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渡島海岸鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
渡島海岸鉄道
種類株式会社
本社所在地日本の旗 日本
北海道渡島国茅部郡森町字港町204[1]
設立1926年(大正15年)7月1日[1]
業種鉄軌道業
事業内容旅客鉄道事業、自動車運輸業[1]
代表者社長 板谷順助[1]
資本金352,300円(払込額)[1]
特記事項:上記データは1943年(昭和18年)4月1日現在[1]
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概要
現況廃止
起終点起点:森駅
終点:砂原駅
駅数10駅(うち停留所5)
運営
開業1927年12月25日 (1927-12-25)
廃止1945年1月25日 (1945-1-25)
所有者渡島海岸鉄道
使用車両車両の節を参照
路線諸元
路線総延長9.4 km (5.8 mi)
軌間1,067 mm (3 ft 6 in)
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線(廃止当時)
STR
国鉄函館本線
BHF
0.0森駅
STR+lABZgr
STReBHF
-新川停留所
STRBHF
1.8東森駅
STRrSTR
函館本線駒ヶ岳回り
eBHF
3.1尾白内駅
HST
尾白内駅
STRc2xABZg3
STR+1
-尾白内学校裏停留所
STRexBHF
-押出停留所
STRexBHF
6.3掛澗駅
HSTexSTR
掛澗駅
STRexBHF
-東掛澗停留所
STRexBHF
-度杭崎停留所
STRexKBHFe
9.4砂原駅
HST
渡島砂原駅
STR
函館本線砂原回り

渡島海岸鉄道(おしまかいがんてつどう)は、かつて北海道茅部郡森町から砂原村(現・森町)にかけて存在した鉄道路線及びそれを運営していた鉄道事業者である。

概要

1925年大正14年)、国鉄函館本線森駅から砂原村への鉄道敷設が出願される。しかし当初は森駅への乗り入れは認められず、東森仮停車場 - 砂原停車場間の8.3kmのみに許可が下りた。それから渡島海岸鉄道が設立され1927年昭和2年)12月25日に開業、蒸気機関車による貨物及び旅客の輸送が開始される。1928年には森駅への乗り入れが認可され、同年9月に工事が完了、森 - 砂原間9.4kmの全線が開通した。

昭和初期は内浦湾一帯から渡島半島東岸にかけてイワシが豊漁のために大変賑わい、それに伴って輸送実績も好調であった。貨客混合の列車が1日4往復し、1936年からは砂原から鹿部町への乗合自動車も運行を始める。しかし第二次世界大戦から軍需輸送の整備が急務となり、急勾配がネックであった軍川駅 - 森駅間を迂回する「砂原線」(函館本線支線)の敷設が計画された。それと並行する渡島海岸鉄道は、1945年昭和20年)1月25日廃線となり、施設等は運輸通信省に買収された。

ただし、丸ごと全てが国鉄線になったわけではなく、渡島海岸鉄道は尾白内 - 掛澗間からは現在の国道278号とおおよそ同じルートを辿っていたのに対し、国鉄砂原線は北海道駒ヶ岳の裾野を少しずつ登るルートをとった。これは渡島海岸鉄道が森と砂原の集落を結ぶ目的で敷設され、一方の砂原線は上述の通り急勾配の緩和による輸送力増強を目的としていたためである。そのため掛澗駅と砂原駅は函館本線の掛澗駅渡島砂原駅とは別の駅である。また尾白内駅は同一ルート上ではあったものの、函館本線尾白内駅よりも300mほど西(森駅側)にあった。

路線データ

廃止直前時点

  • 路線距離:9.4km
  • 軌間:1067mm

沿革

  • 1925年大正14年):森駅から砂原村へ至る鉄道の敷設が出願
  • 1926年(大正15年)
    • 2月18日:渡島海岸鉄道(発起人総代助川貞二郎)に対し東森 - 砂原間の軌道敷設免許を交付[2][3]
    • 7月1日:渡島海岸鉄道株式会社が設立。社長板谷順助専務助川貞二郎[2]
  • 1927年昭和2年)12月25日:東森仮停車場 - 砂原間開業[4]。東森・尾白内・掛澗・砂原の各駅を設置。
  • 1928年(昭和3年)9月13日:森 - 砂原間全通。同時に東森仮停車場廃止。
  • 1929年(昭和4年)6月29日:鉄道延長線敷設免許状下付(茅部郡砂原村-同郡鹿部村間)[5]
  • 1931年(昭和6年)12月23日:鉄道延長線敷設免許状下付(茅部郡鹿部村-同郡臼尻村間)[6]
  • 1933年(昭和8年)9月2日:自動車運輸営業開始(砂原-相泊間、乗客用貨物用各1台[7][8])。
  • 1934年(昭和9年)
    • 7月1日:東森駅を新設。
    • 12月25日:尾白内駅を移設。
  • 1936年(昭和11年)7月1日:新川・尾白内学校裏・押出・度杭崎の各停留所を新設。
    • 10月30日:鉄道免許取消並びに失効(官報掲載)[9]
  • 1938年(昭和13年)1月:東掛澗停留所を新設。
  • 1944年(昭和19年)6月1日北海道における旅客自動車運輸事業統合要綱により、バス事業を函館乗合自動車(現在の函館バス)へ譲渡。
  • 1945年(昭和20年)1月25日:全線廃止、運輸通信省に買収、会社解散。

