近江鉄道100形電車 (2代)

近江鉄道の通勤型電車
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近江鉄道100形電車(おうみてつどう100けいでんしゃ)は、西武鉄道より新101系および301系を譲受・改造して導入した近江鉄道通勤形電車である[12]。形でけいと読む。

近江鉄道100形電車(2代)
100形102編成
2015年11月貴生川駅にて
基本情報
運用者近江鉄道
製造所東急車輛製造
西武所沢車両工場[1]
種車西武101系電車[2]
製造年1979年1981年 [1]
改造所近江鉄道電車区[5][6]
導入年2013年 - 2018年[3][4][5][6]
総数10両[7]
運用開始2013年12月17日[8]
主要諸元
軌間1,067[9] mm
電気方式直流1,500 V[9]
最高運転速度70[11] km/h
車両定員115人
座席定員45人[11]
車両重量40.0 t [11]
全長20,000[10] mm
車体長19,500[10] mm
全幅2,846[10] mm
車体幅2,800[10] mm
全高4,246[10] mm
車体高3,663[10] mm
床面高さ1,150 mm[10]
車体普通鋼
台車FS-372[11]
車輪径860 mm[10]
固定軸距2,200 mm[10]
台車中心間距離13,600 mm[10]
主電動機HS-836-Nrb Prb[11]
主電動機出力150 kW [11]
搭載数4[11]基 / 両
駆動方式中空軸平行カルダン駆動
歯車比5.73 (86:15) [11]
制御方式抵抗制御直並列組合せ制御
電動カム軸式間接自動制御[11]
制御装置MMC-HTB-20E[11]
制動装置HSC-D [11]
保安装置ATS
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以下、本項では100形電車を「本系列」と記述し、各編成の近江八幡貴生川方先頭車であるモハ100形の車両番号を編成呼称とする(101-1101の編成であれば「101編成」)。

概要

モハ1101の車内
2020年2月、近江八幡駅にて
モハ102の車内
2015年5月、近江八幡駅にて
モハ1102の運転席
2020年3月
モハ1101のLED式側面行先表示装置
2019年11月、近江八幡駅にて

2009年(平成21年)に西武鉄道より譲り受けた新101系電車[13][14]を自社電車区にて改造、モハ100形+モハ1100形[注釈 1]として5編成を2013年(平成25年)から2018年(平成30年)にかけて導入した[3][4][5][6]。近江鉄道において「100形」の形式称号は過去に元岳南鉄道1100形電車を譲り受けて導入した車両群に付与されており、本系列はそれに続く二代目となる[15]。101編成にのみ「湖風号」の愛称ロゴが貼付されている。

導入に際して、900形同様、ワンマン運転対応改造、行先表示器LED化、バリアフリー対応改造などが施行された[12]。側面にローマ字入りLED行先表示器を新設しているほか、車内の運賃表示器液晶ディスプレイであること、優先席のクロスシート化は施行されていない点などと車体塗装が900形と異なる[15][12]。104編成以降では扉の開閉時に作動するドアチャイム、表示灯が新設された。

また、元301系電車を種車とする104編成・105編成については、中間電動車モハ301形に制御車クハ1301形の先頭部構体を移設して先頭車化改造を施工しており、同2編成については乗務員扉直後の側窓がないことが他編成と異なる[16][17][5]

滋賀県東部を走る鉄道会社として県内全域に親しみを持ってもらうことを目指し、琵琶湖をイメージした水色(オリエントブルー)に帯を巻いた車体塗装が採用された[8][12]

主要機器は西武時代と大きな変化はない[12]。900形では制動装置が西武時代のHSC電磁直通ブレーキから近江鉄道に在籍する他形式同様にHRD-1電気指令ブレーキに改造されたが、100形ではHSCのままとなった[15][12]

編成

編成ごとの特徴を下表にまとめる。西武在籍時の種車の前面排障器(スカート)装着の有無をそのまま受け継いでいる[1][18]ほか、座席モケットの色や、車内へのLED式扉開閉表示灯の設置有無、また元301系を種車とする104編成、105編成では運転台直後の窓がないなどの相違がある[16][17][5]

