コンテンツにスキップ

衛武営国家芸術文化中心

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中華民国の旗 中華民国行政機関
衛武営国家芸術文化中心
National Kaohsiung Center of the Arts
衛武営国家芸術文化中心外観
衛武営国家芸術文化中心外観
役職
芸術総監簡文彬中国語版
組織
上部組織行政法人国家表演芸術中心中国語版
概要
設置2007年9月1日
改称2018年9月10日
前身衛武営芸術文化中心準備処
台湾 高雄市鳳山区南京路449之1号
https://www.wac.gov.tw/)
ウェブサイト
http://www.npac-weiwuying.org/
下記#組織機構を参照。
テンプレートを表示
衛武営国家芸術文化中心
地図
各種表記
繁体字衛武營國家藝術文化中心
簡体字卫武营国家艺术文化中心
拼音Wèiwǔyíng Guójiā Yìshù Wénhuà Zhōngxīn
通用拼音Wèiwǔyíng Guójiā Yìshù Wunhuà jhōngsīn
注音符号ㄨㄟˋ ㄨˇ ㄧㄥˊ ㄍㄨㄛˊ ㄐㄧㄚㄧˋ ㄕㄨˋㄨㄣˊ ㄏㄨㄚˋㄓㄨㄥ ㄒㄧㄣ
ラテン字Wei wu ying Kuo chia I shu Wen hua Chung hsin
発音:ウェイウーイン グゥオジャー イーシュ ウェンファ ヂョンシン
台湾語白話字Ōe-bú-iâⁿ Kok-ka Gē-su̍t Bûn-hoà Tiong-sim
日本語漢音読みえいぶえい こっか げいじゅつ ぶんか ちゅうしん
日本語慣用読みえいぶえい こっか げいじゅつ ぶんか センター
英文National Kaohsiung Center for the Arts
テンプレートを表示

衛武営国家芸術文化中心(えいぶえいこっかげいじゅつぶんかちゅうしん、繁体字中国語: 衛武營國家藝術文化中心英語: National Kaohsiung Center for the Arts)、または衛武営国家芸術文化センター台湾高雄市鳳山区衛武営都会公園中国語版北東角にある舞台芸術用大型コンサートホールとその運営主体となる行政法人の名称。15年の歳月と107.5億ニュー台湾ドルを投じた[1][2]、台湾最大規模の文化インフラ事業であり[3]台北市国家両庁院1987年)、台中市台中国家歌劇院2016年)に次いで3つ目の、台湾南部では初の国立ホールとなる。このホールは中華民国文化部衛武営芸術中心準備処が整備を進め、開館直前に同部傘下の行政法人国家表演芸術中心中国語版の運営へ移管された。

概要

フランシーン・フーベン

衛武営中国語版は元々は1950年代中華民国陸軍が台湾南部高雄県鳳山市内(現・高雄市鳳山区)で使用していた軍営地であり、日本統治時代は軍用倉庫だった[4]1979年以降は軍事用途での使用を終えて運営組織も移転していた[5]

2002年に高雄県政府により公園用地としての転用が計画され[6]、翌年に正式決定される。都市公園、アートセンターと商業施設を三位一体で再開発するプロジェクトで、アートセンターは陳水扁政権下で行政院の公共事業政策「新十大建設」の一つに組み込まれた[7]。総面積66.6ヘクタールのうちアートセンターと商業施設で各10ヘクタール、残りが衛武営都会公園となる。

設計はオランダデルフトを拠点とする建築事務所メカノー英語版(Mecanoo architecten)に所属するオランダ人建築家のフランシーン・フーベン英語版(Francine Houben)が手がけ[8]、デザインは外観(断面)、内部ともガジュマルをモチーフにしている[9]

施工は台湾の建国工程公司、中興電工公司、世益機電公司が担当した[10]

沿革

建設中の文化中心(2012年)建設現場を視察する
行政院長張善政(2016年3月)
衛武営都会公園の案内図開幕式典

受賞

  • 中華人民共和国の旗 中国の建築デザイン業界が主催する「Idea-Tops Award」のデジタル建築部門で2017年のベスト・アワードを受賞[22][23]
  • 中華民国の旗 巨思文化股份有限公司の雑誌「Shopping Design」主催のTaiwan Design Best 100で2018年度建築及空間規劃奨[24]
  • アメリカ合衆国の旗 米国のウェブマガジン「アーキタイザー」主催の『Architizer A+ Awards 2019』劇場部門でJury Award(審査員賞)およびPopular Choice Award(人気チョイス賞)を獲得[25][26][27]

