左沢線

東日本旅客鉄道の鉄道路線

左沢線(あてらざわせん)は、山形県山形市北山形駅から同県西村山郡大江町左沢駅を結ぶ、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線地方交通線)である。JR東日本公式には「フルーツライン」の愛称が付けられており[3][4][5]、市販の時刻表などでは「フルーツライン左沢線」と記載されている[6]。また地元の住民には「ざわ線」「ザワ線」とも呼ばれている。

左沢線
左沢線で運用されるキハ101形(寒河江駅)
左沢線で運用されるキハ101形(寒河江駅)
基本情報
通称フルーツライン
日本の旗 日本
所在地山形県
起点北山形駅
終点左沢駅
駅数11駅
電報略号アテセ[1]
開業1921年7月20日
所有者東日本旅客鉄道(JR東日本)
運営者東日本旅客鉄道(JR東日本)
使用車両キハ101形気動車
路線諸元
路線距離24.3 km
軌間1,067 mm
線路数単線
電化方式全線非電化
閉塞方式特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
保安装置ATS-SN[2]
最高速度85 km/h
路線図
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線
STR
山形新幹線および
STR
 奥羽本線山形線
HST
山形駅
KRWglKRW+r
0.0北山形駅
STRrSTR
山形新幹線・奥羽本線
BHF
3.1東金井駅
SKRZ-Au
東北中央自動車道
hKRZWae
須川
BHF
6.5羽前山辺駅
BHF
9.5羽前金沢駅
BHF
11.0羽前長崎駅
hKRZWae
最上川橋梁 最上川
BHF
13.5南寒河江駅
SKRZ-Au
山形自動車道
BHF
15.3寒河江駅
BHF
16.4西寒河江駅
exSTR+leABZgr
19.3羽前高松駅
exSTRrSTR
山形交通三山線 -1974
SKRZ-Au
山形自動車道
BHF
22.3柴橋駅
TUNNEL1
TUNNEL1
KBHFe
24.3左沢駅
寒河江駅より左沢方を望む。
留置線の車両はキハ101形

運行系統としては、奥羽本線山形駅 - 北山形駅間も含む。奥羽本線に乗り入れる同区間では、軌間の異なる山形新幹線山形線(軌間1,435mm)とは別の独立した単線を有する(運行系統上の仙山線と共用)[7]1987年(昭和62年)3月までの国鉄時代は、線路名称上も山形駅を起点とし、山形駅 - 北山形駅間は奥羽本線にも属する重複区間であった。これは、現在分岐駅となっている北山形駅に、1921年(大正10年)の当線開業当初奥羽本線側に停車場設備がなく、1927年(昭和2年)になって奥羽本線側にも停車場設備が設けられたために生じた。国鉄分割民営化時の「基本計画」において、各地の重複区間を解消する方針から、当線の起点も北山形駅に改められた。

路線データ

全線が東北本部の管轄で、同支社の下に1990年に設置された左沢線統括センター(旧左沢線営業所)が運営している[10](工事部署を除く)。

歴史

1921年(大正10年)に軽便鉄道法を準用し左沢軽便線(あてらざわけいべんせん)として山形 - 羽前長崎間が開業し、1922年(大正11年)に左沢までの全線が開通した。

改正鉄道敷設法では、左沢から長井線(現在の山形鉄道フラワー長井線)の荒砥を結ぶ延長線(左荒線・さこうせん)(同法別表第25号)及び奥羽本線の楯岡(現在の村山)と寒河江を結ぶ分岐線(寒楯線・かんだてせん)(同法別表第24号)が計画されたが、いずれも実現しなかった。

また、羽前高松からは山形交通三山線(三山電気鉄道)が分岐していたが、1974年(昭和49年)に廃止されている。

運行形態

専用の塗装が施されたキハ101形気動車により運転されている。編成は2両単位で使用され、最長6両になる[28]。左沢駅発着列車の一部は、寒河江駅で連結・切り離し作業が行われる[29]。一部の列車はワンマン運転を行っている。起点の北山形駅からは全列車が奥羽本線山形駅まで乗り入れており、山形駅 - 左沢駅間を通しで運転する列車のほか、山形駅 - 寒河江駅間、寒河江駅 - 左沢駅間の区間列車も設定されている。山形駅 - 寒河江駅間は1時間に1本程度、寒河江駅 - 左沢駅間は3時間以上運行されない時間帯がある。山形方面と接続しない寒河江駅 - 左沢駅間の区間列車は、朝の下りと夜の上りに各1本運行されている。

