シンガポールの大統領

シンガポールの国家元首

シンガポールの大統領(シンガポールのだいとうりょう、英語: President of theRepublic of Singapore, 中国語: 新加坡共和国总统, マレー語: Presiden Republik Singapura, タミル語: சிங்கப்பூர் குடியரசின் தலைவர்)は、シンガポール元首たる大統領

シンガポールの旗 シンガポール共和国
大統領
President of theRepublic of Singapore(英語)
新加坡共和国总统(中国語)
Presiden Republik Singapura(マレー語)
சிங்கப்பூர் குடியரசின் தலைவர்(タミル語)
大統領章
大統領旗
現職者
ターマン・シャンムガラトナム(第9代)
Tharman Shanmugaratnam
தர்மன் சண்முகரத்னம்

就任日 2023年9月14日
呼称Mister President/大統領(通常時)
His Excellency/閣下(外交時)
庁舎イスタナ
任命シンガポール大統領選挙(直接選挙
任期6年
初代就任ユソフ・ビン・イサーク
創設1965年8月9日
職務代行者大統領顧問評議会議長
ウェブサイトwww.istana.gov.sg

概要

ウェストミンスター・システムを取るシンガポールでは大統領は儀礼的な存在であり、行政権を保持しない。行政権は内閣(長は首相)にある。1993年の選挙よりも前は大統領は国会によって選ばれていたが、1991年に憲法が修正され、直接選挙によって選ばれるようになった。それに伴い大統領の権限も拡大された。直接選挙で選ばれた初代大統領はオン・テンチョンで任期は1993年9月1日から1999年8月31日までだった。

大統領候補となるには、45歳以上のシンガポール国民で、閣僚や国会議長、裁判所判事など政府要職や政府系投資会社のCEOとして3年以上の在職期間があることが必要。または、民間企業の場合にはCEOに就任していた直近の3年間の株主資本が平均で5億シンガポールドル以上などの要件を満たし、大統領選挙委員会(PEC)の候補者資格審査で承認される必要がある[1]

2016年11月、大統領選挙制度の憲法改正が行われ、マレー系、中国系、インド系の民族集団の中で直近の5期にわたり大統領を出していない民族集団があった場合はその民族集団に属する者しか立候補できないことになったため、2017年の選挙での候補者はマレー系に限定されていた[2]

2017年9月14日にハリマ・ヤコブが大統領に選出されている。

権限

シンガポール大統領の特徴的な権限として、財政規律維持のため、大統領顧問会議(Council of Presidential Advisers,CPA)の議を経て、自らの判断で行使できる差し止め権[注釈 1]が広く認められていることが挙げられる。大統領がCPAの議を経て差し止められる対象には以下のようなものがある。

  • 政府の借入・貸付。前政権までに積み立てられた準備金の取り崩しが見込まれる借入・与信。
  • 前政権までに積み立てられた準備金の取り崩しが見込まれる支出法案。
  • 議会による、単年度支出法案可決前の支出決議。および非常時の緊急支出決議。
  • 法定機関(独立行政機関)および国営企業の人事と予算。および前政権時までに積み立てられた準備金の取り崩し。
  • 最高裁長官・公職委員会英語版(PSC)・警察総監英語版・国防長官・司法長官などの要職の任命。

CPAは6名で構成され、そのうち大統領が2名を指名、首相が2名を指名、最高裁長官が1名を指名、PSCが1名を指名する。CPAの議長はこの中から大統領が指名する。

宗教調和維持法英語版は、宗教間の対立を煽動する者に対する活動禁止命令を規定しているが、政府による同法の執行に対し、「宗教調和のための大統領会議」(Presidential Council for Religious Harmony)の議を経て、大統領の判断により差し止めることができる。

また、議会の解散、大統領の権限を縮小する法案、国民投票で2/3以上の支持を得ていない憲法的法の改正案については、大統領が単独で、自らの判断によって差し止めることができる。

