UEFA EURO 2012

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UEFA EURO 2012: UEFA Euro 2012)は、2012年6月8日から7月1日にかけて、ウクライナポーランドで開催された第14回目のUEFA欧州選手権である。

UEFA EURO 2012
大会概要
開催国ポーランドの旗 ポーランド
 ウクライナ
(2ヶ国共催)
日程2012年6月8日 - 7月1日
チーム数16 (UEFA連盟)
開催地数(8都市)
大会結果
優勝スペインの旗 スペイン (3回目)
準優勝イタリアの旗 イタリア
3位ポルトガルの旗 ポルトガル
ドイツの旗 ドイツ
大会統計
試合数31試合
ゴール数76点
(1試合平均 2.45点)
総入場者数1,377,726人
(1試合平均 44,443人)
得点王スペインの旗 フェルナンド・トーレス
イタリアの旗 マリオ・バロテッリ
ドイツの旗 マリオ・ゴメス
ポルトガルの旗 クリスティアーノ・ロナウド
ロシアの旗 アラン・ジャゴエフ
クロアチアの旗 マリオ・マンジュキッチ(3点)
最優秀選手スペインの旗 アンドレス・イニエスタ
 < 20082016

スペインが2大会連続3回目の優勝を飾り、大会史上初の連覇を果たした。またFIFAコンフェデレーションズカップ2013への出場権は、優勝したスペインが2010 FIFAワールドカップ優勝国として既に出場権を得ているため、準優勝したイタリアに与えられた。

開催国選定の経緯

開催国は、2007年4月18日ウェールズカーディフで開かれたヨーロッパサッカー連盟(UEFA)の理事会でクロアチアハンガリーの共催、イタリアウクライナポーランドの共催の3候補からUEFA理事の投票によって決定された。投票では、ウクライナ・ポーランドが有効投票12票のうちの8票を獲得した。UEFA欧州選手権での共催はEURO2008に続いて2大会連続3回目となる。

予選

イタリア対セルビアにおけるサポーター暴動

2010年10月12日にジェノヴァスタディオ・ルイジ・フェッラーリスで行われたイタリアセルビアの一戦では、セルビア人サポーターの一部がフェンスによじ登りピッチに発炎筒を投げ込むなどしたために、試合が中止された。セルビアサポーターは試合開始10分前にイタリアの応援席やピッチに向け発炎筒や紙爆弾を投げ込むなどしたために試合開始は37分遅らされた[1]。しかしキックオフ後も発炎筒が投げ込まれたため、試合開始6分で中止が決定された[1]。試合後には暴動の首謀者の男がイタリア警察により逮捕された[2]

セルビアは2010 FIFAワールドカップでのグループリーグ敗退を受けて国民の人気が高かったラドミル・アンティッチを解任しており、にもかかわらずセルビアはこの試合までに予選を1勝1敗1分と低迷していたことなどから、暴動はセルビアサッカー協会へ抗議する目的で行われたものだとされた[3]。またセルビアGKのヴラディミル・ストイコヴィッチレッドスター・ベオグラードの生え抜きの選手でありながら、ワールドカップ後にライバルのパルチザン・ベオグラードへ移籍していたことや、直前のエストニア戦で敗北の戦犯とされたことなどからセルビアサポーターの標的とされていた[4]。一方でイタリアへの敵意はなかったものであることも、前述の首謀者は強調し、イタリアに謝罪の念を述べた[3]

またセルビア人サポーターは試合開始前から地元の警察と衝突し15名の負傷者と3名の拘束者が出ており[1]、スタジアムに発炎筒などの危険物を容易に持ち込むことができたことなどから、試合を運営したイタリア側の責任も追及された[3]

10月29日にUEFAは試合をイタリアが3-0で勝利したという扱いにすることと、セルビアに12万ユーロの罰金と2試合の無観客試合、イタリアに10万ユーロの罰金と1試合の無観客試合が科されることを発表した[5]。ただし無観客試合に関しては双方とも1試合分は執行猶予がつき、今後2年間で同じような問題が起きた際に行使される。

