大成建設

日本の総合建設会社、スーパーゼネコン5社のひとつ

大成建設株式会社(たいせいけんせつ、英語: TAISEI CORPORATION)は、日本の大手総合建設会社である。日経平均株価の構成銘柄の一つ[3]

大成建設株式会社
TAISEI CORPORATION
本社が入居する新宿センタービル
種類株式会社
機関設計監査役会設置会社[1]
市場情報
東証プライム 1801
1957年9月9日上場
大証1部(廃止) 1801
1959年10月16日 - 2013年7月12日
名証プレミア 1801
1959年10月上場
略称大成、大成建[2]
本社所在地日本の旗 日本
163-0606
東京都新宿区西新宿一丁目25番1号
新宿センタービル
設立1917年大正6年)12月28日
(株式会社大倉土木組)
業種建設業
法人番号4011101011880 ウィキデータを編集
事業内容建築土木住宅不動産
代表者田中茂義代表取締役会長兼安全担当)
相川善郎(代表取締役社長
資本金1,227億4,215万8,842円
発行済株式総数1億8,877万1,572株
売上高連結:1兆6,427億1,200万円
単独:1兆3,255億9,800万円
(2023年3月期)
営業利益連結:547億4,000万円
単独:416億5,500万円
(2023年3月期)
純利益連結:473億5,600万円
単独:369億5,100万円
(2023年3月期)
純資産連結:8,339億4,400万円
単独:6,358億3,100万円
(2023年3月31日現在)
総資産連結:2兆0,167億1,700万円
単独:1兆7,562億5,800万円
(2023年3月31日現在)
従業員数連結:14,466人 単独:8,613人(2023年3月31日現在)
決算期3月31日
会計監査人有限責任あずさ監査法人
主要株主

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 15.61%
シルチェスター・インターナショナル・インベスターズLLP 7.08%
ブラックロック・ジャパン 6.22%
三井住友トラスト・アセットマネジメント 5.24%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 4.98%
ノーザン・トラストCO(AVFC)・REシルチェスター・インターナショナル・インベスターズ・インターナショナル・バリュー・エクイティ・トラスト 3.37%
大成建設取引先持株会 3.25%
みずほ信託退職給付信託・みずほ銀行口 3.14%
大成建設社員持株会 1.97%
ステート・ストリート・バンク・アンド・トラスト・カンパニー・505223 1.77%
ノーザン・トラストCO(AVFC)・RE・U.S.タックス・エグゼンプテッド・ペンション・ファンド 1.75%
ステート・ストリート・バンク・アンド・トラスト・カンパニー・505234 1.7%
明治安田生命保険相互会社 1.53%

(2023年8月3日現在)
主要子会社大成ロテック(株) 100%
大成有楽不動産(株) 100%
関係する人物大倉喜八郎(創業者)
佐古一(元・会長)
葉山莞児(元・会長)
山内隆司(元・会長)
外部リンクwww.taisei.co.jp ウィキデータを編集
特記事項:各種経営指標は2023年3月期のもの
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概要

スーパーゼネコン5社(大成建設、大林組鹿島建設清水建設竹中工務店)の一角。戦前大倉財閥の流れを汲むが、スーパーゼネコンでは唯一の非同族会社である[4]。戦後は、占領軍による財閥解体の危機に際し、旧来の社員だけで会社の存続を図るため、社員持株制度を基に資本・経営・組合を一対とした協同組合的な発想によって社員投票による役員選出や社員株主制度を導入した[5][6]。その背景から、社員の会社であるという雰囲気が強いと言われている。また、現場に与えられる権限が比較的強いと言われる。

1946年(昭和21年)に現在の社名に改名した。「大成」という語は、創業者・大倉喜八郎の戒名「大成院殿礼本超邁鶴翁大居士」にちなむ[7]。また、「建設」という語は建築と土木の両方を表す新語として英語の"construction"から訳出したもので、同社が初めて社名に採用。その後同業他社を中心に採用されるようになった[7][8]

超高層ビルスタジアム、ダムトンネル地下鉄発電所などの大規模な建築土木工事を得意としているが、一般向け住宅パルコン」も手がけるなど、住宅事業にも進出し、高機能性の住宅として注目を浴びている。

