第47回スーパーボウル

2013年2月に開催のNFLスーパーボウル

第47回スーパーボウル(Super Bowl XLVII)は2013年2月3日にルイジアナ州ニューオーリンズメルセデス・ベンツ・スーパードームで開催されたアメリカンフットボールNFL)の試合。2012年シーズンのNFLチャンピオンの座をかけて、NFC王者サンフランシスコ・49ersとAFC王者ボルチモア・レイブンズが対戦した

第47回スーパーボウル
Super Bowl XLVII
1234

BAL71476

34
SF33178

31
開催日2013年2月3日
スタジアムメルセデス・ベンツ・スーパードーム
開催地ルイジアナ州ニューオーリンズ
MVPジョー・フラッコ
国歌斉唱アリシア・キーズ
ハーフタイムビヨンセ
アメリカにおけるテレビ放送
ネットワークCBS
実況と解説ジム・ナンツ英語版(実況)、フィル・シムズ(解説)
 < 第46回スーパーボウル第48回 > 

試合は、レイブンズが49ersを34対31で破り、12年ぶり2度目のスーパーボウル制覇を果たした。MVPには、ジョー・フラッコが選ばれた。

また、ジム・ハーボージョン・ハーボーというヘッドコーチ兄弟対決(今大会は「ハーボーボウル」と称された)、レイ・ルイスの引退、試合中のスタジアムの停電など、試合以外の話題が多いスーパーボウルとなった。

開催地決定まで

以下のスタジアムが最終候補地になった。

2009年5月に開催されたNFLオーナー会議で、ニューオーリンズがグレンデール、マイアミを破り開催地に決定した[1]

同スタジアムでスーパーボウルが開催されるのは、トム・ブレイディタイ・ローカート・ワーナーマーシャル・フォークといった選手が出場し、ブレイディ及びペイトリオッツが初のスーパーボウル制覇を果たした第36回大会以来、11年ぶり7度目となる。また、ニューオーリンズでの開催は、10度目である。

過去のニューオーリンズ開催のスーパーボウル
AFC代表スコアNFC代表MVP
チューレイン・スタジアム
4カンザスシティ・チーフス23-7ミネソタ・バイキングスQBレン・ドーソン
6マイアミ・ドルフィンズ3-24ダラス・カウボーイズQBロジャー・ストーバック
9ピッツバーグ・スティーラーズ16-6ミネソタ・バイキングスRBフランコ・ハリス
ルイジアナ・スーパードーム
12デンバー・ブロンコス10-27ダラス・カウボーイズDT
DE
ランディ・ホワイト
ハーベイ・マーティン
15オークランド・レイダース27-10フィラデルフィア・イーグルスQBジム・プランケット
20ニューイングランド・ペイトリオッツ10-46シカゴ・ベアーズREリチャード・デント
24デンバー・ブロンコス10-55サンフランシスコ・49ersQBジョー・モンタナ
31ニューイングランド・ペイトリオッツ21-35グリーンベイ・パッカーズKRデズモンド・ハワード
36ニューイングランド・ペイトリオッツ20-17セントルイス・ラムズQBトム・ブレイディ

   は、勝利したチーム

出場チーム

QBキャパニック
LBルイス

NFC代表サンフランシスコ・49ersは、QBスティーブ・ヤングが6TDパスを記録した第29回大会以来、25年ぶり6度目の出場。勝利すれば、25年ぶり6度目のスーパーボウル制覇となる。AFC代表ボルチモア・レイブンズは、レイ・ルイスを中心とした強力守備陣がニューヨーク・ジャイアンツを圧倒した第35回大会以来、12年ぶり2度目の出場。勝利すれば、12年ぶり2度目のスーパーボウル制覇となる。両チームがスーパーボウルで対戦するのは初めてとなる。

サンフランシスコ・49ers

1980年代、49ersはQBジョー・モンタナ、WRジェリー・ライスらを擁し、HCビル・ウォルシュの下で構築したウェストコーストオフェンスでリーグを席巻し、1995年までにスーパーボウルを5度制覇した。1990年代後半以降、しばらくチーム成績が低迷した。

2012年にHCジム・ハーボーが就任し、機動力のあるQBコリン・キャパニックを中心としたピストルオフェンスを構築すると、チームは大躍進し[2]、スーパーボウル出場を果たした。

ボルチモア・レイブンズ

1996年創設のレイブンズは、レイ・ルイスを中心とした強力な守備陣を構築して、チーム創設5年目の2000年シーズンにスーパーボウル初制覇を果たした。しかし、その後はQBが定まらず、チーム成績は低迷した。2008年にHCジョン・ハーボーが就任し、同年のドラフトでQBジョー・フラッコを獲得するとチーム状態が劇的に改善し、プレーオフ常連チームとなった。

