エア・インディア

インドの航空会社

エア・インディア英語: Air India, ヒンディー語: एअर इंडिया)は、インドの航空会社。デリームンバイを本拠地としている航空会社であり、インドのフラッグ・キャリアである。機体に書かれているデーヴァナーガリー文字の社名をそのままカタカナに変換すると、「エーアル・インディヤー」になるが、日本の報道機関では「エア・インディア」の表記が使われている[1]。かつては国営企業として運行していたが、多額の負債を抱え、「タタ・グループ」に買収された。タタ・グループの買収以降は、順調に規模を拡大している[2]

エア・インディア
Air India
एअर इंडिया
IATA
AI
ICAO
AIC
コールサイン
AIR INDIA
法人番号2700150000223 ウィキデータを編集
設立1932年10月15日
ハブ空港チャットラパティー・シヴァージー国際空港
インディラ・ガンディー国際空港
焦点空港チェンナイ国際空港
ネータージー・スバース・チャンドラ・ボース国際空港
マイレージサービスFlying Returns
会員ラウンジMaharaja Lounge
航空連合スターアライアンス
保有機材数127機
就航地93都市
本拠地インドの旗 インド マハーラーシュトラ州ムンバイ
代表者ナタラジャン・チャンドラセカラン (会長)
キャンベル・ウィルソン最高経営責任者
外部リンクhttps://www.airindia.com/
備考
日本支社所在地
東京都千代田区内幸町1丁目1-1
帝国ホテルタワー11階
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歴史

設立

エア・インディア本社(ムンバイ)

イギリス植民地下にあった1932年に、実業家で飛行家としても知られるジャハンギール・ラタンジ・ダーダーバーイ・タタによって「タタ航空」として設立された。

当初はイギリス製のデ・ハビランド プス・モスなどを使用し、国内線を運航した。

1946年に現在の社名となり、独立後の1948年にタタ・グループを離れ、インド政府との半官半民体制になった。

拡張

独立後は、ロッキード スーパーコンステレーションなどの新鋭機を導入し国際線へ進出、アジア域内路線を皮切りに、ヨーロッパアメリカ路線の運航も開始した。その後ボーイング707を導入し、ジェット化を進めた。

日本路線

1955年昭和30年)5月7日にムンバイからロッキード スーパーコンステレーション機によって羽田空港に乗り入れを開始した。また、日本に就航している外国航空会社の中では最も早い時期から日本人客室乗務員を採用している(乗務開始は1960年代から)。

2013年11月以降、日本路線は東京/成田 - デリー線、大阪/関西 - 香港 - デリー線の両路線をボーイング787-8型機[3]にて運航中[4][5]。日本人の客室乗務員が乗務している。成田国際空港においては全日本空輸など他のスターアライアンスメンバーの航空会社が第1旅客ターミナル南ウイングを使用している中でエア・インディアのみ唯一第2旅客ターミナルを使用している。

現在

インディアン航空との合併まで使用された旧塗装
旧ロゴ

2007年インディアン航空(Indian Airlines:同じく国有会社で国内線及び近距離国際線専門)と対等合併し、インドの国際線、国内線に就航する最大の航空会社となる。新会社名はインド国有航空会社(National Aviation Company of India Limited)となり、「エア・インディア」はブランド名として使用されている。合併後機体の塗装リニューアルが進められていた中、国内線においてはしばらくAIとIC(旧インディアン航空)の2種類の便名が併用されていたが、現在はAIに統一されている。

2007年12月には、スターアライアンスへの加盟が承認され[6]、加盟準備が進められていたが、2011年7月31日、エアインディアが契約合意した加盟条件を満たさなかったため、加盟が保留となった[7][8]。その後、2013年12月に加盟手続きが再開され[9]、2014年6月24日には、同年7月11日にスターアライアンスに加盟すると発表され[10][11]、7月11日に予定通り加盟した[12]

国営企業としての非効率性は累積債務を生み、2020年段階で80億ドル以上の赤字を抱えている。インド政府は、2020年1月、債務のうち約32億6000万ドルを引き受けることを条件に全株式の売却に向け入札を行った[13]