日本国外での受注拡大(パーム・アイランドの海底トンネル、ボスポラス海峡海底トンネル、アルマスタワー建設)に注力し、技術力とグループ力に強みを持つ。特に近年、アラブ首長国連邦において大規模な送水管建設をはじめ、積極的な事業展開を進めている。『月からも見えるやしの木型人工島』で世界的に注目されているパーム・アイランドの海底トンネル工事においては、斬新な提案が評価され、欧米の競合を退けて受注に至り、このプロジェクトにおける環境対策は地元の新聞にも大きく紹介された。ボスポラス海峡横断鉄道トンネルはヨーロッパとアジアを結ぶ鉄道トンネルとして100年も前から計画され、トルコ人が待ち望んでいた国家プロジェクトを完遂させた。

環境対策として三宅島の大量の枯損木の炭化も行い、東京都の河川事業で水質浄化材として試用が検討されている。特に土壌浄化では国内トップクラスの実績を誇る。

1992年(平成4年)頃から現在まで、広告コマーシャルで「地図に残る仕事。®」というキャッチコピーを使用している。

沿革

日本土木会社の揃いの法被を着た職人たち。シカゴ万国博覧会 (1893年)の日本館「鳳凰殿」を建設した。
  • 1873年(明治6年)10月 - 大倉喜八郎により大倉組商会を創立。
  • 1887年(明治20年)3月 - 渋沢栄一、大倉喜八郎(大倉組)、藤田伝三郎藤田組)らによって有限責任日本土木会社を設立。
  • 1892年(明治25年)11月 - 有限責任日本土木会社解散。
  • 1893年(明治26年)6月 - 大倉喜八郎が単独経営の大倉土木組を創設し、日本土木会社の事業を継承。
  • 1897年(明治30年)- 門野重九郎千代田生命保険日本徴兵保険社長門野幾之進の実弟)が入社。
  • 1911年(明治44年)11月 - 株式会社大倉組に合併され、株式会社大倉組土木部と改称。
  • 1914年(大正3年) - 門野重九郎が会長に就任(1934年まで)。
  • 1917年(大正6年)12月 - 株式会社大倉組より再度分離し、資本金200万円の株式会社大倉土木組発足(公式にはこの1917年(大正6年)12月設立とされている)。
  • 1920年(大正9年)12月 - 日本土木株式会社と改称。
  • 1924年(大正13年)6月 - 大倉土木株式会社と改称。
  • 1928年(昭和3年)4月 - 創業者大倉喜八郎逝去(享年90才)
  • 1946年(昭和21年)1月14日 - 大成建設株式会社と改称。
  • 1947年(昭和22年) - 社員投票により藤田武雄社長と役員を選出。
  • 1949年(昭和24年) - 社員株主制度が実現、非同族会社となる。
  • 1956年(昭和31年) - 株式を東京店頭市場に公開。
  • 1957年(昭和32年) - 株式を東京証券取引所に上場(建設業界初)。
  • 1958年(昭和33年) - 銀座大成ビル竣工、本社を移転。
  • 1990年(平成2年)4月2日 - 現在のシンボルマークを制定(2003年(平成15年)4月に社章に昇格)。
  • 2000年(平成12年)10月9日 - さいたまスーパーアリーナ内にジョン・レノンの常設博物館ジョン・レノン・ミュージアムをオープン(2010年(平成22年)9月末で閉館)[9]
  • 2007年(平成19年) - 山内隆司が社長に就任。
  • 2015年(平成27年) - 村田誉之が社長に就任。
  • 2020年(令和2年) - 相川善郎が社長に就任[5]

歴代社長

氏名就任日退任日備考
大倉土木
大西進1945年3月9日1946年1月13日改称[10]
大成建設
1大西進1946年1月14日1947年3月20日[10]
2藤田武雄1947年3月20日1957年5月29日[10]
3加藤一衛1957年5月29日1960年12月16日[10]
4水嶋篤次1960年12月16日1963年5月[10]
5本間嘉平1963年5月1969年[10][11]
6南幸治1969年1975年[11]
7菅澤英夫1975年1979年[11]
8佐古一1979年1985年[11]
9里見泰男1985年1993年[11]
10山本兵藏1993年1997年[11]
11平島治1997年2001年[11]
12葉山莞児2001年2007年[11]
13山内隆司2007年2015年[11]
14村田誉之2015年2020年[11]
15相川善郎2020年現職[11]

