三十四丁目の奇蹟

34丁目の奇蹟から転送)

三十四丁目の奇蹟』(さんじゅうよんちょうめのきせき、Miracle on 34th Street)は、1947年アメリカ合衆国[注 1]のクリスマス映画。監督はジョージ・シートン、出演はモーリン・オハラエドマンド・グウェンなど。『34丁目の奇蹟』『三十四丁目の奇跡』のタイトルでビデオ発売されたことがある[1]。後に4回リメイクされている(「リメイク」の項を参照)。

三十四丁目の奇蹟
Miracle on 34th Street
ポスター(1947)
監督ジョージ・シートン
脚本ジョージ・シートン
原案ヴァレンタイン・デイヴィス英語版
製作ウィリアム・パールバーグ英語版
出演者モーリン・オハラ
ジョン・ペイン
エドマンド・グウェン
音楽シリル・モックリッジ
アルフレッド・ニューマン(音楽監督)
撮影チャールズ・クラーク
ロイド・エイハーン
編集ロバート・L・シンプソン英語版
製作会社20世紀フォックス
配給アメリカ合衆国の旗 20世紀フォックス
日本の旗 セントラル映画社[1]
公開アメリカ合衆国の旗 1947年5月2日
日本の旗 1948年11月30日[1]
上映時間96分
製作国アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語英語
製作費$630,000
興行収入$2,650,000[2]
テンプレートを表示
予告編

本作はモノクロ映画だが、2006年に『三十四丁目の奇蹟 スペシャル・カラー・バージョン』としてカラーライズされた。20世紀フォックス正規盤DVDにはモノクロのオリジナル版とカラーライズされたカラー版の2種類が収録されている。

ストーリー

舞台はニューヨーク。マンハッタン34丁目のスクェアに実在するメイシーズの旗艦店。クリスマス商戦の開始を告げる仮装パレードの準備中に酔いつぶれたサンタ役を叱りつけた老人(エドマンド・グウェン)は人事係のドリスの判断で代役をつとめる。パレードは成功、ユーモアと思いやりを備えて芸達者な彼はおもちゃ売り場で子どもたちの人気者になりデパートもクリス人気に便乗する。

しかし、ドリスとの面接の際にサンタクロースの別名クリス・クリングルを名乗り自分を本当にサンタだとする彼は妄想癖があると見做されてしまう。そこでメイシーズ専属のカウンセラーであるソーヤーに彼を診させた結果、異常は無かったが、ソーヤーは妻と不仲でそのことを診察中に彼に指摘され苛立ち、彼に異常があると偽りの報告をし、今すぐに精神病棟に入れた方が良いと進言した。だが、クリスが入所している老人ホームの医師のピアースは彼には異常が無いとして精神病棟に入れる必要は無いという。その直後にメイシーズで働いている若い従業員のアルフレッドが子供たちに親切過ぎることを理由に、ソーヤーがアルフレッドに精神障害であると発言したことをクリスは知り、憤った彼はソーヤーを非難し、杖でソーヤーの頭を叩いてしまう。そして、ソーヤーの企みで彼は精神病棟に閉じ込められる。過去の痛みからサンタクロースを信じられないドリスと彼女の心を知る健気な娘スーザンは、老人が2人にとってかけがえのない存在だったことを知る。クリスにとってもスーザンがサンタクロースを信じてくれることが何よりの望みだった。

ドリスの隣人でドリスに好意を持っている弁護士のフレッド(ジョン・ペイン)はクリスの弁護を買って出て裁判が開かれる。事件はクリスが精神的に正常かどうかで争われる。正直な老人を助けたいニューヨークの人達は街角の店先やアパートのベランダで「私はサンタクロースを信じます」というオピニオンボードを掲げ始めるが、裁判は不利なまま進行する。法を曲げられない判事のハーパー(ジーン・ロックハート)は「奇蹟が起こらない限り」老人を助けられないだろうと密かにフレッドに伝える。そして結審の日を迎える。