出場国

出場選手はUEFA EURO 2012参加チームを参照。

出場国・地域条件出場回数出場大会最高成績
ウクライナ共同開催国初出場
ポーランド共同開催国2大会連続2回目2008グループリーグ敗退 (2008)
ドイツ[注 1]予選A組1位11大会連続11回目1972, 1976, 1980, 1984, 1988, 1992, 1996, 2000, 2004, 2008優勝 (1972, 1980, 1996)
ロシア[注 2]予選B組1位3大会連続10回目1960, 1964, 1968, 1972, 1988, 1992, 1996, 2004, 2008優勝 (1960)
イタリア予選C組1位5大会連続8回目1968, 1980, 1988, 1996, 2000, 2004, 2008優勝 (1968)
フランス予選D組1位6大会連続8回目1964, 1984, 1992, 1996, 2000, 2004, 2008優勝 (1984, 2000)
オランダ予選E組1位7大会連続9回目1976, 1980, 1988, 1992, 1996, 2000, 2004, 2008優勝 (1988)
ギリシャ予選F組1位3大会連続4回目1980, 2004, 2008優勝 (2004)
イングランド予選G組1位2大会ぶり8回目1968, 1980, 1988, 1992, 1996, 2000, 2004ベスト4 (1968[注 3], 1996)
デンマーク予選H組1位2大会ぶり8回目1964, 1984, 1988, 1992, 1996, 2000, 2004優勝 (1992)
スペイン予選I組1位5大会連続9回目1964, 1980, 1984, 1988, 1996, 2000, 2004, 2008優勝 (1964, 2008)
スウェーデンベストランナーアップ4大会連続5回目1992, 2000, 2004, 2008ベスト4 (1992)
クロアチアプレーオフ第1組勝利3大会連続4回目1996, 2004, 2008ベスト8 (1996, 2008)
アイルランドプレーオフ第2組勝利6大会ぶり2回目1988グループリーグ敗退 (1988)
チェコ[注 4]プレーオフ第3組勝利5大会連続8回目1960, 1976, 1980, 1996, 2000, 2004, 2008優勝 (1976)
ポルトガルプレーオフ第4組勝利5大会連続6回目1984, 1996, 2000, 2004, 2008準優勝 (2004)

本大会

概要

今大会で、行動が模範的だったとしてアイルランドサポーターが特別表彰される[6]

大会総括

2年前のW杯とは打って変わり、ポゼッション重視の攻撃サッカーが多く見られた今大会は、オランダの1次リーグ敗退などの波乱はあったものの、それ以外の強豪国は順当に勝ち抜いた。

ベスト4に残ったのはスペイン・ドイツ・イタリア・ポルトガルの4チーム。イタリア以外はいずれのチームも攻撃サッカーをスタイルとするチームだったが、決勝まで勝ち進んだのは攻撃だけでなく守備も安定したスペインとイタリアだった。

一方、大会前優勝候補筆頭と目されていたドイツは攻撃陣の活躍で死のグループを3戦全勝で勝ち抜いたが、準決勝のイタリア戦では唯一の弱点である守備の穴を突かれて敗れ、またしても優勝を目前で逃した。

スペインは主力のビジャやプジョルなどを欠き、1次リーグは苦戦を強いられたものの[注 5]、首位で通過。準々決勝では公式戦未勝利のフランスに快勝し、準決勝でPK戦の末ポルトガルを退けて2大会連続となる決勝進出を果たした。主力の不在で得点力不足に悩まされる場面もあったが、鮮やかなパスワークは健在で確実に相手の守備陣を崩し、GKカシージャスを中心とした守備陣の踏ん張りもあり決勝戦まで8得点1失点と攻守の安定感を見せた。イタリアはかつてのカテナチオから脱却してパスをつなぐ攻撃サッカーで大方の予想を覆し、決勝進出を果たした。GKブッフォンを中心とした守備陣も安定感を見せ、決勝戦まで失点を3に抑えた。決勝戦は連覇を狙うスペインと44年ぶりの優勝を狙うイタリアの組み合わせとなった。結果はイタリアの疲労(休養が一日少ない上に会場の移動も長かった)やアクシデントもあり、スペインが4-0の大勝[注 6]。スペインがEURO連覇、W杯とEUROのメジャー大会3連覇という前人未踏の快挙を成し遂げた。

