芦屋市

兵庫県の市
精道村から転送)

芦屋市(あしやし)は、兵庫県南東部にある

あしやし ウィキデータを編集
芦屋市
芦屋市旗芦屋市章
芦屋市旗
1964年11月3日制定
芦屋市章
1922年3月31日制定
日本の旗 日本
地方近畿地方
都道府県兵庫県
市町村コード28206-5
法人番号8000020282065 ウィキデータを編集
面積18.47km2
(境界未定部分あり)
総人口92,720[編集]
推計人口、2024年4月1日)
人口密度5,020人/km2
隣接自治体神戸市西宮市
市の木クロマツ
市の花コバノミツバツツジ
他のシンボル-
芦屋市役所
市長髙島崚輔
所在地659-8501
兵庫県芦屋市精道町7番6号
北緯34度43分37秒 東経135度18分15秒 / 北緯34.727度 東経135.30411度 / 34.727; 135.30411 東経135度18分15秒 / 北緯34.727度 東経135.30411度 / 34.727; 135.30411
芦屋市役所
地図
市庁舎位置
外部リンク公式ウェブサイト

芦屋市位置図

― 政令指定都市 / ― 市 / ― 町・村

ウィキプロジェクト
芦屋市中心部周辺の空中写真。1985年撮影の6枚を合成作成。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

概要

阪神南県民センター管轄区域。神戸市西宮市に挟まれた場所に位置し、固有の阪神間モダニズム文化に育まれた瀟洒な街並を擁する[要出典]。全国随一の高級住宅街として名高く[要出典]、市内南部は谷崎潤一郎の小説『細雪』の舞台になったことでも知られる。特に六麓荘町は豪邸が立ち並び、住民間の建築協定を景観条例に押し上げ、高級住宅街としての環境を保全している[要出典]。北に六甲山地、南に大阪湾を臨んだ豊かな自然と、南に緩やかに傾斜する地形は、美しい景観と温暖な気候を形成する。国際観光文化都市に指定されている。

地理

兵庫県で二番目に面積が小さな自治体である。

歴史

兵庫県の市で唯一町村制以降合併を一切行っていない市でもある[注釈 1]。また、旧菟原郡で唯一神戸市に編入しなかった区画でもある[注釈 2]

人口

2010年(平成22年)国勢調査より前回調査からの人口増減をみると、2.92%増の93,238人であり、増減率は県下41市町中3位、49行政区域中5位。

芦屋市と全国の年齢別人口分布(2005年)芦屋市の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 芦屋市
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性

芦屋市(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より


環境

阪急芦屋川駅から徒歩圏内にある東山町、山手町、三条町といった大正期に開発された山の手地区は、いずれも摂津国であり芦屋川や六甲山に近く、大阪湾を見渡すことのできる好立地にある。南傾斜地に建つ家々は成熟した文化を感じさせ、芦屋を代表する風光明媚な街並みが広がる。

昭和初期、市東北部に開発された六麓荘町は、駅から遠い立地を逆手に、運転手を有する富裕層向けの豪邸用地として造成された。地形に配慮した広い舗装道路や電線類を地中化した街には、広大なテニスコートプールなどが配された豪邸が次々と建築され、高級住宅地としての芦屋の名を一気に全国区に押し上げた。六麓荘町、及び奥池南町では現在も厳しい建築協定のもと、街の景観が守られている。芦屋川沿いにあり、海に近く、松林が点在する平田町や、浜芦屋町、松浜町なども歴史のある高級住宅地として名高い。

戦後になると、上記の町に隣接する朝日ヶ丘町や岩園町、阪急線以南などで次々と宅地開発が行われ、住宅地としての芦屋の地位はさらに確立された。有料道路沿いにある奥池町や奥池南町は、通勤圏内にある別荘地として開発され、現在では(2016年)奥池町、奥池南町を併せて630世帯もの邸宅が建設され、関西の著名人たちも様々な邸宅を建設している。昭和40年代には、朝日ヶ丘町周辺でマンション建設ラッシュが、昭和50年代には芦屋浜の埋め立て地に高層マンションが次々に建設され、若い世代の流入が促進された。

