元素の族

周期表における縦の一列

元素の族(げんそのぞく)は元素周期表の行(縦1列)に当たる[1]。標準的な周期表では18の族が存在する。

族が元素の分類と一致するのは偶然ではなく、周期表はもともと元素の分類に基づいて設計されていた。その後の研究により、同じ族でよく似た性質を示す元素は最外殻の電子が同じ配列になっていることがわかった。化学的性質が最外殻の電子によって決まることから、物理的にも化学的にも元素の性質を表せる族での分類が主流となった。同じ族に属する元素同士を同族体と呼ぶ[1]

族の呼び方

族の番号のつけかたは3種類あり、一つはアラビア数字で表現し、残りの二つはローマ数字で表現する。ローマ数字で表記する物はもともと考案された時点での分類であり、アラビア数字で示す物は国際純正・応用化学連合(IUPAC)が旧式の番号をふり直した物である。

旧方式では似通った二つの方式での記述があり、混乱の元となっている。どちらもローマ数字と、アルファベットのA、Bを組み合わせて族を表現する。

  • 旧IUPAC方式 - Aは周期表左側、Bは周期表右側 主にヨーロッパで使用された
  • CAS方式 - Aは主族元素、Bは遷移元素 主にアメリカで使用された

となっている。そこで新しいIUPACの表記法ではどちらの表記法ともかぶらず、混乱が生じないよう単純に数字で族を表している。

また、各族について、番号の代わりにいちばん軽い元素の名前を用いて族を表すこともある[1]

各族について

旧IUPAC旧CAS別名
第1族元素IAアルカリ金属[注 1]
第2族元素IIAアルカリ土類金属[注 2]
第3族元素IIIAIIIB希土類[注 3](スカンジウム族)
第4族元素IVAIVBチタン族
第5族元素VAVBバナジウム族
第6族元素VIAVIBクロム族
第7族元素VIIAVIIBマンガン族
第8族元素VIIIAVIIIB第4周期:鉄族
第5・6周期:白金族
第9族元素
第10族元素
第11族元素IB銅族(貨幣金属)
第12族元素IIB亜鉛族
第13族元素IIIBIIIAホウ素族(土類金属[注 4]
第14族元素IVBIVA炭素族
第15族元素VBVA窒素族(ニクトゲン)
第16族元素VIBVIA酸素族(カルコゲン[注 5]
第17族元素VIIBVIIAハロゲン
第18族元素VIIIBVIIIA希ガス、貴ガス、稀ガス[注 6]

鉄族元素・白金族元素

短周期表でVIIIB族を占める、コバルトニッケルルテニウムロジウムパラジウムオスミウムイリジウム白金は長周期の族(第8 / 9 / 10族)で区分された場合よりも、第4周期と第5 / 6周期とに区分したほうが化学的性質が似通っている。それ故、第4周期第8 - 10族元素(鉄、コバルト、ニッケル)を鉄族元素、そして第5 - 6周期第8 - 10族元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)は白金族元素とも呼ばれる。

脚注

注釈

出典

参考文献

  • Shriver, D. F. and Atkins, P. W.『シュライバー無機化学(上)』玉虫伶太・佐藤弦・垣花眞人訳、東京化学同人、2001年。ISBN 4-8079-0534-1 

関連項目