FIFAコンフェデレーションズカップ

FIFAコンフェデレーションズカップ: FIFA Confederations Cup)は、 かつて国際サッカー連盟(FIFA)によって4年ごとに開催されていた、男子代表チームの国際サッカー大会である。6つの大陸選手権[注釈 1]のそれぞれの優勝国と、FIFAワールドカップの優勝国・開催国によって争われ、最大8チームによって争われた。

FIFAコンフェデレーションズカップ
FIFA Confederations Cup
開始年1992年
終了年2017年
主催FIFA
地域世界
参加チーム数8
加盟国AFC
CAF
CONCACAF
CONMEBOL
OFC
UEFA
最多優勝 ブラジル (4回)
サイト公式サイト
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1992年にサウジアラビアで開始され、1997年の第3回大会から2017年大会までは国際サッカー連盟(FIFA)によって開催された。各大陸の代表は、それぞれの大陸連盟が主催する大陸選手権大会で決まっていた。日本においては「コンフェデ」や「コンフェデ杯」などと略された。

代替大会としてFIFAクラブワールドカップを2021年から4年に1度開催する予定であったが延期された[1]

概要

歴史

1992年に、当時アジアカップのタイトルを保持していたサウジアラビアと、他の大陸王者とを戦わせるという目的で始まった。参加したのは開催国でアジア王者のサウジアラビア、南米王者のアルゼンチン、北中米カリブ海王者のアメリカ合衆国、アフリカ王者のコートジボワールの4か国だった。このころは国際サッカー連盟(FIFA)が主催する大会ではなく、サウジアラビアが開催国として大会を運営しており、大会名もキング・ファハド・カップという名前だった。

1995年に第2回大会が行われ、このとき1992年のアジアカップ(上記第1回大会の直後に行われた)を制した日本と、欧州からデンマークが参加した。1997年に第3回大会が行われ、このときオセアニア王者のオーストラリアも参加し、すべての大陸王者が参加する大会になった。また、大会の管轄がFIFAに移管され、大会名称も現在のFIFAコンフェデレーションズカップに変更となった。1999年に第4回大会が行われ、開催地がメキシコとなり、初めてサウジアラビア以外の国で開催された。

2001年には、翌年のFIFAワールドカップ・日韓大会のプレ公式大会として、第5回大会が日本韓国で共催された。なお、これ以前のワールドカップのプレ大会は、開催国が独自にプレ親善大会[注釈 2]を行っていた。2003年は前回優勝国であるフランスで開催された。しかし、ほぼ中1日間隔という強行日程が問題となった。2005年はFIFAワールドカップ・ドイツ大会のプレ公式大会として、ドイツで開催された。この大会でFIFAワールドカップのプレ公式大会として正式に定義され、以降、翌年のワールドカップ本大会の開催国で開催されていた。

2018年、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が各大陸の連盟に送った書簡によると、第10回大会のFIFAコンフェデレーションズカップ2017を最後に廃止されることが決まった。理由はファンスポンサーから支持が得られなかった為と見られている。代替大会としてFIFAクラブワールドカップを2021年から4年に1度の開催とし、コンフェデレーションズカップと同様にFIFAワールドカップのプレ公式大会として、ワールドカップ開催国で前年の6月頃に18日間の日程で開催する予定であったが、延期されている[1]

大会の意義

キング・ファハド・カップがコンフェデレーションズカップとしてFIFAに管轄が移ってから、本大会は2年に1度、世界の勢力図を測るためのもう1つの世界一決定戦として一旦は位置付けられていた。しかし、決勝まで進出するチームはわずか10日から12日の中で5試合を行い、試合間隔は基本的に中1日という、A代表によって争われる国際大会としては異例の過密日程[注釈 3]や、当時は国際Aマッチデーが定められておらず[注釈 4]、大会の開催期間が欧州のリーグ戦日程と重なるということもあり、出場国のモチベーションが高くなく、一流選手が出場を見送ることも常態化するなど、価値の高い大会とは言えなかった。

2003年の第6回フランス大会では、この超過密日程の影響が最悪の形で現れた。6月26日に行われた準決勝カメルーンコロンビア戦の試合中にカメルーン代表のマルク・ヴィヴィアン・フォエが試合中にピッチ上で倒れ、そのまま亡くなる事件が発生した。その後の3位決定戦、決勝戦では試合前に黙祷がささげられ、選手全員が喪章をつけて試合に臨むという追悼ムードに包まれたままの大会閉幕になった。この一件により、サッカーにおける過密日程どころか大会の廃止までもが議論の焦点となった。

