この項目では、ミニチュアゲームについて説明しています。背景世界を共有するテーブルトークRPGについては「ウォーハンマーRPG」を、宇宙戦争を題材としたミニチュアゲームについては「ウォーハンマー40,000」をご覧ください。 |
ウォーハンマー(Warhammer)とは、イギリスのゲーム製作会社ゲームズワークショップが製作・販売しているミニチュアゲームのシリーズである。世界中のミニチュアゲームの中でも最も代表的な物の一つとして知られている本シリーズは同社の主要なコンテンツであり、同社からは2023年現在、ファンタジー作品『ウォーハンマー:エイジ・オヴ・シグマー(英語版)』(AoS)と、SF世界を舞台にしている『ウォーハンマー40,000』(ウォーハンマー40K)および『The Horus Heresy』の、三つのシリーズが展開されている。本項では、『AoS』の前身である『ウォーハンマー:ファンタジーバトル』(ウォーハンマーFB)を中心に解説する[1]。
駒として使用されるミニチュアは未彩色、未組み立てであり、購入者自身で彩色や成形を行う[2]。こうしたクラシカルなタイプのミニチュアゲームとしては、現在では世界最大のシェアを持つ。剣と魔法のファンタジー世界「オールドワールド」での戦争を題材とした本作は、1983年に初版が発売されて以来、それまで歴史的戦場の再現が中心であったミニチュアゲームの世界に新風を巻き起こした。このゲームの登場以降、それまでミニチュアゲームの世界の中では低俗として扱われていたSF/ファンタジー系の戦争ゲームも市民権を持つようになっていった。発売元のゲームズワークショップは、イギリス国外での直接販売やルールブックの翻訳も行っており、またイギリスとアメリカは国外への海外通販に対応している。2019年現在、日本においてはゲームズワークショップ日本支社(子会社ではなく、英国本社の直轄。法人番号:5700150003173)が輸入・販売を担当している(以前にはボークスが輸入販売を行っていたこともある)。専門店「ウォーハンマーストア」も全て直営である(2023年現在で日本国内に11店舗、全世界では500店舗以上の規模)。
ミニチュアはベースサイズ20/25mmのレンジモデルを「一般的な人間」のサイズとしており、それを基準に他のミニチュアのスケールが決定されている。もっともミニチュアの多くはデフォルメされた造形であり、スケールも厳密に決まっているわけではない。ミニチュアのサイズは幅広く5mm程度(複数のミニチュアを1つのベースに載せて使用する)の小さなものから、15cm×22cmの巨大なものまで存在する。材質は金属(合金)製のピューターと、樹脂製のプラスチックとに大別され、両者の素材からなるパーツを組み合わせる場合もある。金属製のミニチュアはメタルフィギュアと呼ばれ、細かな造形の再現性に優れており、特にキャラクターや精鋭部隊などのモデルに向く。1980年代には、溶融時の流動性が高いホワイトメタルが用いられていたが、昨今の鉛規制の動きにより1990年代には鉛を含まないピューターに変更されている。プラスチック製は価格を抑えられることから一般兵のモデルに向いており、また重量や後述するコンバージョンのしやすさもあってか、近年では多くのプラ製ミニチュアがリリースされている。これらのプラスチック素材は、日本のプラモデルのそれとは違い粘りがある。2011年にはメタルフィギュアとしてリリースされていたミニチュアが、レジンキャスト製のミニチュア(シタデル・ファインキャスト)へと変更されている。この背景には世界的なハンダ需要の煽りを受けて、ピューターの原材料である錫相場価格の高騰が生じたためである。また、メタル製のミニチュアが新規に金型を起こされてプラスチック製に更新されることも少なくない。
