20世紀スタジオ

アメリカの映画スタジオ
20世紀フォックスから転送)

20世紀スタジオ(にじっせいきスタジオ、20th Century Studios, Inc.)、旧社名は20世紀フォックス映画(にじっせいきフォックスえいが、Twentieth Century-Fox Film Corporation(1935年 - 1985年)、Twentieth Century Fox Film Corporation(1985年 - 2020年))は、ロサンゼルスセンチュリー・シティ地区のフォックス・スタジオ・ロットに本社を置くアメリカ合衆国映画会社映画スタジオである。現在はウォルト・ディズニー・カンパニーの一部門であるウォルト・ディズニー・スタジオウォルト・ディズニー・モーション・ピクチャーズ・グループ)の子会社である。

20世紀スタジオ
20th Century Studios, Inc.
以前の社名
20世紀フォックス映画
Twentieth Century-Fox Film Corporation (20th Century-Fox)
(1935年 - 1985年)
Twentieth Century Fox Film Corporation (20th Century Fox)
(1985年 - 2020年)
種類
子会社
業種映画
前身
設立1935年5月31日 (88年前) (1935-05-31)
創業者
本社
事業地域
世界中
主要人物
デビッド ・グリーンバウム(会長)
スティーブ・アスベル(会長、製作)
製品
所有者
従業員数
2,300人 (2018年)
親会社
部門
子会社
ウェブサイトwww.20thcenturystudios.com
Footnotes / references
[1][2][3][4]

1935年の設立から2019年(ウォルト・ディズニー・スタジオに買収される)まで、80年以上にわたり、Twentieth Century-Fox Film Corporationは、当時のアメリカの大手映画スタジオ「ビッグ6」のひとつであった。旧称は20世紀フォックス映画で、1935年にフォックス・フィルム20世紀ピクチャーズが合併して(TCFホールディングスが所有しながら)、ハリウッド黄金時代のメジャー8社のうちの元祖ビッグ5の1社として設立されたものである。1985年にニューズ・コーポレーションに買収され、20世紀フォックス映画と改称(ハイフンなし)、2013年に出版資産をスピンオフして21世紀フォックスが事業を継承して閉鎖された。2019年3月20日にウォルト・ディズニー社による21世紀フォックスの買収が行われ、Twentieth Century Fox Film Corporationを含む。スタジオの現在の名称は、2020年1月17日に採用された。

歴史

1939年の広告に描かれた20世紀フォックスのロゴ。
1952年公開の『革命児サパタ』にて。

創業から1956年まで

1934年12月28日フォックス・フィルム・コーポレーション1915年ウィリアム・フォックスにより設立)と20世紀ピクチャーズ1933年ダリル・F・ザナックにより設立)が合併し、20世紀フォックス映画として設立される。戦前はシャーリー・テンプル主演作やジョン・フォード監督、戦後はマリリン・モンロー映画により知られる。

1940年代から1950年代にかけては『イヴの総て』『わが谷は緑なりき』『紳士協定』といったドラマ・社会派作品を製作した。

1950年代以降は、ロジャース&ハマースタインブロードウェイミュージカルの映画化に取り組み、世界的に有名な『王様と私』『サウンド・オブ・ミュージック』を制作。他にも舞台の演出をそのまま映画に取り込んだ『南太平洋』や『オクラホマ!』などがある。

1953年には、ワイドスクリーンのひとつ「シネマスコープ」を開発。これは当時普及してきたテレビに対抗するもので、大画面で楽しむという映画の醍醐味をあらためて認識させるものとなり、同年の史劇『聖衣』がその第一作となった。以来ハリウッド映画をはじめとする大作映画はほとんどシネマスコープで撮影されている。

製作と財政問題

1986年から2020年まで20世紀フォックスとして使用されたロゴ。

しかし、巨額な製作費をつぎ込んで1962年に製作した『クレオパトラ』は興行的に大失敗に終わり、スタジオは倒産の危機に陥る。そこへ20世紀映画の創始者だった、ダリル・F・ザナックが経営陣に戻り、1965年に公開され空前の大ヒットとなりアカデミー作品賞を受賞した『サウンド・オブ・ミュージック』、1968年に第1作が公開され以降シリーズ化された『猿の惑星』が大成功をおさめ、スタジオの経営は徐々に軌道に戻った。以来SF作品とシリーズ作品が好調。1977年からの『スター・ウォーズ』シリーズや、『エイリアン』シリーズ、『ダイ・ハード』シリーズ、『ホーム・アローン』シリーズなど、大成功を収める。