結審の日、フレッドは、郵政公社は誤配を行わないこと、そしてサンタクロース宛の手紙が現にクリスに届けられていることを根拠に、サンタクロースの実在を主張する。物的証拠の提出を求める判事のハーパーに、フレッドが何万通ものサンタ宛の手紙を証拠として提出したことで、ハーパーはサンタクロースの存在を認め、クリスは放免された。クリスはドリスに、スーザンの手紙に勇気付けられたことを伝える。ドリスはクリスをクリスマス・イヴの食事に招待するが、クリスはサンタとしての仕事が待っていることを理由に断る。

明くる日、クリスに招待されたドリスとスーザンは、クリスのホームパーティーを訪れる。自分が頼んだプレゼントが無いことにショックを受けたスーザンは、やはりクリスは本物のサンタではなかったと失望してしまう。ドリスはスーザンに、思い通りにいかなくても相手を信じることが大切であることを教える。スーザンとドリスは、迎えに来たフレッドと共にクリスに教えられた裏道を利用して帰る。その途中、スーザンが見かけたのはスーザンがクリスマスプレゼントに願っていた理想の一軒家で、それは売りに出されていた。狂喜乱舞するスーザン、そしてフレッドとドリスは2人でこの家を買い取ること、そして結婚を誓い合う。暖炉のそばには、クリスの杖が置いたままにされていた。

キャスト

役名俳優日本語吹替
テレビ版1テレビ版2PDDVD
ドリス・ウォーカーモーリン・オハラ武藤礼子佐原妙子斎藤恵理
フレッド・ゲーリージョン・ペイン吉水慶青野武大塚智則
クリス・クリングルエドマンド・グウェン川久保潔宝亀克寿
ヘンリー・ハーパー判事 ジーン・ロックハート石井敏郎三浦潤也
スーザン・ウォーカーナタリー・ウッド皆口裕子深森らえる
ジュリアン・シェルハマーフィリップ・タング英語版仲木隆司ヤスヒロ
R・H・メイシー社長ハリー・アントリム英語版山野史人村松康雄
チャーリー・ハロランウィリアム・フローリー英語版亀井三郎間宮康弘
アルフレッドアルヴィン・グリーンマン大倉正章奈良徹
トーマス・マーラ検事ジェローム・コーワン仲木隆司小浅和大
グランヴィル・ソーヤー先生ポーター・ホール英語版梁田清之竹房敦司
ピアース先生ジェームズ・シーイ英語版石井敏郎青山穣
  • テレビ版1:20世紀フォックスの正規盤DVD・Blu-ray Discに収録されている。
    • 演出:長野武二郎、翻訳:宇津木道子、制作:ムービーテレビジョン
  • テレビ版2:初放送日・放送局不明

映画賞受賞・ノミネート

映画祭・賞部門候補結果
アカデミー賞作品賞ノミネート
助演男優賞エドマンド・グウェン受賞
脚色賞ジョージ・シートン
原案賞ヴァレンタイン・デイヴィス英語版
ゴールデングローブ賞脚本賞ジョージ・シートン受賞
助演男優賞エドマンド・グウェン

作品の評価

Rotten Tomatoesによれば、47件の評論のうち、96%にあたる45件が高く評価しており、平均して10点満点中8.31点を得ている[3]Metacriticによれば、10件の評論の全てが高く評価しており、平均して100点満点中88点を得ている[4]

リメイク

アメリカでは本作の後に4回リメイクされ、1955年にトーマス・ミッチェル主演、1959年にエド・ウィン主演でテレビドラマとして放映された。また、1973年にデヴィッド・ハートマンロディ・マクドウォールセバスチャン・キャボットジェームズ・グレゴリーらが出演したテレビ映画が放映された。

そして1994年ジョン・ヒューズ製作・脚本、 リチャード・アッテンボロー主演で映画としてリメイクされた。日本では『34丁目の奇跡』というタイトルで公開された。

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク

英語版記事の音声を再生 (21)
noicon
この音声ファイルは英語版記事の2017年3月26日 (2017-03-26)版を元に作成されており、以降の記事の編集内容は反映されていません。