不朽の自由作戦

OEFから転送)

不朽の自由作戦(ふきゅうのじゆうさくせん、: Operation Enduring Freedom、略称: OEF)は、2001年9月11日アメリカ同時多発テロ事件の報復として、同事件の首謀者と断定された国際テロ組織アルカーイダを隠匿している疑いがあるとされたアフガニスタンターリバーン政権に対して、アメリカ合衆国イギリスの両国により、2001年10月7日に開始され、2014年12月28日に終結した[11]一連の軍事作戦の総称である。

不朽の自由作戦

不朽の自由作戦の一環としてアラビア海で対テロ任務を行う五か国連合艦隊。左上から右下にイタリア海軍マエストラーレ級フリゲートフランス海軍ド・グラースアメリカ海軍の空母ジョン・C・ステニス、フランス海軍の空母シャルル・ド・ゴール、フランス海軍のシュルクーフ、アメリカ海軍のポート・ロイヤルイギリス海軍オーシャン、アメリカ海軍の空母ジョン・F・ケネディ、イタリア海軍のデ・ラ・ペンネ級駆逐艦オランダ海軍ヴァン・アムステルである。
戦争対テロ戦争[1]
年月日2001年10月7日 - 2014年12月28日[2]
場所:アフガニスタン南部、東部のパキスタンとの国境地帯、インド洋など[3]
結果:多国籍軍の戦闘作戦は終了し、その後はアフガニスタン軍などの治安部隊に訓練や助言を行う『確固たる支援任務』に引き継がれる[4]
交戦勢力
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
アフガニスタン・イスラム共和国の旗 アフガニスタン
北大西洋条約機構の旗 NATO
国際治安支援部隊の旗 国際治安支援部隊
ターリバーンの旗 ターリバーン
アルカーイダの旗 アルカーイダ
指導者・指揮官
アメリカ合衆国の旗 ジョージ・W・ブッシュ
アメリカ合衆国の旗 バラク・オバマ
アフガニスタン・イスラム共和国の旗 ブルハーヌッディーン・ラッバーニー
アフガニスタン・イスラム共和国の旗 ハーミド・カルザイ
アフガニスタン・イスラム共和国の旗 アシュラフ・ガニー
ターリバーンの旗 ムハンマド・オマル
ターリバーンの旗 アブドゥル・ガニ・バラダル
ターリバーンの旗 アフタル・ムハンマド・マンスール
アルカーイダの旗 ウサーマ・ビン・ラーディン
アルカーイダの旗 アイマン・ザワーヒリー
戦力
ISAF約10万2052人
(うち米軍6万8000人)
後に米軍3万人増派
NATO軍7000人増派[5]
新政府陸軍17万4000人
新政府空軍7000人
新政府軍計18万1000人[6]
タリバン5万8000人~10万人[7]
アルカイダ数十~500人[8]
損害
多国籍軍3587人戦死[9]
民間人4万6000人犠牲[10]
タリバン5万3000人戦死[10]
アフガニスタン紛争 (2001年-2021年)

概要

OEFはアメリカのブッシュ政権によって「対テロ戦争」(War on Terror)の一環と位置づけられ、国際テロの脅威を防ぐための防衛戦として始められた。当初の名称は「Operation Infinite Justice」(限りなき正義作戦。「無限の正義」「究極の裁き」とも訳す)であったが、"Infinite"はイスラム教ではアッラーフを意味することがあり、イスラム法学者から「究極の正義を意味するのなら、それはアッラーフのみが与えることができるので不適切」と批判を受けた。そのため、作戦名を改めたものである。

現在、アフガニスタンを含む中央アジア地域をはじめとし(OEF-A)、東南アジア(OEF-P、フィリピンにおける不朽の自由作戦)、アフリカの角(OEF-HOA、アフリカの角における不朽の自由作戦)、トランス・サハラ/サヘル(OEF-TS、トランス・サハラにおける不朽の自由作戦 )地域を含む世界6箇所で作戦が展開されている[12]

通常、「OEF」は2001年10月7日に米英両軍による攻撃で始まったアフガニスタン戦争における軍事作戦の名称を意味するため、本項においても、アフガニスタンにおけるOEF即ちOEF-Aについてのみ記述する(→アフガニスタン紛争 (2001年-2021年))。

法的根拠

不朽の自由作戦(OEF)は、国際連合安全保障理事会決議によって認められた集団安全保障措置としての軍事行動ではない。OEFの法的根拠は、国連憲章第51条の規定に基づき、攻撃開始の当日である2001年10月7日に米英両国により安保理に提出された書簡にあるとされている。

安保理議長に宛てたこの書簡で、当時のジョン・ネグロポンテ米国連大使は以下のように述べている。

"In accordance with Article 51 of the Charter of the United Nations, I wish, on behalf of my Government, to report that the United States of America, together with other States, has initiated actions in the exercise of its inherent right of individual and collective self-defence following the armed attacks that were carried out against the United States on 11 September 2001."[13]

すなわち、国連憲章第51条の報告義務の規定に基づき、米国は「他の諸国とともに個別的又は集団的な固有の自衛の権利の行使として行動を開始した」[14]ことを、安保理に報告しているのである。したがって、OEFは国連では、米国及びその同盟国が個別的又は集団的自衛権の行使として行った「武力行使」であると認識(recognize)されている。この「認識」は、2001年9月12日安保理決議1368号の前文にて以下のように明記されている。

原文:

"Recognizing the inherent right of individual or collective self-defence in accordance with the Charter,"[15]

和文:

「憲章に従って、個別的又は集団的自衛の固有の権利を認識し、」[16]

作戦内容

2007年10月時点、アフガニスタンではOEFの名の下に以下の作戦が実施されている[17]

  • アフガニスタン南部、南東部、東部のパキスタン国境付近を対象とした対テロ掃討作戦
  • アフガン警察(Afghan National Police: ANP)の整備
  • アフガン軍(Afghan National Army: ANA)の整備


アフガン軍の整備は、2004年4月の「アフガニスタン治安支援国会合」の枠組みの定めに従ってアメリカ合衆国が担当しているが、アフガン警察の整備についてはこれまでドイツが担当していた[18]。しかしNATOの増派要請に応える見返りとして、ドイツは警察整備の責務移管をEUに要請。2007年5月14日欧州委員会はこの要請に応じてEUのアフガン専任警察支援組織「EUPOL Afghanistan」の創設を決定した[19]6月14日、EUPOL Afghanistanは正式に発足したが、その代表が数カ月で交代するなどまだ安定を見ていない。そこで、米軍(OEF)は穴埋めのためにアフガン警察の整備支援も行っている。

参加国

日本政府によれば、2007年4月時点で、75カ国がOEFに何らかの協力を行っている。実際に陸上で作戦行動に関っているのは、米、英、仏などを含めた20カ国。海上での作戦に関っているのは、ドイツカナダパキスタンなどを含めた8カ国である[20]

海上での作戦であるOEF-MIO(海上阻止行動)には、2001年11月2日以降に日本も正式に参戦し、インド洋海上自衛隊の艦艇を派遣している(→自衛隊インド洋派遣)。

指揮系統

アフガニスタンにおけるOEFは、フロリダ州タンパにある米中央軍(Central Command: CENTCOM)が担当しており、その活動はCENTCOM隷下である、カーブルのアフガニスタン合同治安移行司令部(Combined Security Transition Command-Afghanistan: CSTC-A)と、バグラムの合同任務部隊82(Combined Joint Task Force-82: CJTF-82)が所掌する[21]

脚注

関連項目

外部リンク

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