アーケプラスチダ

真核生物の主要な系統の一つ

アーケプラスチダ学名Archaeplastida)あるいは古色素体類[3] (こしきそたいるい) は、ディアフォレティケスに属する真核生物の一群である。一次植物(Primoplantae)ともいう。

アーケプラスチダ
Archaeplastida
ソゾの一種灰色藻Glaucocystis sp.
紅藻のソゾの一種灰色藻
Glaucocystis sp.
ヒマワリ緑藻クラミドモナス
陸上植物ヒマワリ緑藻クラミドモナス
分類
ドメイン:真核生物 Eukaryota
階級なし:ディアフォレティケス Diaphoretickes
階級なし:アーケプラスチダ Archaeplastida
学名
Archaeplastida
Adl et al. 2005
和名
古色素体類
下位分類群

概要

陸上植物緑藻紅藻灰色植物などが含まれる。これらはいずれも、細胞内共生したシアノバクテリアに直接由来する(一次共生)と考えられる、2枚の膜を持つプラスチドを持つ。「一次植物」の名はこれに由来する。

アーケプラスチダ以外のグループでは、プラスチドは3ないし4枚の膜に囲まれており、緑藻あるいは紅藻から二次的に獲得したものである(二次植物参照)。

名称

2005年、緑藻植物、紅藻、陸生植物が単系統であることが認められ、「Archaeplastida」と命名された。以降の多くの研究は単系統性を追認しているが、側系統的であるとの結果を得た研究もある。

歴史的に、このグループにはさまざまな名前が与えられている。例えばキャバリエ=スミス (1981) などは「植物界」としたが、この語は緑色植物や有胚植物を指すこともあるため、「広義の植物界」とも呼ばれる。

しかし、「植物界」の語を巡る状況は曖昧だったため、2004年に「Primoplantae」や「Plastida」の名が与えられた。「Archaeplastida」という名前は、2005年、形態学、生化学、系統学の観点から「当面の間安定な真核生物の分類体系」を目指した、大規模な国際研究グループ(Adl et al.)によって提案された。彼らは階層的な関係を維持しつつも分類階級を与えることは控えたため、緑藻植物「門」と紅藻植物「綱」は対等に扱われていた。

特徴

細胞には通常は中心体がなく、クリステが平板状のミトコンドリアがある。通常、セルロースを含む細胞壁があり、エネルギーはデンプンの形で貯蔵される。ただしこうした形質は他の真核生物にも見られる。アーケプラスチダが単系統群である証拠の一つは、異論もあるものの、分子系統学研究によってこれらのプラスチドが単一起源と推定されたことである。

系統

アーケプラスチダは大きく2つの系統に分かれる。紅藻は多くのシアノバクテリアと同様に、色素としてクロロフィルaフィコビリタンパク質を持ち、またデンプンはプラスチドの外に蓄積される。一方、緑色植物(緑藻と陸上植物)はクロロフィルabを持っているがフィコビリタンパク質を持たず、デンプンをプラスチドの内側に蓄積する。灰色植物は典型的なシアノバクテリアと同様の色素を持っているが、細胞壁のあるプラスチド(シアネレ)を持つ点で特異な存在である。

分岐図

以下は、主に分子データに基づき構築された、緑藻類に焦点を当てたコンセンサス系統樹である[4][5][6][7][8][9][10][11][12][13]。アーケプラスチダの中で最初に分岐するのは灰色植物門とされることが多いが[14][15][16][17][15]、いくつかのゲノム研究では、紅藻植物門クリプチスタピコゾア類と共に基部で分岐することが示唆されている[18][19][20][21][22][23]

Diaphoretickes
アーケプラスチダ + クリプチスタ

灰色植物門 (灰色藻)

緑色植物/

Mesostigmatophyceae

Spirotaenia

Chlorokybophyceae

緑藻植物門

ストレプト植物門/

クレブソルミディウム科

Phragmoplastophyta

車軸藻綱

コレオケーテ藻綱

ホシミドロ綱 (接合藻)

Mesotaeniaceae

有胚植物 (陸上植物)

車軸藻植物門
緑藻

紅藻植物門 (紅藻)

ロデルフィス Rhodelphis

ピコゾア Picozoa

クリプチスタ

(+ Gloeomargarita lithophora)

ハプチスタ Haptista

TSAR

テロネマ門

SAR
Halvaria

ストラメノパイル

アルベオラータ

リザリア

しかしながら、アーケプラスチダの系統樹の基部には議論が多く、灰色植物門と紅藻植物門のいずれがより基部に位置するか、クリプチスタはアーケプラスチダの一員なのかといったものがある。2014年にはこうした議論を取り巻く状況に関する総説が出版されている[24]テロネマ門ピコゾア門の位置は明確ではなく、ハクロビアSARクレードに近縁な可能性がある。SARでは真核生物同士の細胞内共生が起こったと考えられており、分子系統解析における困難の理由とされる。

シアノバクテリアの1種であるGloeomargarita lithophora の姉妹群は、アーケプラスチダの祖先と共生して色素体になっている。Gloeomargarita や近縁なシアノバクテリア、そして最も原始的なアーケプラスチダがいずれも淡水に生息していることから、アーケプラスチダは淡水由来であり、海洋に定着したのは原生代後期になってからだと考えられている。

参考文献

脚注

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