ヴェラアズール

日本の競走馬

ヴェラアズール(欧字名:Vela Azul2017年1月19日 - )は、日本競走馬[1]。主な勝ち鞍は2022年ジャパンカップ京都大賞典

ヴェラアズール
2022年ジャパンカップ
欧字表記Vela Azul[1]
香港表記飄揚青帆
品種サラブレッド[1]
性別[1]
毛色青毛[1]
生誕2017年1月19日[1]
抹消日2023年12月6日
エイシンフラッシュ[1]
ヴェラブランカ[1]
母の父クロフネ[1]
生国日本の旗 日本北海道白老町[1]
生産者(有)社台コーポレーション白老ファーム[1]
馬主(有)キャロットファーム[1]
調教師渡辺薫彦栗東[1]
競走成績
生涯成績27戦6勝[1]
中央:26戦6勝
海外:1戦0勝
獲得賞金5億4968万円[1]
WBRRL123 / 2022年[2]
L115 / 2023年[3]
勝ち鞍
GIジャパンC2022年
GII京都大賞典2022年
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馬名の意味は、スペイン語で「青い帆」。母名より連想[4]

戦績

デビュー前 - 4歳(2021年)

1歳時に左トモ球節の骨片を摘出する手術を受け、2歳になっても左前脚に骨瘤ができるなど脚部不安に陥っていたこともあり[5]、デビューは3歳になってから、2020年3月20日の阪神競馬場ダート1800メートルの3歳新馬で、福永祐一鞍上でデビューし2着[6]調教師渡辺薫彦によれば、当初のヴェラアズールがダートの競走で使われたのは、育成期にトラブルが続き、一時期には馬体重が600キログラム近くまでになった本馬の脚元への負担が考慮されたものである[7]。その後未勝利戦で2着2回、3着1回の好走を続け、6月28日の阪神競馬場ダート1800メートルの未勝利戦で、ダミアン・レーン騎乗の下で1着[6]。その後は阪神競馬場ダート2000メートルの3歳上1勝クラスで2回敗れた後、2021年1月10日、中京競馬場の4歳上1勝クラスで勝利し2勝目を挙げた[6]。しかし、それ以降は2022年1月までにかけて計10回ダートコースでの2勝クラス競走に出走するが最高成績は3着2回で、およそ1年の間3勝目を挙げることは叶わなかった[6]

5歳(2022年)

渡辺は、かねてからオーナーサイドと芝の競走を使いたいと話していたものの、「ダートでもそれなりに走っていたので、なかなか切り替えるタイミングがないまま」で、ヴェラアズールは5歳の春を迎えていた[7][8]。次走としては矢作川特別(ダート1800メートル)が予定されたが、同競走の1週前登録には36頭がエントリーしており、本馬は除外の可能性が高かった[8]。そこで、体質面での良化も踏まえて、登録馬が10頭であった同日の2勝クラス競走・淡路特別(芝2600メートル)に目標を切り替え、本馬は初めて芝コースでの競走に出走することになった[8]。2022年3月19日、阪神競馬場の淡路特別で1着となり、約1年2か月ぶりの勝利を挙げた[6]。芝への挑戦で勝利を挙げた本馬は、その後、芝路線に固定される[8]。サンシャインステークス(芝2500メートル)、緑風ステークス(芝2400メートル)で2走連続の3着を記録した後、6月11日、東京競馬場のジューンステークス(芝2400メートル)で1着となりオープン入りした[6]

映像外部リンク
2022年 京都大賞典(GII)レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

約4か月の休養を挟み、2022年10月10日、昇級初戦で阪神競馬場の京都大賞典GII)に松山弘平鞍上で出走した[9][10]。競走では、主導権争いを制したユニコーンライオンが逃げ、重賞2勝の1番人気馬ボッケリーニアリストテレスが並んで5番手追走、ウインマイティーが7番手を追走するなどして縦長の隊列となったなかで、本馬は後方で競走を進めた[9]。第4コーナーに差し掛かって凝縮した馬群の後方4番手で最終直線に入った本馬は、松山に仕掛けられると、上がり3ハロンで出走馬中最速の33秒2を計時する瞬発力を発揮し、ボッケリーニ以下を差し切って2馬身2分の1差で優勝した[9][10]。これによって、本馬は重賞の初挑戦初勝利を達成した[9]

映像外部リンク
2022年 ジャパンカップ(GI)レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

2022年11月27日、ライアン・ムーア鞍上でジャパンカップGI)に出走した[11]。ここでは、昨年の日本ダービーおよび同年のドバイシーマクラシックを勝った4歳馬シャフリヤール皐月賞4着、日本ダービー4着および天皇賞(秋)3着の3歳馬ダノンベルーガに、京都大賞典を勝ったヴェラアズールを加えて三強の勢力図となった[12]。過去4年のジャパンカップの平均出走頭数が1.5頭であった外国調教馬も、国際厩舎の新設された今回にはオネストテュネスグランドグローリー、シムカミルの4頭が来日[注 1][13][14]。一方、凱旋門賞へ遠征したタイトルホルダーおよびドウデュース有馬記念に直行したイクイノックスなどの不在によって日本調教馬はやや手薄な陣容であったが、上位人気は日本調教馬が独占した[12]

