ダニエル・クレイグ

イギリスの俳優

ダニエル・クレイグ(Daniel Craig CMG, 1968年3月2日 - )は、イギリス俳優。6代目ジェームズ・ボンドを『007 カジノ・ロワイヤル』(2006年)から5作品演じた。『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019年)では、ゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされた。

ダニエル・クレイグ
Daniel Craig
Daniel Craig
2015年
本名ダニエル・ロートン・クレイグ
Daniel Wroughton Craig
生年月日 (1968-03-02) 1968年3月2日(56歳)
出生地イギリスの旗 イギリスチェシャー州チェスター
身長178cm
職業俳優
ジャンル映画
活動期間1992年 -
配偶者フィオラ・ロードン(1992年 - 1994年)
レイチェル・ワイズ(2011年 - )
主な作品
トゥームレイダー
ロード・トゥ・パーディション
レイヤー・ケーキ
Jの悲劇
ミュンヘン
007』シリーズ
ライラの冒険 黄金の羅針盤
ディファイアンス
カウボーイ & エイリアン
ドリームハウス
タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
ドラゴン・タトゥーの女
ローガン・ラッキー
ナイブズ・アウト』シリーズ
 
受賞
ベルリン国際映画祭
シューティング・スター賞
2000年
放送映画批評家協会賞
主演男優賞(アクション部門)
2012年007 スカイフォール
アンサンブル演技賞
2022年ナイブズ・アウト: グラス・オニオン
その他の賞
聖マイケル・聖ジョージ勲章 (2022年)
備考
6代目ジェームズ・ボンド
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クレイグのサイン

来歴

生い立ち

イングランドチェシャー州チェスターで生まれる。父親のティモシー・ジョン・ロウトン・クレイグは複数のパブのオーナーで、かつてはイギリス商船隊(マーチャント・ネイビー)で幹部候補生として勤務していた。母親のオリヴィア(旧姓ウィリアムズ)は美術教師である[1][2][3]。1972年、彼が4歳のときに両親が離婚し、母と姉とともにリヴァプールへ移る。以降12年間をリヴァプールで過ごしたが、16歳の時、ナショナルユースシアターを受験[3]ロンドンへ移る。

キャリア

シェイクスピアトロイラスとクレシダ』のアガメムノン役で舞台デビュー。1991年にギルドホール音楽演劇学校を卒業。有名になるまではパブでシェフとして働いていた。

1992年に『パワー・オブ・ワン』で映画デビュー。1998年、『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』のジョージ・ダイアー役で、デレク・ジャコビと共にエディンバラ国際映画祭最優秀演技賞を受賞。その後、『トゥームレイダー』や『ロード・トゥ・パーディション』などのアメリカ映画にも出演するようになる。2004年公開の『Jの悲劇』でロンドン映画批評家協会賞英国男優賞を受賞。

6代目ジェームズ・ボンド

2008年、ニューヨークにて

2005年、5代目だったピアース・ブロスナンの引退を受けて、6代目ジェームズ・ボンド役への抜擢が発表された[4][5]。『007』シリーズ初の、金髪のボンドとなる。それまでのボンドのイメージと大きく異なることもあって、イギリスでは発表直後にアンチサイト[6]が出来るなど、バッシングが大きかった[7]。これについて本人は、撮影後「批判は子供の罵りのような言葉だったけど(耳が大きすぎる、金髪はありえないなど)、実際に言われると傷ついたよ。でも、そういう人たちを納得させるための唯一の方法は、この役を上手くやりこなすことだった。俺自身ほどそれを感じていた人はいない」[8]と語った。

また、クレイグの身長は178cmで歴代のボンドを演じた俳優(2024年時点)の中で一番の小柄であり、「ボンド=長身」というイメージが強く、撮影現場では実際より高く見せるためにシークレット・ブーツを着用し[9]、唯一の非喫煙者(ノンスモーカー)の設定となっている。ただし、クレイグ自身が私生活でも非喫煙者(ノンスモーカー)であるか否かは不明である。

前述のような非難の嵐の中公開された『007 カジノ・ロワイヤル』で、クレイグは原作のジェームズ・ボンドのイメージに限りなく近い、寡黙でタフなボンドを演じきった。その演技力が評価され、シリーズ最高記録の興業収入を樹立した(後に『007 スカイフォール』が同記録を更新)。「ショーン・コネリー(初代)以来の最高のボンドだ」(ザ・サン誌)[10]と絶賛されるなど、興業・批評、両方の面で成功した。また、シリーズ初の英国アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた[11]

2008年に公開された『007 慰めの報酬』、2012年に公開された『007 スカイフォール』、2015年に公開された『007 スペクター』にもジェームズ・ボンド役で出演している。

