1990年ハンガリーグランプリ

1990年ハンガリーグランプリ: 1990-es magyar nagydíj)は、1990年F1世界選手権の第10戦として、1990年8月12日ハンガロリンクで決勝レースが開催された。

ハンガリーの旗 1990年ハンガリーグランプリ
レース詳細
日程1990年シーズン第10戦
決勝開催日8月12日
開催地ハンガロリンク
ハンガリー ブダペスト
コース長3.978km
レース距離77周(305.536km)
決勝日天候晴れ(ドライ)
ポールポジション
ドライバー
タイム1'17.919
ファステストラップ
ドライバーイタリアの旗 リカルド・パトレーゼ
タイム1'22.058(Lap 63)
決勝順位
優勝
2位
3位

概要

社会主義国家でのF1初開催となった1986年から5年目を数え、前年の民主化運動によって新体制となったハンガリー共和国でのグランプリ開催となった。

1987年よりロータスのメインスポンサーを務めてきたキャメルが記者会見を開き、1991年よりベネトンウィリアムズのスポンサーになることを発表した。名門ロータスは来期に向けて、存続の危機に立たされることになる。

予選

ウィリアムズのベテラン、ティエリー・ブーツェンがF1出走115戦目で初めてポールポジションを獲得。2位はリカルド・パトレーゼで、ウィリアムズ勢がフロントローを独占した。

2台とも予選落ちしたモンティベルディ(オニクス)はこのレースを最後に撤退し、チームは消滅した。

予備予選結果

順位Noドライバーコンストラクタータイム
125 ニコラ・ラリーニリジェフォード1'21.518
226 フィリップ・アリオーリジェフォード1'21.710+0.192
318 ヤニック・ダルマスAGSフォード1'23.227+1.709
417 ガブリエル・タルキーニAGSフォード1'23.406+1.888
DNPQ14 オリビエ・グルイヤールオゼッラフォード1'23.582+2.064
DNPQ31 ベルトラン・ガショーコローニフォード1'23.670+2.152
DNPQ33 ロベルト・モレノユーロブルンジャッド1'24.386+2.868
DNPQ34 クラウディオ・ランジェスユーロブルンジャッド1'26.514+4.996
DNPQ39 ブルーノ・ジャコメリライフ1'41.431+19.913

予選結果

順位Noドライバーコンストラクタータイム
15 ティエリー・ブーツェンウィリアムズルノー1'17.919
26 リカルド・パトレーゼウィリアムズルノー1'17.955+0.036
328 ゲルハルト・ベルガーマクラーレンホンダ1'18.127+0.208
427 アイルトン・セナマクラーレンホンダ1'18.162+0.243
52 ナイジェル・マンセルフェラーリ1'18.719+0.800
64 ジャン・アレジティレルフォード1'18.762+0.843
719 アレッサンドロ・ナニーニベネトンフォード1'18.901+0.982
81 アラン・プロストフェラーリ1'19.029+1.110
920 ネルソン・ピケベネトンフォード1'19.453+1.534
1022 アンドレア・デ・チェザリスダラーラフォード1'19.675+1.756
1111 デレック・ワーウィックロータス-ランボルギーニ1'19.839+1.920
1229 エリック・ベルナールローラ-ランボルギーニ1'19.963+2.044
1321 エマニュエル・ピロダラーラフォード1'19.970+2.051
1423 ピエルルイジ・マルティニミナルディフォード1'20.197+2.278
153 中嶋悟ティレルフォード1'20.202+2.283
1616 イヴァン・カペリレイトンハウスジャッド1'20.385+2.466
1715 マウリシオ・グージェルミンレイトンハウスジャッド1'20'397+2.478
1812 マーティン・ドネリーロータスランボルギーニ1'20.602+2.683
1930 鈴木亜久里ローラランボルギーニ1'20.619+2.700
208 ステファノ・モデナブラバムジャッド1'20.715+2.786
2126 フィリップ・アリオーリジェフォード1'21.003+3.084
229 ミケーレ・アルボレートアロウズフォード1'21.758+3.839
2324 パオロ・バリッラミナルディフォード1'21.849+3.930
2417 ガブリエル・タルキーニAGSフォード1'21.964+4.045
2525 ニコラ・ラリーニリジェフォード1'22.078+4.159
2610 アレックス・カフィアロウズフォード1'22.126+4.207
DNQ18 ヤニック・ダルマスAGSフォード1'22.263+4.344
DNQ7 デビッド・ブラバムブラバムジャッド1'22.488+4.569
DNQ36 J.J.レートモンテベルディフォード1'22.647+4.728
DNQ35 グレガー・フォイテクモンテベルディフォード1'24.361+6.442
出典[1]

決勝

ホームストレートのレコードライン上にある奇数グリッドの車の方が良いスタートを切り、3番グリッドのベルガーがPPのブーツェンに並びかけたが、ブーツェンが首位を守った。セナはマンセルとアレジに抜かれて6位に後退した。