マーヴィン・デイビスとルパート・マードック

1987年に完成したセンチュリー・シティの本社、フォックス・プラザ

20世紀フォックス映画は1981年6月8日に7億2,000万ドルで投資家のマーク・リッチとマービン・デイビスに売却された。 1984年までに、リッチは脱税、恐喝、イラン人質事件の際のイランとの違法取引などの容疑で米国連邦検察官に起訴された後、スイスに逃亡していた。リッチの資産は米国当局によって凍結された[5]。1984年、マービン・デイヴィスはマーク・リッチの20世紀フォックス映画の50%の持分を1億1600万ドルと報じられた非公表の金額で買い取った[6]。デイヴィスは1985年3月、この持分をルパート・マードックニューズ・コーポレーションに2億5000万ドルで売却した。その後、デイヴィスはマードックとのジョン・クルージのテレビ局、メトロメディアを買収するという取引から手を引いた。後にマードックは単独でテレビ局を買収し、後にデイヴィスの20世紀フォックス映画の残りの株式を3億2500万ドルで買い取った。1985年以降、20th Century-Foxから20th Century Foxに変更され、ハイフンはひっそりと取り除かれた[7]

1994年マーベルより『ファンタスティック・フォー』と『X-MEN』の映画化権を購入。実写映画のシリーズを展開した。1997年には『タイタニック』をパラマウント映画と共同製作し、アカデミー賞の11部門を受賞した。2000年代には第3世代光ディスク(当時の「次世代DVD」)規格争いにおいて、ソニー・ピクチャーズや現親会社のディズニーと並んでBlu-ray Discのみを強力に支持していた。

2005年、フォックス放送のロサンゼルス・スタジオ

2009年、『アバター』を公開。劇場映画に本格的な3D映像を取り入れたことが大きな話題を呼び、世界中でヒットを記録。同作と『タイタニック』で、世界歴代興行成績の1位と2位を長らく保持した(2019年に『アベンジャーズ/エンドゲーム』が首位を更新)。

21世紀フォックス

2012年、ルパート・マードックはニューズ・コーポレーションを出版・メディア系の新会社ニューズ・コープと、フォックス・エンターテインメント・グループ英語版と20世紀フォックス映画を運営していた21世紀フォックスに分割することを発表[8][9]、同年6月末には分社化を完了して20世紀フォックス映画は21世紀フォックスの傘下となった[10]

ディズニーによる買収

20世紀スタジオの現在のプリントロゴを横長にしたもので、映画(主にHulu/Starのオリジナル作品で製作)のブランディングに使用されている。最初に使用された作品は Vacation Friendsである。

2017年12月14日、ウォルト・ディズニー・カンパニーは、20世紀フォックス映画を含む21世紀フォックスの資産の大半を524億ドルで買収する計画を発表した[11][12][13]。ディズニーと21世紀フォックスの株主は、両社の合併を承認した。

2019年3月20日、買収が正式に完了した[14]。2020年1月17日、フォックス・コーポレーションとの混同を避けるため、社名を20世紀スタジオ(20th Century Studios)へ変更すると発表され、20世紀スタジオは、ウォルト・ディズニー・モーション・ピクチャーズ・グループを構成する一社となった。また、フォックスが映画化権を持っていたマーベル・コミック原作のシリーズ「ファンタスティック・フォー」と「X-MEN」は、同じくディズニー傘下のマーベル・スタジオが製作を引き継ぐと発表された[15]

テレビ

音楽

20世紀フォックス映画が音楽著作権をワーナー・ミュージック・グループに売却した中にこの曲も入っており、一時期はこの曲が映画に使われる度にワーナーの名を冠する音楽出版社(ワーナー・チャペル)[注釈 1]に使用料を支払うという事態となっていた(現在は20世紀スタジオが買い戻している)[1]。また、一時期このファンファーレが流れず、オープニングロゴが無音のまま映し出されることもあった。