2022年1月27日、タタ・グループがインド政府から、エア・インディアの株式100%、同子会社の格安航空会社エア・インディア・エクスプレス(AIXL)の株式100%、そして空港のグランドハンドリング事業を行うエア・インディアSATSエアポート・サービシズ(AISATS)の同社保有株式50%を、総額1,800億ルピー(約2,700億円、1ルピー=約1.5円)で買収したことが発表された。これによりエア・インディアは同社を創業したタタ・グループに再び戻ることになった[14]

2022年11月2日、エアアジア・インディアを買収すると発表し[15]、同月29日にタタグループ主導でエア・インディアにビスタラも合併すると発表し、ビスタラ出資しているシンガポール航空はエア・インディア株式を保有するとしている[16]。なお、ビスタラが運航していた羽田発着枠はエア・インディアが引き継ぐ見込み。

2023年8月に新塗装を発表。デーヴァナーガリー文字の表記をやめ、「AIR INDIA」のローマ字表記がスターボード・サイド及びボードサイドに表記される。初号機はエアバスA350型機で、以降の受領機から新塗装となる[17]

保有機材

エア・インディアが発注したボーイング社製航空機の顧客番号(カスタマーコード)は37で、航空機の形式名は747-437、777-237ER、777-237LRなどとなる。
タタグループによるエアアジア・インディアビスタラとの統合により保有機材転籍の可能性が報じられ[18]、2023年2月にエアバスから250機(A320neo:140機, A321neo:70機, A350-900:6機, A350-1000:34機)[19]、ボーイングから220機ほかオプション70機(737 MAX 8/10:190機, 777-9:10機, 787-9:20機)[20]という800億ドルの大型契約を締結したと発表した[1]

エア・インディア 運航機材一覧(2023年10月現在)[21]
機種保有数発注乗客数備考
FCWY合計
エアバスA319-10018--8-114122VT-SCSはマハトマ・ガンディー特別塗装機
-144144
エアバスA320-2009--12-138150
-180180
エアバスA320neo27161-12-150162VT-CIOはマハトマ・ガンディー特別塗装機
VT-EXOはスターアライアンス塗装機
エアバスA321-20014--12-170182
エアバスA321neo470-12-180192
エアバスA350-900-6-28242643162023年中に導入[22]
エアバスA350-1000-34未定
ボーイング737 MAX 8-190未定オプションで+50機発注
ボーイング737 MAX 10-未定
ボーイング777-200LR8-835-195238VT-ALGはマハトマ・ガンディー特別塗装機
-2848220296
ボーイング777-300ER14844828184264VT-ALJはスターアライアンス塗装機
VT-ALNは"Celebrating India"ステッカー機
840-280322
435-303342
ボーイング777-9-10未定
ボーイング787-827--18-238256VT-ANPはマハトマ・ガンディー特別塗装機
VT-ANUはスターアライアンス塗装機
18241259
ボーイング787-9-20未定オプションで+20機発注
合計121499

