ルーム (映画)
『ルーム』(Room)は、2015年にカナダ、アイルランド、イギリス、米国で製作されたドラマ映画。フリッツル事件を基に書かれたエマ・ドナヒューの小説『部屋』を原作としている。監督はレニー・エイブラハムソン、主演はブリー・ラーソンが務めた。
ルーム | |
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Room | |
監督 | レニー・エイブラハムソン |
脚本 | エマ・ドナヒュー |
原作 | エマ・ドナヒュー 『部屋』 |
製作 | エド・ギニー デヴィッド・グロス |
製作総指揮 | アンドリュー・ロウ エマ・ドナヒュー ジェシー・シャピーラ ジェフ・アークス デヴィッド・グロス ローズ・ガーネット テッサ・ロス |
出演者 | ブリー・ラーソン ジェイコブ・トレンブレイ ジョアン・アレン ショーン・ブリジャース ウィリアム・H・メイシー |
音楽 | スティーヴン・レニックス |
撮影 | ダニー・コーエン |
編集 | ネイサン・ヌーゲント |
製作会社 | Telefilm Canada Filmnation Entertainment Bórd Scannán na hÉireann/Irish Film Board Element Pictures No Trace Camping Film4 |
配給 | エレベーション・ピクチャーズ A24 ギャガ/カルチュア・パブリッシャーズ |
公開 | 2015年9月4日 (テルライド映画祭) 2015年10月16日 2016年4月8日 |
上映時間 | 118分[1] |
製作国 | カナダ アイルランド イギリス アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $13,000,000[2] |
興行収入 | $36,200,000[3] 3億8000万円[4] |
本作は第40回トロント国際映画祭で観客賞を受賞するなど、批評家・観客の双方から高い評価を得た。
概要
- 序盤
- 5歳の男の子 ジャックは、優しいママと一緒に「6畳の部屋」で暮らしていた。体操をして、TVを見て、ケーキを焼いて、楽しい時間が過ぎていく。この扉のない高い天窓だけがある「部屋」が、ふたりの全世界だった。
- ジャックが5歳になったとき、ママは何も知らないジャックに、「ママの名前はジョイ、この「部屋」の外には本当の世界があるの」と打ち明ける。実は、ジョイは7年間もの間、ずっとオールド・ニックという男によって監禁されており、これまで何度も脱走を試みようとしていたが失敗していたのだ。
- 中盤
- 混乱するジャックを説き伏せて、決死の脱出を図るふたり。ママは脱出するためにジャックを病気だと偽り、病院に駆け込むことを思いつくが、用心深いオールド・ニックは「解熱剤を持ってきてやる」といって相手にしない。そこで、ジャックに死んだ振りをさせることで、外の世界へ連れ出してもらうことにする。
- カーペットに包んだジャックを担ぎ、オールド・ニックは外に出た。トラックの荷台に置かれたジャックは、ママの奥歯をお守りにして逃げ出すチャンスを伺い、犬を散歩中の男性に助けを求めた。犬を散歩中の男性が警察に通報し、ジャックは無事保護された。
- だが、自分の名前は言えるが、ママの名前が分からない。優秀な婦人警官のパーカー巡査は、ジャックとの会話をヒントにして監禁されていた場所を特定した。こうして、監禁男のオールド・ニックは逮捕され、ジャックはママと再会した。検査のため病院に入院するが、ジョイの両親がすぐに駆けつける。
- 終盤
- 退院後は、「ばぁば」ことナンシー・ニューサムと、再婚した夫レオと同居することになった。ジャックは次第に「世界」に適応していったが、ママの時間は「17才の高校生」のまま止まったままであり、7年もの闇を家族で埋めるのは容易なことではなかった。
- ジョイが誘拐された後、実母ナンシーと実父ロバートは離婚していたのだが、「じぃじ」であるロバートは孫のジャックをどうしても受け入れることができなかった。そんな家族の温度差や、マスコミの心ない質問にジョイは傷ついていた。
- そしてついに、ジョイは服毒自殺を図ってしまう。ジャックが発見したおかげで、一命はとりとめたものの、心の傷は容易には治らなかった。そんなママに、ジャックは自分の髪を切って贈り、ジョイは次第に元気を取り戻してゆく。ジャックは、レオの犬とも仲良くなり成長していった。