建築仕様

衛武営国家芸術文化中心
National Kaohsiung Center for the Arts, Weiwuying
情報
通称衛武営芸術文化中心、衛武営文化センター、衛武営アートセンター
正式名称衛武營國家藝術文化中心
完成2017年10月31日
開館2018年10月13日
開館公演(音楽会)揭幕-璀璨閃耀[28]
客席数[1]5,860席
歌劇院:2,236席
戯劇院:1,209席
音楽庁:1,981席
表演庁:434席
(+野外劇場:約1,000人)
延床面積[29]46,102坪)
152,400m²
用途劇場
設計オランダの旗 フランシーン・フーベン英語版
運営行政法人 衛武営国家芸術文化中心
所在地台湾高雄市鳳山区三多一路1号
位置北緯22度37分24秒 東経120度20分34秒 / 北緯22.62333度 東経120.34278度 / 22.62333; 120.34278 (衛武営国家芸術文化中心
National Kaohsiung Center for the Arts, Weiwuying
)
東経120度20分34秒 / 北緯22.62333度 東経120.34278度 / 22.62333; 120.34278 (衛武営国家芸術文化中心
National Kaohsiung Center for the Arts, Weiwuying
)
アクセス高雄捷運衛武営駅
テンプレートを表示

2,236席のオペラハウス、1,981席のコンサートホール、1,209席の劇場、434席の舞台芸術場の4つの室内ホールと南側の衛武営都会公園中国語版の中央草坪と呼ばれる芝生エリアと繋がっている3万人収容可能な野外ホールで構成されている。建設には100万工数を要し、杭基礎は長さ30-40メートルで台北101の倍以上となる789本、コンクリート使用量は13万立方メートル、土砂の開削量はオリンピックサイズ・プール230個分、そのうち地下室は52万立方メートルとなる。鉄骨はパリエッフェル塔の3本分に相当する21,000トンが使用され、独特の設計により鉄骨の組立難度は中国・北京鳥の巣を超えるとされている[30][29]。歌劇院と戯劇院の舞台設備はオーストリアの舞台設備業ワーグナー・ビロ英語版(Waagner Biro AG)が担当した[31]

建設中の文化中心(2012年)
建造中の屋根(2012年)
建設中の文化中心(2016年)メカノーのデザイン図面

北側は三多一路、東側は国泰路二段、西側と南側は衛武営都会公園に面している。

屋根

総表面積31,000平方メートルで、衛武営専用に設計され10キロパスパルの耐風圧性能で4.4キロパスカル、17級(日本で『猛烈な台風』とされる風速54メートル[32])の大型台風の2.5倍の安全係数を確保している。屋根は4,600枚のパーツで構成され、個別にシリアルナンバーが割り振られている。防音性能は空気音で40デシベル、降雨時の雨滴衝撃は37デシベルに抑制。一体成型された3D屋根板は工場で製造後に台湾へ空輸され現地で換装された。

断面はガジュマルの森林をモチーフに、内部も木々に内包された空間をイメージしている。屋根は不規則な曲面で大海原[33][34]、あるいはシロエイ[35]をイメージしている。

榕樹廣場

各ホールを連結する廊下の役割も果たし、総面積23,000平方メートルに達するガジュマル広場(榕樹廣場)は世界最大級の一枚構造空間で不規則な曲面を描いている。地場産業でもあった造船技術を活用し、大型船の航海を表現している。ユニットごとに1.2-2.4トンにもなる21区画、1,117本のパーツが搬入された。照明などの備品を吊り下げるハンガーは屋根板と直結され、地震エネルギー、熱変形、強風を吸収する設計[29]。天板はあえて溶接箇所を残すことで、造船、甲板をイメージさせている[35]

音響設計

遮音ドアの防火性能は台湾で唯一国内の安全基準であるCNS規格を通過している。戯劇院の遮音ドアは高さ11メートル、幅4メートルで劇場向けとしては世界最大級[29]

歌劇院

建屋中央に位置する。2,260席の一般席のほか、オーケストラピット(楽池席)と呼ばれる舞台にもなる可動式座席が1階に110席、バリアフリー席が28席(障害者と同伴人用が14席ずつ)の計2,236席(1階698席、2階542席、3階534席、4階462席)[36]。オペラなどに適した暗紅色系の装飾となっている[29]

