前半の市長が誕生した「世代交代」の機運に乗って、7月12日投開票の奈良市長選で次点の鍵田に約1万4千票の差をつけ、2人の対立候補を破って初当選した[3][4]。当選時の年齢は33歳5ヶ月で、当時の現職の市長では三重県松阪市長の山中光茂(1976年1月15日生。現在は退任)を下回り、2009年6月に当選した千葉市長の熊谷俊人1978年2月18日生。現在は退任し千葉県知事に就任)に次いで、2番目に若い市長であった。

2013年3月5日、奈良市議会本会議において、同年7月の奈良市長選挙に再選を目指して出馬する意向を表明[5]7月21日投開票の奈良市長選挙には仲川のほか、元衆議院議員の森岡正宏(自由民主党推薦)や元奈良市議会議員の池田慎久ら、過去最多の7人が立候補した[6]。仲川は前回の市長選から一転して、特定の政党の推薦を受けずに立候補し、次点の森岡正宏に約1万7千票の差をつけて再選された[7]

2014年5月20日より荒井正吾奈良県知事の奈良市後援会長を務める[8]

2017年7月9日、任期満了に伴う奈良市長選に無所属で立候補し、元生駒市長の山下真(後の奈良県知事)、自民党が推薦する朝廣佳子らを抑え、3選を果たした[9]

2021年7月11日投開票の奈良市長選挙にて、日本維新の会が推薦する中川崇らを抑え、4選を果たした[10]

政策・主張

  • 2009年の市長就任後、奈良市の土地開発公社を解散させて負債の利子総額を今後20年間で約86億円カットし、また大型公共工事の入札制度の見直しや事業の整理統合、人件費の削減等、行財政改革を推進した[要出典]
  • 2013年の市長選では、直前に発生した市議会議長選挙における買収事件をうけて、「オープンでコンパクトな自治体へ」「いつまでも住み続けたい安寧の地」「若者たちが帰ってきたくなる街」「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」の4つのビジョンを選挙公約に掲げた[要出典]
  • 奈良市では、老朽化した東山霊苑火葬場の移転整備が課題となっており、その実現は、歴代市長の課題事項であった。2006年に閉園した奈良ドリームランドは、税金の滞納で奈良市がその跡地を差し押さえていた。仲川げんは、2012年3月22日に、その跡地を「火葬場移転候補地」として発表した。しかし、その跡地には近隣の奈良阪町にある奈良豆比古神社の所有地が含まれており、全く相談もないまま発表されたことから、奈良阪町側は態度を硬化し、周辺住宅地の住民も反対の声を上げて、2012年9月に反対署名7300筆余りが提出されて、奈良市は白紙撤回に追い込まれた。(この土地は、2014年から2015年にかけて何度か公売にかけられ、最終的に7億3千万(平米2433円)という破格の安さで大阪の不動産業者に売却されたが、その後も2021年6月に至るも有効利用はされていない。)
  • 2017年5月9日、建築から100年を迎える東山霊苑火葬場の老朽化に伴い、火葬場(新斎苑)整備の都市計画案が市の国際文化観光都市建設審議会で可決されたことで、長きに渡り切望されるも歴代市長がなし得なかった60年の事業を前進させた[11]
  • しかし、この新斎苑整備をめぐっては、2018年5月24日、用地費が鑑定価格の3倍以上であり違法として、市民らが仲川と地権者に損害賠償を請求するよう求め提訴し、2020年1月30日の奈良地裁に続き、2021年2月26日には大阪高裁でも原告勝訴の判決が出された。被告の奈良市側は、最高裁に上告した。2021年10月7日、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は上告を退ける決定をした。約1億1643万円を請求するよう命じた2月の大阪高裁の差し戻し控訴審判決が確定した[12]。2022年2月14日、市は仲川と元地権者2人に対し1億3800万円の損害賠償を求める訴訟を起こした[13]。仲川はこの件で市民オンブズマンから背任容疑で刑事告発されていたが、こちらについては2022年12月26日付で不起訴処分となった[14]。2023年4月25日、奈良地裁は仲川と元地権者双方が3千万円ずつ、計6000万円を支払うとする和解案を勧告した[15][16]。市議会は5月10日に本会議を開き、和解案の同意について採決を行った。投票の結果、賛成18人、反対18人で可否同数となり、議長裁決で可決された[15][17]。同月31日、奈良地裁でこの内容で和解が成立した[18]。市民らは残る約8600万円を市が債権放棄する和解は「違法で無効」として、改めて仲川市長と市の代表監査委員、元地権者ら4人に損害賠償を請求するよう求め提訴した[19]
  • 2019年10月24日、奈良市での宿泊客(修学旅行除く)に対して、1泊200円の「宿泊税」を徴収する案を発表し、2020年3月議会に条例案と予算案を提出し、2020年度中の導入を目指すと発表、しかし、折からの新型コロナ感染拡大と、ホテル組合などからの反対を受けて、2020年2月21日、予算への計上や関連条例の提出を見送った。
  • 2020年2月14日、LGBTなど性的少数者のカップルが婚姻に相当する関係にあると認める「パートナーシップ宣誓制度」を同年4月1日に導入する方針を明らかにした[20][21]

不祥事

パワハラ

仲川や上司からのパワハラで精神的苦痛を受けて退職を余儀なくされたとして、元市職員の男性が400万円の損害賠償などを市に求め、2023年1月19日付で奈良地方裁判所に提訴した。

訴状によると、男性は秘書広報課で勤務していた2022年4月以降、仲川から床に書類を投げられたり、他の職員の前で叱責されたりしたほか、上司からも机を蹴られるなどしたとしている。男性は不眠などの症状が出たため人事課に異動を求めたが、「病休を取るか転職を」と返答され、同年秋ごろに自主退職したという[22]

2024年3月8日に奈良地裁で和解が成立した。和解条項によると、市は上司の言動の一部に不適切なものがあったと認め、謝罪する内容。原告側は、市長からパワハラを受けたとする請求を放棄するとしている[23]

脚注

外部リンク

公職
先代
藤原昭
奈良県奈良市長
2009年 -
次代
現職