2012年に行われたロンドンオリンピック開会式にエリザベス2世をエスコートするボンド役として出演。2021年に公開された『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』への出演をもってボンド役を引退[12]。同作公開直前の2021年9月、イギリス海軍はクレイグを、作中のボンドと同格となる名誉中佐に任命した[13]。後任として、7代目最有力候補にはアーロン・テイラー=ジョンソンが挙げられている。

ボンドが1953年に叙勲された設定の聖マイケル・聖ジョージ勲章をクレイグ自身も授与することが2021年12月31日に発表された[14]。映画・演劇への顕著な貢献がその理由で、2022年9月8日にエリザベス2世が死去したため10月18日にウィンザー城で執り行われた式典ではアン王女がクレイグに勲章を授与した[15]

私生活

1992年にイギリスの元女優フィオラ・ロードンと結婚するが、1994年に離婚。二人の間には女の子(エラ)がいる。ドイツの女優ハイケ・マカッシュと7年間同棲したのち、日系アメリカ人の映画プロデューサーであるサツキ・ミッチェルと5年以上にわたって交際[16][17][18][19]。その後、2011年6月22日に女優のレイチェル・ワイズと結婚した[20]。二人は映画『ドリームハウス』の共演がきっかけで付き合い始めていた。2018年9月1日、ワイズとの間に女児が誕生したと報じられた。

少年時代からリヴァプールFCのサポーターである[21]。定期的にリヴァプールの試合に訪れており、喜ぶクレイグの姿が何度もカメラに抜かれている。

主な出演作品

映画

公開年邦題
原題
役名備考吹き替え
1992パワー・オブ・ワン
The Power of One
Sgt. ヤッピー・ボータデビュー作品
1995星の王子さまを探して
Saint-Ex
ギジャウメ
タイムマスター/時空をかける少年
A Kid in King Arthur's Court
ケイン先生伊藤栄次(VHS版)
1997
Obsession – Besessene Seelen
ジョン・マクホールN/A
1998愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像
Love Is the Devil: Study for a Portrait of Francis Bacon
ジョージ・ダイアー

Love and Rage
ジェームズN/A
エリザベス
Elizabeth
ジョン・バラード坂口賢一
1999ザ・トレンチ(塹壕)
The Trench
ウィンター軍曹秋元羊介
2000
Some Voices
レイN/A
ホテル・スプレンディッド
Hotel Splendide
ロナルド大川透
永遠のアフリカ
I Dreamed of Africa
デクラン・フィールディング関俊彦
2001トゥームレイダー
Lara Croft: Tomb Raider
アレックス・ウエスト大川透(ソフト版)
堀内賢雄フジテレビ版)
てらそままさきテレビ朝日版)
200210ミニッツ・オールダー: イデアの森
Ten Minutes Older: The Cello
セシルオムニバス映画、「星に魅せられて」に出演。
ロード・トゥ・パーディション
Road to Perdition
コナー・ルーニー千田光男
2003シルヴィア
Sylvia
テッド・ヒューズTBA
パッション
The Mother
ダーレン(吹き替え版なし)
2004レイヤー・ケーキ
Layer Cake
XXXX小杉十郎太
Jの悲劇
Enduring Love
ジョーTBA
2005ジャケット
The Jacket
ルーディー・マッケンジー手塚秀彰

Fateless
アメリカ兵N/A
ミュンヘン
Munich
スティーヴ土田大
2006ルネッサンス
Renaissance
バーテレミー・カラス声の出演小杉十郎太

Infamous
ペリー・スミスN/A
007 カジノ・ロワイヤル
007 Casino Royale
ジェームズ・ボンド英国アカデミー賞 主演男優賞ノミネート小杉十郎太(ソフト版)
藤真秀(テレビ朝日版)
2007インベージョン
The Invasion
ベン・ドリスコル小杉十郎太
ライラの冒険 黄金の羅針盤
The Golden Compass
アスリエル卿東地宏樹(劇場公開版)
藤真秀(テレビ朝日版)
2008フラッシュバック
Flashbacks of a Fool
ジョー・スコット製作総指揮田坂浩樹
007 慰めの報酬
007 Quantum of Solace
ジェームズ・ボンド小杉十郎太(ソフト版)
藤真秀(キングレコード版、BSジャパン版)
ディファイアンス
Defiance
トゥヴィア・ビエルスキ小杉十郎太
2011ライフ -いのちをつなぐ物語-
One Life
ナレーション
カウボーイ & エイリアン
Cowboys & Aliens
ジェイク・ローナガン小杉十郎太
ドリームハウス
Dream House
ウィル・アテントン藤真秀
ドラゴン・タトゥーの女
The Girl with the Dragon Tattoo
ミカエル・ブルムクヴィストてらそままさき
タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
The Adventures of Tintin: Secret of the Unicorn
レッド・ラッカム声の出演森田順平
2012幸福と栄光
Happy and Glorious
ジェームズ・ボンド2012年ロンドンオリンピックの開会式内で流されたショートフィルム。
エリザベス女王バッキンガム宮殿から開会式会場までエスコートした。
(吹き替え版なし)
007 スカイフォール
Skyfall
藤真秀
2015007 スペクター
Spectre
共同プロデューサー
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
Star Wars: The Force Awakens
ストームトルーパー(FN-1824)カメオ出演TBA
2017ローガン・ラッキー
Logan Lucky
ジョー青山穣
マイ・サンシャイン
Kings
オビー・ハーディソン(吹き替え版なし)
2019ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
Knives Out
ブノワ・ブラン藤真秀
2021007 ノー・タイム・トゥ・ダイ
No time to Die
ジェームズ・ボンド共同プロデューサー
2022ナイブズ・アウト: グラス・オニオン
Glass Onion: A Knives Out Mystery
ブノワ・ブランNetflixオリジナル映画
TBA
Queer
リー