第42回ジャパンカップ
(鞍上 ライアン・ムーア

発走すると、福島記念を逃げ切ったユニコーンライオンが競走を先導し、これに続く隊列が一団となって進行する展開のなかで、本馬は中団馬群の中を追走[15]。向正面半ばからユーバーレーベンが後方から進出し、第4コーナーからは応戦したダノンベルーガとシャフリヤールも追撃に掛かったが、一方、本馬は密集した馬群の中で追い出しを待つことになった[15]。残り300メートル辺りから狭いところを通って追い上げると、内から抜け出したヴェルトライゼンデ、外から追い込んだシャフリヤール両馬の間を突き抜けて優勝[15]。2着となったシャフリヤールに4分の3馬身差をつけ、以下着順は3着ヴェルトライゼンデ、4着デアリングタクト、5着ダノンベルーガと続いた[8]。これによって日本調教馬は2006年ディープインパクト以来ジャパンカップの17連勝を達成[11][13]。本馬はジューンステークス、京都大賞典に続く3連勝でのGI制覇となり、渡辺薫彦調教師および父エイシンフラッシュに初めてのGI勝利をもたらした[16]。5歳になるまで芝の競走を走らなかった経歴の本馬を、島田明宏は「近年ではほかに例がない馬」[5]石田敏徳は「空前のジャパンCウイナー」[8]と評した。競走の直後では次走は白紙とされたが、その後、有馬記念へ参戦[17]したが、10着と敗れた。

6歳(2023年)

6歳初戦は初の海外遠征となるドバイワールドカップクリスチャン・デムーロを鞍上に迎え出走したが13着と大敗した。帰国後は宝塚記念に出走し8着の後、秋初戦となった京都大賞典では後方から追い上げるも7着に終わった。この後、連覇を目指しジャパンカップに出走することとなった。当初は前年同様にライアン・ムーアとのコンビが予定されていたが、ムーアが短期免許期間中の11月19日の京都競馬で落馬負傷し、免許期間途中で治療のため帰国した[18]ことにより、代わって短期免許で来日していたホリー・ドイルとのコンビとなった[19]。なお、夫のトム・マーカンドもスタッドリーに騎乗しており、JRAのGI競走では初の夫婦での騎乗となった。結果は7着と敗れ、このレースが現役最終戦となった。

ジャパンカップ後ノーザンファームしがらき(滋賀県)に放牧に出ていたが、左前脚に腫れがみられたためエコー検査を行ったところ、屈腱炎が判明。復帰までに最低1年を要するとみられることから、関係者が協議した結果、12月6日引退することが発表された[20]

種牡馬時代

供用

競走馬引退後は、北海道新冠町優駿スタリオンステーションで種牡馬入りする[21]

成績

以下の内容は、JBISサーチ[22]、netkeiba.com[23]、エミレーツ競馬協会[24]およびTotal Performance Data[25]の情報に基づく。

競走日競馬場競走名距離(馬場)


