指宿スカイライン

鹿児島県指宿市から鹿児島市に至る一般有料道路

指宿スカイライン(いぶすきスカイライン)は、鹿児島県指宿市池田から同県鹿児島市田上八丁目に至る一般有料道路主要地方道)である。指宿有料道路(いぶすきゆうりょうどうろ)とも呼ばれる。

主要地方道
一般有料道路
有料 / 無料)
鹿児島県道17号指宿鹿児島インター線
指宿スカイライン
指宿有料道路
地図
路線延長36.8 km
陸上区間36.8 km
起点鹿児島県指宿市(大迫IC)
主な
経由都市
南九州市
終点鹿児島県鹿児島市鹿児島IC
接続する
主な道路
記法
E3 九州自動車道東九州自動車道
E3A 南九州西回り自動車道
国道3号
国道225号
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路

有料区間については鹿児島県道路公社、無料区間については鹿児島県が管理している。鹿児島県道としての路線は全線が鹿児島県道17号指宿鹿児島インター線に指定されている。

また、鹿児島市田上八丁目(鹿児島インターチェンジ)から同市上福元町(谷山インターチェンジ)までの区間は地域高規格道路である南薩縦貫道の一部を構成しているほか、鹿児島市の外環状道路の役割を担っている[1]

概要

鹿児島市内で九州自動車道・鹿児島インターチェンジ (IC) と接続し、薩摩半島鹿児島湾(錦江湾)に沿った稜線上を指宿方面へ南下して頴娃ICまで走る有料道路である[2]。頴娃IC以降の無料区間(鹿児島県道17号指宿鹿児島インター線)も同様に、指宿スカイラインと呼ばれ、池田湖付近に接続している。

IC区間によって道路管理者や有料・無料の区分が異なるという、他ではあまり例を見ない有料道路でもある。有料区間は鹿児島県道路公社が、無料区間は鹿児島地域振興局(鹿児島市内)および南薩地域振興局指宿支所(南九州市・指宿市)が管理している。

また、鹿児島ICから山田ICまでは片側2車線で整備された自動車専用道路南薩縦貫道(地域高規格道路)の一部を構成しているが、谷山IC以南は片側1車線となる上、センターラインが引かれているのみで上下線が分離されていない。錫山ICのように右折で出口に進入するインターチェンジがあるほか、3か所に設けられている展望施設へも、上下線から同一駐車場に乗り入れる形となっている。

当初、鹿児島県は2016年度の建設費の全額償還を目標に、全額償還後の通行料金については検討中で[3]ETCは設備投資による全額償還の遅れを避けるため導入の予定はないとしていた[4]。しかし、2015年平成27年)6月11日鹿児島県議会の定例議会の代表質問に対して、山田ICのフルインター化、山田料金所へのETCの導入及び路線の改修、維持費に充てるために、2017年6月の料金徴収期限を2042年まで延長する予定であると鹿児島県が回答している[5]。2016年3月の県議会で料金徴収期間の延長への同意を求める議案が賛成多数で可決され[6]、同年4月8日に道路改築工事の開始と料金徴収期間の延長が公告された[7]

インターチェンジなど

  • IC番号欄の背景色がである部分については道路が供用済みの区間を示している。また、施設名欄の背景色がである部分は施設が供用されていない、または完成していないことを示す。未開通のIC/JCT名は仮称。
IC番号施設名接続路線名起点から
(km)
備考所在地
鹿児島県道28号岩本開聞線に接続
大迫IC鹿児島県道236号頴娃宮ヶ浜線0.0指宿市
池田IC鹿児島県道245号飯山喜入線平面T字路
-展望所
-展望所鹿児島市
アグリランドえい平面T字路南九州市
-千貫平自然公園
上別府IC平面T字路
頴娃IC鹿児島県道234号石垣喜入線14.1本線料金所
-樋高展望台鹿児島市
-知覧展望台
知覧IC鹿児島県道23号谷山知覧線24.1南九州市
-喜入瀬々串展望台鹿児島市
-錦江台展望公園
スカイぱれっと
トイレ、吊り橋がある公園。南九州市
川辺IC
川辺展望台
国道225号31.7ICと展望台の
相互利用は不可
-須々原展望台鹿児島市
錫山IC鹿児島県道19号鹿児島川辺線37.7平面T字路
-錫山展望台
-谷山料金所42.4ETC利用不可
谷山IC鹿児島県道20号鹿児島加世田線
南薩縦貫道現道活用区間)
鹿児島県道219号玉取迫鹿児島港線[8]
43.3
中山IC46.0
山田IC鹿児島県道35号永吉入佐鹿児島線48.1
-山田料金所48.4
(29)鹿児島ICE3A 南九州西回り自動車道
鹿児島東西幹線道路
国道3号鹿児島バイパス
50.9
E3 九州自動車道東九州自動車道)に接続