毎年6月頃の観光シーズンにはトロッコ列車「さくらんぼ風っこ号」や蒸気機関車「SLさくらんぼ号」などの臨時快速列車が運行される。

過去には定期列車として快速列車が運行されていた。1960年代から1970年代には朝夕に1往復、客車によって運転され[30]、1982年11月改正時点で上りは客車と気動車でそれぞれ1本[31]、1985年3月改正時点では全列車普通列車になり[32]、その後1991年頃に気動車で下りに1本新設[33]、ピーク時の1995年頃には1日下り3本・上り2本が設定されていた[34]。途中の停車駅は、北山形駅・羽前山辺駅・羽前長崎駅・寒河江駅・羽前高松駅であった。1998年には1日1往復まで減便され、1999年に廃止されて以降は設定されていない[35]

使用車両

過去の使用車両

駅一覧

便宜上、北山形駅側の全列車が乗り入れる奥羽本線山形駅 - 北山形駅間を含めた、「フルーツライン」の愛称区間である山形駅 - 左沢駅間について記載。山形駅 - 北山形駅間については、仙山線と共用している狭軌線についてのみ述べる。

  • 累計営業キロは北山形駅起算。
  • 全列車普通列車(すべての駅に停車)
  • 線路 … ◇・∨:列車交換可、|:列車交換不可
    • 左沢線内は全線単線であり、奥羽本線区間でも当路線・仙山線用の狭軌は単線。
  • 全駅山形県内に所在。
正式路線名駅名営業キロ接続路線線路所在地
駅間累計
奥羽本線山形駅-1.9東日本旅客鉄道 山形新幹線奥羽本線山形線 米沢方面)山形市
北山形駅1.90.0東日本旅客鉄道:奥羽本線(山形線 新庄方面)・仙山線[* 1]
左沢線
東金井駅3.13.1 
羽前山辺駅3.46.5 東村山郡山辺町
羽前金沢駅3.09.5 中山町
羽前長崎駅1.511.0 
[* 2]
南寒河江駅2.513.5 寒河江市
寒河江駅1.815.3 
西寒河江駅1.116.4 
羽前高松駅2.919.3 
柴橋駅3.022.3 
左沢駅2.024.3 
[* 3]
西村山郡
大江町
  • 2022年度の時点で、JR東日本自社による乗車人員集計[36]の対象駅は山形駅・北山形駅・羽前長崎駅・寒河江駅・左沢駅である。それ以外の駅は完全な無人駅のため集計対象から外されている。

過去の接続路線

利用状況

平均通過人員

区間別の一日平均通過人員(人/日)[37]
年度全線区間
北山形 - 左沢北山形 - 寒河江寒河江 - 左沢
19874,1955,6891,356
19923,6595,1051,155
19974,1415,8061,261
20023,8545,3871,247
20073,7065,2031,160
20083,756--
20093,724--
20103,618--
20113,5665,0251,066
20123,5915,0811,058
20133,6815,2371,035
20143,3274,732940
20153,3944,847925
20163,3844,839910
20173,3584,804901
20183,3424,773910
20193,2824,697875
20202,7913,997742
20212,8274.042761
20222,9464,214791

1987年度(昭和62年度)以降の5年毎の統計では、全線(北山形 - 左沢)・区間問わず、一日平均通過人員(輸送密度)は1997年(平成9年)度をピークとして減少している[37]

区間別の一日平均通過人員(人/日)[37]

収支・営業係数

区間ごとの収支(営業収益、営業費用、営業損益)と営業係数は以下の通り。▲はマイナス(赤字)を意味する。

寒河江駅 - 左沢駅間
年度収支(百万円)営業
係数
(円)
出典
営業
収益
営業
費用
営業
損益
2019年度23312▲2891,347[38]
2020年度17344▲3271,999[38]
2021年度18278▲2591,537[39]
2022年度19337▲3171,721[40]

脚注

関連項目

外部リンク