序盤はブーツェン、ベルガー、パトレーゼ、マンセルが先頭集団となり、10秒遅れてアレジ、セナ、ナニーニ、ピケ、プロストが続く展開。アレジに前を塞がれていたセナは21周目にようやくパスしたが、タイヤの異常を感じてピットインし、再び10位に後退する。抜きどころの少ないコース上でブーツェン対ベルガー、パトレーゼ対マンセルの我慢比べが続く間に、5位ナニーニがマンセルの背後に迫った。

37周目、8位のアレジが周回遅れのマルティニと絡んでリタイア。さらに7位のプロストがギアボックストラブルにより最終コーナーでスピンし、シリーズチャンピオン争いにおいて痛手となるリタイアを喫した。一方、セナはフレッシュタイヤを履いて急速なペースで挽回し、先頭集団に追いついてきた。

レース終盤に差しかかり、上位に動きが生じる。

  • 47周目、ブーツェンを攻めあぐねた2位ベルガーが、タイヤ交換のためピットインし6位へ後退。
  • 53周目、パトレーゼに詰まったマンセルをナニーニとセナが一気に抜いて、マンセルは5位に後退。
  • 57周目、ナニーニとセナがパトレーゼも攻略し、4位に落ちたパトレーゼはタイヤ交換を行うが、ピットアウト後にハーフスピンして脱落する。

これで先頭ブーツェンからナニーニ、セナ、マンセル、ベルガーまでの5台が一列縦隊の「トレイン」になり、周回遅れをかわしながら緊迫した優勝争いを展開した。

  • 64周目、コース中間部のシケイン(8コーナー)でセナがナニーニのインを狙うが、リアタイヤに接触し、ナニーニのマシンは宙に跳ね上げられる。セナは2位に上がるが、ナニーニはサスペンションが壊れてリタイアとなった。
  • 65周目、前周のリプレイ映像を見るように、シケインでインを突いたベルガーがマンセルと接触。今回は2台ともリタイアとなる。

潰し合いを生き残ったセナはブーツェンにプレッシャーをかけたが、ブーツェンは消耗したタイヤで堅実に走り切り、通算3勝目をポール・トゥ・ウィンで飾った。

決勝結果

順位Noドライバーコンストラクター周回タイム/リタイアグリッドポイント
15 ティエリー・ブーツェンウィリアムズルノー771:49'30.59719
227 アイルトン・セナマクラーレンホンダ77+0.28846
320 ネルソン・ピケベネトンフォード77+27.89394
46 リカルド・パトレーゼウィリアムズルノー77+31.83323
511 デレック・ワーウィックロータスランボルギーニ77+1'14.244112
629 エリック・ベルナールローラランボルギーニ77+1'24.308121
712 マーティン・ドネリーロータスランボルギーニ76+1 Lap18 
815 マウリシオ・グージェルミンレイトンハウスジャッド76+1 Lap17 
910 アレックス・カフィアロウズフォード76+1 Lap26 
1021 エマニュエル・ピロダラーラフォード76+1 Lap13 
1125 ニコラ・ラリーニリジェフォード76+1 Lap25 
129 ミケーレ・アルボレートアロウズフォード75+2 Laps22 
1317 ガブリエル・タルキーニAGSフォード74+3 Laps24 
1426 フィリップ・アリオーリジェフォード74+3 Laps21 
1524 パオロ・バリッラミナルディフォード74+3 Laps23 
1628 ゲルハルト・ベルガーマクラーレンホンダ72接触3 
172 ナイジェル・マンセルフェラーリ71接触5 
Ret19 アレッサンドロ・ナニーニベネトンフォード64接触7 
Ret16 イヴァン・カペリレイトンハウスジャッド56ギアボックス16 
Ret30 鈴木亜久里ローラランボルギーニ37エンジン19 
Ret1 アラン・プロストフェラーリ36ギアボックス8 
Ret4 ジャン・アレジティレルフォード36接触6 
Ret8 ステファノ・モデナブラバムジャッド35エンジン20 
Ret23 ピエルルイジ・マルティニミナルディフォード35接触14 
Ret22 アンドレア・デ・チェザリスダラーラフォード22エンジン10 
Ret3 中嶋悟ティレルフォード9ブレーキ15 
出典[2]

レース後の選手権順位

コンストラクターズ
順位コンストラクターポイント
1 マクラーレン-ホンダ83
2 フェラーリ57
3 ウィリアムズ-ルノー42
4 ベネトン-フォード35
5 ティレル-フォード14
出典[3]

  • 注記:ランキング上位5位まで記載。

脚注


前戦
1990年ドイツグランプリ
FIA F1世界選手権
1990年シーズン
次戦
1990年ベルギーグランプリ
前回開催
1989年ハンガリーグランプリ
ハンガリーグランプリ次回開催
1991年ハンガリーグランプリ