ラジオ

映画用フィルムの現像

部門

現在

過去

ロゴとファンファーレ

20世紀スタジオの映画といえば、ロゴと共に冒頭で流れる、スネアドラムの軽快な刻みから始まる華やかなファンファーレが有名である。この曲は、1935年当時、同社の音楽部長だったアルフレッド・ニューマン(1901年 - 1970年)により作曲された、わずか9小節という短い曲(1953年のシネマスコープ導入以前はもっと短く、書き足された後のヴァージョンは"Cinemascope Extension"と呼ばれる)で、もともとはニュース映画の冒頭に流す事が主目的だった。ニュース映画の時代ではなくなったものの、映画の本編が始まる前の臨場感を高めるメロディとして、今なお同社の映画には欠かせぬ存在となっており、他の映画会社には見られない、インパクトあるスポットとして広く知られている(「ハード・プレイ」や「ロッキー・ホラー・ショー」、「ボヘミアン・ラプソディ」等では音楽にアレンジが加わっている)。後述の「0」の修正に合わせた再録音が1981年に行われている。これとは別にジョン・ウィリアムズが指揮した『帝国の逆襲』のヴァージョンは、同シリーズの『シスの復讐』まで一貫して使われた。

1994年のロゴのCG化に伴い、プロデューサーのケヴィン・バーンズが、ブルース・ブロートンにこの曲のリメイクを依頼した。作曲者の息子であるデヴィッド・ニューマンがスコアの改作を手掛け、1997年から使われている。

20世紀フォックス映画が音楽著作権をワーナー・ミュージック・グループに売却した中にこの曲も入っており、一時期はこの曲が映画に使われる度にワーナーの名を冠する音楽出版社(ワーナー・チャペル)[注釈 1]に使用料を支払うという事態となっていた(現在は20世紀スタジオが買い戻している)[2]。また、一時期このファンファーレが流れず、オープニングロゴが無音のまま映し出されることもあった。

日本においても、古くは横山ノック青芝フック横山パンチ(上岡龍太郎)らで結成された漫画トリオが、このファンファーレをモチーフにした「パンパカパーン~パンパンパンパンパカパーンー今週のハイライトー」というギャグを展開していた他、現在では野球場(特に西武ドーム)で試合開始の合図に流したり、演奏会の際、本演奏の前にトップでこのファンファーレを演奏する等、多岐に使用される様になった。

2020年から使用されているロゴ。

20th CENTURY STUDIOS」(1935年から2020年までは「20th CENTURY FOX」)の文字を立体的に象ったロゴで、20世紀ピクチャーズ時代からデザインはほぼ変わっていない。

1994年以前はサーチライト部分のみが動く平面アニメーションだった。1953年からシネマスコープ作品を中心に「0」が右に傾いたものが使われていたが、1979年にリニューアルされ、「0」は傾かなくなった。これ以降、ワイドスクリーン用のロゴを使わずに、ビスタ用を横に引き伸ばしたものや、ロゴを拡大して使用することもあった。

1994年にプロデューサーのケヴィン・バーンズによって、全面的にリニューアルされ、上方から視点が回り込む3次元コンピュータグラフィックスアニメーションとなった[注釈 2]。ロゴの周りにはフォックス本社の所在地であるロサンゼルスの景色、ハリウッドサインも映っている。2009年にブルースカイ・スタジオにより、新たに作りなおされた。2010年度公開作品では創業75周年を記念して、フォックスロゴの上部に 「CELEBRATING 75 YEARS」と描かれたものが使われた。