歴史

  • 1969年昭和44年)3月:指宿スカイライン1期区間として大迫料金所 - 頴娃IC間が供用開始[9]
  • 1977年(昭和52年)4月1日:指宿スカイライン2期区間として頴娃IC - 谷山IC間が供用開始[9][10]
  • 1988年(昭和63年)
    • 3月27日:大迫IC - 頴娃IC間無料化。
    • 3月29日:指宿スカイライン3期(鹿児島IC - 山田IC)及び2期と3期を結ぶ公共区間(山田IC - 谷山IC)として鹿児島IC - 谷山IC間が暫定二車線で供用開始[9][10]
  • 1997年平成9年)
    • 2月1日:山田IC - 中山IC間が四車線に拡幅される[10]
    • 6月5日:中山IC - 谷山IC間が四車線に拡幅される[10]
    • 10月1日:鹿児島IC - 山田IC間が四車線に拡幅される[10]
  • 2011年(平成23年)12月 : 同月中旬より鹿児島IC - 谷山IC間の最高速度が60 km/hから70 km/hに引き上げられた[11]
  • 2013年(平成25年)2月20日:知覧IC - 頴娃IC間で大規模な土砂崩れが発生し、当該区間が通行止めとなる[12]。その後通行止めは4月26日に解除され片側交互通行により通行できるようになった[13]
  • 2015年(平成27年)6月11日:鹿児島県が料金徴収期限を2017年7月までとしていたものを2042年まで延長する予定である方針を鹿児島県議会の代表質問に対して回答する[5]
  • 2016年(平成28年)
    • 3月23日 - 鹿児島県議会が「鹿児島県道路公社の有料道路事業に係る国土交通大臣の許可事項の一部変更に同意することについて議決を求める件」を賛成多数で可決する[6]
    • 4月8日 - 鹿児島県道路公社公告により、料金徴収期間が「2017年6月1日まで」から「2042年4月3日まで」に変更される[7]
  • 2017年(平成29年)12月1日山田料金所にてETCの運用が開始[14][15]。同時に山田料金所の回数券が廃止[14][16]
  • 2018年(平成30年)2月20日:山田料金所のETCレーンが上下線各2レーンに増設される[17]
  • 2019年令和元年)
  • 2022年(令和4年)4月1日:山田IC(指宿方面出入口)供用開始[21]

路線状況

通行区分

谷山ICを境に通行区分が異なり、山田IC以北は自動車専用道路であり、自動車以外での通行は禁止されている。谷山ICから山田ICまでの区間は自動車専用道路には指定されていないが、ほぼ同等の通行規制、すなわち、二輪の自動車・原動機付自転車(125cc以下)、軽車両、歩行者の通行禁止規制が標識により行われている。

谷山IC以南では自動車に含まれない原動機付自転車125cc以下[22])や自転車などの「軽車両等」が通行可能となる。

車線・最高速度・通行規制

区間車線
上下線=上り線+下り線
最高速度通行規制等管理者
大迫IC - 頴娃IC2=1+1
(完成2車線)
50 km/h規制なし南薩地域振興局指宿支所
頴娃IC - 谷山IC歩行者通行禁止鹿児島県道路公社
谷山IC - 山田IC4=2+2
(完成4車線)
70 km/h[23]歩行者・軽車両・小二輪通行禁止鹿児島地域振興局
山田IC - 鹿児島IC自動車専用道路鹿児島県道路公社

通行料金

指宿スカイライン料金表(概略)
 普通車大型車I大型車II軽自動車等軽車両等
鹿児島IC均一制
料金徴収:山田料金所
通行不可
山田IC
無料
中山IC
谷山IC
均一制
料金徴収:谷山料金所または各IC
錫山IC
川辺IC
知覧IC
頴娃IC
  • 山田ICと谷山ICを境に通行料金が異なる。
  • 鹿児島IC - 山田ICの通行料は、本線上にある山田料金所で徴収される。
  • 谷山IC(本線上にある谷山料金所) - 頴娃ICは均一制となった為料金前払い制となった[24]。ただし、当該区間の料金所の営業時間は7時から19時までとなっており、19時 - 7時は当区間内に限り全線無料で通行ができる[25]

交通量

平日24時間交通量(台)(上下合計)[26]

料金区間平成17年度
(2005年度)
平成22年度(2010年度)
台数混雑度
有料頴娃IC - 知覧IC4582880.04
知覧IC - 川辺IC8013620.07
川辺IC - 錫山IC1,4027080.11
錫山IC - 谷山IC1,6057080.11
無料谷山IC - 中山IC32,05529,5410.74
中山IC - 山田IC16,79717,4030.47
有料山田IC - 鹿児島IC19,00519,7210.48

トンネル

  • 西陵トンネル(鹿児島IC - 山田IC)
  • 田上トンネル(同上)
  • 中山トンネル(中山IC - 谷山IC)
  • 滝之下トンネル(同上)

地理

薩摩半島の尾根に沿って南北に延びる道路で、沿道の木々に遮られるところも多く一部を除いては眺望は効かないが、途中に展望台が設けられており、須々原展望台(鹿児島市下福元町)あたりからは東に鹿児島湾錦江湾)や桜島、西に東シナ海が見える[2][27]。また、樋高展望台(鹿児島市喜入中名町)からは、錦江湾に突き出た世界最大の原油備蓄基地のENEOS喜入基地のタンク群などが見える[2]。線形は、適度にアップダウンやカーブのあるワインディングロードとなっている[27]。南端は池田湖にほど近く、薩摩富士とも呼ばれる開聞岳も見える[27]

須々原展望台 - 錫山IC間には植樹園『癒しろの杜 桂花園』が営業している。

通過する自治体

起点付近から川辺ICまでの区間は、南九州市と鹿児島市の境界線上に道路が走るため、この2市の境界を何度も行き来する。

  • 鹿児島県
    • 指宿市 - 南九州市 - 鹿児島市

交差する道路

谷山ICと産業道路を結ぶ県道219号玉取迫鹿児島港線

沿線

その他

脚注

参考文献

  • 佐々木節、石野哲也、伊藤もずく 著、松井謙介編 編『絶景ドライブ100選[新装版]』学研パブリッシング〈GAKKEN MOOK〉、2015年9月30日。ISBN 978-4-05-610907-8 
  • 須藤英一『新・日本百名道』大泉書店、2013年。ISBN 978-4-278-04113-2 
  • 鹿児島県『鹿児島県史 第六巻 上巻』鹿児島県、2006年。 

関連項目

外部リンク