過去の保有機材

ギャラリー

就航路線

エア・インディア 就航都市 (2016年1月 現在)
都市空港備考
南アジア
インドデリーインディラ・ガンディー国際空港ハブ空港
ムンバイチャットラパティー・シヴァージー国際空港
コルカタネータージー・スバース・チャンドラ・ボース国際空港
チェンナイチェンナイ国際空港
ベンガルール(バンガロール)ケンペゴウダ国際空港焦点都市
アフマダーバードアフマダーバード空港
ハイデラバードラジーヴ・ガンディー国際空港
他、アンダマン・ニコバル諸島1都市、アーンドラ・プラデーシュ州3都市、アッサム州5都市、ビハール州5都市、チャンディーガル(インド北部の都市)、ラーイプルマディヤ・プラデーシュ州6都市、マハーラーシュトラ州4都市、ウッタル・プラデーシュ州6都市、ジャンムー・カシミール州3都市、ケーララ州3都市、ゴア州タミル・ナードゥ州2都市など合計52都市。
バングラデシュダッカシャージャラル国際空港
モルディブマレイブラヒム・ナシル国際空港
ネパールカトマンズトリブバン国際空港
スリランカコロンボバンダラナイケ国際空港
アフガニスタンカーブルカーブル国際空港
東アジア
日本東京成田国際空港
韓国ソウル仁川国際空港
中国上海上海浦東国際空港
香港香港国際空港
東南アジア
マレーシアクアラルンプールクアラルンプール国際空港
インドネシアジャカルタスカルノ・ハッタ国際空港
ミャンマーヤンゴンヤンゴン国際空港
シンガポールシンガポール・チャンギ国際空港
タイバンコクスワンナプーム国際空港
西アジア
バーレーンマナーマバーレーン国際空港
クウェートクウェートシティクウェート国際空港
オマーンマスカットマスカット国際空港
サラーラサラーラ国際空港
カタールドーハハマド国際空港
サウジアラビアリヤドキング・ハーリド国際空港
ジェッダキング・アブドゥルアズィーズ国際空港
ダンマンキング・ファハド国際空港
アラブ首長国連邦ドバイドバイ国際空港
アブダビアブダビ国際空港
アル・アインアルアイン国際空港
シャールジャシャールジャ国際空港
オセアニア
オーストラリアシドニーシドニー国際空港
メルボルンメルボルン空港
ヨーロッパ
イギリスロンドンロンドン・ヒースロー空港
バーミンガムバーミンガム国際空港
フランスパリシャルル・ド・ゴール国際空港
ドイツフランクフルトフランクフルト空港
イタリアローマフィウミチーノ空港
ミラノミラノ・マルペンサ空港
北アメリカ
カナダトロントトロント・ピアソン国際空港
バンクーバーバンクーバー国際空港
アメリカ合衆国ニューヨークジョン・F・ケネディ国際空港
ニューアーク・リバティー国際空港
ロサンゼルスロサンゼルス国際空港
シカゴシカゴ・オヘア国際空港
アフリカ
 ケニアナイロビジョモ・ケニヤッタ国際空港
タンザニアダルエスサラームジュリウス・ニエレレ国際空港
休・廃止路線
日本大阪関西国際空港香港経由 2019年9月17日をもって運休

特徴

長年マスコットとして使用されている「マハラジャくん」

客室乗務員サリーを着用、機内食はインドカレーを提供、機内映画インド映画を多く上映するなど、フラッグ・キャリアとしてインド人の利用者向けのサービスを前面に出している[23][24]

機内食のカレーはインディカ米を使いヒンドゥー教徒が食べられる鶏肉と菜食主義者向けが設定されているなど、本格的なものである[24][23]。2017年にはエコノミー席の機内食で肉類を提供しないことを決定した。乗客の中心であるインド人には菜食主義が多いため、肉の廃棄率が高いことを受けての措置という[25]。和食や中華などカレー以外の料理が非ベジタリアン向けに設定されている[23]。大半の乗客がカレーを選択することや、カレーの一部は菜食主義者向けのベジタブルカレーであるため、路線によってはカレーが足りず選べないこともある[23]。またドリンクとしてチャイが提供されているが、路線によっては選べないこともある[23]。インドで食事後に口直しとして出されるフェンネル・シードも付いてくる。

マハラジャくん」と通称されるマスコットキャラクターがおり、ヘッドレストのカバーなどにプリントされている[23]

機内食の提供後は一定時間客室の電源を落とすため、787では電子シェードが操作できないなどの不便な点もある[23]

2018年時点では、機体外部やエコノミー席では客室内の清掃やエンターテインメント設備の補修が行き届いていない機体もある[23]。なおエコノミー席では空いている席の設備を利用できるため、使う際だけ移動することが可能である[23]

エピソード

1966年不二家らとのタイアップで『オバケのQ太郎』の絵を描いてデンマーク、ケニアへ行こうという懸賞企画[26]に参加していたことがあり、高い注目を浴びたことがあった。

コードシェア

2016年9月現在、以下の航空会社とコードシェア提携を行っている[27]。※はスターアライアンス加盟会社

系列会社

事件/事故

参照

関連項目

外部リンク

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