オッズ
(人気)
着順タイム
(上り3F)
着差騎手斤量
[kg]
1着馬(2着馬)馬体重
[kg]
2020.03.20阪神3歳新馬ダ1800m(良)1623017.60(5人)02着01:56.1(37.7)-0.40福永祐一56リーガルマナー514
0000.04.11阪神3歳未勝利ダ1800m(良)16816001.80(1人)02着01:54.7(39.3)-0.30福永祐一56アンコールプレス516
0000.05.31京都3歳未勝利ダ1800m(良)1647001.60(1人)02着01:54.1(39.0)-0.40幸英明56カネコメノボル512
0000.06.13阪神3歳未勝利ダ1800m(不)16714002.70(2人)03着01:52.1(37.7)-0.30福永祐一56メイショウカズサ516
0000.06.28阪神3歳未勝利ダ1800m(稍)1635001.60(1人)01着01:53.8(38.2)-0.20D.レーン56(クールシャイン)506
0000.11.23阪神3歳上1勝クラスダ2000m(良)1011005.50(2人)04着02:08.7(37.5)-0.30福永祐一55ロードセッション506
0000.12.19阪神3歳上1勝クラスダ2000m(良)1179002.60(1人)02着02:08.4(37.0)-0.20福永祐一56ヴァーダイト502
2021.01.10中京4歳上1勝クラスダ1900m(良)1433002.90(2人)01着02:01.3(37.2)-0.60福永祐一56(メイショウコジョウ)504
0000.03.20中京矢作川特別2勝ダ1800m(良)16611002.80(1人)10着01:55.0(39.2)-1.30福永祐一55ダノングリスター502
0000.04.10新潟福島中央テレビ杯2勝ダ1800m(良)1422004.90(3人)13着01:54.4(39.6)-2.00鮫島克駿57ヴィアメント506
0000.06.13東京八王子特別2勝ダ2100m(良)1612015.70(6人)03着02:11.4(37.5)-0.60C.ルメール57リキサンダイオー510
0000.06.27阪神リボン賞2勝ダ1800m(良)1311004.60(2人)04着01:52.4(37.6)-0.50C.ルメール57ジュディッタ502
0000.10.30東京伊勢佐木特別2勝ダ2100m(良)14712005.80(3人)09着02:12.7(38.7)-1.60C.ルメール55バイシュラバナ516
0000.11.27阪神3歳上2勝クラスダ1800m(良)1659031.30(8人)06着01:54.3(38.6)-1.10鮫島克駿57ホールシバン514
0000.12.18阪神赤穂特別2勝ダ1800m(重)1457019.40(4人)03着01:52.2(36.4)-0.10松若風馬57ナリタフォルテ510
2022.01.09中京濃尾特別2勝ダ1800m(良)1546026.20(7人)07着01:54.3(36.6)-1.10松若風馬57レプンカムイ506
0000.03.19阪神淡路特別2勝芝2600m(稍)911007.90(4人)01着02:38.4(34.8)-0.10岩田望来55(プレイリードリーム)516
0000.04.17中山サンシャインS3勝芝2500m(良)1357005.30(3人)03着02:33.2(34.0)-0.40岩田望来55パラダイスリーフ514
0000.05.14東京緑風S3勝芝2400m(良)12811006.00(4人)03着02:24.4(33.8)-0.10戸崎圭太57アルビージャ512
0000.06.11東京ジューンS3勝芝2400m(良)1559002.50(1人)01着02:25.7(33.9)-0.30C.ルメール56ブレークアップ510
0000.10.10阪神京都大賞典GII芝2400m(稍)14610007.40(2人)01着02:24.3(33.2)-0.40松山弘平56ボッケリーニ518
0000.11.27東京ジャパンCGI芝2400m(良)1836004.50(3人)01着02:23.7(33.7)-0.10R.ムーア57シャフリヤール518
0000.12.25中山有馬記念GI芝2500m(良)1636010.00(4人)10着R2:34.1(36.8)-1.70松山弘平57イクイノックス518
2023.03.25メイダンドバイWCG1ダ2000m(Fs)[注 2]15515017.90(7人)13着R2:13.87(48.96)-10.620C.デムーロ57Ushba Tesoro計不
0000.06.25阪神宝塚記念GI芝2200m(良)1748042.10(9人)08着R2:11.9(35.2)-0.70松山弘平58イクイノックス520
0000.10.09京都京都大賞典GII芝2400m(重)1422008.20(6人)07着R2:25.7(35.0)-0.40松山弘平59プラダリア526
0000.11.26東京ジャパンCGI芝2400m(良)1859099.70(9人)07着02:23.3(33.8)-1.50H.ドイル58イクイノックス514
  • 海外の競走の「枠番」欄にはゲート番を記載

血統表

ヴェラアズール血統(血統表の出典)[§ 1]
父系キングマンボ系
ミスタープロスペクター系
[§ 2]

エイシンフラッシュ
2007 黒鹿毛
父の父
*キングズベスト
King's Best
1997 鹿毛
KingmanboMr. Prospector
Miesque
AllegrettaLombard
Anatevka
父の母
*ムーンレディ
Moonlady
1997 黒鹿毛
PlatiniSurumu
Prairie Darling
Midnight FeverSure Blade
Majoritat

ヴェラブランカ
2007 芦毛
*クロフネ
1998 芦毛
*フレンチデピュティDeputy Minister
Mitterand
*ブルーアヴェニューClassic Go Go
Eliza Blue
母の母
アドマイヤサンデー
1995 鹿毛
*サンデーサイレンスHalo
Wishing Well
*ムーンインディゴEl Gran Senor
Madelia
母系(F-No.)ムーンインディゴ(USA)系(FN:11-p)[§ 3]
5代内の近親交配アウトブリード[§ 4]
出典

脚注

参考文献

  • 優駿 Book in Book』2022 vol.10、中央競馬ピーアール・センター、2022年。 
  • 石田敏徳「第42回ジャパンカップ ヴェラアズール」『優駿』2023年1月号、中央競馬ピーアール・センター、2022年、34-39頁。 
  • 平松さとし「[ジャパンC特別リポート] 外国馬を迎えた新国際厩舎」『優駿』2023年1月号、中央競馬ピーアール・センター、2022年、70-71頁。 
  • 『優駿 Book in Book』2022 vol.11、中央競馬ピーアール・センター、2022年。 

注釈

出典

外部リンク