第19回統一地方選挙

2019年に行われた統一地方選挙

第19回統一地方選挙(だい19かいとういつちほうせんきょ)は、地方自治体首長及び議会議員を全国一斉に改選するため、2019年平成31年[注釈 1]4月7日21日の2回に分けて行われた日本選挙である。

41道府県議選
日本
2015年 ←
2019年4月7日
→ 2023年

公示日2019年3月29日
改選数2277
選挙制度中選挙区制
選挙後の道府県議会党派別勢力図

 第1党第2党第3党
 
党首安倍晋三山口那津男枝野幸男
政党自由民主党公明党立憲民主党
前回選挙1153169新党
獲得議席1158166118
議席増減増加5減少3

 第4党第5党第6党
 
党首志位和夫玉木雄一郎又市征治
政党日本共産党国民民主党社会民主党
前回選挙111新党31
獲得議席998322
議席増減減少12 減少9

 第7党
 
党首松井一郎
片山虎之助
政党日本維新の会
前回選挙28
獲得議席16
議席増減減少12

概要

都道府県の首長(知事)と議員、および政令指定都市の首長(市長)と議員を選出するための選挙が4月7日に、続いて基礎自治体である市区町村の首長(市区町村長)と議員を選出するための選挙が4月21日に執行された。2018年(平成30年)12月衆議院本会議で選挙実施に必要な地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律(平成30年法律第101号)が可決・成立し、日程が決まった[1]

なお、この日程は通例(都道府県知事・議員と政令指定都市市長・議員が4月第2週、市区町村長・議員が4月第4週)よりも1週間早い。これは、天皇の退位等に関する皇室典範特例法によって第125代天皇明仁が同年4月30日に退位することを踏まえ、前倒しされたものである[2]

982の選挙(補欠選挙を除く)が実施され、統一率(実施数÷(団体数×2))は、27.46%で、過去最低だった前々回(2011年)の27.40%を若干上回った。

平成生まれの者が知事選に立候補できる年齢(30歳)に達した最初の統一地方選である(立候補可能となった最初の知事選挙は2019年山梨県知事選挙。平成時代に平成生まれの知事が誕生する可能性があったが、立候補した例はなかった)。21世紀生まれの者が初めて選挙権を得た統一地方選でもあった(18歳選挙権が施行されたのは2016年)。

亥年選挙であり、また平成時代最後の全国規模の選挙で、ほとんどの自治体で平成最後の選挙となった(同年行われた第25回参議院議員通常選挙は令和への改元後)。

統一地方選の日程

前半戦
  • 3月21日:道府県知事選の告示
  • 3月24日:政令指定都市の市長選の告示
  • 3月29日:道府県議選と政令指定都市の市議選の告示
  • 4月7日:投票
後半戦
  • 4月14日:一般市長選と市議選、東京都の特別区長選と区議選の告示
  • 4月16日:町村長選と町村議選の告示
  • 4月21日:投票

対象となる選挙

4月7日執行

道府県知事選挙

11道府県

前回と比べ、大阪府が新たに加わっている(横山ノックが不祥事で辞職して以来、統一選で行われていなかったが、今回復帰した)。10道県が任期満了に伴う選挙なのに対し、大阪府は2019年3月24日付での現職の失職[注釈 2]に伴うものである。

道府県議会議員選挙

41道府県

対象となる全ての道府県が任期満了に伴う選挙である。

政令指定都市市長選挙

6政令指定都市

5市は任期満了に伴う選挙だが、大阪市は2019年3月21日付での現職の失職[注釈 2]に伴うものである。

政令指定都市市議会議員選挙

17政令指定都市

仙台市北九州市は今回選挙は行われない。

4月21日執行

合わせて907の選挙(補欠選挙を除く。)が実施された。

選挙結果

4月7日(前半戦)

11の道府県知事選挙では唯一の与野党対決型となった北海道知事選挙を含め、10道府県を自民党系候補が制した。現職が共に辞職して互いに入れ替えて出馬した大阪府知事・大阪市長選挙では大阪維新の会が推す候補に対し、自民党が擁立した対抗馬に維新以外の政党(公明立憲国民共産)が相乗りする形となったが、府知事・市長共に維新の擁立した候補が勝利した[3]。自民党所属の地元議員がそれぞれ別の候補を推す、いわゆる「保守分裂選挙」となった知事選は福井・徳島・島根・福岡の4県であり、このうち自民公認を受けた候補が勝利したのは福井と徳島で、島根と福岡では党所属の一部の国会議員および地方議員が支援する候補が自民公認候補を破り当選した。夏の参院選に向けて自民党本部は、分裂選挙で生じた地方組織内におけるしこりの解消に全力を挙げるとしている[4]

41道府県議会選挙では、自民党が全2277議席のうち1158議席を獲得し、単独過半数を占めた前回選挙から更に議席を伸長させ、単独過半数を堅持。前回より1県多い25道県で単独過半数となる堅調な結果となった。公明党は擁立した166人全員が当選した。立憲民主党は改選前比31増となる118議席を獲得し、議席を増加させる一方で国民民主党は83議席の獲得に留まり、改選前59議席減と大幅に勢力を後退させ、旧民主党勢力で明暗が分かれた。立憲民主党と国民民主党の合計では201議席と前回民主党が得た264議席から議席を減らした。ただし、政党の党籍を持ちながら無所属で立候補した候補も多数おり、国民民主党は同党の党籍を持つ無所属候補も含めると道府県議選では177人の立候補者に対し135人が当選したと明らかにしている[5][6]。全都道府県に議席を有していた共産党は愛知県議会で議席を喪失し、全体では7議席減の99議席となった[7]。大阪府においては大阪維新の会が躍進し、自民党は府市両議員団の幹事長が落選するなど大敗した[8]社民党は改選前47議席に対し当選は22議席に留まり、勢力を半減させた[9]。また、この選挙において新社会党熊本県議会に唯一維持していた議席を失った[10]