昭和後期の国鉄〜JR芦屋駅前の再開発に伴い、駅周辺の商業施設が以前よりも充実すると、芦屋のイメージも一新され、大原町を中心にJR線沿いに利便性の高い住宅が供給され始めた。JR以南の地域でも宅地化、マンション建設が進んだ。

1995年の阪神・淡路大震災では、主にJR以南の地域で多くの家屋が倒壊、街の風景が一変するが、倒壊により空き地が目立った一帯に徐々に新しい家々が建築されるようになり、震災の10年後には、ほぼ、街も以前の落ち着きを取り戻した。また、2003年に入ると、埋立地の南芦屋浜の開発が進み、潮芦屋(愛称)ではヨットハーバーや人工砂浜のほか、日本初の係留施設付き邸宅が分譲され、芦屋に新しい表情が生まれた。この新しい町は、広い歩道と車道があり、電線類を地中化している。

住宅地で相続の際に広大な屋敷が集合住宅に立て替えられたり、敷地が細分化される傾向により、かつての高級住宅地としての芦屋の景観が徐々に変わりつつことが懸念される中、住宅地の景観保全に向けて、2006年、市議会で「建築物の制限に関する条例改正案」が審議され、六麓荘町における400平方メートル未満の土地売買の禁止、高さ10メートル以上の建物新築の禁止、さらに敷地面積400平方メートル以上の土地にのみ戸建住宅の新築が許可されるといった、全国に先駆けたいわゆる「豪邸条例」が可決された。この条例は2007年2月から施行されている。芦屋市では、この六麓荘町と奥池南町のみが、「豪邸条例」が施行されている。また、奥池南町では、もっとも規制が緩い地域で、敷地面積が500平方メートル以上とされている。

2015年には、芦屋らしい景観を守るための「芦屋市屋外広告物条例」が市議会本会議で可決、成立し、2016年7月より施行された。この条例では、京都市と同様に屋上広告物アドバルーンの禁止、点滅式照明の全面禁止などが盛り込まれており、住宅地で突き出し看板の面積を1平方メートル以下に定めた点など、全国でもっとも厳しい規制となっている。また、市が建設を許可しないためパチンコ店が存在しない。

町名

芦屋市では、一部の地域で住居表示に関する法律に基づく住居表示が実施されている。

芦屋市役所管内(95町丁)
町名町名読み住居表示実施年月日住居表示実施直前町名備考
朝日ケ丘町あさひがおかちょう1972年6月1日住居表示実施と同時に、東端の一部区域を岩園町へ分離
伊勢町いせちょう1968年5月1日
岩園町いわぞのちょう1970年5月1日芦屋市道宮川線以北の地域は1972年6月1日に実施
打出小槌町うちでこづちちょう1988年2月1日
打出町うちでちょう1968年5月1日打出南宮町・打出大東町の国道43号以北の区域より成立
大原町おおはらちょう1969年5月1日
大桝町おおますちょう1970年5月1日
奥池町おくいけちょう1980年9月1日
奥池南町おくいけみなみちょう1980年9月1日
奥山おくやま
海洋町かいようちょう
春日町かすがちょう1984年5月1日打出春日町
上宮川町かみみやがわちょう1969年5月1日
川西町かわにしちょう1970年5月1日
公光町きんみつちょう1970年5月1日
楠町くすのきちょう1969年5月1日打出楠町
呉川町くれがわちょう1968年5月1日
剣谷けんたに
三条町さんじょうちょう1982年2月1日
三条南町さんじょうみなみちょう1969年5月1日
潮見町しおみちょう1981年3月1日
清水町しみずちょう1969年5月1日
城山しろやま
親王塚町しんのうづかちょう1969年5月1日打出親王塚町
涼風町すずかぜちょう
精道町せいどうちょう1968年5月1日
竹園町たけぞのちょう1968年5月1日
高浜町たかはまちょう1978年8月1日
大東町だいとうちょう1968年5月1日打出大東町
茶屋之町ちゃやのちょう1970年5月1日
月若町つきわかちょう1969年5月1日
津知町つぢちょう1970年5月1日
業平町なりひらちょう1969年5月1日
南宮町なんぐうちょう1968年5月1日打出南宮町
新浜町にいはまちょう1982年3月1日
西芦屋町にしあしやちょう1969年5月1日
西蔵町にしくらちょう1968年5月1日打出西蔵町
西山町にしやまちょう1982年2月1日
浜芦屋町はまあしやちょう1968年5月1日
浜風町はまかぜちょう1982年3月1日
浜町はまちょう1968年5月1日打出浜町
東芦屋町ひがしあしやちょう1979年8月1日
東山町ひがしやまちょう1979年8月1日
平田北町ひらたきたちょう1968年5月1日平田町の国道43号以北の区域より成立
平田町ひらたちょう1968年5月1日国道43号線以北の区域を平田北町として分離
船戸町ふなとちょう1969年5月1日
前田町まえだちょう1969年5月1日
松ノ内町まつのうちちょう1969年5月1日
松浜町まつはまちょう1968年5月1日
翠ケ丘町みどりがおかちょう1969年5月1日打出翠ケ丘町
緑町みどりちょう1981年3月1日
南浜町みなみはまちょう
宮川町みやがわちょう1968年5月1日
宮塚町みやづかちょう1984年5月1日
山芦屋町やまあしやちょう1982年2月1日
山手町やまてちょう1979年8月1日
陽光町ようこうちょう
六麓荘町ろくろくそうちょう1972年6月1日
若葉町わかばちょう1978年8月1日
若宮町わかみやちょう1968年5月1日打出若宮町

