Apple TV

Appleによる家庭用メディア受信デバイス

Apple TV(アップル ティーヴィー)は、Appleが開発・販売するセットトップボックスである。2006年9月12日コードネームiTV」(アイティーヴィー)として発表された。

Apple TV
開発元Apple
種別セットトップボックス
発売日2022年10月18日(現行モデル)
SoCApple A15
ウェブサイトアップル - Apple TV

家庭内でビデオ・コンテンツiTunesからテレビ無線LANあるいは有線LANを通して配信することができる他、YouTubeの映像も見ることができる。また、2008年1月15日より、iTunes Storeから直接コンテンツを購入したり、映画のレンタルもできるようになった。

概要

Apple TVは2006年9月12日サンフランシスコのYerba Buena Center for the Artsで開催されたスペシャルイベントの終盤に、スティーブ・ジョブズCEOが「iTV(アイティーヴィー)」というプロジェクトのコードネームで発表した[1]。予定価格は299ドルとされた。Appleが開発段階でハードウェア製品を発表するのは異例のことであった。

2007年1月10日にAppleは正式名称を「Apple TV」、日本でのメーカー希望小売価格を36,800円と発表し[2]、同時にApple Store オンラインで注文の受付を開始した。出荷予定日は当初2007年2月とされたが延期され[3]、3月22日に出荷が始まった[4]

2008年1月15日サンフランシスコモスコーニ・センターで行われたMacworld2008でスティーブ・ジョブズCEOがApple TVの値下げとアップデートをアナウンスした。このアップデートによって、iTunesの新しいサービスであるiTunes ムービーレンタルにも対応し、今度はMacやPCに同期せずに単体でiTunes Storeにアクセスできるようになった。ムービーレンタルはDVD解像度(480i、AVC 1.5Mbps前後)のほかにHD解像度(720p、AVC 4Mbps)でドルビー5.1chサウンドに対応した転送速度は1本あたりの容量と再生時間から計算。またHD対応のPodcastにも対応している。これにともなってGUIも一新された。

2010年9月1日のApple2010秋スペシャルイベントで第2世代Apple TVが発表され、99ドルへの大幅な値下げ、製品も4分の1に小型化し、AirPlayの初採用と前モデルから内容が大幅に刷新された。この刷新では、iTunesだけでなくiPhoneやiPadからの音楽や動画、画像をAirPlay経由で再生することが可能になった。また、従来のHDムービーに加えて、大手放送局提供のTV番組が1話に付き99セントでレンタルできるサービスが加わった。また米国で人気のNetflixへも対応した。

2015年9月10日に発表された第4世代Apple TVでは、iOSベースの新プラットフォームであるtvOSを採用、これによりサードパーティー製アプリの使用が可能になるなど、機能が大きく刷新された。

沿革

  • 2006年9月12日 - サンフランシスコのイベントで、コードネーム「iTV」として製品発表[5]
  • 2007年1月9日 - Macworld Conference & Expo 2007で「Apple TV」として製品が正式発表[6]。同年3月21日に販売開始[7][8]
  • 2008年1月15日 - 1月中にソフトウェアアップデートを実施し、機能追加(iTunes Storeでの音楽などの購入が可能に。またアメリカに限り同Storeで映画レンタルが可能に。.Mac WebギャラリーやFlickrの写真閲覧が可能に。)すると発表[9]。インターフェースの変更。
  • 2008年1月30日 - 機能追加の為のソフトウェアアップデートが1〜2週間遅れると発表[10]
  • 2009年9月15日 - 40GBモデル販売終了、160GBモデルの大幅価格改定(49,800円→23,800円)[11]
  • 2009年10月30日 - Apple TV 3.0ソフトウェア発表[12]。iTunes ExtrasやiTunes LP、Genius Mixに対応した。
  • 2010年6月15日 - 新モデルのMac mini発表によりApple Store オンライン上でiPodアクセサリーへ分類される。
  • 2010年9月1日 - 第2世代Apple TV発表[13]。ハードディスクを排除し大幅に小型化。Apple A4を搭載。
  • 2010年11月11日 - 第2世代Apple TVが日本で発売開始[14]
  • 2012年3月8日 - 第3世代Apple TV発表[15]。メニュー画面などのインターフェースを一新し、最大解像度が1080pになる。また、同日に Apple TV (第2世代) へのソフトウェア・アップデートが提供され、新しいインターフェースを使用できるようになった。
  • 2012年9月25日 - Apple TVソフトウェアアップデート5.1公開。ホーム画面のアイコン整列、iCloudの新機能、バグ修正などが含まれている[16]
  • 2013年1月28日 - 第3世代Apple TV(Rev. A)発売。内部の一部部品が刷新されている。
  • 2013年9月21日 - Apple TVソフトウェアアップデート6.0公開。iTunes Music Storeから直接音楽を購入、再生できるようになった。
  • 2014年9月19日 - Apple TVソフトウェアアップデート7.0公開。新たにフラットな見た目のGUIデザイン(iOS 7.x/8.xに酷似)を採用。ファミリーシェアリングに対応し、Beats Musicアプリが追加された。
  • 2015年9月10日 - 第4世代Apple TV HD発表[17]。新たにtvOSを採用、サードパーティ製アプリの使用が可能になる。それに伴い内蔵ストレージを復活させた。容量は32GBおよび64GB。
  • 2015年10月30日 - 第4世代Apple TV HD発売。
  • 2017年9月12日 - Apple TV 4K発表。4KHDR画質に対応[18]
  • 2017年9月22日 - Apple TV 4K発売[18]
  • 2019年3月25日 - 映像配信サービスApple TV+、および新しいApple TVアプリケーションを発表[19]
  • 2021年4月20日 - Apple TV 4K(第2世代)発表[20]
  • 2022年10月18日 - Apple TV 4K(第3世代)発表[21]HDR10+対応。

