ヘクト

国際単位系における接頭辞のひとつ

ヘクト(hecto, 記号:h)は、国際単位系 (SI) におけるSI接頭語の一つで、基礎となる単位の102(=100)倍の量であることを示す。

1795年の当初のメートル法で定められた6つの接頭語の一つである。ヘクトは、ギリシャ語で「百」を意味する ἑκατόν (hecatón) に由来する。当時は、倍量の接頭語はギリシャ語から、分量の接頭語はラテン語から作成することとしていた。そこで、ギリシャ語の単語をフランス語風に変更して作られたのがヘクト (hecto) である。なお、フランス語ではエクトと発音する。1960年の第11回国際度量衡総会 (CGPM) でSIが制定される際に正式に承認された。

倍量の接頭語は12個あり、そのうちの9個の記号は大文字であるが、デカ、ヘクト、キロの3つは小文字である。これは、倍量には大文字を使うという決まりができる前にすでにデカ、ヘクト、キロが定められており、小文字で定着していたためである。なお、大文字のHは、インダクタンスの単位のヘンリーであるため、混同を避けるためにもヘクトの記号は立体・小文字でなけらばならない。

今日では、科学的な用途ではヘクトはほとんど用いられない。科学的な用途では、指数が3の倍数であるものの使用が好まれ、例えば2 hmではなく200 mまたは0.2 kmと書かれる。

例外は圧力の単位ヘクトパスカル (hPa) である。この単位はCGS単位系バールをSI準拠のパスカルに置き替える際、それまでのミリバール (mbar, mb) と値を同じにするために導入されたものである。

なお、面積の単位ヘクタール (ha) は、元々は接頭語のヘクトとアールの組み合わせが由来であるが、現在では国際単位系(SI)においても計量法においても、10 000 m2を表す特別の単位であって、接頭語 ヘクト を用いた単位ではない。

SI接頭語
接頭語記号10n十進数表記漢数字表記short scaleメートル法への導入年国際単位系における制定年
クエタ (quetta)Q10301000000000000000000000000000000nonillion2022年
ロナ (ronna)R10271000000000000000000000000000𥝱octillion2022年
ヨタ (yotta)Y10241000000000000000000000000𥝱septillion1991年
ゼタ (zetta)Z10211000000000000000000000sextillion1991年
エクサ (exa)E10181000000000000000000quintillion1975年
ペタ (peta)P10151000000000000000quadrillion1975年
テラ (tera)T10121000000000000trillion1960年
ギガ (giga)G1091000000000billion1960年
メガ (mega)M1061000000million1874年1960年
キロ (kilo)k1031000thousand1795年1960年
ヘクト (hecto)h102100hundred1795年1960年
デカ (deca)da10110ten1795年1960年
  1001one 
デシ (deci)d10−10.1tenth1795年1960年
センチ (centi)c10−20.01hundredth1795年1960年
ミリ (milli)m10−30.001thousandth1795年1960年
マイクロ (micro)μ10−60.000001millionth1874年1960年
ナノ (nano)n10−90.000000001billionth1960年
ピコ (pico)p10−120.000000000001trillionth1960年
フェムト (femto)f10−150.000000000000001須臾quadrillionth1964年
アト (atto)a10−180.000000000000000001刹那quintillionth1964年
ゼプト (zepto)z10−210.000000000000000000001清浄sextillionth1991年
ヨクト (yocto)y10−240.000000000000000000000001septillionth1991年
ロント (ronto)r10−270.000000000000000000000000001octillionth2022年
クエクト (quecto)q10−300.000000000000000000000000000001nonillionth2022年

関連項目

  • ヘカトンケイル - 100の手という意味。50頭100手の巨人の姿をしているとされる。
  • ヘクタン - 炭素数100の直鎖状のアルカン。ヘクト (hecto) の語尾がアルカンを意味する (ane) に変わっている。