行政

精道村長

  • 山村忠左衛門[1]
  • 天野小平次[1]
  • 山村伊左衛門[1]
  • 猿丸吉左衛門[1]
  • 中島為治郎[1]
  • 猿丸吉左衛門[1]
  • 猿丸又左衛門[1]
  • 阪本久七[1]
  • 大利平七[1]
  • 松岡藤右衛門[1]
  • 猿丸又左衛門[1]
  • 松井吉右衛門[1]

芦屋市長

歴代市長
氏名就任年月日退任年月日
初代大利市右衛門1941年1月31日1945年1月30日
2代長岡喜十郎1945年2月5日1946年12月4日
3代杉岡藤右衛門1947年4月5日1948年8月15日
4代猿丸吉左衛門1948年10月10日1952年9月6日
5-7代内海清1952年9月16日1964年9月15日
8-10代渡辺万太郎1964年9月16日1975年3月31日
11-13代松永精一郎1975年4月27日1987年4月26日
14代山村康六1987年4月27日1991年4月26日
15-17代北村春江1991年4月27日2003年6月10日
18-21代山中健2003年6月11日2019年6月10日
22代伊藤舞2019年6月11日2023年4月30日
23代髙島崚輔2023年5月1日 現職

議会

芦屋市議会

兵庫県議会

2023年兵庫県議会議員選挙
  • 選挙区:芦屋市選挙区
  • 定数:1人
  • 任期:2023年4月30日 - 2027年4月29日
  • 投票日:2023年4月9日
  • 当日有権者数:78,356人
  • 投票率:37.45%
候補者名当落年齢党派名新旧別得票数
青山暁62日本維新の会16,067票
丸山巖53自由民主党11,994票
2019年兵庫県議会議員選挙
  • 選挙区:芦屋市選挙区
  • 定数:1人
  • 任期:2019年6月11日 - 2023年4月29日[8]
  • 投票日:2019年4月7日
  • 当日有権者数:78,341人
  • 投票率:37.09%
候補者名当落年齢党派名新旧別得票数
中島香織51無所属15,440票
岩岡良典31自由民主党12,795票
2015年兵庫県議会議員選挙
  • 選挙区:芦屋市選挙区
  • 定数:1人
  • 投票日:2015年4月12日
候補者名当落年齢党派名新旧別得票数
幣原都44無所属無投票
2011年兵庫県議会議員選挙
  • 選挙区:芦屋市選挙区
  • 定数:1人
  • 投票日:2011年4月10日
  • 当日有権者数:76,103人
  • 投票率:34.12%
候補者名当落年齢党派名新旧別得票数
幣原都40無所属15,854票
藤本俊58民主党9,001票