また、ニューズ・コーポレーション傘下時代は「A NEWS CORPORATION COMPANY」と下に表示されていた。

フィルムライブラリー

20世紀スタジオの興行収入ベスト25(全世界)
順位タイトル公開年興行収入
1アバター2009年$2,789,679,794
2タイタニック1997年$2,187,463,944
3スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス1999年$1,027,044,677
4ボヘミアン・ラプソディ2018年$903,655,259
5アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの2009年$886,686,817
6アイス・エイジ4/パイレーツ大冒険2012年$877,244,782
7スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐2005年$848,754,768
8インデペンデンス・デイ1996年$817,400,891
9デッドプール22018年$785,046,920
10デッドプール2016年$783,112,979
11スター・ウォーズ1977年$775,398,007
12X-MEN:フューチャー&パスト2014年$747,862,775
13猿の惑星: 新世紀2014年$710,644,566
14アイス・エイジ22006年$660,940,780
15スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃2002年$649,398,328
16オデッセイ2015年$630,161,890
17ヒックとドラゴン22014年$621,537,519
18LOGAN/ローガン2017年$616,225,934
19ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日2012年$609,016,565
20クルードさんちのはじめての冒険2013年$587,204,668
21ナイト ミュージアム2006年$574,480,841
22スター・ウォーズ /帝国の逆襲1980年$547,969,004
23デイ・アフター・トゥモロー2004年$544,272,402
24X-MEN:アポカリプス2016年$543,934,787
25レヴェナント: 蘇えりし者2015年$532,950,503
20世紀スタジオ興行収入ベスト25(北米)
順位タイトル公開年興行収入
1アバター2009年$760,507,625
2タイタニック[注釈 3]1997年$659,363,944
3スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス1999年$474,544,677
4スター・ウォーズ1977年$460,998,007
5スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐2005年$380,270,577
6デッドプール2016年$363,070,709
7デッドプール22018年$363,535,803
8スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃2002年$310,676,740
9スター・ウォーズ/ジェダイの復讐1983年$309,306,177
10インデペンデンス・デイ1996年$306,169,268
11スター・ウォーズ /帝国の逆襲1980年$290,475,067
12ホーム・アローン1990年$285,761,243
13ナイト ミュージアム2006年$250,863,268
14X-MEN:ファイナル ディシジョン2006年$234,362,462
15X-MEN:フューチャー&パスト2014年$233,921,534
16キャスト・アウェイ[注釈 4]2000年$233,921,534
17オデッセイ2015年$228,433,663
18LOGAN/ローガン2017年$226,277,068
19アルビン2 シマリス3兄弟 vs. 3姉妹2009年$219,614,612
20ミセス・ダウト1993年$219,195,243
21アルビン/歌うシマリス3兄弟2007年$217,326,974
22ボヘミアン・ラプソディ2018年$216,428,042
23X-MEN22003年$214,949,694
24猿の惑星: 新世紀2014年$208,545,589
25アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの2009年$196,573,705
20世紀スタジオの興行収入ベスト25(日本)
順位タイトル公開年興行収入(億円)
1タイタニック1997年262.0
2アバター2009年156.0
3ボヘミアン・ラプソディ2018年131.1
4スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス1999年127.0
5インデペンデンス・デイ1996年106.5
6スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃2002年93.5
7スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐2005年91.7
8ダイ・ハード31995年72.0
9スピード1994年70.3
10タワーリング・インフェルノ1975年62.2[注釈 5]
11スター・ウォーズ1978年61.3
12トゥルーライズ1994年58.3[注釈 6]
13ホーム・アローン1991年57.8
14ダイ・ハード21990年54.4
15スター・ウォーズ/ジェダイの復讐1983年53.0
16マイノリティ・リポート2002年52.4
17グレイテスト・ショーマン2018年52.2
18デイ・アフター・トゥモロー2004年52.0
19PLANET OF THE APES/猿の惑星2001年48.0
20Mr.&Mrs. スミス2005年46.5[注釈 7]
21スター・ウォーズ/帝国の逆襲1980年43.0
22ダイ・ハード4.02007年39.1
23アイ,ロボット2004年37.5
24ナイト ミュージアム2007年35.7
25エイリアン31992年35.4
オデッセイ2016年

日本

映画の配給や製作を行う20世紀フォックス映画の日本支社[注釈 8]と映像ソフトを担当する20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社(にじっせきフォックス ホーム エンターテイメント ジャパン、20thFOX HEJ)を展開していた。なお、形式上はハンガリー法人の子会社扱いとなっている。2010年前後はローカルプロダクションの流れに乗って『群青 愛が沈んだ海の色』・『サイドウェイズ』・『パラダイス・キス』・『はやぶさ/HAYABUSA』・『カラスの親指』などの邦画を製作した(『群青』は配給のみ、『パラダイス・キス』はワーナー ブラザース ジャパンが配給をそれぞれ担当)。2018年には日本のテレビアニメ『バキ』の販売などを手掛けた(第2期からDMM picturesが販売)[18]

なお日本法人は20世紀フォックス映画以外に2020年6月30日までメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)やユナイテッド・アーティスツ(UA)作品についても日本における劇場配給とソフトの発売・販売(オライオン・ピクチャーズの作品も含む)の権利を持っていた[注釈 9]

2019年に本国の20世紀フォックス映画がディズニー社に買収されて以降は、『ターミネーター:ニュー・フェイト』以降の映画配給[注釈 10]と映像ソフト(旧作含む)の発売・販売元がウォルト・ディズニー・ジャパン名義となった。その為、一部のディズニーストアでも映像ソフト(旧作含む)が発売されている。日本国内での版権管理は引き続き上記の2社が担っていたが、21世紀FOXジャパン(20世紀フォックス日本支社)は2020年9月1日に、20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンは同年11月16日にそれぞれ解散した[19][20]

脚注

注釈

出典

参考文献

関連項目

外部リンク

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