ライフ・イズ・ビューティフル

イタリアの映画作品

ライフ・イズ・ビューティフル』(日本語訳:人生は美しい、原題:La vita è bella、英題:Life Is Beautiful)は1997年イタリア映画ロベルト・ベニーニ監督・脚本・主演作品。第二次世界大戦下のユダヤ人迫害(ホロコースト)を、ユダヤ系イタリア人の親子の視点から描いた作品である。

ライフ・イズ・ビューティフル
La vita è bella
監督ロベルト・ベニーニ
脚本ヴィンチェンツォ・チェラーミ
ロベルト・ベニーニ
製作エルダ・フェッリ
ジャンルイジ・ブラスキ
製作総指揮マリオ・コトネ
出演者ロベルト・ベニーニ
ニコレッタ・ブラスキ
ジョルジョ・カンタリーニ英語版
ホルスト・ブッフホルツ
音楽ニコラ・ピオヴァーニ
撮影トニーノ・デリ・コリ
編集シモーナ・パッジ
配給アメリカ合衆国の旗 ミラマックス
イタリアの旗 チェッキ・ゴーリ
日本の旗 松竹富士/アスミック・エース
公開イタリアの旗 1997年12月20日
日本の旗 1999年4月17日
上映時間117分
製作国イタリアの旗 イタリア
言語イタリア語
ドイツ語
英語
製作費$20,000,000
興行収入$229,163,264[1]
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第51回カンヌ国際映画祭(1998年)で審査員グランプリを受賞。第71回米国アカデミー賞(1999年)で作品賞ほか7部門にノミネートされ、そのうち、主演男優賞作曲賞外国語映画賞を受賞した。また、トロント国際映画祭の観客賞やセザール賞の外国映画賞も受賞している。

あらすじ

「これは、私の物語である」

第二次世界大戦前夜の1939年ユダヤ系イタリア人のグイドは、叔父を頼りに友人とともに北イタリアの田舎町にやってきた。陽気な性格の彼は、小学校の教師ドーラに一目惚れし、桁外れなアタックの末に駆落ち同然で結婚して、愛息ジョズエをもうける[2]

やがて戦時色は次第に濃くなり、ユダヤ人に対する迫害行為が行われる。北イタリアに駐留してきたナチス・ドイツによって、3人は強制収容所に送られてしまう。

母と引き離され不安がるジョズエに対しグイドは嘘をつく。「これはゲームなんだ。泣いたり、ママに会いたがったりしたら減点。いい子にしていれば点数がもらえて、1000点たまったら勝ち。勝ったら、本物の戦車に乗っておうちに帰れるんだ」。絶望的な収容所の生活も、グイドの弁術にかかれば楽しいゲームに様変わりし、また、周囲の子供たちと引き離されてしまった父親たちの助けや、「シャワーの日(実際には労働に耐えない高齢者や年少者を毒ガスで殺害する日)」にジョズエがシャワーを嫌って父の言うことを聞かずベッドに隠れた運の良さから助かり、ジョズエは希望を失うことなく生き延びることができた。

イタリアでの戦いが終盤を迎え、ナチスが撤退する混乱の中ジョズエとグイドは逃げようとする。しかしドーラを探す最中にグイドは見つかってしまう。ゴミ箱の中に隠れていたジョズエを怖がらせないように、グイドはジョズエにウインクし、背中に銃を突きつけられてもまるで喜劇の主人公のようにジョズエの前を戯けて通りすぎる。グイドは最後の憂さ晴らしにとナチスの兵士にジョズエの見えないところで銃殺されてしまった。

ナチスの撤退後、朝を迎え、誰もいなくなったのを見計らいジョズエがゴミ箱からトボトボと出てくる。すると父が語ったゲームの「シナリオ」通り、砂埃から連合軍の戦車が現われ、若い兵士がジョズエを戦車に乗せた。若い兵士がジョズエを抱き抱え自らのヘルメットをかぶせ、お菓子を与えながら外を見ていると、ジョズエは母を見つけ、再会する。何も知らない母に「僕たちはゲームに勝ったよ!」と告げると母はジョズエにキスしながら「そうよ 本当に勝ったのよ」とジョズエを褒め讃えた。成長したジョズエは父が命を捧げて贈り物をしてくれた、「これが私の物語である」と、物語を終えるのだった。