衆議院

  • 選挙区:兵庫7区西宮市(本庁管内・甲東瓦木鳴尾三支所管内)、芦屋市)
  • 任期:2021年10月31日 - 2025年10月30日
  • 当日有権者数:441,775人
  • 投票率:58.38%
当落候補者名年齢所属党派新旧別得票数重複
山田賢司55自由民主党95,140票
比当三木圭恵55日本維新の会93,610票
安田真理43立憲民主党64,817票

姉妹都市・提携都市

海外

国内

産業・経済

地域

教育

放送

住宅団地

埋め立て地にある芦屋浜シーサイドタウンの集合住宅。UR賃貸住宅、公社住宅、県営住宅、分譲マンションで構成している。
  • 都市再生機構芦屋浜団地
  • 都市再生機構芦屋朝日ケ丘団地
  • 都市再生機構フレール東芦屋町
  • 都市再生機構フレール芦屋朝日ヶ丘
  • 県営芦屋浜住宅
  • 県営芦屋大東住宅
  • 県営芦屋朝日ヶ丘住宅
  • 県営南芦屋浜住宅
  • 兵庫県住宅供給公社芦屋浜高層団地
  • 兵庫県住宅供給公社アメニティコート芦屋春日
  • アステム芦屋
  • 芦屋緑住宅
  • ラ・ヴェール芦屋
  • 芦屋ハイタウン

隣接している自治体・行政区

大阪市への通勤率は26.8%、神戸市への通勤率は21.6%である(いずれも2010年国勢調査)。

金融

指定金融機関:三井住友銀行(旧・太陽神戸銀行~さくら銀行、西暦の偶数年7月~翌年の6月)、三菱UFJ銀行(旧・三和銀行、西暦の奇数年7月~翌年6月)2行による輪番制を長く敷いてきたが、2019年に三菱UFJ銀行が指定金融機関を辞退し、三井住友銀行単独となった[9]

医療機関

鉄道

道路

路線バス

  • 阪神バス - 阪神国道(国道2号)上を走る。神戸税関前-三宮駅-JR芦屋駅前-阪神西宮駅間を結ぶ。以前は第二阪神国道(国道43号)上の他、阪急芦屋川駅から芦屋浜までの路線も運行していたが、不採算のため昭和40年代にいずれも撤退した。
  • 阪急バス - 全市域を運行。山手の住宅街や芦屋浜の団地群、南芦屋浜の住宅街と阪急芦屋川駅・JR芦屋駅・阪神芦屋駅そして西宮市の阪急夙川駅の各駅を結ぶ芦屋市内線と、阪神芦屋駅・JR芦屋駅・阪急芦屋川駅と奥池・芦屋ハイランドを結ぶ芦屋有馬線がある。いずれも事実上、芦屋市民の足として機能している。担当営業所は芦屋浜営業所(芦屋有馬線は山口営業所と共同運行)。
  • みなと観光バス (神戸市) - 山手幹線上を走る。JR甲南山手駅からJR芦屋駅北側を経由し夙川グリーンタウンまで結ぶ路線を運行。以前は、六甲アイランド方面への路線も運行していたが、利用者減少のため2020年に運行休止。

海の駅

空港

近隣の伊丹市には大阪国際空港が設置されている。芦屋市は空港地元自治体の連合である大阪国際空港周辺都市対策協議会(10市協)の一員である。このほか、神戸市にも神戸空港が設置されており、大阪(伊丹)と神戸どちらの空港へも近い。

文化財・文化施設

旧 山邑太佐衛門邸 (現・ヨドコウ迎賓館)
芦屋市谷崎潤一郎記念館
芦屋市立美術博物館
芦屋市立図書館
明治神宮に於いて奉納土俵入りを行った稀勢の里

主な芦屋市出身者

著名な居住者

芦屋市が登場する作品

芦屋市は明治期から昭和期にかけての阪神間モダニズムの影響を受けている関係で、多くの作品で舞台となった。

小説

脚注

注釈

出典

参考文献

  • 篠田皇民『伝家之宝典 自治団体之沿革 兵庫県之部』東京都民新聞社地方自治調査会、1932年。

関連項目

外部リンク