2012年のこのシーズン開幕前、長年チームの精神的支柱だったレイ・ルイスが引退を表明した。チームは第4シードでプレーオフに進出したが、ルイスの最後の花道を飾るべく、ブロンコス(第1シード)、ペイトリオッツ(第2シード)といった上位シードのチームを撃破して、スーパーボウル進出を果たした。

エンターテインメント

ハーフタイムショーは、グラミー賞歌手のビヨンセが出演することが2012年10月16日に発表された[3]。本番ではビヨンセがかつて所属していたデスティニーズ・チャイルドのメンバーが共演した。

国歌斉唱はアリシア・キーズが行った。それに先立つプレゲームショーには、サンディフック小学校のコーラス隊と家族が参加、アメリカ・ザ・ビューティフルを歌った[4]

試合概要

ドライブごとの試合経過
開始ボール保持ドライブTOP結果得点内容得点
Q時間地点Pydyd得点者PATレイブンズ49ers
115:00自陣2049ERS3-21:55パント
113:05自陣49レイブンズ6512:29タッチダウン(パス)13フラッコBoldinキック成功70
110:36自陣2049ERS12626:38フィールドゴール成功36エイカーズ73
1-23:58自陣22レイブンズ9364:06パント
214:52自陣2049ERS5563:59ファンブルロスト
211:53自陣25レイブンズ10754:43タッチダウン(パス)1フラッコ→Pittaキック成功143
27:10自陣2149ERS10:15インターセプト
26:55敵陣38レイブンズ9243:55第4ダウン失敗
23:05自陣649ERS360:58パント
22:07自陣44レイブンズ3560:22タッチダウン(パス)56フラッコ→J.ジョーンズキック成功213
21:45自陣2049ERS8711:45フィールドゴール成功27エイカーズ216
前半終了
315:00レイブンズ0:16キックオフリターンTD108J.ジョーンズキック成功286
スタジアム内停電により中断(約30分間)
314:44自陣1449ERS4322:34パント
312:10自陣20レイブンズ4241:44パント
310:26自陣2049ERS7803:06タッチダウン(パス)31キャパニッククラブツリーキック成功2813
37:20自陣17レイブンズ3-81:33パント(32ydリターン)
35:47敵陣2049ERS2200:48タッチダウン(ラン)6Goreキック成功2820
34:59自陣20レイブンズ230:49ファンブルロスト
34:10敵陣2449ERS481:00フィールドゴール成功34エイカーズ2823
3-43:10自陣28レイブンズ12715:16フィールドゴール成功19タッカー3123
412:54自陣2449ERS5762:57タッチダウン(ラン)15キャパニックパス失敗3129
49:57自陣21レイブンズ10595:38フィールドゴール成功38タッカー3429
44:19自陣2049ERS8752:33第4ダウン失敗
41:46自陣5レイブンズ4-51:42セイフティ3431
40:0449ERS0:04試合終了
P=プレー数、TOP=タイム・オブ・ポゼッションPAT=ポイント・アフター・タッチダウン。 アメリカンフットボールの用語集 (enも参照。3431

AFC代表としてレイブンズ、NFC代表として49ersが進出した。レイブンズヘッドコーチのジョン・ハーボー、49ersヘッドコーチのジム・ハーボーは兄弟であり、史上初の「スーパーボウル兄弟対決」となった。また長年レイブンズの守備陣を支えたレイ・ルイスがシーズン終了時点での引退を表明しており、ルイスが優勝という形で選手生活を終えられるかという点にも注目が集まっていた。49ersでは新進QBコリン・キャパニックが注目の的となっていた。

レイブンズのキックオフで試合開始。最初の得点はQBジョー・フラッコのWRアンクワン・ボールディンへの13ヤード・タッチダウンパスでレイブンズが得る(「レイブンズ」7-「49ers」0)。49ersも直後の攻撃で相手陣8ヤードまで攻め込むがタッチダウンは奪えず、Kデイビッド・エイカーズのフィールドゴールに終わる(7-3)。

第2Q序盤は49ersが攻撃を進めたが、RBラマイケル・ジェームスがファンブルを犯しターンオーバーを許す。レイブンズはこれを最終的にフラッコからTEデニス・ピッタへのパスでタッチダウンにつなげた(エクストラ・ポイントも決まり14-3。以降失敗した場合を除きエクストラ・ポイントについては省略する)。再び49ersの攻撃となったが、今度はキャパニックのパスがレイブンズFSエド・リードにインターセプトされ、立て続けに不本意な形で攻撃権を失う。レイブンズは奪い返したボールを相手陣19ヤードまで持ち込む。ここからの攻撃が4thダウンとなったところでキッカーのジャスティン・タッカーが現れるが、タッカーは受けたボールを持ちランを敢行。49ers守備陣はゴール寸前でタッカーを押さえ込み、フェイクは未遂に終わらせた。しかし続く49ersの攻撃は自陣間際からのスタートとなり、ほとんど前進することができず、パントでボールをレイブンズに明け渡す。続くレイブンズの攻撃で、フラッコの56ヤードのパスがWRジャコビー・ジョーンズに渡り、相手ゴール際でそれを受けたジョーンズは49ers守備陣の追撃をかわしタッチダウン(21-3)。防戦一方だった49ersは前半終了間際に相手陣深くまで攻め込むが、エイカーズのフィールドゴールが決まった時点で前半終了となった(21-6)。