そこでFIFAは第8回南アフリカ大会からは大会の間隔を従来の2年に1度から4年に1度に変え、開催地を翌年開かれるFIFAワールドカップ・本大会の開催国とした。この決定によって、コンフェデレーションズカップは「FIFAワールドカップのプレ公式大会」としてサッカー界のカレンダーに明確に再定義されることになった。また、試合間隔も2005年の第7回ドイツ大会からは中2日に改められた。

賞金

大会の価値を少しでも高めようと、FIFAは比較的高い賞金を支払っており、2009年の第8回南アフリカ大会の賞金総額は1760万ドル(約17億6000万円)で、優勝賞金は375万ドル(約3億7125万円)、2位は325万ドル(約3億2175万円)、3位275万ドル(約2億7225万円)、4位225万ドル(約2億2275万円)、残りの4チームにも140万ドル(約1億3860万円)が支払われた[注釈 5][2]

第9回ブラジル大会では賞金として、優勝が410万ドル(約3億8000万円)、2位は360万ドル(約3億3000万円)、3位300万ドル(約2億7820万円)、4位250万ドル(約2億3180万円)、残りの4チームには140万ドル(約1億6000万円)、賞金総額2000万ドル(約18億6000万円)を支払う[3]。決勝トーナメント進出国の賞金を上げ、賞金総額は南アフリカ大会よりも14%アップした。

各大陸代表選出の大会

大陸連盟(地域)選出大会
  AFCアジア
AFCアジアカップ
  CAFアフリカ
アフリカネイションズカップ
CONCACAFゴールドカップ
  CONMEBOL南米
コパ・アメリカ
OFCネイションズカップ
UEFA欧州選手権
  • 基本的に上記6大会の優勝国に、開催国と招待国を加えた8か国で行われていた。招待国は直近のFIFAワールドカップ優勝国や上位進出国、前回大会の優勝国、上記6大会の上位進出国など様々である。6大会の優勝国、開催国、招待国などが重複した場合は複数の国が招待されていた。

開催方式

1997年大会以降は、出場チームは8チームとなっており、以下の方式で実施された。それ以前の大会については各大会記事を参照。

グループリーグ
参加8か国をAとBの2つのグループに分け、総当たり1回戦のリーグ戦を実施する。
  • 同一連盟から2か国が参加している場合、必ず別のグループに分けられる。
  • 各国、3試合で勝敗を決める。
  • 勝点は勝利は3点/引き分けは1点/負けは0点
  • 勝点、得失点差、総得点の順で各組成績上位の2か国を決め、決勝トーナメントを実施。
決勝トーナメント
準決勝はA組1位とB組2位・A組2位とB組1位が其々対戦。準決勝の敗者で3位決定戦を、勝者で決勝戦を行う。

結果

開催年開催国決勝戦3位決定戦出場
国数
優勝結果準優勝3位結果4位
キング・ファハド・カップ
11992年 サウジアラビア  アルゼンチン3 - 1  サウジアラビア  アメリカ合衆国5 - 2  コートジボワール4
21995年 サウジアラビア  デンマーク2 - 0  アルゼンチン  メキシコ1 - 1 aet
(PK 5 - 4)
 ナイジェリア6
FIFAコンフェデレーションズカップ
31997年 サウジアラビア  ブラジル6 - 0  オーストラリア  チェコ1 - 0  ウルグアイ8
41999年 メキシコ  メキシコ4 - 3  ブラジル  アメリカ合衆国2 - 0  サウジアラビア8
52001年 日本 / 韓国  フランス1 - 0  日本  オーストラリア1 - 0  ブラジル8
62003年 フランス  フランス1 - 0 GG  カメルーン  トルコ2 - 1  コロンビア8
72005年 ドイツ  ブラジル4 - 1  アルゼンチン  ドイツ4 - 3 aet  メキシコ8
82009年 南アフリカ共和国  ブラジル3 - 2  アメリカ合衆国  スペイン3 - 2 aet  南アフリカ共和国8
92013年 ブラジル  ブラジル3 - 0  スペイン  イタリア2 - 2 aet
(PK 3 - 2)
 ウルグアイ8
102017年 ロシア  ドイツ1 - 0  チリ  ポルトガル2 - 1 aet  メキシコ8