ミニチュアをキットバッシュ(=換装:パーツ組み換えによる改造)やコンバージョン(パーツそのものの改造)することは積極的に推奨されている。ほかのミニチュアの部品やパテなどを使い改造することで、まだ発売されていないモデルを作ったり臨場感溢れる場面を再現したりとオリジナルのミニチュアが出来あがる。多くのプラスチックモデルには複数の武器や装飾品などが入っているため、余剰部品を組み合わせるだけでも簡単な改造ができる。この余剰部品は「ビッツ(bits)パーツ」と呼ばれている。
一般的には塗料の定着を強くするために、メタルプライマーやサーフェイサーを塗布してからペイントする。ペイントには筆を使い、ミニチュアの塗装に適したさまざまな手法が存在する。販売店やイベントなどでは基本的な塗り方を教えてもらうことができる。その他、40kの車両など大型のミニチュアの塗装や大量のミニチュアの下塗りにエアブラシを使用する人もいる。各アーミーの個別ルールを紹介する「アーミーブック(ファンタジーバトル)」「コデックス(40,000)」「バトルトーム(AoS)」には、軍勢のイメージに合わせた色調のペイント例が多数収録されているが、必ずしも例の通りにペイントしなければならないというものではなく、各ミニチュアの彩色は自由とされているほか、未ペイントのミニチュアの使用を禁じるルールも存在しない[2]。ゲームズワークショップ社の公式見解は「ゲームで使うには色さえついていればよい」というものである。そのため、プレイヤーの年齢や技量により、ミニチュアのペイントにさまざまなバリエーションを見ることができ、「ペイントが腕の見せ所」というプレイヤーも、ミニチュア全体を一つの色でベタ塗りしたもので遊ぶプレイヤーも許容されている。
また、メーカーが推奨する水性アクリル塗料として、シタデルカラーがある[3]。
戦場の地形や建物を表現するテレインは、ゲーム中では障害物として機能する。ゲームズワークショップ社の公式見解によれば「平らなテーブルや床が1つあれば、ウォーハンマーは充分にプレイできるし、それだけでもかなり楽しいゲームになるだろう」とされているが、戦略性やゲームバランスを向上させたり、なにより臨場感を高めるためにテレインの使用が推奨されている。森や建物など完成品のモデルが販売されているほか、プラスチックやレジン製の情景モデル作成キットもあり、こちらもミニチュア同様改造やオリジナルの作成が推奨されている。
ゲームには基本のルールブック、各アーミー固有のルールブック(「アーミーブック」「コデックス」[4]「バトルトーム」と呼ばれる)、ミニチュア、メジャーや六面ダイスなどが必要である[5]。このうちアーミー固有のルールブックは日本の公式サイトからダウンロードできる他、基本ルールブックはダイスやテンプレートなどもセットになったスタートセットに入っている。ゲームプレイの手順としては、まずお互いに使用する勢力とポイントを決める。プレイヤーは自分のアーミーのルールブックに従い、決められたポイントの範囲内で軍隊(アーミー)を編成していくことになる。ほとんどのミニチュアは、複数で一つのユニットとして扱われる。このようにして編成された同規模の軍隊同士でゲームを戦う。戦闘はターン制で行われ、メジャーで実際の距離を測り、ミニチュアを移動させて、射撃や突撃といった戦闘行動を実行する[5]。各ミニチュアがどのような能力をもっているかは、アーミーごとに出版されているルールブックに記載されている。各種の判定にはダイスおよびテンプレート/ブラストマーカーと呼ばれる樹脂製の道具を用いる。最終的に一定のターンを経過した後、勝利ポイントを集計し勝敗を決める。