出演

登場人物俳優日本語吹替
ソフト版テレビ朝日
グイド・オレフィチェロベルト・ベニーニ原康義山寺宏一
ドーラニコレッタ・ブラスキ日下由美田中敦子
ジョズエ・オレフィチェジョルジョ・カンタリーニ桜井誉礼常盤祐貴
エリゼオ・オレフィチェジュスティーノ・ドゥラーノ小林恭治佐々木勝彦
フェッルッチョ・パピーニセルジョ・ビーニ・ブストリッチ水野龍司岩崎ひろし
グイッチャルディーニリディア・アルフォンシ
校長ジュリアーナ・ロヨディーチェ宮寺智子大西多摩恵
ロドルフォアメリゴ・フォンターニ安井邦彦辻親八
バルトロメオピエトロ・デ・シルヴァ立川三貴斎藤志郎
ヴィットリーノフランチェスコ・グッツォ
エレナラファエラ・レボローニ深水由美秋元千賀子
ドーラの母マリサ・パレデス久保田民絵朝倉佐知
レッシング医師ホルスト・ブッフホルツ中村正
ロドルフォクラウディオ・アルフォンシ相田さやか藤貴子
エレオノーラカルロッタ・マンジョーネ矢島晶子伊藤実華
いす張り職人アンドレア・ナルディ稲葉実島香裕
ブルーノアントニオ・プレステル青山穣清水明彦
作業着の男マッシモ・ビアンキ土屋利秀ボンバー森尾
知事ジル・バローニ村松康雄田原アルノ
教師アレッサンドラ・グラッシ中村千絵黒田弥生
秘書ジョヴァンナ・ヴィッラ大坂史子岩本裕美子
ナレーターオメロ・アントヌッティ

・テレビ朝日版:初回放送2001年1月21日『日曜洋画劇場

スタッフ

  • 監督:ロベルト・ベニーニ
  • 製作:エルダ・フェッリ、ジャンルイジ・ブラスキ
  • 製作総指揮:マリオ・コトネ
  • 脚本:ヴィンチェンツォ・チェラーミ、ロベルト・ベニーニ
  • 音楽:ニコラ・ピオヴァーニ
  • 撮影:トニーノ・デリ・コリ
  • 編集:シモーナ・パッジ
  • 衣装・美術:ダニーロ・ドナーティ

製作

作品タイトルはロシアの革命家レフ・トロツキーヨシフ・スターリンからの暗殺者に脅えながらも残した「人生は美しい」という言葉にちなんでいる[3]。ベニーニは「どんな状況下でも人生は生きるに値するほど美しい」という信念に感銘を受け、物語を着想した[3]

「強制収容所での虐殺」という重いテーマを扱っているが、コメディ俳優のベニーニは悲壮さを感じさせない喜劇仕立てにして、息子に対する父親の無償の愛情を描いた。ベニーニ自身はユダヤ系ではないが、彼の父はベルゲン・ベルゼン強制収容所で2年間を過ごしている。

妻ドーラを演じたニコレッタ・ブラスキは公私共にベニーニのパートナーであり、過去の作品でも夫婦で共演している。ベニーニ夫妻と子役のカンタリーニは、撮影に入る前に実際に寝起きをともにしたという。

音楽

評価

脚本・監督・主役を務めたベニーニは、アカデミー賞で本命のトム・ハンクス(『プライベート・ライアン』)をおしのけて主演男優賞を受賞した。

第264代ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は好きな映画として『ガンジー』や『シンドラーのリスト』とともに本作を挙げているほか、サッカー日本代表・元主将の宮本恒靖やお笑いタレントの上田晋也も好きな映画の一つに本作を挙げている[5]

出典

関連項目

外部リンク