統計

代表別通算成績

国・地域名
1  ブラジル74101332355747828+50
2  メキシコ710122711610394443+1
3  フランス220001090127245+19
4  ドイツ3101013823262922+7
5  スペイン201101071222268+18
6  アメリカ合衆国40120156181920200
7  アルゼンチン3120010532182214+8
8  オーストラリア4011016538181725-8
9  日本5010016529171925-6
10  ウルグアイ2000210514162213+9
11  カメルーン301001142514711-4
12  ポルトガル1001053201193+6
13  イタリア200108323111315-2
14  サウジアラビア4010112318101331-18
15  ナイジェリア2000162228117+4
16  デンマーク110003210751+4
17  チェコ1001052127107+3
18  トルコ1001052127880
19  チリ101005131643+1
20  コロンビア1000152036550
21  韓国100003201636-3
22  南アフリカ共和国2000181255913-4
23  エジプト2000061235916-7
24  ロシア1000031023330
25  チュニジア100003102335-2
26  アラブ首長国連邦100003102328-6
27  ボリビア100003021223-1
28  イラク100003021201-1
29  ギリシャ100003012104-4
30  カナダ100003012105-5
31  ニュージーランド400001201111332-29
32  コートジボワール100012002029-7
33  タヒチ1000030030124-23
  • データは2017年ロシア大会終了時点
  • 太字は優勝経験のある国・地域で、太数字は最多記録
  • 国・地域名は現在の名称で統一した
  • 順位は通算勝点の多い順で、通算勝点が同数の場合は得失点差の優れた方を、得失点差も同数の場合は総得点の多い方を上にした
  • PK戦で決着がついた試合は記録上引き分けとなる

通算優勝回数

回数国名
4回  ブラジル1997,2005,2009,2013
2回  フランス2001,2003
1回  アルゼンチン1992
 デンマーク1995
 メキシコ1999
 ドイツ2017

個人通算得点

順位選手名得点数
1 クアウテモク・ブランコ9
ロナウジーニョ
3 フェルナンド・トーレス8
4 ロマーリオ7
アドリアーノ
6 マゾウク・アル・オタイビ6
ダビド・ビジャ
8 ヴラディミール・シュミツェル5
ロベール・ピレス
ジョン・アロイージ
アレクサンドロ・デ・ソウザ
ルイス・ファビアーノ
フレッジ

表彰

ゴールデンボール(大会最優秀選手)

大会ゴールデンボールシルバーボールブロンズボール
1997 デニウソン ロマーリオ ヴラディミール・シュミツェル
1999 ロナウジーニョ クアウテモク・ブランコ マゾウク・アル・オタイビ
2001 ロベール・ピレス パトリック・ヴィエラ 中田英寿
2003 ティエリ・アンリ トゥンジャイ・シャンル マルク=ヴィヴィアン・フォエ
2005 アドリアーノ フアン・ロマン・リケルメ ロナウジーニョ
2009 カカ ルイス・ファビアーノ クリント・デンプシー
2013 ネイマール アンドレス・イニエスタ パウリーニョ
2017 ユリアン・ドラクスラー アレクシス・サンチェス レオン・ゴレツカ

ゴールデンシューズ(得点王)

大会ゴールデンシューズ得点数シルバーシューズ得点数ブロンズシューズ得点数
1997 ロマーリオ7 ヴラディミール・シュミツェル5 ロナウド4
1999 ロナウジーニョ6 クアウテモク・ブランコ6 マゾウク・アル・オタイビ6
2001 ロベール・ピレス2 エリック・カリエール2 黄善洪2
2003 ティエリ・アンリ4 トゥンジャイ・シャンル3 中村俊輔3
2005 アドリアーノ5 ミヒャエル・バラック4 ジョン・アロイージ4
2009 ルイス・ファビアーノ5 フェルナンド・トーレス3 ダビド・ビジャ3
2013 フェルナンド・トーレス5 フレッジ5 ネイマール4
2017 ティモ・ヴェルナー3 レオン・ゴレツカ3 ラース・シュティンドル3

ゴールデングローブ(最優秀GK)

大会受賞者
2005 オスワルド・サンチェス
2009 ティム・ハワード
2013 ジュリオ・セザル
2017 クラウディオ・ブラーボ

フェアプレー賞

大会受賞国
1997  南アフリカ共和国
1999  ニュージーランド /  ブラジル
2001  日本
2003  日本
2005  ギリシャ
2009  ブラジル
2013  スペイン
2017  ドイツ

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク