Bcr-Abl oncoprotein oligomerisation domain | |||||||||
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Bcr-Ablがんタンパク質のオリゴマー化ドメインの構造 | |||||||||
識別子 | |||||||||
略号 | Bcr-Abl_Oligo | ||||||||
Pfam | PF09036 | ||||||||
InterPro | IPR015123 | ||||||||
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BCR(breakpoint cluster region protein)は、ヒトではBCR遺伝子にコードされるタンパク質である。BCR遺伝子は、フィラデルフィア染色体と関係したBCR-ABL融合遺伝子を構成する2つの遺伝子のうちの一方である。BCR遺伝子には、異なるアイソフォームをコードする2種類の転写バリアントが見つかっている。
BCR-ABL融合タンパク質に関しては多くの研究がなされている一方で、正常なBCR遺伝子産物の機能はいまだ明確ではない。BCRタンパク質はセリン/スレオニンキナーゼ活性を持ち[5]、またRhoA(英語版)に対するグアニンヌクレオチド交換因子[6]、Rac(英語版)に対するGTPアーゼ活性化タンパク質として機能する[7]。
22番染色体と9番染色体(英語版)との間の相互転座によって形成されるフィラデルフィア染色体は、慢性骨髄性白血病の患者にみられることが多い。この転座における22番染色体上の切断点はBCR遺伝子内に位置している。この転座によって、BCR遺伝子と9番染色体上の切断点に位置するABL遺伝子の双方に由来する配列からBCR-ABL融合タンパク質が産生されるようになる[5]。
BCR-ABLがんタンパク質のオリゴマー化ドメインはBCRのN末端に位置し、この融合タンパク質の発がん性に必要不可欠である。オリゴマー化ドメインはN末端の短いヘリックス(α1)、柔軟なループ、そしてC末端の長いヘリックス(α2)から構成される。これらはN字型構造を形成し、2つのヘリックスは平行な向きに並ぶ。2つの単量体ドメインは、α2ヘリックスの間での逆平行コイルドコイルの形成、そしてα1ヘリックス間のドメインスワッピングによって一方のα1ヘリックスがもう一方のα2ヘリックスに対してパッキングすることで二量体を形成する。その後、2つの二量体が四量体へと結合する[8]。BCR-ABLがんタンパク質の逆平行コールドコイルドメイン(BCR30-65)を開始構造とした構造ベースの改変によって、pH感受性のホモ二量体逆平行コイルドコイルが作出されている[9]。
BCRは次に挙げる因子と相互作用することが示されている。