オールドワールドと呼ばれるファンタジー世界を扱ったゲーム。現在は8版。中世ヨーロッパと似た地形と文化を持つこの世界には、様々な種族や国家が覇権を求めて戦いあっている。また、全ての文化的種族の敵である「混沌(ケイオス)」の勢力も存在し、オールドワールドでは戦いが絶えることはない。ダークファンタジーとも呼ばれる非常に退廃的でブラックな雰囲気が強調されており、ミニチュアも多くが狂気や残虐さ、野蛮さを際立たせる造形がなされている。また、ハイエルフ・ダークエルフ・ウッドエルフの三種族の耐久性はただの人間と同じと設定されている。参照:White Dwarf
エンパイアは、高度な技術力と訓練された強力な軍隊を保有している人類最古にして最大の国家であり、シグマーによって建国された。ドワーフとの交流もある一方、帝都アルトドルフに陣を構える皇帝カール・フランツの指揮の元、北のケイオスの民を撃ち、東のオークを退治し国を守っている。ゲームでは、平均的な基本能力とほぼ全ての基本兵科を持ち、歩兵同士の連携が可能なルールと威力の高い火薬武器によって特性が再現されている。エンパイアは州によって軍服の色が違う、またそのほかにも城塞都市や沿岸警備隊なども独自の軍色を持っている。もっともこれらは強制ではなくあくまでイメージ作りのためなので彩色は自由である。
エンパイアの北に位置するキスレヴ王国は長きにわたりエンパイアと同盟を結んでおり、遊牧民を纏め上げた強力な皇帝や女帝によって統治されている。渾沌の領域(レルム・オブ・ケイオス)が近く陰の国(ノーシャ族の地)と国境を接しているため、ケイオスからの防波堤としてエンパイアからも何度も援軍を送られる。ケイオスの大侵攻の予兆もこの国の斥候から情報を得ている。アーミーブックは日本語未対応。兵科が少ない。
ブレトニア王国は「湖の淑女」への信仰と騎士道精神を持って戦う民族として知られており、封建制を取っており、多くの騎士が領主である。戦時には上位の領主の要請の下、時には領民を引き連れて馳せ参ずる。領主達は正々堂々の騎士道精神を重んずるため、卑怯とされる飛び道具は農民が用いる。ゲームではそのイメージ通りに多種多様な騎兵が揃っており、騎兵の突撃に関して特殊なルールを持つ。また湖の淑女に祈りをささげることで特殊な守護がつく。
ドワーフは、たっぷりと蓄えられた髭と、人間より小さい体躯ながらも頑健な身体を特徴とする種族である。器用な手先でさまざまな道具を作り出し、堅固な城塞都市に住む。かつては一大王国として繁栄を極めたものの、エルフとの戦争や天変地異により没落し、現在はゴブリンやスケイブンの侵攻を受けて幾つかの都市は陥落してしまっている。誇り高い上に執念深く、代々伝わる「怨恨の書」には数々の遺恨とその復讐の様子が綴られている。ゲームでは多くの能力が高めになっており、特にそのタフさにかけては右に出るものはいない。またエンパイアよりも安定した火器、兵器を保持しており安定度は随一といえる。反面足が遅く、騎兵も存在しないため展開は遅く守りに向く。加えて、魔法が使えない代わりに魔法のアイテムを作ることができる。
ハイエルフは、悠久の時を生きる高貴なる種族であり、多くの悲劇を見届けてきた。悲しみの歴史を乗り越えてその栄光を取り戻すために自らを磨き続けている。剣の技を磨き、魔法の探求に没頭し、ドラゴンとの交流をもって知識を高めている。その知的さを生かして人間達に魔法を教え、共にケイオスと戦うこともあったが、尊大かつ傲慢な性格をしており、争うことも多い。故郷を守るために市民も訓練をつんでいる。ゲームでは長年の訓練と素早い身のこなしを反映して、全員が先制攻撃のルールを持つほか、さらには軍隊の編成に関して有利なルールも持つ。他にも、優秀な連射可能なボルトスロワーや強力なドラゴンを始め一通りの兵科を持つ。