今大会はパスをつなぐ攻撃サッカーが多く見られ大会を盛り上げたが、本家スペインを上回ることができたチームはなく、スペインの強さと完成度の高さを改めて知らしめる大会となった。

なお、前回に引き続き開催国はどちらともグループリーグで敗退した。

代償金支払い

2012年6月20日、今大会及び予選に出場した欧州各国代表に選手を貸し出した全575クラブへの計1億ユーロ(約99億円)の代償金の分配が決まり[6]、9月12日UEFAと欧州クラブ協会(ECA)の交渉の結果、各クラブへの分配額が決定した[7]。前回の2008年大会から大幅に増額され、さらに前回は本大会のみが代償金の対象であったが、今大会から予選もその対象となった。また、実際に負傷した選手への保険としては、2012年3月22日にUEFAとECAが合意した代表選手保険システムが今大会で初適用された。この保険は選手の国籍に関係なく、欧州全クラブに所属する全選手に対して適用され、公式戦、親善試合を問わず予定された全ての代表の国際試合がその保険の対象の試合であり、2012年9月1日以降はUEFA主催大会以外の国際試合や大会にも適用される[7]

会場一覧

両国では各4都市で試合が行われた。開幕戦はポーランドのワルシャワ、決勝戦はウクライナのキエフで開催された。

ポーランドウクライナ
ワルシャワグダニスクキエフドネツィク
国立競技場
収容人数: 58,145人[8]
バルティック・アリーナ
収容人数: 40,818人[9]
(通常: 44,636人)[8]
オリンピスキ・スタジアム
収容人数: 65,720人[9]
(通常: 70,050人)[8]
ドンバス・アリーナ
収容人数: 50,055人[9]
(通常: 51,504人)[8]
グループA 3試合
開幕戦、準々決勝、準決勝
グループC 3試合
準々決勝
グループD 3試合
準々決勝、決勝戦
グループD 3試合
準々決勝、準決勝
ヴロツワフポズナンハルキウリヴィウ
ヴロツワフ市立競技場
収容人数: 40,610人[9]
(通常: 44,416人)[8]
ポズナン市立競技場
収容人数: 42,004人[9]
(通常: 43,269人)[8]
メタリスト・スタジアム
収容人数: 38,500人[9]
(通常: 38,863人)[8]
アリーナ・リヴィウ
収容人数: 34,915人[8]
グループA 3試合グループC 3試合グループB 3試合グループB 3試合
ポーランドウクライナ

注: 収容人数はUEFA EURO 2012のためのものであり、通常の最大収容人数とは限らない。

結果

組み合わせ抽選

本大会の抽選会は、2011年12月2日にウクライナのキエフにて行なわれた。抽選方法は、以下の通り。

ホスト国であるポーランドはA1、ウクライナはD1に当てられることがすでに決まっており、ホスト国の2カ国と前回大会優勝のスペインは「ポット1」。そのほかの出場国は、2010年のワールドカップ予選・本選と2008年UEFA欧州選手権予選・本選、2012年のUEFA欧州選手権予選の成績を基準に算定された、UEFAランキングポイントに基づいて格付け後、抽選によって4グループに振り分ける。

最終的な振り分けは、以下の通り。

ポット1ポット2ポット3ポット4
ポーランド(開催国)
ウクライナ(開催国)
スペイン(前回大会優勝)
オランダ
ドイツ
イタリア
イングランド
ロシア
クロアチア
ギリシャ
ポルトガル
スウェーデン
デンマーク
フランス
チェコ
アイルランド

グループリーグ

グループ A

チェコ対ポーランド

チーム







1 チェコ6320145-1
2 ギリシャ43111330
3 ロシア4311153+2
4 ポーランド2302123-1

※ギリシャとロシアを比較した際、得失点差ではロシアが上位であるが、直接対決でギリシャが勝利したため、ギリシャのグループリーグ突破となった。

すべて現地時間(UTC+2






チェコ 1 - 0 ポーランド
イラーチェク  72分レポート
ヴロツワフ市立競技場ヴロツワフ
観客数: 41,480人
主審: クレイグ・トムソン


グループ B

ドイツ対ポルトガル

チーム







1 ドイツ9330052+3
2 ポルトガル6320154+1
3 デンマーク3310245-1
4 オランダ0300325-3

すべて現地時間(UTC+3




デンマーク 2 - 3 ポルトガル
ベントナー  41分80分レポートペペ  24分
ポスティガ  36分
ヴァレラ  87分
アリーナ・リヴィウリヴィウ
観客数: 31,840人
主審: クレイグ・トムソン