17政令市議選においては、公明党は目標としていた候補者全員の当選を達成できず、大阪市議選東成区では現職が4票差で、京都市議選下京区選挙区でも現職が6票差で落選した[11]。また、大阪市議選では前述の通り維新が躍進したほか、名古屋市議選では河村たかし名古屋市長が率いる地域政党・減税日本が改選前から6増の14議席を獲得し躍進した[12]

41道府県議選の党派別当選者数
定数党派
自民立憲国民公明共産維新自由希望社民諸派無所属
北海道10051240830014
青森県48281323011
秋田県4324111214
山形県4327211219
栃木県5031313111
群馬県502523218
埼玉県934874960118
千葉県94451068201121
神奈川県105472358500116
新潟県532812212116
富山県403212032
石川県432822119
福井県37251119
山梨県3717111116
長野県57211045026
岐阜県4629132110
静岡県6835135123
愛知県1025778600123
三重県51212101017
滋賀県4416324910
京都府602825512206
大阪府881510152514
兵庫県8627511259027
奈良県43210434416
和歌山県4225113417
鳥取県3514333111
島根県3719112212
岡山県55322152013
広島県643216124
山口県472915219
徳島県382222210
香川県4127122234
愛媛県47152021126
高知県371910359
福岡県8740512102117
佐賀県382532215
長崎県4628153126
熊本県4931131013
大分県431611320119
宮崎県3924113244
鹿児島県513410310111
合計22771158118831669916002279536
前回(2015年)11532641691112803165463
出典:「41道府県議選党派別当選者数」(毎日新聞2019年4月9日付11面)。
注:大阪府議会の諸派は大阪維新の会
17政令市議選の党派別当選者数
定数党派
自民立憲国民公明共産維新希望社民諸派無所属
札幌市68261911010011
さいたま市60231131170104
千葉市5018558626
横浜市86331621690019
川崎市60198211110018
相模原市461564840108
新潟市511840461117
浜松市469005428
名古屋市6821116115140
京都市6721341018452
大阪市83170184404
堺市4891114185
神戸市6920721291036
岡山市4617218513
広島市542685001014
福岡市622153126258
熊本市48141082023
合計10123279933171115160491156
前回(2015年)30112717413634393154
出典:「17政令市議選党派別当選者数」(毎日新聞2019年4月9日付11面)。
注:大阪市・堺市議会の諸派は大阪維新の会、名古屋市議会の諸派は減税日本

4月21日(後半戦)

14日に告示された86の市長選と294の市議選、東京にある特別区のうち11区長選と20区議選では、県庁所在地の津や高松を含めた27の市長選と11の市議選が無投票で当選が決定。今回の市長選の候補者数は過去最少で、無投票の割合は31.4%。過去最高値の32.7%は下回ったものの、2015年の前回30.3%から微増となり、3割という高い割合が続いている[13]。また、16日に告示された町村議会議員選挙では、全国375の町村のうち、前回・2015年の倍にあたる8町村で定員割れが発生。定員割れ8町村のうち半数が発生した北海道を例にとると、道東にある浜中町の町議選は、全国で唯一「定員に2人足りない」という異例の事態で無投票当選が決定するなど「なり手不足」が深刻化している現状も浮き彫りとなった[14]

市議会議員選挙においては、自民党が前回から64議席積み増し、698議席を獲得。公明党は擁立した901名全員が当選する一方、共産党は57議席減の615議席、社民党は19議席減の53議席とそれぞれ大きく勢力を後退させた。立憲民主党は197名が、国民民主党は95名がそれぞれ当選し、合計すると前回の旧民主党が獲得した284議席を若干上回った[15]。大阪府内では大阪維新の会が後半戦においても候補者68人のうち67人が当選し、議席を増やした[16]。また、諸派ではNHKから国民を守る党幸福実現党が議席を増やした[17]

市長選挙では、新人が現職を破った新潟県加茂市や山口県周南市など、6市長選で女性候補が当選。今回の統一選で誕生した女性市長は、前回2015年の4人を上回り、過去最多を更新。また今回の統一選での議員選挙における立候補者全体に占める女性候補の割合は、市議選で17.3%、町村議選で12.1%といずれも統一選では過去最多となった[18]

市区議選当選者数(294市6726議席・20区785議席)
市議(女性)新旧区議
現職元職新人
自由民主党698(0050)6171170247
立憲民主党197(0051)12876272
国民民主党95(0015)8011412
公明党901(0301)743-158150
日本共産党615(0260)48611118103
日本維新の会46(0009)1782111
自由党0(0000)00
希望の党0(000-)0-
社会民主党53(0010)47067
諸派
大阪維新の会
159
67
(0062)
(0007)
74
0029
4
1
81
37
70
000
無所属3960(0481)2894142924113
合計6724(1239)50861841454785
出典:「市区議選当選者数」毎日新聞2019年4月23日9面
注:千葉県成田市と香川県坂出市で法定得票に足らず、それぞれ欠員1が生じた。大阪維新の会は諸派の内数。

脚注

注釈

出典

関連項目

参考文献