特徴

主な機能
  • Mac、PC、iPhone、iPod touch、iPad内の映像・音楽・写真コンテンツを、無線か有線LAN経由でテレビにストリーミング[22]
  • ホームシェアリング機能を有効にしたMacまたはPCのミュージック、ビデオ、写真にアクセス可能
  • iCloudFlickrの写真、およびYouTubeVimeoNetflixHuluApple TV+のビデオを閲覧
  • iTunes Storeでのコンテンツの購入
  • iTunes StoreでHD画質のムービー及びテレビ番組のレンタルまたは購入(日本国内では2010年11月11日より開始)

(ABC、Fox、Disney Channel、BBC America提供によるHD TV番組が99セント、HDムービーのセレクションが4.99ドル)

その他の機能
  • AirPlayに対応した第2世代以降の機種では、iTunesをインストールしたMacまたはPCとApple TVを有線LANケーブルで接続し、AirPlayを同時に有効にした状態でMacまたはPCから音声を出力した際に音質が向上する触媒作用の機能を持つ。AirMac Expressにも同様の機能がある。
  • Apple TV 4K以降の機種ではAirPlay2に対応したことにより、iOS機種やiPadOS機種からのAirPlay送信やAirMac Expressでの音声出力に対してもApple TVを使用した触媒作用が有効となった。

歴代機種

第1世代

無線LANIEEE 802.11b/g/nドラフト)、またはイーサネットで特定1台のパソコンのiTunesと自動的に同期し、内蔵のHDDにコンテンツを貯めることができる。また、5台までのパソコンからストリーミングを受ける機能も備える。同期、ストリーミングはMac OS XWindowsの両方に対応している。製品にはApple Remoteが付属し、Front Rowと同様のGUIを実装して簡単なメニュー操作で各データを閲覧・再生できるようになっている。

CPUとしてIntel Pentium M 1.0 GHz、チップセットにGPU内蔵のNVIDIA G72Mを搭載し[23]、出力解像度は720pに対応している。テレビとの接続のため、Apple製品では初のHDMI端子とコンポーネント端子を搭載している。

第2世代

新たにApple A4プロセッサが搭載され、電源が内蔵された。A4は、CPUGPUメモリなどが集約されたSoCであり、HDD、コンポーネント端子が撤廃されたことによって、本体サイズが約4分の1に小型化し、$99への大幅な値下げを可能とした。

内蔵ソフトウェアも大幅に刷新されている。iOSベースのApple TV ソフトウェアが搭載され、従来のHDムービーに加え大手放送局提供のTV番組が¢99(1話)でレンタルできるサービスが加わった。また米国で人気のNetflixへも対応した。更に、新発表のAirPlay(旧AirTunes)によって、MacやWindows PC、iPhoneiPod touchiPadからでも音声や画像、映像をWi-Fi経由でストリーミング再生できるようになった。

無線LANは、IEEE 802.11a/b/g/nに対応し、2.4GHz帯のほか、5GHz帯での接続が可能となった。付属する新しいApple Remote[24]のほか、RemoteアプリをインストールしたiPhone、iPod touch、iPadを使用してのリモートコントロールが可能である。

第3世代

2012年3月16日発売。Apple A5 プロセッサ(シングルコア)を搭載し、GUIとHDMI出力は1080pに対応。これにより、フルHDテレビとの接続に限り、1080p動画をダウンコンバートせずに再生が可能になった。

2013年1月28日には内部の一部部品が更新された第3世代Apple TV (Rev A)が発売され、P2PのAirPlayに対応した。

第3世代終売後のApple TV ソフトウェア・アップデートで、2019年5月にはApple TVアプリ (Apple TV+)に対応、2020年3月にはiOS/iPadOSデバイスのコントロールセンターからの操作に対応した。

