300勝クラブ
300勝クラブ(さんびゃくしょうクラブ、英語: 300 win club)とはメジャーリーグベースボールにおいて、通算300勝以上を達成した投手の集団。現在24人が達成している。通算300勝の達成は、投手のアメリカ野球殿堂入りの基準の一つとされ[1]、薬物疑惑のロジャー・クレメンスを除いて全員が殿堂入りしている。
歴史
300勝クラブは1888年にパッド・ガルヴィンが300勝を達成したことで始まった[2]。19世紀の間にはガルヴィンを含め6人の投手がメンバー入りし、1901年にサイ・ヤングもメンバーとなっている[2]。この時代は2人の優れた投手による先発ローテーション制が一般的で、好投手が勝利を得る機会は現在よりも非常に多かった[3]。その後1924年までに4人が達成している。
しかし1925年から1981年の間に300勝を達成した投手はたった3人だった[2](そのうちアーリー・ウィンとレフティ・グローブの2人は現役最後の勝利で達成[2])。これは1921年のスピットボールの廃止や、第二次世界大戦が原因となっている[4](第二次世界大戦が原因で300勝達成できなかった投手として、ボブ・フェラーやレッド・ラフィングが挙げられる[4])。またベーブ・ルースの台頭により本塁打が試合の重要な部分を占めるようになり、この当時から投手有利の時代ではなくなっている[4]。同時に1920年代には投手4人の先発ローテーション制が確立されている[3]。
1982年から1990年の間に300勝クラブは6人の新たなメンバーを迎えている[2]。これは1970年代中盤から始まるフリーエージェント時代の結果と推測される。フリーエージェント制度は選手の年俸を引き上げ、多くの高齢の投手が以前よりも現役にとどまることを促進させた。もう1つの要因はトレーニング方法とスポーツ医学が発達し、選手の体のレベルをより長く維持できるようになったことである。先発5人によるローテーションの普及により、先発投手の負担が軽減されたことも300勝投手増加につながった[4]。
その後10年以上300勝投手は現れなかったが、2003年から2009年に同年代の4投手が相次いでメンバーに加わった[2]。
メンバー
凡例
アメリカ野球殿堂入り | 現役選手 |
順位 | 投手 | 勝利数 | 300勝達成日 | 達成したチーム | 達成年齢 | 最多勝獲得回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | サイ・ヤング | 511 | 1901年7月3日 | ボストン・レッドソックス | 34 | 5 |
2 | ウォルター・ジョンソン | 417 | 1920年5月14日 | ワシントン・セネタース | 32 | 6 |
3 | ピート・アレクサンダー | 373 | 1924年9月20日 | シカゴ・カブス | 37 | 6 |
4 | クリスティ・マシューソン | 373 | 1912年6月28日 | ニューヨーク・ジャイアンツ | 32 | 4 |
5 | パッド・ガルヴィン | 365 | 1888年6月4日 | ピッツバーグ・パイレーツ | 31 | 0 |
6 | ウォーレン・スパーン | 363 | 1961年8月11日 | ミルウォーキー・ブレーブス | 40 | 8 |
7 | キッド・ニコルズ | 361 | 1900年9月7日 | ボストン・ビーンイーターズ | 30 | 3 |
8 | グレッグ・マダックス | 355 | 2004年8月7日 | シカゴ・カブス | 38 | 3 |
9 | ロジャー・クレメンス | 354 | 2003年6月13日 | ニューヨーク・ヤンキース | 40 | 4 |
10 | ティム・キーフ | 342 | 1890年6月4日 | ニューヨーク・ジャイアンツ | 33 | 2 |
11 | スティーブ・カールトン | 329 | 1983年9月23日 | フィラデルフィア・フィリーズ | 38 | 4 |
12 | ジョン・クラークソン | 328 | 1892年9月21日 | クリーブランド・スパイダーズ | 31 | 3 |
13 | エディ・プランク | 326 | 1915年9月11日 | セントルイス・テリアズ | 39 | 0 |
14 | ノーラン・ライアン | 324 | 1990年7月31日 | テキサス・レンジャーズ | 43 | 0 |
15 | ドン・サットン | 324 | 1986年6月18日 | カリフォルニア・エンゼルス | 41 | 0 |
16 | フィル・ニークロ | 318 | 1985年10月6日 | ニューヨーク・ヤンキース | 46 | 2 |
17 | ゲイロード・ペリー | 314 | 1982年5月6日 | シアトル・マリナーズ | 43 | 3 |
18 | トム・シーバー | 311 | 1985年8月4日 | シカゴ・ホワイトソックス | 40 | 3 |
19 | チャールズ・ラドボーン | 309 | 1891年5月14日 | シンシナティ・レッズ | 36 | 2 |
20 | ミッキー・ウェルチ | 307 | 1890年8月11日 | ニューヨーク・ジャイアンツ | 31 | 0 |
21 | トム・グラビン | 305 | 2007年8月5日 | ニューヨーク・メッツ | 41 | 5 |
22 | ランディ・ジョンソン | 303 | 2009年6月4日 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 45 | 1 |
23 | レフティ・グローブ | 300 | 1941年7月25日 | ボストン・レッドソックス | 41 | 4 |
24 | アーリー・ウィン | 300 | 1963年7月13日 | クリーブランド・インディアンス | 43 | 2 |
- は現役投手(2023年現在ではいない)
- 2023年シーズン終了時
達成が近い現役投手
投手 | 勝利数 | チーム | 年齢 | 最多勝獲得回数 |
---|---|---|---|---|
ジャスティン・バーランダー | 257 | ヒューストン・アストロズ | 40 | 4 |
- データは2023年シーズン終了時
400勝達成者
400勝達成者はサイ・ヤングとウォルター・ジョンソンの2人のみ。
達成者
選手 | 勝利数 | 400勝達成日 | 達成年齢 | 達成時の在籍チーム |
---|---|---|---|---|
サイ・ヤング | 511 | 1904年[5]9月20日[6] | 37 | ボストン・レッドソックス |
ウォルター・ジョンソン | 417 | 1926年[7]4月27日[8] | 38 | ワシントン・セネタース |
脚注
関連項目
- メジャーリーグ
- 日本プロ野球