背板
背板(はいばん、せいた、英:tergite、tergum、複数形:tergites、terga)[1][2]は、節足動物の体の背面を覆いかぶさった外骨格である[3][4]。名前はラテン語で「背面」を意味する「tergum」に由来する[1][2]。
通常、「背板」という名は胴部(胸部・腹部・後体など)背面の外骨格に用いられ、先頭の合体節(頭部・頭胸部・前体)の背板は頭板(cephalic plate)[5]・背甲(carapace, head shield, prosomal dorsal shield, peltidium)[6][7][8]・甲皮(head sclerite)[9]などとして区別される。昆虫の場合、胸部の背板は英語では「notum」として腹部の背板から区別される[10][11]。
背板は原則として1体節つきに1枚のみをもつ。ただし、1体節の背板が更に複数枚に細分する(クツコムシの後体・ジムカデの胴部など)・隣接した体節の背板が癒合する(カブトガニの後体・三葉虫の尾部など)・腹面の外骨格(腹板)と癒合してリング状の体環(body ring)をなしている(サソリの終体・多くのヤスデの胴部など)など、様々な特化様式も挙げられる[4][8]。
三葉虫のように、背板が張り出した両縁をもつ場合、本体を覆いかぶさった中央の部分は軸部[12](axial lobe[13], axial region[14], syntergite[15], medial tergite[16])、残りの出張った左右の部分は肋部[12](pleural lobe[13], tergopleura (複:tergopleurae)[14][17][18], pleurotergite (複:pleurotergites)[19][20], paratergite[15])として区別できる。肋部は "側板"(pleura (複:pleurae), pleuron, pleurite)と呼ばれる場合もあるが、これは昆虫やムカデなどに見られる、おそらく付属肢(関節肢)の基部由来の側板とは別器官である[15][11]。一部のヤスデは、肋部に似たような側庇[21](paranota[22])を背板の両背面にもつ。