ダークエルフは、遥か昔にハイエルフと袂を分かち、暗黒大陸ナーガロスに移住したエルフである。残虐非道の限りを尽くし、各地から奴隷を捕まえては酷使している。ハイエルフへの激しい憎悪を燃やし、常に復讐の機会をうかがっている。暗黒の神カインへの信仰が広まっており、多くの者がかの神に血と生贄を奉げるために戦っている。ゲームでは全ての敵を憎悪しているというルールを持ち、さらにハイエルフに対しては憎悪が尽きない。ハイエルフと同性能のボルトスロワーを始め、戦闘獣や暗殺者など特徴的なユニットが多数いる。重騎兵は馬ではなくコールドワンという恐竜に搭乗している。
ウッドエルフは、ハイエルフたちがオールドワールド大陸を去ったときに森に残った種族である。普段はアセル・ロゥレンの森の奥に隠れ住んでいるが、侵入者に対しては容赦しない。同じく森を根城にし、森を汚すビーストマンとは因縁の仲である。ゲームでは性能の良い弓と森や林に隠れるのに有利なルールを多く持ち、森を動かしてしまう魔法まである。機動力の高さに対して兵器を持たず、打撃力に欠けるところがある。だが、森の精霊であるトレントやツリーマンといった者たちが、エルフの欠点をある程度補ってくれる。基本的には森に隠れて回り込み、奇襲をかけるといった戦い方が主になる。
グリーンスキンの名の通り緑の肌を持ち、戦いに明け暮れる民。大きく分けてオークとゴブリンの二種類がおり、オークは勇敢な性格と大柄で強靭な身体で知られる一方、ゴブリンは臆病かつ卑怯な性格と、小柄な体躯で知られている。彼らの常識では力の強さが正義とみなされており、ゴブリンはオークよりも地位が低い。戦いのために生き、徒党を組んで戦争を引き起こす。また、どちらも単純な性格をしているという共通点がある。ゲームではオーク及びゴブリンとその亜種、更にはトロールやジャイアントといった多くの種族が参戦している。基本的に自分より小さい味方の敗走を見ても動じないため、戦略的な戦いを可能とする一方、プレイヤーの意思に反して勝手に小競り合いを始めたり突っ込んだりするルールも存在する。また、数も多く入れられるので、大抵は戦場にハプニングを起こす。
オウガは大きな身体を持った種族であり、ノブラーと呼ばれるゴブリンの亜種を下僕として従え悲嘆山脈に王国を築いている。大アゴ様と呼ばれる存在を崇めている。彼らに消化できないものはないともいわるほど旺盛な食欲で知られており、その食欲を満たすために略奪を行っている。また、傭兵として出稼ぎに出る者も多く、各地で姿が見られる。ゲームでは巨大なオウガを主力としており、ノブラーは数の補佐を目的として存在している。オウガのユニットは接近戦闘力が高い半面、魔法力及び即死魔法耐性が低いという弱点がある。
ウォーリア・オブ・ケイオスは、混沌の源泉が吹き出る北極点の近くに住む人間で構成された蛮族であり、ケイオスを信仰している。マローダー(略奪者)と呼ばれる彼らは生まれながらにして戦士であり、優秀なものはケイオスアーマーを身に着けることを許される。ケイオスの侵攻の際には信仰する神の気を引こうと、ひたすらに敵を殺戮する。ゲームでは能力が高い代わりにコストも高く、少数精鋭となる。ケイオスの特徴である変異を受けたユニットが多い。また特定の神(四大神)を信仰するユニットを再現するルールがあり、能力が若干変わる。一般的な射撃武器がほとんど存在しないので、基本的には白兵戦で戦わなければならない。
ケイオスを体現する悪魔達の勢力。彼らはみなケイオスの一部であり、そのほとんどは四大神の何れかの僕である。過去の版では人間達と同じ勢力であったが、7版では分離して独立した勢力となった。『ウォーハンマー40,000』に登場するデーモンとは姿かたちが同じであり、ミニチュアも共通のものを使う(ベースの形が違うのでそのまま共用できるわけではない)。ゲームではこちらもコストの高さから少数になりやすい。能力は多彩なものの偏ったものが多く、組み合わせによって増えるものも多いので編成の際は組み合わせを良く考える必要がある。全員がデーモンの特性を再現するルールを備えているので得手不得手がある。また、その特性により射撃に対する耐性が高い。