グループ C

スペイン対イタリア

チーム







1 スペイン7321061+5
2 イタリア5312042+2
3 クロアチア4311143+1
4 アイルランド0300319-8

すべて現地時間(UTC+2








グループ D

ウクライナ対スウェーデン

チーム







1 イングランド7321053+2
2 フランス43111330
3 ウクライナ3310224-2
4 スウェーデン33102550

すべて現地時間(UTC+3








決勝トーナメント

 
準々決勝準決勝決勝
 
          
 
6月21日 - ワルシャワ
 
 
チェコ0
 
6月27日 - ドネツィク
 
ポルトガル1
 
ポルトガル0 (2)
 
6月23日 - ドネツィク
 
スペイン (p)0 (4)
 
スペイン2
 
7月1日 - キエフ
 
フランス0
 
スペイン4
 
6月22日 - グダニスク
 
イタリア0
 
ドイツ4
 
6月28日 - ワルシャワ
 
ギリシャ2
 
ドイツ1
 
6月24日 - キエフ
 
イタリア2
 
イングランド0 (2)
 
 
イタリア (p)0 (4)
 

準々決勝






準決勝




決勝



優勝国

UEFA EURO 2012のトロフィーを掲げるスペインの選手たち
 UEFA EURO 2012優勝国 

スペイン
2大会連続3回目

得点ランキング

順位選手名得点数アシスト数
1 フェルナンド・トーレス31
マリオ・ゴメス
マリオ・バロテッリ0
クリスティアーノ・ロナウド
アラン・ジャゴエフ
マリオ・マンジュキッチ

表彰

大会最優秀選手

ゴールデンブーツ

※複数選手が最多得点で並んだ場合はアシスト数で選出。それでも並んだ場合は、プレー時間の少ない選手が選出される[14]

大会優秀選手

GKDFMFFW

ジャンルイジ・ブッフォン
イケル・カシージャス
マヌエル・ノイアー

ジェラール・ピケ
ファビオ・コエントラン
フィリップ・ラーム
ペペ
セルヒオ・ラモス
ジョルディ・アルバ

ダニエレ・デ・ロッシ
スティーブン・ジェラード
シャビ・エルナンデス
アンドレス・イニエスタ
サミ・ケディラ
セルヒオ・ブスケツ
メスト・エジル
アンドレア・ピルロ
シャビ・アロンソ

マリオ・バロテッリ
セスク・ファブレガス
クリスティアーノ・ロナウド
ズラタン・イブラヒモビッチ
ダビド・シルバ

放映局

UEFA

放映局
アイスランドRÚV[15]
アイルランドRTÉ[16]
イギリス[17]
イタリアRAI[18]
 ウクライナ
  • NTU
  • TRK
[19]
オランダNOS[20]
ギリシャERT[21]
クロアチアHRT[15]
 スウェーデン[22]
スペイン[23]
 チェコČT[24]
 デンマーク
  • DR
  • TV 2
  • TV4 Group
[25][26]
ドイツ[27]
トルコTRT[15]
 ノルウェー
  • NRK
  • TV2
  • TV4 Group
[25][28]
 ハンガリーMTV[29]
 フィンランド[15]
フランス[30]
ベルギー[15][31]
ポーランドTVP[32]
ポルトガル
  • RTP
  • SIC
  • TVI
  • SportTV
[33][34]
ロシア[15]

非UEFA

放映局
アメリカ合衆国ESPN[35]
インドネシア
  • RCTI
  • インドビジョン
[36]
オーストラリア
  • SBS
  • Setanta Sports
[37][38]
カナダ[35]
韓国KBS[39]
タイGMMグラミー[40]
中国CCTV-5[41]
日本[36]
ブラジルヘジ・グローボ[42][15]
香港now TV[36]
メキシコ[36][15]
 中東・北アフリカアルジャジーラ[43]
 ブラックアフリカSuperSport[36]

脚注

出典

外部リンク