- ラスト
- ある日ジャックは、ママと共に”部屋”を見に行くことになる。ベッドや冷蔵庫など生活用品はすべて、警察によって押収されていた。ジャックにとって、広い世界だと思っていたその納屋は、陰惨で狭い薄汚れた部屋だったのだ。
キャスト
※括弧内は日本語吹替
- ジャックの母親。7年間“部屋”に監禁されている。
- ジャック - ジェイコブ・トレンブレイ(菊地慶)
- ジョイの息子。生まれてから“部屋”を出たことがない。
- ジャックの実の祖母。
- オールド・ニック - ショーン・ブリジャース(野川雅史)
- ジョイを“部屋”に監禁している男。
- じいじ / ロバート - ウィリアム・H・メイシー(堀越富三郎)
- ジャックの実の祖父。
スタッフ
- 監督:レニー・アブラハムソン
- 製作:エド・ギニー、デヴィッド・グロス
- 製作総指揮:
- 原作:エマ・ドナヒュー
- 脚本:エマ・ドナヒュー
- 撮影:ダニー・コーエン
- プロダクションデザイン:イーサン・トーマン
- 衣装デザイン:リア・カールソン
- 編集:ネイサン・ヌーゲント
- 音楽:スティーヴン・レニックス
製作
2013年9月3日、レニー・エイブラハムソンがエマ・ドナヒューの小説『部屋』を原作とした映画で監督を務めると報じられた[5]。同年4月9日、ブリー・ラーソンが主演を務めることが決まった[6]。11月10日、ジョアン・アレン、ジェイコブ・トレンブリー、ウィリアム・H・メイシーが本作に出演すると報じられた[7]。
公開
本作の製作に先立って、A24フィルムスがアメリカでの配給権を獲得した[9]。
2015年9月4日、本作はテルライド映画祭でプレミアを迎えた。また、第40回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーションでも上映され、最高賞である観客賞を受賞。[10]。10月16日にはアメリカでの限定公開が始まり、11月6日から上映規模を拡大公開[11]。
評価
映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには31件のレビューがあり、批評家支持率は97%、平均点は10点満点で8.2点と高評価を受けている。批評家の意見の要約は「ここ10年で最高の一作」「この数年、これほどまでに心を動かされた映画はない」など、大絶賛されている[12]。
受賞
賞 | ||||
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賞 | カテゴリ | 対象者 | 受賞結果 | |
第40回トロント国際映画祭 | 観客賞 | 受賞[13] | ||
バンクーバー国際映画祭 | 最優秀カナダ映画賞 | 受賞[14] | ||
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 2015 | 主演女優賞 | ブリー・ラーソン | 受賞[15] | |
ブレイクスルー賞 | ジェイコブ・トレンブレイ | 受賞 | ||
第25回ゴッサム・インディペンデント映画賞 | 女優賞 | ブリー・ラーソン | ノミネート | |
第73回ゴールデングローブ賞 | 主演女優賞(映画演技賞ドラマ部門) | ブリー・ラーソン | 受賞 | |
作品賞(映画作品賞 ドラマ部門) | ノミネート | |||
第22回全米映画俳優組合賞[16] | 主演女優賞 | ブリー・ラーソン | 受賞 | |
第69回英国アカデミー賞 | 主演女優賞 | ブリー・ラーソン | 受賞 | |
第88回アカデミー賞[17] | 主演女優賞 | ブリー・ラーソン | 受賞 | |
作品賞 | ノミネート | |||
監督賞 | レニー・エイブラハムソン | ノミネート | ||
脚色賞 | エマ・ドナヒュー | ノミネート | ||
カナダ・スクリーン・アワード [18] | 主演女優賞 | ブリー・ラーソン | 受賞 | |
主演男優賞 | ジェイコブ・トレンブレイ | 受賞 | ||
監督賞 | 受賞 | |||
編集賞 | 受賞 | |||
脚本賞 | 受賞 | |||
第90回キネマ旬報ベスト・テン | 海外映画ベスト・テン | 10位 |