主な施工物件

大成建設は、スーパーゼネコンでは標準化され合理的な建設を行うことで定評がある。社内のプロジェクト形式及び施工仕様書は標準化されており、ISO/TCにも技術者を派遣している。有名な建造物は少ないが社内風土として、仲間(Company)という意識が強いため、弱い者を強い者が助ける文化が定着している[12]

国立競技場
新宿センタービル
東京都庁第一庁舎
としまエコミューゼタウン
海底トンネル建設中のパーム島(アラブ首長国連邦)
カントー橋
国内(五十音順)
日本国外

住宅地開発

  • 八千代・もえぎ野
  • いわき市泉もえぎ台

開発住宅団地

大成建設では関連会社の大成ユーレック(旧社名:大成プレハブ、2001年改称)とともに、いくつか集合住宅タイプの住宅団地の開発を手がけている。

  • 大宮七里グリーンハイツ:1971年(昭和46年)、埼玉県さいたま市、開発主体:大成建設、設計施工:大成建設グループ
  • 鎌ヶ谷グリーンハイツ:1972年(昭和47年)、千葉県鎌ケ谷市、開発主体:大成建設
  • 船橋グリーンハイツ1974年(昭和49年)、千葉県船橋市、開発主体:大成建設、設計施工:大成プレハブ 
  • 船橋二和グリーンハイツ:1981年(昭和56年)、千葉県船橋市、開発主体:大成建設
  • 鎌倉グリーハイツ:1972年(昭和47年)、神奈川県鎌倉市、開発主体:大成建設、設計施工:大成プレハブ 
  • 湘南長沢グリーンハイツ:1980年(昭和55年)、神奈川県横須賀市、開発主体:事業主:大成建設、設計施工:大成プレハブ
  • 鵜野森ハイツ:1967年(昭和42年)、神奈川県相模原市、開発主体:大成プレハブ、設計施工:大成プレハブ 
  • 新原町田グリーンハイツ:1970年(昭和45年)、神奈川県相模原市、開発主体:大成プレハブ、設計施工:大成プレハブ
  • 宮前平グリーンハイツ:神奈川県川崎市、開発主体:大成建設、施工:大成建設、管理:大成サービス  
  • 戸塚芙蓉ハイツ:1973年(昭和48年)、神奈川県横浜市、開発主体:昭興、設計施工:大成プレハブ
  • 藤阪ハイツ:1974年(昭和49年)、大阪府枚方市、開発主体:有楽土地、設計施工:大成プレハブ  
  • 高槻グリーンハイツ:1979年(昭和54年)、大阪府高槻市、開発主体:東京建物・大成プレハブ、設計施工:大成プレハブ

広告活動

大成建設は、アニメーションCMを中心に積極的に企業広告を行っている。

アニメーションCM

2011年度よりコミックス・ウェーブ・フィルム制作のアニメーションによる企業イメージCMが放映されている。CMは概ね1年ごとに差し替えられているが、2015年頃からは過年度のCMの再放送も行っている(最後のサウンドロゴの箇所でインフラ整備の「完成」もしくは「完成予定」をアナウンスしている)。

その他

ラジオCM
すばる天文台国立競技場といった有名な施工実績建造物等をナレーターが読み上げるという構成となっている。
SNS
2013年より公式Facebookページ、2018年より公式Youtubeチャンネル、2023年より公式X(旧twitter)アカウントが開設された。各種SNSにおいて、会社広告と更新が続く。
将棋
2020年より、将棋女流棋戦の一つである清麗戦の主催を務め、棋戦名称も「大成建設杯清麗戦」となる。

提供番組

現在

過去

グループ企業

建設事業

不動産・開発事業

ホテル事業

  • ホテルプリシード名古屋
  • ホテルプリシード郡山
  • ホテルプラザ神戸(旧ホテルプラザグループ)