第3Qは49ersのキックオフで始まったが、ジャコビー・ジョーンズがこのリターンを108ヤードのランの末にタッチダウンに持ち込む(28-6)。このキックオフリターン・タッチダウンはポストシーズン最高記録である[5]。レイブンズの一方的な試合になりかけた矢先、会場のメルセデス・ベンツ・スーパードームが停電し、約30分間試合が中断する[6]。これを境に49ersが反撃に出る。第3Q中盤でキャパニックがWRマイケル・クラブツリーへのタッチダウン・パスを決めると(28-13)、レイブンズの反撃をOLBアーマド・ブルックスがフラッコをなぎ倒して断ち切り、直後の攻撃でもRBフランク・ゴアが相手エンドゾーンを陥れる(28-20)。さらにレイブンズRBレイ・ライスのファンブルからボールを奪い返すと、フィールド・ゴールを決める(28-23)。わずか5分で49ersが17点を奪い、5点差に詰め寄った。レイブンズはこのクォーターでDEハロティ・ナータを負傷で失う。

第4Qはまずレイブンズがフィールド・ゴールを決めるが(31-23)、直後に49ersがキャパニック得意のスクランブル・ランが飛び出しタッチダウンを奪う(31-29)。ここで49ersは同点を狙うべくツーポイント・コンバージョンを選択。だがキャパニックのWRランディ・モスを狙ったパスは高く外れ失敗に終わる。レイブンズはこの後の攻撃でフィールド・ゴールを決めるが(34-29)、依然1タッチダウンで逆転という情勢は変わらなかった。49ersは残り4分19秒時点で逆転勝利をかけて攻撃に乗り出す。49ersはタッチバックによる自陣20ヤードからの攻撃を、キャパニックのスクランブルやクラブツリーへの24ヤードパス、ゴアの33ヤードランを交えて進め、残り2分39秒時点で相手陣7ヤードに到達。この試合最大の山場が訪れた。1stダウン、ジェームスが2ヤードラン。2ndダウン、ボールを受けたキャパニックが右側へ流れながらクラブツリーへのパスを狙うが失敗。3rdダウン、キャパニックは再びエンドゾーン間際にいたクラブツリーを狙い、クラブツリーは一度はボールを掴んだが、レイブンズ守備陣のプレッシャーを受け落球(パス不成功)。4thダウン、三度クラブツリーへのパスを狙ったが、キャパニックのボールは高く外れ、逆転をかけた攻撃は終わった。ジム・ハーボーはこのプレイの時、レイブンズ守備陣がクラブツリーに対しパス・インターフェアランスを犯したと主張している[7]

ボールを得たレイブンズは、3度の攻撃をランで進め、最後はPサム・コックがパントをせずに自陣エンドゾーンを逃げ回った後、故意に外に出てセイフティを献上(34-31)。残り時間を最大限につぶした。49ersは残り4秒でのリターンに賭けたが、リターナーのテッド・ギン・ジュニアがハーフウェーライン付近でつかまり、万事休した。

MVPはジョー・フラッコ。フラッコはこの試合287ヤードを獲得し、3タッチダウン、インターセプトなしの活躍、プレーオフでもインターセプトなしの活躍であった[8]。レイ・ルイスは現役生活をスーパーボウルリングを手にして終えることになった[9]

停電

第3Q開始直後、34分間停電が続き、試合が中断された[10]。この停電に関して試合中、ソーシャルメディアに4,770万の投稿がされた[11]。停電前には、レイブンズが22点リードしていたが、その後、ナイナーズは一時2点差まで詰め寄った。この追い上げに停電が影響したか論議を呼んだ[12]。その後、スタジアムに電力を供給していた会社は、継電器が原因であったと公表した[13]

その後

2009年に現役を引退したが、特別に優勝リングを支給されていたジャマール・ルイスが2012年に破産宣告を受け、2015年2月に優勝リングの競売が行われ、50,820ドルで落札された[14]