戯劇院

建屋西側に位置する。一般席952席、オーケストラピット(楽池席)164席、文武場席[註 1]48席、バリアフリー席26席などの計1,210席(1階382席、2階557席、3階271席)[37](※施工事業者の表記では1254席[29])。

音楽庁

建屋南東角に位置する。一般席1,763席(1階272席、2階915席、バリアフリー28席)、合唱席(6席)が舞台を取り囲むように配されている[38]。コンサートホールには台湾のみならずアジア最大となるパイプ数9,085本のシンフォニック・オルガンパイプオルガン)が設置されていて、パイプの造形も竹林をイメージさせたものに仕上がっている[39]。パイプオルガンの製作はドイツヨハネス・クライス・オルガン工房ドイツ語版(Johannes Klais Orgelbau GmbH & Co. KG)が担当している[40][41][9]。天井の可動式反響板は高さ17.8、14、9メートルの3段階で調整が可能で、クラシックコンサート以外の様々な演目にも対応可能[35]

表演庁

建屋北東角に位置する。一般席405席、ボックス席(包廂席、2階左手)15席、バリアフリー席12席の計434席(1階221席、2階213席)[42](※施工事業者の表記では470席[29])。

野外劇場

正式名称は「露天階梯舞台」。曲面屋根から連続した勾配をそのまま利用し、野外ホールの客席に仕上げている。1,000人規模の集客に対応[35]

榕樹廣場モチーフとなったガジュマルの木々樹冠ホールのサービスセンター
音楽庁の竹林風パイプオルガン野外劇場駐車場と入口

組織機構

簡文彬

組織沿革

  • 2006年3月15日 - 行政院文化建設委員会が「衛武営芸術文化中心準備処(タスクチーム)設立[12]
  • 2007年9月1日 - 「衛武営芸術文化中心準備処暫行組織規程」(8月30日公布)に基づき、文建会傘下に正式な部署「衛武営芸術文化中心準備処繁体字中国語: 衛武營藝術文化中心籌備處)」発足。
  • 2012年5月 - 文建会が「文化部」に昇格、準備処は文化部の四級機構となる。
  • 2014年
    • 4月2日 - 「国家表演芸術中心設置条例」(1月29日公布)に基づき文化部傘下に国家表演芸術中心中国語版が発足[43]
    • 4月7日 - 初開催の表演中心董事会で初代芸術総監(アートディレクター)に台湾人オーケストラ指揮者簡文彬中国語版(チェン・ウェンピン)を選出。
  • 2015年
    • 1月1日 - 国家表演芸術中心傘下に衛武営運営推進小組(作業部会)が発足、簡文彬が議長に就任。
  • 2018年
    • 9月10日 - 衛武営国家芸術文化中心の所有が準備処から国家表演芸術中心に移転、これに先立ち準備処は8月31日に看板撤去式典を開催している[44]

歴代首長

文化部衛武営芸術文化中心準備処主任
姓名就任時期退任時期備考
1林朝號2007年9月2011年12月
朱俊德2011年12月2012年4月副主任代理
2陳善報2012年4月2014年1月
3盧本善2014年1月2018年9月10日正式移交
国家表演芸術中心衛武営運営推進作業部会議長(國家表演藝術中心衛武營營運推動小組召集人
姓名就任時期退任時期備考
1簡文彬中国語版2015年1月現任国家芸術文化中心正式成立前の運営計画策定など。芸術総監に任命されていた簡が召集人を兼任。
衛武営国家芸術文化中心芸術総監(アートディレクター)
姓名就任時期退任時期備考
1簡文彬2018年9月10日

交通

脚注

註釈

出典

関連項目

外部リンク

中華民国文化部
https://www.search.com.vn/wiki/?lang=ja&title=衛武営国家芸術文化中心&oldid=100193574」から取得
🔥 Top keywords: メインページ飯豊まりえ高橋一生石丸伸二特別:検索キダ・タロー廣瀬智紀弥助三淵嘉子川栄李奈羽賀研二葛西美空岸辺露伴は動かない秋元優里鈴村健一ユージ虎に翼山崎育三郎STARTO ENTERTAINMENT乙黒えり出口夏希窪塚愛流木田美千代緒方賢一Never young beach田村正和ニューカレドニア猿の惑星シリーズマイケル・ゴードンプロポーズ大作戦 (テレビドラマ)スロバキア麿赤兒浅野温子笠松将竜とそばかすの姫堀田賢慎ラナルド・マクドナルド伊倉愛美仲野太賀