輸送・収支実績

年度乗客(人)貨物量(トン)営業収入(円)営業費(円)益金(円)その他損金(円)支払利子(円)政府補助金(円)道庁補助金[10](円)
19272,4391305571,792▲ 1,235
192888,0768,36626,53432,655▲ 6,121雑損2,72223,27320,57315,412
192989,90414,57233,64944,392▲ 10,74323,33729,14324,314
193083,78915,55633,24743,353▲ 10,10621,96129,53623,628
193157,71717,46727,57242,591▲ 15,019雑損71921,65328,20323,770
193263,85720,88532,60936,387▲ 3,778雑損4420,42525,69818,794
193381,67930,31444,99348,496▲ 3,503雑損264、自動車23620,52529,94613,849
1934114,80952,94968,16254,28413,878雑損527、自動車53818,22421,67914,099
1935125,40548,51265,31468,036▲ 2,722雑損償却金2,461、自動車92916,83831,3546,125
1936132,05645,93165,45369,626▲ 4,173雑損2,062、自動車5,19815,30729,90315,574
1937161,36546,88269,88572,513▲ 2,628雑損215、自動車2,18913,87227,6827,192
1938149,99948,11971,42166,9244,497
1939143,85740,63965,32863,3941,934
1940220,17159,85489,27587,1612,114
1941260,22152,19092,93784,5298,408
1942352,25142,909116,41995,08221,337
1943457,34863,003
  • 鉄道統計資料、鉄道統計各年度版、1938-1942年度は『北海道鉄道百年史 中巻』111頁、国有鉄道陸運統計昭和18年度。1938年度以降の空欄は未調

車両

開業時に鉄道省から払下げの蒸気機関車2両、岩崎レール商会製の客車2両(総定員96人)、貨車11両(有蓋車5、無蓋車6)が用意され[11]、1936年度にガソリンカー1両が加わり以後廃止まで変化がなかった。

蒸気機関車

ガソリンカー

  • キハ101 - 1936年日本車輌製造東京支店製の半鋼製2軸車。森 - 砂原間を蒸気機関車が33-35分かかるのに対し23分で走破した。廃止後釧路臨港鉄道に売却された[12]

客車

  • ハ1・ハ2 - 1927年岩崎レール商会製の木製2軸車。廃止後ハ1が三菱鉱業大夕張鉄道に売却された[13]。ハ2については、未確認であるが三井鉱山芦別鉄道に譲渡されてフハ4(未入籍のまま廃車)となったものと推定されている。[14]

貨車

  • ワム1形(ワム1 - ワム3) - 1927年岩崎レール商会製の15t積み有蓋車で、鉄道省ワム3500形の同形車。廃止後は、ワム1・ワム2が西武鉄道に、ワム3が駿豆鉄道に譲渡された。
  • ワブ1形(ワブ1・ワブ2) - 1927年岩崎レール商会製の14t積み有蓋緩急車で、ワム1形に車掌室を設けたもの。新製時はワフ1形(ワフ1・ワフ2)と称したが、1928年9月3日付で改称された。廃止後は、ワブ1が羽幌炭礦鉄道に、ワブ2が三井鉱山芦別鉄道に譲渡された。
  • トム1形(トム1 - トム6) - 1927年岩崎レール商会製の15t積み無蓋車で、5枚側の総あおり戸式である。新製時はト1形(ト1 - ト6)と称したが、1928年9月3日付で改称された。廃止後は、トム1 - トム4が駿豆鉄道に、トム5・トム6が西武鉄道に譲渡された。

駅一覧

所在地は廃止時点のもの。全駅北海道に所在。前述の通り、尾白内駅・掛澗駅・砂原駅は現在の函館本線にあるものとは別の駅である。

駅名読み駅間キロ営業キロ接続路線所在地
森駅もり-0.0国有鉄道:函館本線茅部郡森町
新川停留所しんかわ-- 
東森駅ひがしもり1.81.8 
尾白内駅おしろない1.33.1 
尾白内学校裏停留所おしろないがっこううら-- 
押出停留所おしだし-- 茅部郡砂原村
掛澗駅かかりま3.26.3 
東掛澗停留所ひがしかかりま-- 
度杭崎停留所どくいざき-- 
砂原駅さわら3.19.4 

脚注

参考文献

https://www.search.com.vn/wiki/?lang=ja&title=渡島海岸鉄道&oldid=89979866」から取得
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