スターティングラインアップ

ボルチモア・レイブンズポジションサンフランシスコ・49ers
オフェンス
トリー・スミス
Torrey Smith
WRマイケル・クラブツリー
Michael Crabtree
ブライアント・マッキニー
Bryant McKinnie
LTジョー・ステイリー
Joe Staley
ケレチ・オセメレ
Kelechi Osemele
LGマイク・アイウパティ
Mike Iupati
マット・バーク
Matt Birk
Cジョナサン・グッドウィン
Jonathan Goodwin
マーシャル・ヤンダ
Marshal Yanda
RGアレックス・ブーン
Alex Boone
マイケル・オアー
Michael Oher
RTアンソニー・デービス
Anthony Davis
アンクワン・ボールディン
Anquan Boldin
WRTEバーノン・デービス
Vernon Davis
ジャコビー・ジョーンズ
Jacoby Jones
WRランディ・モス
Randy Moss
デニス・ピタ
Dennis Pitta
TEデラニー・ウォーカー
Delanie Walker
レイ・ライス
Ray Rice
RBフランク・ゴア
Frank Gore
ジョー・フラッコ
Joe Flacco
QBコリン・キャパニック
Colin Kaepernick
ディフェンス
ハロティ・ナータ
Haloti Ngata
DTLDTレイ・マクドナルド
Ray McDonald
マーケ・キイモイアトゥ
Ma'ake Kemoeatu
DENTアイザック・ソポアガ
Isaac Sopoaga
アーサー・ジョーンズ
Arthur Jones
DERDTジャスティン・スミス
Justin Smith
テレル・サッグス
Terrell Suggs
OLBアーマド・ブルックス
Ahmad Brooks
ダネル・イラーブ
Dannell Ellerbe
ILBナバーロ・ボウマン
NaVorro Bowman
レイ・ルイス
Ray Lewis
ILBパトリック・ウィリス
Patrick Willis
コートニー・アップショー
Courtney Upshaw
OLBアルドン・スミス
Aldon Smith
コーリー・グレアム
Corey Graham
LCBカルロス・ロジャース
Carlos Rogers
ケアリー・ウィリアムズ
Cary Williams
RCBタレル・ブラウン
Tarell Brown
エド・リード
Ed Reed
FSデイション・ゴールドソン
Dashon Goldson
バーナード・ポラード
Bernard Pollard
SSドンテ・ウィットナー
Donte Whitner
スペシャルチーム
ジャスティン・タッカー
Justin Tucker
Kデビッド・エイカーズ
David Akers
サム・コック
Sam Koch
Pアンディ・リー
Andy Lee
ヘッドコーチ
ジョン・ハーボー
John Harbaugh
HCジム・ハーボー
Jim Harbaugh

トーナメント表

                  
2013年1月7日
M&Tバンク・スタジアム
 1月13日
スポーツオーソリティ・フィールド
     
 5 コルツ 9
 4 レイブンズ 38*
 4 レイブンズ 24  1月21日
ジレット・スタジアム
 1 ブロンコス 35 
AFC
2013年1月6日
リライアント・スタジアム
 4 レイブンズ 28
1月14日
ジレット・スタジアム
  2 ペイトリオッツ 13 
 6 ベンガルズ 13AFC チャンピオンシップ
 3 テキサンズ 28
 3 テキサンズ 19 2月4日
メルセデス・ベンツ・スーパードーム
 2 ペイトリオッツ 41 
ワイルドカード・プレーオフ 
ディビジョナル・プレーオフ
2013年1月6日
ランボー・フィールド
 A4 レイブンズ 34
1月13日
キャンドルスティック・パーク
  N2 49ers 31
 6 バイキングス 10第47回スーパーボウル
 3 パッカーズ 31
 3 パッカーズ 24  1月21日
ジョージア・ドーム
 2 49ers 45 
NFC
2013年1月7日
フェデックス・フィールド
 2 49ers 28
1月14日
ジョージア・ドーム
  1 ファルコンズ 24 
 5 シーホークス 24NFC チャンピオンシップ
 5 シーホークス 28
 4 レッドスキンズ 14 
 1 ファルコンズ 30 
  • 対戦カード及びスタジアムはシード順で決定され、そのラウンドに登場する最上位チームが最下位チームとホームで対戦、残った2チームが上位チームのホームで対戦する(つまり、ワイルドカードプレーオフの第3シード対第6シードの結果によって、ディヴィジョナルプレーオフの対戦カードが決まる)。
  • スーパーボウル開催地は事前にオーナー会議で決定。
  • チーム名の左の数字は、2012年レギュラーシーズンの結果に基づいて決定されたシード順。
  • * 延長戦決着
  • 日付はアメリカ東部時間

放送

CBSが担当する。CMの放送枠が過去最高の30秒あたり380万ドルで販売されている。7月初め時点ですでに80%の放送枠が売却済みとなっている[15]。放送終了後には『Elementary』が放映される予定になっている[16]

ニールセンの調査によると、全米で1億840万人が観戦、歴代3位の視聴者数であった[11]

日本ではBS放映権を持つNHK BS1に加え、日テレG+でも生中継された。

脚注