首相の任命も大統領単独の判断で行われるが、内閣は議会に責任を負うため、実際には多数党のリーダーが任命される。

直近の大統領選挙

2017年は候補者が1人しかいなかったために不戦勝となっていたため、2011年以来、12年ぶりの投票選挙となった。結果はターマン・シャンムガラトナムが1,746,427(70.40%)の有効票を集め、勝利した。

e • d 2023年シンガポール大統領選挙結果(2023年9月1日)[3]
候補者シンボル・政党投票結果
得票数得票率
ターマン・シャンムガラトナム 無所属1,746,42770.40%
 
ン・コック・ソン英語版 無所属390,04115.72%
 
タン・キン・リャン英語版 無所属344,29213.98%
 
有効票2,480,76098.02%
無効票50,1521.98%
投票数2,530,912100.00%
有権者数 / 投票率2,709,45593.41%

大統領の一覧

大統領所属政党在任期間備考
001ユソフ・ビン・イサーク
Yusof bin Ishak[4]
尤索夫·宾·伊萨
யூசோஃப் பின் இஷாக்
無所属11965年8月9日
- 1970年11月23日
5年 + 106日在任中に死去
00ヨー・ギム・セン
YEOH Ghim Seng
杨锦成
人民行動党
(PAP)
1970年11月23日
- 1971年1月2日
40日大統領代行
(国民議会議長)
002ベンジャミン・ヘンリー・シアーズ
Benjamin Henry Sheares[4]
本杰明·亨利·薛尔思
பெஞ்சமின் ஹென்றி ஷியர்ஸ்
無所属21971年1月2日
- 1981年5月12日
10年 + 130日在任中に死去
00ヨー・ギム・セン
YEOH Ghim Seng
杨锦成
人民行動党
(PAP)
1981年5月12日[注釈 2]
- 1981年10月23日
164日大統領代行
(国民議会議長)
003C・V・デヴァン・ナイール
C.V. Devan Nair[4]
சி.வி தேவன் நாயர்
琴加拉·维蒂尔·德万·奈尔
無所属31981年10月23日
- 1985年3月28日
3年 + 156日任期満了前に辞任
00ウィー・チョン・ジン
WEE Chong Jin
無所属1985年3月28日
- 1985年3月29日
1日大統領代行
(最高裁判所長官)
00ヨー・ギム・セン
YEOH Ghim Seng
杨锦成
人民行動党
(PAP)
1985年3月29日[注釈 2]
- 1985年9月2日
157日大統領代行
(国民議会議長)
004ウィー・キムウィー
Wee Kim Wee
黄金辉
வீ கிம் வீ
無所属41985年9月2日
- 1993年9月1日[注釈 3]
7年 + 364日
005オン・テンチョン
Ong Teng Cheong
王鼎昌
ஓங் டெங் சியோங்
無所属51993年9月1日
- 1999年9月1日
6年 + 0日
006S・R・ナザン
S.R. Nathan[5]
எஸ். ஆர். நாதன்
塞拉潘·纳丹
無所属61999年9月1日
- 2005年9月1日
12年 + 0日
72005年9月1日
- 2011年9月1日
007トニー・タン・ケン・ヤム
Tony Tan Keng Yam
陈庆炎
டோனி டான் கெங் யாம்
無所属82011年9月1日
- 2017年9月1日
6年 + 0日
00J・Y・ピレー
Joseph Yuvaraj Pillay
比莱
無所属2017年9月1日
- 2017年9月14日
13日大統領代行
(大統領諮問会議議長)
008ハリマ・ヤコブ
Halimah Binti Yacob
ஹலிமா பின்தி யாகொப்
哈莉瑪·雅各布
無所属92017年9月14日
- 2023年9月14日
6年 + 0日
009ターマン・シャンムガラトナム
Tharman Shanmugaratnam
தர்மன் சண்முகரத்னம்
無所属102023年9月14日
- (現職)
218日

脚注

注釈

出典