車両番号モハ101-モハ1101モハ102-モハ1102モハ103-モハ1103モハ104-モハ1104モハ105-モハ1105
写真
2020年1月23日撮影
2020年3月16日撮影
2019年12月17日撮影
2019年8月9日撮影
2019年11月15日撮影
近江入籍2013年12月27日[3]2014年4月23日[4]2014年12月21日[4]2017年10月3日[5]2018年10月12日[6]
近江営業開始2013年12月17日[8]2014年4月23日2014年12月11日2017年10月21日2018年10月
スカート
運転台直後窓
近江入線時の座席色
扉開閉表示器
西武番号クモハ295-クモハ296[19]クモハ285-クモハ286[18][7]クモハ281-クモハ282[7]モハ303-モハ304[5]モハ309-モハ310[6]
製造所[1]東急東急東急西武所沢西武所沢
製造日[1]1979年7月11日1979年7月5日1979年7月5日1981年2月5日1981年7月1日
西武廃車日[13]2012年11月26日2012年12月28日2012年12月28日2012年11月26日2012年12月28日
備考

「湖風号」の愛称付

「湖風号」ロゴ
  クハ1303-クハ1304の運転台取付[16]
LED式扉開閉表示灯

クハ1309-クハ1310の運転台取付

また、同社の"2022年度安全報告書"において、2021年12月に発生した脱線事故への対策として100形を対象にスノープラウを取り付ける旨が発表された。

2022年12月頃より、102編成と103編成にスノープラウが新たに取り付けられた[20]

運用

101編成は2013年(平成25年)12月17日に近江八幡駅にて出発式が行われ、近江八幡 - 八日市間にて運行された臨時快速列車で運用開始[8][21]、12月21日・22日に彦根車庫で一般公開されている[8][21]。当初は高宮駅の車両限界に抵触するため多賀線を除く各線で運用[8]され、対応工事が完了し多賀線にも入線[22]、以降は全線で運転されている。102編成は運用開始前、西武時代の黄色塗装で試運転が行われている[23]。各種ヘッドマークを取り付けて運転されることもある[24][25][26]

2023年5月、100系では初の全面ラッピングが104編成に実施された。特定健康診査・がん検診の受診を啓発する滋賀県のキャラクター「しがのハグ&クミ」をメインにした広告編成となった[27][注釈 2]

関連項目

他社の西武新101系の譲渡車

脚注

注釈

出典

参考文献

雑誌記事

  • 鉄道ピクトリアル』通巻881号「鉄道車両年鑑2013年版」(2013年10月・電気車研究会
    • 「車両データ - 2012年度(民鉄車両)」 pp. 217-228
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻884号「【特集】西武鉄道」(2013年12月・電気車研究会)
    • 柴田東吾「西武101系・301系の足跡」 pp. 205-212
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻896号「鉄道車両年鑑2014年版」(2014年10月・電気車研究会)
    • 岸上明彦「2013年度民鉄車両動向」 pp. 119-145
    • 近江鉄道(株)鉄道部工務課電車区 橋本雄馬「近江鉄道 900形・100形」 pp. 178
    • 「民鉄車両諸元表」 pp. 196-199
    • 「車両データ - 2013年度(民鉄車両)」 pp. 224-235
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻909号「鉄道車両年鑑2015年版」(2015年10月・電気車研究会)
    • 「車両データ - 2014年度(民鉄車両)」 pp. 237-248
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻951号(2018年10月・電気車研究会)
    • 岸上明彦「2017年度 民鉄車両動向」 pp. 149-165
  • 『私鉄車両編成表 2019』(2019年7月・交通新聞社
    • 「近江鉄道」 pp. 118
    • 「私鉄(JR各線を除く民鉄各企業体)全路線」 pp. 209-219
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻965号(2019年10月・電気車研究会)
    • 岸上明彦「2018年度 民鉄車両動向」 pp. 121-146
  • 『トラベルMOOK 新しい西武鉄道の世界』(2019年10月・交通新聞社)
    • 柴田東吾「戦後の西武電車の車歴」 pp. 54-69

Web資料