2022年現在、tvOS非対応のモデルでのApple TV ソフトウェアのアップデートは全て終了し、(Apple TVアプリを除き)Appleの近年の新しいサービスには対応せず、既に内蔵アプリ (他社サービス)の多くもサポートを終了している。

Apple TV(第3世代) 前面
Apple TV(第3世代) 背面

第4世代

2015年9月10日発表[25]、同年10月26日からオンラインでの注文受付が開始され、同30日より出荷および店頭での販売が開始された。価格は32GBモデルが18,400円、64GBモデルが24,800円。第3世代も併売を続ける。

CPUには新しくApple A8プロセッサを搭載。出力端子はHDMI 1.4のみとなり、光デジタル音声端子は撤廃された。オーディオフォーマットでは新たにDolby Digital Plus 7.1に対応した。

iOSをベースに開発されたtvOSを採用し、GUIがSiri Remoteでの操作に最適化されるかたちで刷新された。またApple TVでは初めてApp Storeに対応。開発者にはソフトウェア開発キットとしてtvOS SDKが提供され、Apple TV用アプリの開発、配信ができるようになった。

従来のApple Remoteにかわり、Siri用のデュアルマイクやTouchサーフェス、加速度センサー及びジャイロスコープなどを備えたSiri Remoteが同梱される。Apple Remoteが本体との通信に赤外線を利用していたのとは違って、Siri RemoteはBluetooth接続である。Siriボタンを押しながら話しかけることで、動画や音楽の再生・停止・スキップなどの操作から、ジャンルや俳優名などからの映画作品の検索、天気予報やスポーツの試合結果の表示など、音声で様々な操作をすることができる。また方向ボタンの代わりにAppleがTouchサーフェスと呼ぶタッチパッドを搭載し、これをスワイプするなどして画面上の選択を切り替えたりスクロールしたりする。HDMI CECに対応したテレビであれば、Siri Remoteからテレビ本体の音量を操作することも可能となった。Siri Remoteはゲームコントローラとしても使用できるほか、tvOS 16以降では対応するPlayStation、Xboxやその他のBluetoothワイヤレスゲームコントローラを使用できる。

同梱のSiri Remoteは、Apple TV 4K (後述)の第1、第2世代の発売に合わせて同じ新しいものに計2回変更された。

2019年3月25日、製品呼称が「Apple TV(第4世代)」から「Apple TV HD」へ変更された[26]

Apple TV 4K(第1世代)発表後も32GBモデルのみ併売されていたが、Apple TV 4K(第3世代)の発表に伴いHDモデルは全て終売となった。

Apple TV 4K(第1世代)

Apple TV 4Kという名称で2017年9月12日発表[27]9月22日発売。CPUは新しいApple A10Xを搭載し、GUIは4K HDR画質に対応。但し、AirPlayミラーリング時のネイティブ4K表示には非対応。第1世代のSiri Remoteは少しだけデザインし直され、MENU ボタンの周りを白い円で囲むようになった。ストレージは32GBおよび64GB。EthernetポートはギガビットEthernetに対応。尚、USB端子自体は基板内には残っているものの、物理的に差し込めなくなっている。

新たにAirPlay 2に対応し、HomePodと組み合わせることでHomePodをスピーカー代わりに使用することが可能。また、対応するAirPodsやBeats製品で空間オーディオを利用できるようになった。

Apple TV 4K(第2世代)

2021年4月20日発表[20]A12 Bionicを搭載し、新しいデザインの第2世代のSiri Remoteが同梱される。

新たにWi-Fi 6とThreadに対応。またHDMI 2.1を搭載したことにより、HDRとeARCに対応(eARCの機能を使う場合はHomePodが別途必要)。

Apple TV 4K(第3世代)

2022年10月18日発表[20]A15 Bionicを搭載し、充電用コネクタがUSB-Cになった第3世代のSiri Remoteが同梱される。ファンレスとなって小型・軽量化された[28]。また本体上部にあった tvの文字が無くなった。

新たにHDR10+に対応。Wi-Fiモデル (64GB)とWi-Fi + Ethernetモデル (128GB)の2構成。Wi-Fi + EthernetモデルのみThreadに対応。

Apple TV+

2019年3月25日発表[19]。2019年11月1日にサービスを開始[29]Netflixのような定額制映像配信サービスで、本サービス開始に合わせて、Apple TVのみならず、東芝サムスン電子製などの一部スマートテレビAmazon Fire TV[注釈 1]などでも専用アプリの「Apple TVアプリ」を経由して、本サービスやiTunesのコンテンツが視聴可能になった[30][32]