ビースト・オブ・ケイオスは、ケイオスの影響を受けて誕生した獣人(ビーストマン)であり、その多くは生まれた直後に森に捨てられた子供達の成れの果てである。エンパイアやブレトニアの薄暗い森の中をねぐらとし、独自の文化を持っている。角の大小が社会的地位に大きく関わり、立派なものはゴールとして認められ、小さくて無様なものはアンゴールとして惨めな生活をおくる。ゲームでは待ち伏せによる挟み撃ち奇襲攻撃が可能で、ウォーマシンや射撃兵を多用するアーミーに対して非常に高い優位性を有する。接近攻撃能力は中の上程度。兵装が良くないのが弱点だが、その分コストも高くない。優秀な射撃武器を持てないので、とにかく敵に近づくことになる。こちらも以前は人間や悪魔と混ぜて使えたが、現在はそれは出来なくなっている。
スケイブンは、ケイオスの影響を受けて誕生した鼠人間だが、ケイオスを信仰しておらず、自分達のために暗躍する。独自の社会システムを持ち、広大な地下帝国を築き上げている。多数の氏族(クラン)が存在し、それぞれが権力をめぐって熾烈な闘争を繰り広げている。ゲームでは安かろう悪かろうなユニットを多数迎えることが出来る。また魔法に関して特殊なルールがある他、味方を巻き添えにしたり大将が後方に隠れて戦えるなど卑劣な戦法が可能。射撃力は凶悪なまでに高いが、暴発が多くムラがある。魔法力も高い部類に位置する。ユニットの接近戦闘力は全般的にあまり高くはないが、一部に凶悪なユニットが存在する。味方を盾にしてでも時間を稼ぎ、射撃や魔法で敵を減らしていく戦い方が基本。
ヴァンパイアカウントは、吸血鬼を筆頭とする勢力であり、死者繰りの魔法を使いゾンビやスケルトンといったアンデッドを従える。ヴァンパイア自体も超人的な強さを持つ。カーシュタイン、ブラッドドラゴン、ラーミア、ネフェリアーク、ストリゴイの血族が存在し、それぞれが個性的な特性を持つ。ゲームでもアンデッドの特性が再現されており、そのため非常に特殊なアーミーに仕上がっている。魔法によってゲーム中に新たなゾンビやスケルトンを発生させることができ、倒された兵士を蘇らせることも可能。反面アンデッドは動きが遅く、移動の補佐にも魔法が必要なため魔法への依存度が高い。軍を率いる将軍が死ぬと、以後ユニットがどんどん崩壊していく。また、射撃力がほとんどない。他にも基本ルールを曲げる特殊ルールが多く存在する。編成の基本であるゾンビやスケルトンの戦闘力が低いが、レイス(亡霊)を中心にエリートやキャラクターに凶悪なユニットが存在する。それをいかにミックスして運用するかが重要なポイントである。
トゥームキングは、復活の日のために眠りについたネフェキーラ王国の王と共に埋葬されていた臣下がアンデッドとしてよみがえった勢力である。彼らは墓荒らしに対しては容赦せず、盗まれたものを取り返そうとしている。ゲームではヴァンパイアカウントと同様アンデッドのルールがあり、似ている部分も多い。兵種が多く射撃も可能などヴァンパイアカウントより汎用性が高く対応力が高まった代わりに全般的な戦闘力はマイルドになっている。不慣れな人が用兵すると弱いが、熟練者が用兵すると不思議な強さを発揮する種族でもある。
リザードマンは、熱帯のラストリア、およびサウスランドに栄える種族である。太古にオールドワールドに飛来して影響を及ぼし、混沌との戦いの末行方不明となった旧き者の僕であり、最も始めに文明を持った種族でもある。今なお旧き者の「大いなる目的」実現に向けて戦い続けている。リザードマンには、彼らが信仰する神の祝福を受けて生まれてくる目立った体色を持つものもいる。ゲームでは強力な魔法を扱うスラン、戦闘力の高いザウルス、小回りのきくスキンク、大型で力の強いクロキシゴールや多彩な恐竜など、目的がはっきりしたユニットが多い。編成の主力となるザウルス達は優秀ではあるが兵装と敏捷性に難がある。そのためスランの強力な魔法力を有効活用し、戦いを補佐した作戦を行うことが重要である。
ケイオスドワーフは、ケイオスにより堕落したドワーフの勢力である。太古の昔にケイオス勢力に襲われ絶滅に瀕したドワーフの一派が、逆に正体不明のケイオス神(ハシェット神)の加護を受け、見返りとして膨大な量の資源と生贄を要求されており、その獲得のために戦争を行っている。一時期、グリーンスキンを奴隷にしていたが反乱された。それと前後して寝返ったホブゴブリンとは今でも懇意にしている。今ではウォリアーオブケイオスの同盟者であり、ケイオスアーマーやヘルキャノンなどを供給している。長らくアーミーブックの更新が絶えていたが、2011年に子会社であるForgeworldから発売された「TAMURKHAN THE THRONE OF CHAOS」というサプリメントにアーミーリストが掲載された。
ドッグス・オブ・ウォーは、ティリア市国を中心にした傭兵による軍事勢力であり、様々な種族から構成されている。各々の部隊が特殊な背景とルールを持っている。他のアーミーに部隊単位で編入することが可能である他、ドッグス・オブ・ウォーのみでアーミーを編成することもできる。歩兵部隊の戦闘力は、アーミー固有の武装であるパイクのお陰で高い部類に入るが反面コストが高い。日本でのサポートはなく、ミニチュアもほとんどが絶版になっている。アンオフィシャルであるが過去の版に対応していたアーミーリストを使えば対戦は可能である。
混沌の神々は、ファンタジーバトル、40,000の両方に共通して存在する。このうち、ティーンチとナーグルは「希望」と「絶望」という関係から敵対関係に有り、コーンとスラーネッシュは「怒り」と「喜び」という関係から敵対関係にある。
ほかにもムート自治区などウォーハンマーにはさまざまな勢力がいる。オフィシャルなアーミーブックの出ていないこれらを使いたい場合、既にあるアーミーブックに当てはめる、ホワイトドワーフ誌に乗っているデータを使う、自分でデータを作るなどの方法があるが、何れにせよ対戦相手に了承を得るべきである。
オールドワールド世界の大地は地球の大地と似ているが、どことなく潰れている印象がある。また、このほかにも未知の場所が存在する[6]。
2006年の時点の日本国内においてはあまり知名度が高くないとする指摘もあり、4Gamer.netの虎武須はミニチュアの入手性の悪さや、製品の価格設定の高さなどが原因であるとしている[4]。2018年の日本においてもマイナーではあるとされつつも、模型雑誌などで取り上げられる機会が増えたほか、『AoS』の日本語版が積極的に展開されるようになったため、一部メディアでは密かな人気があると紹介されている[3][2]。また、インターネット上では、ミニチュアの塗装方法を紹介した動画やアプリが公開されているほか、SNS上で対戦相手を募集するプレイヤーもいる[2]。あるミニチュアゲーム専門店の関係者はASCIIの2018年10月10日の記事の中で、ホビー雑誌での紹介に加え、メーカー推奨塗料であるシタデルカラーの使いやすさがゲームとは無関係の模型ファンの間にも広まった結果、ミニチュアゲームの人気が少しずつ上がったのではないかと推測している[3]。電撃オンラインのhororoは、2018年の記事の中で、本シリーズについて「チェスや将棋の駒に少しキャラクター性がついたもの」に例えており、設定が作り込まれていながらも厳密ではなく、プレイヤーが独自の設定を想像する余地が残されている点を評価している[2]。
本シリーズのスピンオフ作品の多くは、英語版で未翻訳ではあるが、海外からの輸入販売はされている。