その他事業

  • 大成情報システム
  • 大成ツーリスト
  • 大成スタッフサービス
  • 大成ビジネスサポート
  • タイセイ総合研究所(トータルソリューション研究所)
  • 北軽井沢開発(軽井沢高原ゴルフ倶楽部)
  • ミュージアム・タイセイ(ジョン・レノン・ミュージアム

海外現地法人

  • PP大成インドネシア建設
  • 大成タイランド
  • ビナタ・インターナショナル
  • 大成ミャンマー
  • 中建‐大成建築有限責任公司
  • 大成フィリピン建設
  • インドタイセイ インダ デベロップメント

不祥事

  • 2006年(平成18年)5月11日防衛施設庁談合事件にからむ不正入札に関して、国土交通省から30日間の営業停止命令が下りる。同事件に絡むでは営業停止命令は、大成建設を含むゼネコン大手など8社に及んだ。
  • 2007年(平成19年)9月26日、TKN(大成建設、鹿島建設、新日鉄エンジニアリングのジョイントベンチャー)が建設中のカントー橋が崩落し、死者55人、負傷者79人を出す大事故となった。調査の結果、事故の主因は予測不可能であったと結論され、TKNにより建設が継続された[16]
  • 同社が2010 - 2013年3月期の3年間で、約2億円の申告漏れ東京国税局から指摘されていたことが、2014年6月に判明した。指摘額のうち約6,000万円については、同社幹部社員の男性が、下請会社に対し虚偽の発注を繰り返した上で裏金を捻出し、私的にマンションを建設するための費用に使っていたとして、所得隠しと認定された。同社はこの件については、報道機関の取材に対しコメントを避けており、問題の幹部社員も取材に応じていない模様である[17]
  • 2016年(平成28年)11月8日、大成建設が施工していた福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目交差点付近の地下鉄トンネル延伸工事現場で陥没事故博多駅前道路陥没事故)が発生。崩落の原因について、2017年3月にまとめられた有識者委員会の報告書では、工事の地盤調査の誤りと、地盤のもろさが指摘されている。
  • 2018年(平成30年)3月2日中央新幹線をめぐる談合で、大成建設の元常務執行役員及び鹿島建設の幹部が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)違反の容疑で東京地検特捜部に逮捕された[18][19]。その後、公正取引委員会の刑事告発を受け、3月23日に法人としての大成建設等4社と同社元常務執行役員ら2人が起訴された[20]2021年(令和3年)3月1日東京地方裁判所から法人としての大成建設に罰金2億5000万円、常務執行役員に懲役1年6月、執行猶予3年が言い渡された[21]2023年(令和5年)3月2日、東京高等裁判所は大成建設と元常務の控訴を棄却した[22]
  • 2023年(令和5年)1月末、北海道札幌市中央区北1条西5丁目に建設中だった、地上26階、地下2階建ての複合高層ビルで、事業主のNTT都市開発による現地視察にて発注したものと異なるボルトが使われていたことが判明。調査を行ったところ、大成建設による施工不良および計測値の虚偽報告が発覚し、23%ほど進んでいた工事を概ねやり直す事態となった[23]。大成建設は3月16日付けで事実と役員の辞任を発表した[24][25]。大成建設は4月17日、ビルの建て直し費用と工期の遅れによる違約金として、約240億円の損失を計上し、相川善郎社長以下社外を除く取締役・執行役員全員の役員報酬減額処分を発表した[26]
  • 同年9月19日、東京都中央区の再開発工事現場で作業員2人が死亡した。大成建設は大林組との共同企業体として工事を担っている[27]

その他

  • 週刊こどもニュース(日本放送協会・2007年5月19日)で「質問バンバン!」のコーナーで「ビルのクレーンのしくみ」の特集で大成建設のビルのクレーンが取り上げられた。
  • CS局ディスカバリーチャンネルで放送中の番組『エキストリーム・エンジニアリング』で、上記のボスポラス海峡海底鉄道トンネルの函体建造に携わる同社の日本人技術者が紹介され、番組途中に同社のイメージCMが放送されていた。
  • 2013年、創立140周年記念事業の一環として、創業140周年記念サイトと公式Facebookページが開設された。
  • 2023年、創立150周年記念事業の一環として、創業150周年記念サイトと公式twitterアカウントが開設された。

脚注

注釈

出典

参考文献

関連項目

外部リンク

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