テレビ

放映年邦題
原題
役名備考吹き替え
1993インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険
The Young Indiana Jones Chronicles
Schiller第2シーズン第21話「Palestine, October 1917
炎の英雄 シャープ 2 イーグルを奪え
Sharpe's Eagle
Lt. ベリーテレビ映画
1996ハリウッド・ナイトメア
Tales from the Crypt
バリー第7シーズン第9話「Smoke Wrings
モール・フランダース〜燃ゆる運命の炎〜
The Fortunes and Misfortunes of Moll Flanders
ジェームズ・“ジェミー”・シーグレーヴテレビ映画山路和弘

Our Friends in the North
ジョージ・“ジョーティ”・ピーコックN/A
1997ハンガー/トリロジー
The Hunger
ジェリー・プリチャード檀臣幸
氷の家
The Ice House
D.S. アンディ・マクローリンテレビ映画安原義人
1999
Shockers: The Visitor
リチャードN/A
2001バトルライン
Sword of Honour
ガイ・クラウチバック
2002コペンハーゲン
Copenhagen
ヴェルナー・ハイゼンベルク
2005アークエンジェル
Archangel
フロック・ケルソ家中宏
2006フィフス・ギア
Fifth Gear
本人
2012サタデー・ナイト・ライブ
Saturday Night Live
本人(ホスト)Daniel Craig/Muse
2017刑事★コムラッド 〜同志に別れを〜
Comrade Detective
アントン・ストレーザ声の出演(英語版吹き替え)
2話出演
2020サタデー・ナイト・ライブ
Saturday Night Live
本人(ホスト)Daniel Craig/the Weeknd
2021ジェームズ・ボンドとして
Being James Bond
本人テレビ映画

コンピュータゲーム

発売年邦題
原題
役名備考吹き替え
2008007 慰めの報酬
007: Quantum of Solace
ジェームズ・ボンド声の出演小杉十郎太
2010ゴールデンアイ 007
GoldenEye 007
007 ブラッドストーン
James Bond 007: Blood Stone

日本語吹き替え

専属声優(フィックス

藤真秀
2009年に「日曜洋画劇場」で放送された『007 カジノ・ロワイヤル』で初担当。同シリーズからジェームズ・ボンドの吹替を務めて[22]以降、専属(フィックス)でクレイグを担当しており[23][24][25]、『ナイブズ・アウト: グラス・オニオン』で担当した際には「ダニエル・クレイグ声優」「誰よりも彼(クレイグ)の演技を知る藤」と評されるほどに定着している[26][27]
藤はクレイグの魅力について「ひとつひとつ表情や仕草は抑えた演技なのに、感情をしっかり伝えることができること。見つめられると、どんな女性も落ちそうなブルーの瞳も魅力的です」と語っている[28]
また、藤によるクレイグの吹き替えは同業者間でも評価が高く、初担当となった『007 カジノ・ロワイヤル』(テレビ朝日版)の演出を手がけた鍛治谷功は「まさしくジェームズ・ボンドを演じるために生まれてきた方」と評している[29]ほか、『007/慰めの報酬』(BSテレ東版)のプロデューサーを務めた久保一郎は吹替版の製作時に「ダニエル・クレイグのボンドは藤真秀さんがベストだと確信した」と語っている[30]

その他の担当声優

小杉十郎太
レイヤー・ケーキ』で初担当。藤の次に多く吹き替えており、初期の担当声優として定着していた[31]
2011年の『カウボーイ & エイリアン』を最後に起用が途絶えている。

このほかにも、てらそままさき大川透安原義人千田光男東地宏樹青山穣なども声を当てている。

脚注

外部リンク