仕様

第1世代[33]第2世代[34]第3世代[35]HD
(旧称 第4世代)[36]
4K(第1世代)[37]4K(第2世代)4K(第3世代)
発売日2007年1月9日2010年9月1日初期版:
2012年3月7日
2015年10月30日2017年9月22日2021年5月21日[38]2022年11月4日
Rev A:
2013年1月28日
生産中止2010年9月1日2012年3月7日初期版:
2013年3月10日
64GB:
2017年9月12日
2021年4月20日2022年10月17日生産中
Rev A:
2016年9月8日
32GB:
2022年10月17日
プロセッサIntel 1.0 GHz Crofton プロセッサ[39]1 GHz Apple A4Apple A5 シングルコアApple A8 デュアルコアApple A10X FusionApple A12 BionicApple A15 Bionic
グラフィックスNVIDIA GeForce Go 7300(64 MB VRAM[40]Apple A4
(PowerVR SGX535)
初期版:
Apple A5
(PowerVR SGX543MP2)
Apple A8
PowerVR Series 6XT GX6450
PowerVR Series 7XT 12コアApple A12 Bionic
(Apple独自4コア)
Apple A15 Bionic
(Apple独自5コア)
Rev A:

Apple A5
(PowerVR SGX543MP1)

メモリ256MB/400 MHz DDR2 SDRAM[41]256MB[42]512MB[43]2GB LPDDR3 SDRAM[44]3GB LPDDR43GB LPDDR44GB LPDDR4
ストレージ40GB/160GB HDD[41]8GB フラッシュメモリキャッシュ用)32GB/64GB フラッシュメモリ64GB/128GB フラッシュメモリ
コネクタHDMI
コンポーネント端子
IRレシーバ
USB 2.0[45]
HDMI
IRレシーバ
Micro-USB[46]
HDMI 1.4
IRレシーバ
USB-C
HDMI 2.0a
IRレシーバ
HDMI 2.1
IRレシーバ
HDMI 2.1
IRレシーバ
ネットワークIEEE 802.11b/g/n Wi-Fi
10/100BASE-T Ethernet
IEEE 802.11a/b/g/n Wi-Fi
10/100BASE-T Ethernet
IEEE 802.11a/b/g/n Wi-Fi
10/100BASE-T Ethernet
Bluetooth[47]
MIMO対応 IEEE 802.11ac Wi-Fi
10/100BASE-T Ethernet
Bluetooth 4.0
MIMO対応 802.11ac Wi-Fi
ギガビットEthernet
Bluetooth 5.0
MIMO対応 802.11ax Wi-Fi 6 同時デュアルバンド(2.4GHz/5GHz)
ギガビットEthernet
Bluetooth 5.0
Thread
MIMO対応 802.11ax Wi-Fi 6 同時デュアルバンド(2.4GHz/5GHz)
Bluetooth 5.0
上記に加え
ギガビットEthernet
Thread
(Wi-Fi + Ethernetモデルのみ)
映像出力720p 60/50 Hz・576p 50 Hz(PAL)・480p 60 Hz(NTSC
HDMIおよびコンポーネント端子
720p 60/50 Hz
HDMIのみ
1080p 60/50 Hz・720p 60/50 Hz
HDMIのみ
最大2160p 60fps
HDMIのみ
最大2160p HDR 60fps
HDMIのみ
音声出力S/PDIF 光デジタル音声端子
RCA端子 アナログステレオオーディオ
S/PDIF 光デジタル音声端子HDMIのみ
電源48W 内蔵電源6W 内蔵電源13W 内蔵電源内蔵電源
サイズ197×197×28mm98×98×23mm98×98×35mm93×93×31mm
重量1.09 kg272g425g208g(Wi-Fiモデル)
214g(Wi-Fi + Ethernetモデル)
付属リモコンApple Remote(ホワイト)Apple Remote(アルミニウム)発売初期: Siri Remote(第1世代)Siri Remote(第1世代)Siri Remote(第2世代)Siri Remote(第3世代)
Apple TV 4K(第2世代)発売後: Siri Remote(第2世代)
初期搭載OSApple TV ソフトウェア 1.0
Mac OS X 10.4 ベース)
Apple TV ソフトウェア 4.0
iOS 4.1 ベース)
初期版: Apple TV ソフトウェア 5.0
(iOS 5.1 ベース)
tvOS 9.0[48]
(iOS 9ベース)[49]
tvOS 11.0
(iOS 11 ベース)
tvOS 14.5
(iOS 14.5 ベース)
tvOS 16.1
Rev A: Apple TV ソフトウェア 5.2[50]
(iOS 6.1 ベース)
現時点の最新OSApple TV ソフトウェア 3.0.2
(Mac OS X 10.4 ベース)
Apple TV ソフトウェア 6.2.1
(iOS 7.1.2 ベース)
Apple TV ソフトウェア 7.8[51]
(iOS 8.4.4 ベース)
tvOS 17.3[52]
(iOS 17.3ベース)

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク